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ソフトバンクが、「レアメタルを使わない亜鉛ハロゲン化物電池」を開発し、27年度から量産化に着手する。レアメタルを使わないので、低コストになるので工場や家庭の蓄電池として最適である。太陽光発電と組み合わせることで、家庭消費電力の8割見当の需要を賄える時代が来た。電気も「地産地消」である。

 

『日本経済新聞』(5月4日付)は、「レアメタル使わぬ蓄電池 ソフトバンク、データ拠点向け 来年度にも生産参入」と題する記事を掲載した。

 

ソフトバンクが、レアメタル(希少金属)を使わない蓄電池の実用化に乗り出す。韓国新興と組み大阪府で2027年度にも生産を始める。需要が拡大するデータセンター(DC)向けなどを想定し、レアメタル生産が多い中国への依存軽減につなげる。

 

(1)「蓄電池は、リチウムやコバルトなどのレアメタルを部材として使うことが多い。レアメタルは、中国が採掘や精錬で高いシェアを持ち、近年は輸出規制を強めている。ソフトバンクは、次世代電池を手掛ける韓国新興のCOSMOS LAB(コスモス・ラボ)と提携し、レアメタルを使わない「亜鉛ハロゲン化物電池」を開発する。25年に取得したシャープ堺工場(堺市)の跡地で、27年度にも生産拠点を設ける計画だ」

 

レアメタルを使わない「亜鉛ハロゲン化物電池」は、これまでの電池が小型化(高密度化)に焦点を合わせてきたのとは、別次元の据え置き型である。工場や家庭での「蓄電池」としての役割をになう。これは、災害の多い日本では最適だ。常時、手近なところで太陽光発電による電気を溜める蓄電池があれば、「いざ」というときに直ぐに電気が使え、小規模事業所では業務も継続できる。

 

亜鉛ハロゲン化物電池の強みをまとめた。

1)レアメタル不要(中国依存を回避)

リチウム、コバルト、ニッケル を使わないため、中国からの供給リスクを回避できる。 これは、地政学的に極めて大きい。

2)発火リスクがほぼゼロ

電解液が「真水」なので、 データセンター・工場・家庭用蓄電池に最適。 リチウム電池の最大弱点は発火リスクであり、これを完全に回避できる。

3)国内調達が容易でコストが安い

亜鉛は日本でも安定調達でき、価格も安定。 長期的な価格変動リスクが小さい。

 

4)大容量・据え置き用途に向く

データセンター、工場、事務所、学校、家庭など多方面。

 

(2)「主流のリチウムイオン電池が電極にリチウムを含む化合物などを使い充放電するのに対し、新型電池は亜鉛やハロゲン化物を採用する。いずれも国内での調達が容易でコストを抑えやすい。電解液には有機溶剤ではなく真水を使うため発火の恐れが原則ないという。亜鉛を使う電池は次世代電池の有力候補のひとつで、FDKなどのメーカーのほか北海道大学と東北大学も材料などの開発に取り組む。コスモス・ラボも韓国の政府系機関などの支援を受けて開発を進めてきた」

 

現在のリチウム電池の領域

EV・スマホ・モバイル機器など 高エネルギー密度が必要。

 

亜鉛ハロゲン化物電池の領域

データセンター・工場のバックアップ・再エネの調整電源・家庭用蓄電池 など、安全性・低コスト・長寿命がポイント。

 

以上のように、リチウム電池の領域と亜鉛ハロゲン化物電池の領域は異なっている。リチウム電池が「動」とすれば、亜鉛ハロゲン化物電池は「静」の関係である。

 

(3)「亜鉛電池は、リチウムイオン電池に比べ寿命などで劣る面もある。特に電極に樹状の金属結晶ができることで劣化が速まる課題がある。コスモス・ラボは、電極に微細な穴を設けて結晶の発生を抑える独自技術などで、長く使用できるようにするという。今後はエネルギー密度を高めるための技術の改良も重ねる。開発・生産した蓄電池は、まずソフトバンクが堺市で整備する大規模データセンターなどで採用する。性能に問題ないと確認できれば量産を始める」

 

亜鉛電池は、寿命が短いという面もあるが、これは今後、技術的に克服して行くという。

 

(4)「データセンターのほか、工場や家庭に設置し再生可能エネルギー由来の電気などをためる用途を想定する。30年までに数百億円を投じ、蓄電池の生産能力を1ギガワット時超の規模に拡張することも検討する。実現すれば、一般的な家庭用の蓄電池で年10万台超を生産できる国内有数の工場になる。ソフトバンクは、5月にも公表する新しい中期経営計画で蓄電池の製造への参入を盛り込む予定だ。次世代電池の製造・販売を新規事業として育てる計画で、将来は1000億円規模の売上高を目指す」

 

ソフトバンクは、亜鉛電池を次世代電池として売込みたいという。2030年までに「1GW(ギガワット)超」生産計画である。これは 家庭用蓄電池10万台分/年 に相当する巨大規模である。 ソフトバンク自身が、需要は確実にあると判断している証拠だ。

 

コストはどうか。リチウムより「下げやすい」ことは確実である。亜鉛、ハロゲン化物、真水(電解液) はすべて 国内調達が容易で安価 である 。量産効果も大きい。ソフトバンクは堺工場跡地で量産を計画しており、 国内での大規模生産=コスト低下が加速する。