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トランプ米大統領は、2日間の首脳会談に臨むため訪中した。習近平中国国家主席との対面は7回目となる。両者は、ある種の「文通相手」とも言える関係を築き、互いに相手の心の動きを理解する「仲間」だと言う。習氏は、トランプ氏から本音を引き出して、米国が心変わりしないか確かめたいというのだ。中国は、明らかに守勢に立たされている。米軍によるベネズエラとイランへの急襲が、中国へ向けられないか恐れているようである。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月13日付)は、「米中首脳会談、トランプ・習両氏の思惑」と題する記事を掲載した。

 

世界の二大大国の指導者は書簡を通じてやり取りをしてきたと、この慣行を知る関係者らは述べている。これは、米政府と中国政府の間の長年の緊張関係や、両者がまったく異なる政治体制を率いているにもかかわらず、個人的な信頼関係を築こうとしてきた多くの取り組みの一つだ。

 

(1)「こうした関係は今週の首脳会談で試されることになる。会談では貿易、イラン、台湾といった難題について協議する見通しだ。習氏とトランプ氏は両国の相違点の表面化を避けるだろう。習氏はトランプ氏を盛大にもてなす予定で、世界遺産の天壇公園を案内し、人民大会堂で会談を行い、企業トップや閣僚で構成される米国代表団を招いた晩餐会を主催し、トランプ氏とともに茶会の席に着く」

 

習氏は、トランプ氏を丁重にもてなして、台湾に関する思い通りの返事である「台湾独立を支持しない」を引出そうと懸命である。この一言を得れば、習氏の国家主席4選が有利になるのだろう。

 

(2)「アナリストらは、米国が中国向けのイラン産原油の輸送を封鎖している状況下でも、会談が実現すること自体が異例だと指摘している。両首脳とも具体的な成果を求めている。イーロン・マスク氏を含む代表団を伴って訪中するトランプ氏は、中国がイラン戦争の終結に協力し、大豆やボーイング機を含む米国製品を大量に購入することを望んでいる。一方、国内で深刻化する景気低迷に直面する習氏は、台湾に対する米国の政治的・軍事的関与を弱めようと取り組む中で、対米関係をより予測可能なものにしたい考えだ」

 

率直に言って、米国が習氏の4選に手を貸すことは、けっして中国のためにも世界のためにもならないであろう。トランプ氏は、習氏への個人的「友情」と自由世界の発展とを峻別しなければならない。

 

(3)「トランプ氏は非公開の場では、他の首脳にはほとんど見せない敬意を習氏に示し、場を和ませるための冗談の代わりに称賛の言葉をかけていると、両者の会談を知る関係者らは語った。ホワイトハウスのオリビア・ウェールズ報道官補は「米中関係、そしてトランプ大統領と習主席の個人的な関係は非常に良好であり、両者ともにその関係を維持することがいかに重要かを認識している」と述べた。トランプ氏はその後も習氏を深く尊敬する友人と呼び続け、その思いは互いに共通していると側近や記者たちに伝えてきた。2017年11月には、習氏はトランプ氏を1949年の中華人民共和国建国以来、外国首脳としては初めて北京の故宮(紫禁城)での夕食に招き、敬意を示した」

 

トランプ氏が、習氏に親近感を持つのは、「独裁者」同士という独得の雰囲気が合うのであろう。トランプ氏は、ロシアのプーチン氏に対しても同様の親近感を示している。

 

(4)「米当局者やアナリストらは、トランプ氏と習氏がこれまで通りの友好的な雰囲気を演出するものの、二国間関係において政治的な突破口はほとんど開かれないと予想している。 「大規模な合意や関係の変化に対する希望的観測はない」と、ブルッキングス研究所の中国センター所長、ライアン・ハス氏は述べた。トランプ、習両氏ともに、国内では身動きが取りづらい状況下で今回の会談に臨むことになる」 

 

個人の思惑で外交が進むとすれば、それは「野合」に過ぎない。歴史の審判に耐えられない、一時的な結果に止まる。トランプ氏が、米国大統領として後世にどう評価されるか、今回の米中会談は分岐点になろう。

 

(5)「高まる経済的暗雲によって、習氏の権力基盤が脅かされているわけではない。しかし、トランプ氏との会談が成功すれば、中国企業が長期計画を立てる上での予測可能性が高まると、中国当局者らは述べている。習氏にとって、対処可能な景気減速を政治問題に変えかねない唯一の懸念は、米政府との突然の緊張激化だと、当局者らは指摘する」

 

中国が、米国との突然の緊張激化を恐れること自体が、すでに「敗北」を自覚している証拠だろう。それにもかかわらず、周辺国へは傍若無人の振る舞いを続けている。「負けは負け」である。取繕うことなく行動を変えることだ。

 

(6)「バイデン前政権は、台湾独立を「支持しない」との立場を示してきたが、中国は今、トランプ政権に対して台湾独立に「反対する」と表明するよう求めている。これが実現すれば、米政府が長年維持してきた「戦略的曖昧さ」の終焉を意味する。習氏は2023年にもバイデン氏に同様の要求をしたが、拒否された」

 

中国が、米国に対して台湾独立を「支持しない」から、「反対する」へ一歩踏み込ませる狙いは何か。これは、台湾を揺さぶる目的である。台湾問題は、民主主義と独裁の対立であり、米国が中国の要求に歩み寄ることは、民主主義の原則を自ら損なう行為である。トランプ氏は、習氏へどんなに友情があるとしても独裁者へ手を貸してはならない。