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最先端半導体の量産を目指すラピダスは11日、半導体を組み立てる工程の試作ラインが本格稼働したと発表した。人工知能(AI)向け半導体チップの生産効率は、10倍以上に高める新技術の確立である。すでに、前工程の自動化が成功している。後工程の自動化によって、世界初の前工程と後工程の全自動化が完成する。これによって、生産効率は10倍も進むので、先行するTSMCを上回ることになった。

 

経済産業省は11日、富士通や日本IBMの人工知能(AI)半導体の設計など3事業に最大約900億円を補助すると発表した。両社は、最先端半導体の量産を目指すラピダスへの製造委託を念頭に置く。補助金を通じてラピダスの顧客開拓を後押しするものだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(4月11日付)は、「ラピダス、先端半導体の組み立て試作開始 効率10倍で顧客獲得に前進」と題する記事を掲載した。

 

北海道千歳市のラピダス生産拠点で小池淳義社長は、「我々の夢だった『前工程』と『後工程』の一貫生産に大きく前進する」と強調した。稼働したのは半導体の組み立てなどを担う「後工程」の試作ライン。ラピダス工場に隣接するセイコーエプソンの千歳事業所を間借りする形で、28年の量産開始を目指す。

 

1)「試作品を評価する「解析センター」は、工場の隣に開設したことも発表した。試作から評価を1カ所で完結することで生産工程を短縮する。ラピダスは、外部から半導体製造を受託する事業モデルだ。シリコンウエハーに回路を形成する「前工程」から後工程まで一気通貫の生産体制を目指している。前工程の試作ラインは25年4月に稼働した。後工程の試作ラインや解析センターが稼働することで、27年度の回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体量産や顧客獲得に向けた体制が整う。顧客側の生産ライン評価が可能となり、具体的な商談を進めやすくなる」

 

日本国内での無責任な批判は、ラピダスにこういう製造能力がないと頭から決めつけて批判してきた。ラピダスは、これを跳ね返すように奮起して、逆に世界一の前工程と後工程の全自動化という偉業を成し遂げた。かつての批判者は、こういうニュースをどんな思いで見ているだろうか。一言、弁明を聞きたいものだ。グローバル化した技術革新の波を完全に見落とした狭い見解であった。ラピダス開発陣の努力へ拍手を送りたい。

 

2)「前工程と比べて後工程は技術革新の余地が大きいとされる。ラピダスが特に工夫をこらすのは、AI半導体向けの「RDLインターポーザー」と呼ぶ微細な配線層のガラス基板だ。ラピダスは一辺が600ミリメートルの正方形のガラスパネルから半導体の基板を切り分ける新技術を実用化する。ガラス基板の上に微細な配線層を形成して複数のチップを接続して基板部分を取り外す手法だ。円形のシリコンウエハーから切り出す従来手法と比べて、計算上はチップ数が10倍以上に増える」

 

前工程と後工程の全自動化は、歩留まり率の飛躍的向上をもたらす。これが、コストダウンを実現する。ラピダスは、ガラス基板を採用した。これによって、従来型の円形のシリコンウエハーから切り出す手法と比べ、10倍以上の能率になるという。このガラス基板採用もコスト切下げに直結する。

 

ラピダスの小池社長は、日本メディアとのインタビューでは控えめの答えしかしないが、外国メディアには率直な答えをしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(4月7日付)では、「全てが計画通りに進み、来年量産を開始した暁には、半導体メーカーの世界上位に躍り出ることを目指している」と抱負を語っている。さらに、「長期的な目標として『ファブ』と呼ばれる半導体工場を月面に建設することを目指している。低重力と宇宙の真空状態により、半導体製造が容易になり、生産性が向上するはずだと考えるからだ」

 

小池社長がここまで語るのは、ラピダスの技術について相当の手応えを得ている結果であろう。小池氏によると、他の半導体メーカーの優位に立てるラピダスの強みは「スピード」だという。他のメーカーが、50日かかる作業を15日で行い、新幹線のように高速サービスに対する割増料金を徴収したい考えだ。以上は、WSJで述べた記事である。

 

(3)「小池社長は、「(競合他社と比べても)圧倒的な優位性があり、生産コストの引き下げに大きく寄与する」とした。競合となる台湾積体電路製造(TSMC)はシリコン製のインターポーザーを使い、米エヌビディアからの半導体を受託生産している。ラピダスが、大型ガラス基板を使った新手法での量産に成功すれば、TSMCからの顧客奪取につながる可能性がある」

 

他のメーカーが50日かかる作業を、ラピダスは15日で仕上げるとなれば、3分の1以下の時間で製品化できるであろう。ラピダスは国家戦略事業だけに、西側諸国にとっても大きな朗報となろう。