中国は、これまで景気下支えの「即効薬」としてインフラ投資を多用してきたが、これもついに過剰投資となった。都市鉄道経営が赤字に陥っている。日本で言えば、「廃線候補」路線が増えているのだ。後先を考えずに、その年のGDP成長率を下支えすれば良いという目的で続けてきた都市鉄道建設が、ついに赤字状態へ落込んだのである。

 

『東洋経済オンライン』(4月12日付)は、「中国の都市鉄道『城軌』の建設投資が5年連続縮小の深層/大部分の路線が赤字で経営の持続困難という"異常事態"」と題する記事を掲載した。この記事は中国『財新』の転載である。

 

中国では各地の大都市が競うように城軌を建設したが、それら多くが深刻な赤字に陥っている。中国で「城軌(チョングイ)」と呼ばれる都市部の鉄道や地下鉄の建設投資が縮小し続けている。

 

(1)「業界団体の中国城市軌道交通協会(城軌協会)が3月31日に公表した年次レポートによれば、2025年の投資総額は前年比13.4%減の4114億1600万元(約9兆5400億円)と、5年連続の前年割れを記録した。また、フィージビリティースタディ(事業化調査)の段階にある新線の建設プロジェクトのうち、25年末時点で(所管当局の)認可を取得済みの投資計画の総額は約3兆4000億元と、24年末時点より14.3%減少した。(訳注:「城軌」は都市部の通勤・通学などに利用される「城市軌道交通」および近隣都市間を結ぶ「城際軌道交通」の略称)」

 

中国都市鉄道の投資総額は、5年連続で前年割れを記録した。不動産バブル崩壊と軌を一にしている。需要が減っているからだ。

 

(2)「その背景には、各地の城軌が抱える財務上のサスティナビリティー(持続可能性)の問題がある。上述のレポートによれば、中国全土の城軌における25年の営業収入は車両走行1キロメートル当たり平均18.07元(約420円)と、前年より1.69元増加した。しかし、同年の営業コストは同35.28元(約820円)と同2.07元増加。コストの総額も増加幅も収入を大きく上回った」

 

中国全土の都市鉄道は25年、営業収入は車両走行1キロメートル当たり平均約420円に対して、営業コストは約820円とほぼ2倍の赤字である。これでは、いずれは廃線である。都市交通という日常の通勤通学の足がこういう状態では、地方の交通機関はさらに赤字であろう。不動産バブルで得た土地売却益が萎んだ現在、もはや従来のような路線建設は不可能になった。

 

(3)「旅客1人当たりの収支で見ても、25年の営業収入が1キロメートル当たり平均0.92元(約21円)だったのに対し、営業コストは同1.63元(約38円)に上り、大幅な赤字に陥っている。城軌協会の説明によれば、関連業界には長年にわたって複数の矛盾が蓄積し、日に日に深刻化している。それらは城軌建設の公益性と市場原理(に基づく採算性確保)の矛盾、先行投資の大きさと資金回収(期間の長さ)の矛盾、さまざまなステークホルダーの便益とコスト負担の矛盾などであり、新たな城軌は「建設できるが維持できない」のが実態だという」

 

25年の旅客1人当たりの収支では、1キロメートル当たりの営業収入が平均約21円。営業コストは同約38円である。中国の公共交通機関の運賃は割安に設定されている。土地が、国有で建設総費用が低いという事情はあるにしても、収支が大幅な不均衡である。これからは原油高騰の悪影響も加わる。最終的には、運賃値上げでしか路線は維持できない状況である。

 

(4)「中国政府は、新線建設の甘い需要見積もりや過剰スペックを問題視し、許認可のハードルを引き上げている。にもかかわらず、各地の城軌の営業距離は伸び続けている。城軌協会のデータによれば、中国全土の城軌の総営業距離は25年末時点で約1万3000キロメートルと、1年前より約900キロメートル増加した。それに対し、25年の平均輸送密度(1日・1キロメートル当たりの旅客輸送人員)は5800人と、前年比5.6%低下。このことは、新規開通および開通から日が浅い城軌の利用者数が想定を下回っていることを示唆する」

 

1日・1キロメートル当たりの旅客輸送人員は25年に、前年比5.6%の低下となった。人口減が、影響している。こうなると、運賃値上げではカバーできないことになる。究極的には、都市鉄道が過剰建設された結果だ。中国は、どこを向いても「過剰」の二字が充満している。