イランが、ホルムズ海峡で支配範囲の拡大を図る中、数百隻の船舶がドバイ沖に集まっている様子が5日に確認された。戦争開始以降、船舶が集まりやすい海域ではあるものの、これほどの数は異例とされている。これは、米軍の指示で船団を組んでおり、護衛下で一挙にホルムズ海峡を通航する準備が始まったと見られる。米軍は、完全な護衛体制を組んでおり、イラン側の攻撃をかわす体制を整えている。
『ブルームバーグ』(5月5日付)は、「ドバイ沖に船舶が異例の集結-イランが管理拡大のホルムズ海峡離れる」と題する記事を掲載した。
米国とイランが4日にペルシャ湾で交戦し、数週間続いてきた停戦は不安定な状態となっている。米国は、ホルムズ海峡に航路を開いたと発表し、米CBSは米海軍の駆逐艦2隻がペルシャ湾に進入したと報じた。
(1)「ブルームバーグ・ニュースが監視するドバイ沖の海域には4日以降、さまざまな種類の船舶約60隻が新たに集結した。現在、この海域には信号ベースで少なくとも363隻の船舶が確認されており、これまでの7日間平均の294隻を大きく上回っている。イランは4日、ホルムズ海峡の「管理区域」を、ホルムズ海峡から南に向かってアラブ首長国連邦(UAE)のウンム・アル・カイワインまで拡大したと発表した。ドバイは、イランが新たに設定した区域の外側に位置する」
ドバイ沖への船舶集結は、単なる避難ではない。 イランの管理区域を避け、UAE側に「新しい安全圏」が形成されつつあるという意味だ。この裏には、米軍の指令があるとみるべきだ。すでに、ホルムズ海峡の通航が、ほぼゼロ
になっている。これは、 ホルムズ海峡が空洞化していることで、イランの管理が機能していない結果であろう。イランが、「管理区域拡大」しても、面子のための政治的宣言にすぎない。イランは、管理する海峡を持ちながら、どこの国もそこを通らない。
これは、イラン実質的な敗北である。
(2)「イランを巡る戦争が始まって以来、ペルシャ湾での船舶の監視は、トランスポンダーを停止して姿を消す船舶が増え、電波妨害も強まったことで複雑化している。その結果、不自然な形状の船舶の集まりが観測されるようになった。ドバイ沖での船舶の集合の形状も、実際の海上の状況を完全には反映していない可能性があるが、少なくとも、海上輸送の動向を示してはいる。イランは4日、UAEのフジャイラ港を攻撃した。オイル・ブローカレッジのグローバル海運調査責任者、アヌープ・シン氏は「海峡での双方向の通航がすぐに再開されるとは見ていない」と述べた」
UAEが、「ホルムズ代替ハブ」として浮上している。フジャイラ港の利用、ドバイ沖の待避海域、UAE海軍+米海軍の防護圏など、ペルシャの
新しい海上秩序の中心 になって来た。船舶はイラン側を避け、 UAE側に集まっており、イランの管理権は空洞化している。
米軍の逆封鎖で、イランは海上で手が出せない構造ができている。イランが攻撃すれば、米軍に反撃される。攻撃しなければ管理権を主張できない。結果として「管理区域」だけが広がり、実効性はゼロという「空洞化現象」である。これは典型的な
「面子だけ残して実質的敗北」パターンとみられる。UAEの地位が、急上昇している。
(3)「現在のホルムズ海峡の通航数はほぼゼロで、戦前の1日あたり約135隻と比べて大幅に減少している。長期化する封鎖は、すでに世界の海運市場を混乱させている。シン氏は、米国がより多くの船舶をホルムズ海峡外へ誘導できれば、湾内に閉じ込められている数百隻の原油・化学タンカーの脱出の可能性が高まり、市場への圧力が緩和される可能性があるとの見方を示した」
米国が、より多くの船舶をホルムズ海峡外へ誘導できれば、湾内に閉じ込められている数百隻の原油・化学タンカーの脱出の可能性が高まる、としている。
(4)「ただ、今週はこれまでのところ、海運業界が慎重姿勢を強めざるを得ない状況だ。UAEの国営石油会社アブダビ国営石油会社(ADNOC)は4日、同社の超大型タンカー「バラカ」がホルムズ海峡でドローン攻撃を受けたことを認め、韓国政府も同国の船舶が戦争開始後初めて攻撃対象となったと発表した」
これまでに、米海軍駆逐艦2隻が湾内に進入している。イランは「管理区域拡大」を宣言したが、商船は完全にこれを無視している。この状況は、商船が
「自発的に避難しただけ」では説明できず、米軍の指令とみるのが自然であろう。全ての商船が、船団を組める状況を確認次第、米軍監視下で「集団通航」の可能性が高い。米軍は過去にもこ方式を採用している。1987年、 クウェート船を米国旗に付け替え、船団方式で護衛した例だ。今回、「数百隻の商船を安全に通過させた」 となれば、米国の外交的勝利と受け取られる。


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