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3月の卸売物価指数(PPI)は、前年同月と比べて0.%上昇した。2022年9月以来、3年6ヶ月(42ヶ月)ぶりにプラスに転じた。イラン情勢の悪化により、原油や原材料価格の高騰が影響した。中国は、世界最大の原油輸入国である。その影響が、大きく出たものだ。

 

英誌『エコノミスト』(4月4日号)は、今回のイラン戦争の勝利者は中国であり、敗者は米国と位置づけている。だが、最大の原油輸入国の中国と最大の原油輸出国の米国を比較して、余りにも単純な比較をしており、結果は逆になることを窺わせている。中国は、不況下の物価高(スタッグフレーション)の危険性に直面しているのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(4月11日付)は、「中国の卸売物価、30.5%上昇 原油高で36カ月ぶりプラス」と題する記事を掲載した。

 

中国国家統計局が、10日発表した3月の卸売物価指数(PPI)は、前年同月と比べて0.%上昇した。2022年9月以来、36カ月ぶりにプラスに転じた。イラン情勢の悪化により原油や原材料価格の高騰が響いた。

 

(1)「業種別にみると石油・天然ガスは5.%上昇した。前年同月を上回るのは24年7月以来となる。非鉄金属の上昇率も2月から拡大して全体のプラスに寄与した。産業構造の川上と川中にあたる製品をまとめた生産財は1.%上がり、マイナスに落ち込んだ2月から上昇した。国家統計局は、「国際的な要因が国内関連産業の価格上昇に影響した」と説明した」

 

中国の生産者物価指数の急上昇は、「中国が最も恐れるスタッグフレーション・リスク」の現実化が始まった可能性を示唆している。中には、理由はともかく物価が上がってよかったと暢気なことを言っている向きもいるが、そういう状況ではない。需要が増えた結果の物価上昇であれが「吉兆」と言えるが、高い失業率と長期の不動産不況による地価下落の中での物価上昇である。暢気に構えている訳には行かないのだ。

 

(2)「同時に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月を1.%上回った。ガソリンなど交通燃料の価格が3.%上がり、家計も資源高に直面する。中国人の食卓に欠かせない豚肉は1割超下落するなど、CPI全体の伸びは2月から鈍化した。主要国の中央銀行が物価の趨勢を判断する際に重視する「食品とエネルギーを除くコア指数」の伸びは1.%と、2月の1.%から縮小した。ロイター通信によると中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員会のメンバーを務める黄益平氏は「最も懸念しているのは原油高が企業収益を圧迫することだ」と指摘した。企業の経営悪化が経済減速を招き、物価上昇と合わせて対応が求められるとの見方を示した」

 

今回の物価上昇は、景気後退局面置いて起こっていることである。今回のような生産者物価指数急騰(コスト上昇)が重なると、次の連鎖が起こることに注意しなければならない。

1)企業コスト上昇は、利益を圧迫するので雇用削減へ波及する。これが、設備投資を縮小させるのだ。

2)価格転嫁ができない結果、コストアップになる。消費が弱いため、企業は値上げできず、利益がさらに悪化する。これが、設備投資を抑制する。

3)生活コスト上昇を招く。CPIが上昇へ転じ、家計がさらに消費を抑制するようになる。

4)景気後退+物価上昇。こうして、典型的なスタッグフレーションが起こる。これは、中国政府が最も恐れるシナリオである。弱り目に祟り目の中国経済が、さらに引きずり下ろさせることになろう。

 

今回のPPI上昇は「一時的」現象ではないと危惧されている。それは、原油高だけでは説明できないと指摘されている。『ブルームバーグ』によれば、次の通りの上昇上である。

石油加工    +.%

化学原料    +.%

化学繊維    +.%

非鉄金属採掘  +.%

これは供給制約+原油高+中下流の価格転嫁が同時に起きている証拠である。さらに、原油現物価格が高止まりすれば、PPIは45月に2%近くまで上昇する可能性が予測されている。そうなると、中国GDPはハッキリと下降線を強めるであろう。

 

中国が、最も恐れているのは、次の点である。

中国は、「不況下の物価上昇=政権基盤の動揺」という事態が懸念されることだ。これは社会不安・雇用不安を増幅するので、さらに人民元の下落圧力が強まり、資本流出が加速するという「負の連鎖」が起こりかねない。中国が、今回のイラン戦争で米国より有利などと高をくくっていると、大逆転を喰うことになろう。