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(3)「基調の変化を反映するように、会談では長年にわたる米国の要求事項が公式に言及されることはなかった。その一つが、中国の過剰生産能力への対処の要求だ。米国などの貿易相手国は、中国の低価格製品が自国市場に不公正に流入していると主張してきた。中国は、国内経済の低迷を乗り切りながら、米国との競争の流れを長期的に変え得る技術力の獲得を目指しており、この脆弱な休戦状態に満足しているようだ」

 

米国は今回、中国の過剰生産能力への対処の要求を控えた。この問題こそが、世界経済を混乱させている原因である。中国は、米国が何ら要求を出さなかったことを米国の「好意」とみているとすれば、それは大きな誤解である。米国が、中国へ「塩を送る」理由がないからだ。米国はハッキリ言えば、中国の「自滅」という事態を見据えているのであろう。

 

(4)「貿易交渉に詳しい関係者によると、中国はトランプ政権が望むよりも長期の休戦延長を望んでおり、また、今年米連邦最高裁判所によって無効とされた米国への輸入品に対する一部の関税を復活させる可能性のある、現在進行中の米国の調査についても安心材料を求めていた。匿名を条件として語ったロイターの情報筋によると、今回の首脳会談では双方とも具体的な提案をほとんど行わなかった。また、一部の通商合意は、習氏がホワイトハウスを訪問する予定の秋まで持ち越される可能性があるという」

 

中国は、どうにも解決できない構造的問題を抱えている。地価下落による地方政府の財政悪化は目を覆うばかりである。公務員の給与遅配は言うに及ばず、大幅な賃金カットも行われている。それでも、過剰債務は減るのでなく増え続けている。台湾問題も棚上げしたい状態であるが、それには、米国の「台湾独立に反対」というひと言が欲しいのだ。そうなれば、国防費を減らす口実ができる。米国は、それを言わずに中国を追い込む戦略である。米国にとっては、これほど「良いチャンス」が訪れたことはない。

 

(5)「まだ正式には確認されていないものの、トランプ大統領は、米航空機大手ボーイングが中国向けに200機のジェット機を販売する契約を締結したと述べた。これは当初予想されていた500機、そして17年の訪中時に中国が購入に合意した300機を大幅に下回る数だ。ホワイトハウス当局者は、米国が新たな貿易委員会を設置したと述べた。米当局者らはこれについて、安全保障上の機微に触れない品目の関税を引き下げるための共同メカニズムだと説明していたが、詳細はほとんど示さなかった。米通商代表部(USTR)元次席代表代行のウェンディ・カトラー氏は、経済面での成果を「期待を大きく下回るものだ」と評した」

 

常識で考えれば分る通り、ジェット機を500機も買えるはずがない。中国の「大風呂敷」である。米国を一時的に喜ばせ満足させる「便法」である。中国は、こういう非常識なまでの「リップサービス」をして結果的に空手形となってきた。中南米で多くの国が今、この空手形に怒っている。中国は、一帯一路へ加盟させる際に「過剰約束」をしたが、ことごとくその約束は守られず信用失墜を引き起している。ジェット機500機の話もこの類いである。今回は後々の不履行追及を恐れ、200機に抑制したのであろう。

 

(6)「中国にとって、今回の首脳会談は冷静に競争を見据える前向きな一歩だったと、北京の中国人民大学で国際関係学を教える崔守軍教授は述べる。同氏によると、今回の首脳会談は、両政府が「もはや米中関係を協力的な黄金時代に戻そうとは考えておらず、競争と意見の相違が長期的なものであることを認識している」ことを示したという」

 

中国人民大学の崔守軍教授は、意味深長な発言をしている。中国が、米国の要求に応えられないという限界点にぶつかっていることを示唆しているのだ。中国は、明らかに不動産バブルの崩壊後遺症のほかに、出生率急減という根本的な構造問題を抱えている。台湾侵攻などと言っていられる状況でなくなっている。このためにも、米国から台湾独立に「反対」という一言が欲しいのだ。それが逆に、会談の冒頭挨拶で「中国と米国はいわゆる「トゥキディデスの罠」を回避できるのかという威嚇的な発言になった。逆効果は言うまでもない。米国が、意地でも台湾独立に反対などと言うはずはないのだ。