中国の不動産不況が止まらず、北京や上海でも資産価値がローン残高を下回る担保割れが深刻化している。米国が、経験した「リーマン級」危機を回避しようと、中国の金融界は水面下で繰り出した異例の救済措置を始めている。元本返済を棚上げして、利息だけ払って「不良債権化」を免れるという苦肉の策だ。地方は、住宅価格の担保割れが深刻であり、地方の銀行経営から大きな影響を免れない事態が起こるであろう。個人破産制度がないので、債権債務の整理が進まず、中国全体が「泥船」に乗ったままの状態がつづくき衰弱する羽目になろう。
『ブルームバーグ』(4月9日付)は、「中国住宅価格が3割減で担保割れ、銀行は『リーマン再来』恐れて異例の措置」と題する記事を掲載した。
中国で長引く住宅市場の低迷が、銀行に厄介な問題を突き付けている。不動産価格の下落により、数百万件の住宅ローンが担保価値を下回る状態となり、資金の貸し手である金融機関と持ち家を購入した消費者双方が損失を被るリスクが高まっている。
(1)「そうした中、銀行や当局は水面下で、影響を抑えようと対応を進めている。中国当局は、米国などで過去に発生した住宅差し押さえ危機の再来を回避しようとしている。複数の国有銀行が資金繰りに苦しむ借り手に対し、最長2年の住宅ローン返済猶予を提案している。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。また、一部の銀行は差し押さえに踏み切る代わりに、顧客と協力して住宅の買い手を見つける取り組みも行っているほか、銀行による住宅ローン延滞に関する訴訟の受理を停止または制限している裁判所もあるという」
銀行は、不良債権化を恐れて債務者に元本棚上げして利息だけ払うという提案をしている。裁判所は、銀行による住宅ローン延滞に関する訴訟の受理を停止または制限しているところもあるほど、「ボロ隠し」に懸命である。
(2)「こうした動きは、終息の兆しが見えない不動産危機の打撃を抑えようと中国各地で進んでいる取り組みの一端だ。一方で、延滞増加にもかかわらず大手銀行の住宅ローン不良債権比率が約1%にとどまっている現実は、公式統計が問題の実態を一部しか示していないとの疑念を生じさせる」
中国は、政府も含んだ不動産危機の実態隠しに懸命である。この状態がいつまで保つかだ。せいぜい5年とみられている。
(3)「今回で5年目に入った中国の不動産不況は、負債に依存した購入ブームの反動として、住宅購入者に大きな影響を与えている。民間指標によれば、北京や上海など主要都市の住宅価格はピークから3割余り下落しており、当局の統計よりも大幅な下げを示している。地方ではさらに下落幅が大きい。その結果、多くの中国人が住宅価値を上回るローン残高を抱える負の資産状態、いわゆる「ネガティブエクイティー」に陥っている。担保割れだ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、数千億元規模の住宅ローンがネガティブエクイティーとなっている公算が大きい」
ローン残高が、住宅価値を上回る「負の資産状態」は数千億元規模(約10兆円超)にも達している。これは、地価下落が原因であるだけに、マイナス波及効果が大きい。経済活動全般を押下げている。
(4)「UBSグループは、2027年までに330万戸がこの状態に陥り、住宅担保のローンや事業融資で最大2320億元(約5兆4000億円)の損失が生じる恐れがあると試算している。規模としては全体の貸出残高に比べ小さいものの、中国では前例のない水準だ。中国の住宅ローン残高は25年末時点で37兆元と、銀行融資全体の約13.6%を占める。銀行が24年後半に既存の住宅ローン金利を引き下げる前には、繰り上げ返済の増加により残高はピークから減少していた」
「負の資産状態」は、2027年までに330万戸が陥る懸念が強く、約5兆4000億円の損失が出る恐れがあるという。中国の住宅ローン残高は、25年末時点で37兆元(約851兆円)である。「負の資産状態」は、このうち0.6%とわずかな比率にみえるが、「蟻の一穴」でここが突破口になって、大きな穴になるリスクとなろう。
(5)「UBSの分析では、住宅ブーム期には、多くの個人が自宅を担保に事業向け融資も受けており、これが住宅ローン以上に深刻なネガティブエクイティーとなっている。こうした事業性融資は返済期間が1~10年と短く、借り換えや返済のタイミングが早いため、銀行にとってリスクが高い。UBSの中国・香港不動産調査責任者ジョン・ラム氏らは昨年11月のリポートで、潜在的なデフォルト(債務不履行)の主因は不動産価格の下落よりも資金繰り悪化になると指摘した」
多くの個人が、自宅を担保に事業向け融資も受けている。これが、「負の資産状態」をより悪化させている。日本では、あり得ないケースだ。事業不振が、祟って資金繰りを悪化させており、住宅ローン返済をより困難にさせている。
(6)「中国では、米国などに比べて住宅ローンが放棄されるリスクは低い。借り手に極めて大きな負担を課す制度があるためだ。中国には全国的な個人破産制度がない。差し押さえ後の売却額でローンを完済できない場合でも、借り手は残債の返済義務を負う。預貯金や将来の収入など、他の資産で補填する必要に迫られる。また信用情報にも傷がつき、今後の借り入れが困難になる可能性が高い。こうした制度はローンの返済放棄抑制につながる一方、銀行は難しい判断を余儀なくされる。収入が不安定な借り手への厳しい取り立ては、一般世帯の家計悪化を招き、大規模に広がれば経済や社会の安定にも影響する。公共性を重視する国有銀行にとって、困窮する住宅所有者に強硬姿勢を取る動機は限られる」
中国には、全国的な個人破産制度がない。これが、事態を深刻化させている。負債による負担が一生つきまとうために、債務整理が進まないことだ。借り手も貸し手も、債権債務の早期整理がつかずにいることが、不動産バブル崩壊後遺症をより長引かせるであろう。


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