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中国は、イラン戦争を巡って異例の外交的介入に乗り出した。イランへ米国との協議に応じるよう働きかけたからだ。中国の役割は、決定的なものではなかったが、トランプ米大統領の訪中を目前にして、「ご機嫌取り」に全力投球している形である。中国経済の疲弊が深刻であるだけに、障害になるものは全て取り除き、名実共に「赤い絨毯」を敷こうと腐心している。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月10日付)は、「中国のイラン外交、トランプ氏の歓心買い『実利』狙う」と題する記事を掲載した。

 

トランプ氏はイランを交渉の場に引っ張り出したとして中国を名指しで称賛した。ホワイトハウスによると、米中は両国政府の「トップレベル」で停戦案を協議したという。こうした急展開の外交協力は、来月に予定されるトランプ氏の訪中のお膳立てをするための計算された戦略のように見える。習氏は今、仲介役を果たすことで、米中首脳会談への前向きな機運を生み出している。習氏は首脳会談で、地政学面での米国への貢献と引き換えに、関税やハイテク製品輸出規制の緩和、さらには台湾の独立性に関して米国のより積極的な反対姿勢を引き出したいと考えている。

 

(1)「元安全保障担当の高官で現在はジョージタウン大学の教授を務めるエバン・メデイロス氏は、「中国政府の外交はホワイトハウスにメッセージを送ることを意図している」と、指摘した。そのメッセージとは、「中国が台湾海峡とホルムズ海峡に関して理性的になれるのであれば、トランプ氏も中国にとっての核心的利益に関する問題について同等の協力姿勢を示すべきだというものだ」と同氏は述べた。中国政府当局者らは、王毅外相が自国を仲介役に位置付けるために、関係各国の外相と26回にわたって電話協議を行ったことを明らかにした」

 

中国は、米国に良いイメージを与えるべく奔走している。ホルムズ海峡問題に対して冷静に対応して、台湾海峡でも同様に振舞う印象を与えようとしているというものだ。

 

(2)「中国の外交的な働きかけは、中東にとどまらず、はるかに広い地域で行われている。中国政府は5月14、15両日に予定されているトランプ氏と習氏の首脳会談を前に、中国がトランプ氏の広範な外交目標のために役立つことを示すため、多方面に向けた取り組みを行っている。王氏は9日、平壌へ向かった。この2日間の訪問は、習氏による平壌への公式訪問に先駆けて行われたとみられている。アナリストはこの訪問について、北朝鮮の核開発計画や地域の安全保障に関する交渉が行われる際には中国が依然、不可欠な存在だというホワイトハウス向けのシグナルだと指摘する」

 

中国は、北朝鮮も引きつけておく工作を始めた。米国の対北朝鮮では、中国の存在を無視できぬようにするためだ。

 

(3)「これに加え、台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席(党首)が今週、習氏に招待された「平和使節団」として訪中した。国民党党首の中国本土訪問は10年ぶりだ。中国政府はイラン危機で仲介役を務めながら、台湾野党との対話を促進することで、責任を持って地域に安定をもたらせる存在として自国を位置付けようとしている。中国の全ての重要問題の中でも、究極的に重要なのは台湾だ。『ウォール・ストリート・ジャーナルWSJ)の報道によると、習氏はトランプ氏との首脳会談を利用して、米国の政策を中国の見方に転換させる糸口にしたいと考えている」

 

中国は、台湾野党代表を大陸へ招いて「平和外交」を演出している。中国が、台湾との対話を重視しているポーズを見せるためだ。

 

(4)「中国は台湾を、本土から分離した、いずれ再統一されるべき省だと考えている。台湾の自治に対する米国の支持が揺らげば、台湾政府内で、何らかの形の再統一が避けられないとの考えが強まる可能性がある。中国の専門家らによると、中国政府は、イランの停戦における自らの役割とともに、台湾国民党の「平和使節団」について知らしめることで、米政府が関与を控える意思がある限り、地域の秩序に米国の軍事介入は必要ないとの見方を示そうとしているという」

 

中国は、米国の台湾への軍事介入を控えれば、平和統一が可能と見せかけようとしている。第二次世界大戦中、中国は「国共合作」を行い究極的に武力闘争で勝利を収めたが、この国共合作を彷彿とさせる動きだ。中国共産党は過去、こういう「甘い手」を利用してきた。

 

(5)「中国政府による仲介工作は、自国経済の死活問題が背景にある。ホルムズ海峡の封鎖は、ほぼ自給可能な状況にある中国の電力網が打撃を受けにくいこともあって、短期的には中国の輸出業者にとって支援材料となったが、戦争が長期化すれば、中国産品に対する世界の需要が減少する恐れがある」

 

中国は、深刻な経済不振の渦中にある。ホルムズ海峡の封鎖長期化は、世界経済へ打撃を与え、中国の輸出に打撃を与える。死活問題であるのだ。

 

(6)「中国はまた、米国がイランに兵器を供与している全ての国に対し50%の関税を課すとの脅しをトランプ氏がかけていることから、中国が新たな逆風に直面しかねないとアナリストらは警告している。(中国は)世界の安定に寄与しているとの主張を可能にするとともに、自国の輸出主導の経済が輸出先の国々に引きずられる形で深刻なリセッション(景気後退)に陥らないようにするという最も心地良い状況を求めている」

 

中国は、米国へ接近することで経済的打撃を少しでも和らげようとしている。中国国内では、「勃興する中国、衰退する米国」と唱えているが、実態は全くの逆である。日本は戦時中、「鬼畜米英」と叫んでいた。これと同種の空虚なものである。