a0960_008417_m
   

習近平中国国家主席は、不動産バブル発生の責任を絶対に認めない方針である。不動産バブルは、習氏が国家主席に就任した2012年10月以降に、大きなうねりになって引き起されたものである。この責任を認めれば、政治的な決断を迫られるので、不動産バブルの責任は、不動産開発企業と融資した銀行に二者に限定されている。国有地を売却して、バブルを煽った地方政府は、お咎めなしである。地方政府の責任は、最終的に習氏へ達するからだ。

 

銀行の融資責任者は今、ボーナスの強制返還を迫られている。これは、思わぬ所へ波及するのだ。今後の融資において、回収不能な貸出になると後から責任を問われる事態になるので、少しリスクがあっても成長が期待できる融資に対して、最初から融資と断るというケースが多発するであろう。これは、今後の経済成長の芽を摘む危険な話である。だが、融資担当者は身を守るため貸出を中止するであろう。こういう、「余波」がこれから起こることで、経済成長の芽は一層、摘まれることになろう。一方、政府の推薦する業種へは、過剰融資が行われるという負の現象を生み出すであろう。「ロボット融資」である。

 

『レコードチャイナ』(4月10日付)は、「支給済みボーナス返還の嵐、中国の上場銀行12行で約23億円―香港メディア」と題する記事を掲載した

 

香港メディア『香港01』(4月8日付)は、中国本土の銀行業界で支給済みボーナスの返還を求める動きが広がり、上場銀行12行だけで返還額が約1億元(約23億円)に迫っていると報じた。

 

(1)「記事は、中国メディア『第一財経』が、2025年の上場銀行年報を基に集計した不完全な統計として、少なくとも12行が「業績連動報酬の追跡回収」に関するデータを公表したと紹介。返還額が最多だったのは4717万8200元(約10億8500万円)の中国銀行で、対象は延べ4630人に上り、1人当たり約1万元(約23万円)を返還した計算になると伝えた。また、同行は3年連続でこのデータを公表しており、累計回収額は3年間で1億元の大台を突破したことにも触れた」

 

これまで、銀行員は中国のエリートで高給を得ていた職種である。それが今や、過去の貸出責任を問われるという時代になっている。ボーナス返還額は、1人当たり約1万元(約23万円)という。どういう基準で決められているのか不明だが、こういう事態になると、今後は少しでもリスクのある貸出先は、融資対象から排除される。融資額は絞られるので、経済は自然と縮小過程へ向うだろう。

 

(2)「一方で、建設銀行は本店の管理職ら17人に絞った「ピンポイント方式」を採用したと対比的に紹介。回収総額は199万元(約4577万円)にとどまるが、幹部1人当たり11万元(約253万円)超を返還させた計算になると伝えた。さらに、回収メカニズムを運用しながらも具体的な金額を公表していない銀行が多く、「実行すれども公表せず」の状態にあるとも指摘。表に出ている数字は氷山の一角にすぎず、金融界全体の実際の回収規模は公開データをはるかに上回るとの見方を伝えている」

 

建設銀行は、中国五大銀行の一つである。幹部1人当たり、11万元(約253万円)超を返還させた計算という。不動産開発企業の投資規模は大きいから、こういう形で200万円以上もの返還になるのだろう。

 

(3)「記事は、返還の発動条件について主に8つのケースがあると解説。重要な監督管理指標が著しく目標を下回った場合、当局からリスク処分措置を受けた場合、重大なリスク事件で金融市場の秩序に悪影響を及ぼした場合、銀行の財産や名声に重大な損害を与えた場合などが該当するとした。こうした返還の動きが拡大する背景として、過去の金融バブル期に行われた業務がその後の是正過程でリスクや違法と判定され、当時の不良債権の責任追及が始まっていることなどに言及。リスクの遅行的な露呈と制度的な強制力が相まって、報酬返還はもはや個別事例ではなく、中国金融界の「常態」へと移りつつあると結んだ」

 

バブルの責任は本来、金融政策発動が遅れて不動産バブルを拡大させた側にある。貸出に犯罪性のない限り、融資担当者の責任が追及されるものではあるまい。このように、習氏はバブル発生問題を矮小化している。これによって、自らの政策責任を回避しているのだ。これが回り回って、今後の中国経済の立ち直りをさらに遅らせることになろう。