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米国によるイラン戦争の「勝者」は、中国という英誌『エコノミスト(4月4日号)の二番煎じになる記事が韓国にも出てきた。米国の圧倒的な海・空軍力と最先端のミサイル攻勢で、早期の終戦が予想されていた。それにもかかわらず現実の戦況は、米軍が予想外の膠着状態に陥っているという結論である。これは、韓国紙『ハンギョレ新聞』(左派系)の論評だ。

 

このことから、今後の台湾海峡や南シナ海で起こり得る「米中衝突」のシミュレーションとして当てはめると、中国軍が有利になるという判断を示唆している。果たして、そうだろうか。現在の停戦は、米国が11月の中間選挙を控えており、早期に戦争を切り上げなければならないという政治的事情である。軍事作戦として見れば、全く別の評価になる。

 

『ハンギョレ新聞』(4月28日付)は、「米国とイランの戦争、『米国の限界』読む中国」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙のチェ・ヒョンジュン国際部長である。

 

「壮大な怒り」というご大層な作戦名で始まった米国・イスラエルとイランとの戦争は、4月28日で丸2ヶ月。圧倒的な海・空軍力と最先端のミサイルを前面に押し出した米国の攻勢で早期の終戦が予想されたが、戦況は予想外の膠着状態に陥っている。

 

(1)「中国はこの微妙な様相を、誰よりも真剣かつ鋭い眼差しで見守っている。2018年に習近平国家主席が再任され、米国との戦略競争を本格化させて以降、米国が繰り広げる事実上最初の全面戦争だからだ。中国政府は公式な反応を控えているが、中国の国営メディアや軍事メディア、ブロガーは米国の戦争遂行方法や状況への対応能力、米軍の個別の兵器システムの性能などを見逃すことなく一つひとつ分析している。イラン全土やホルムズ海峡などで展開される状況が、今後台湾海峡や南シナ海で起こり得る「米中衝突」のシミュレーションとなり得るからだ」

 

中国の台湾侵攻は、地勢的に世界で最も困難な作戦とされている。1年のうち、上陸作戦が可能な季節は2~3ヶ月。しかも、台湾海峡を大量の輸送船で兵員を送らなければならない。潜水艦攻撃を警戒すると、台湾海峡の中央部しか通航できないのだ。ここへ、世界最強の米潜水艦部隊が配置される。勝負は、初めから決まったようなものなのだ。人民解放軍が、台湾侵攻作戦に慎重な理由だ。初めから「負け戦」を仕掛けるようなものと指摘されている。中国が、今回のイラン戦争から得た教訓は、「米軍の防空能力の再評価」と「米軍の指揮統制の速度と柔軟性の観察」である。この面でも、人民解放軍は大きく立遅れているのだ。

 

(2)「中国はとりわけ、米国の圧倒的な戦力と思うようにいかない結果との乖離(かいり)に注目している。米国は人工知能(AI)を用いた最先端兵器で戦場を圧倒しているが、低価格ドローンやホルムズ海峡という地政学的条件を利用したイランの非対称戦術にまともに対応できていない。中国メディアは米国の先端軍事技術や特殊作戦能力などを報じつつ、イランの低価格ドローンが米国の数百万ドルする迎撃システムや高価な攻撃ドローンをいかに無力化しているかを集中分析している。特別な先端兵器もなしに数十発の機雷や小型高速艇、海岸線に沿って配備した通常兵器などでホルムズ海峡の主導権を失うことなく米国を相手している様子も、研究対象となっている」

 

イランの非対称戦術は、低価格ドローンを使ったがことごとく反撃されて制空権を失った。そこで、ホルムズ海峡の外国商船を人質に取ったのだ。この「卑怯な戦術」が、台湾侵攻で採用できるだろうか。それは、日本の南西諸島を占領して、米軍へ抵抗するような戦いで、本来は「負け戦」に分類される。イランの海峡封鎖は、このようにやってはならない戦術なのだ。

 

(3)「中国は、世界のファウンドリ半導体市場の70%を占める台湾のTSMCや、世界の海上物流の30~40%が通過する南シナ海を、米国と衝突した時にどのように戦略的に利用するかについて、研究を重ねていくだろう。トランプ大統領を筆頭とする米国の指導部のリーダーシップも、綿密な分析の対象となっている。英国の週刊誌『エコノミスト』は、中国の外交官や学者、専門家らは今回の戦争を「米国の深刻な失敗とみている」と伝えた」

 

英誌『エコノミスト』は、中国で専門家を取材しているが、「飛び込み」取材である。いわゆる初対面の記者に本心を明かすはずがない。密告を恐れから、取材相手は全員、「習近平氏の見通しが現実化」したと「習氏礼賛」であった。これを真に受けた記事にどれだけの信憑性があるのか。同じ記者として、振り返れば分かるはずだ。北朝鮮で金氏の政策について聞けば、取材相手は全員同じ答えをするであろう。(つづく)