中国は、GDP統計から人口統計まで不都合なデータを全て「カット」するという得意技を持っている。正しい統計が、経済政策を実行する上で不可欠という前提は吹飛んでいる。政治インセンティブが優先されており、「うまく見せる」ことが優先されているのだ。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月1日付)は、「中国がCO2排出データを『粉飾』」と題する社説を掲載した。
西側諸国の環境急進派とは異なり、中国には気候変動対策の約束を守るために自国経済を犠牲にするつもりはない。だが中国政府は、西側の活動家たちを欺いてその気があると信じ込ませるために、必要ならば二酸化炭素(CO2)の排出データを粉飾することも辞さない。
(1)「2009年のコペンハーゲン、2015年のパリでの気候変動関連の国連会議で、中国政府は国内総生産(GDP)1ドル当たりのCO2排出量、すなわち炭素強度を大幅に削減すると約束した。その後出された国家計画に関する文書にも、この目標が明記された。中国の統計値はそれ以降、このとき公約した気候変動に関する目標の達成には程遠いことを示してきた。昨年9月には、中国生態環境省のトップが「炭素強度の抑制は困難」だと認めた」
昨年9月、中国生態環境省のトップが「炭素強度の抑制は困難」だと認めたほど、公約した気候変動に関するCO2排出量削減目標の達成に程遠いとしていた。それが、なんと次にみるように「達成」されていたのだ。
(2)「しかし、中国は今年3月になって突然、2020~25年の間に炭素強度の17.7%削減を達成したと報告した。これは目標値の18%をわずかに下回る水準だ。それ以前に公式発表された数値は、この期間の削減率が12.4%にとどまることを示唆していた。この不一致に気付き、その原因を発見したのは、非営利団体エネルギー・クリーンエア研究センターのラウリ・ミリビルタ氏だ」
今年3月、2020~25年の間に炭素強度の17.7%削減を達成したと発表した。目標値の18%をわずかに下回る水準である。昨年9月には、「不可能」としていたものが、半年後には「目標達成」である。データの粉飾による。GDP世界2位の国家がやるべきことではない。モラルの一片もないのだ。
(3)「ミリビルタ氏は、英国の気候変動関連ニュースサイト「カーボン・ブリーフ」への投稿記事で、「中国の炭素強度の測定方法、特にどの種類の排出量を含めるかという点に大きな変化があったのは明らかだ」と記している。中国の最新の統計公報に付けられた脚注も、測定方法の再定義が行われたことを示唆している。中国は以前、炭素強度の計算の際、すべての化石燃料消費を対象に含めていた。新たな計算手法は、過去にさかのぼって、CO2排出量のうち都合の良いものだけを選んで対象に含めるというものだ。最もばかげた間違いの一つは、化学製品の生産やプラスチックの製造で出たCO2の一部を計算から除外している点だ。これらの産業はいずれも活況を呈している」
データ粉飾の手口は、過去にさかのぼって、CO2排出量のうち都合の良いものだけを選んで計算対象から外したのだ。具体的には、化学製品の生産やプラスチックの製造で出たCO2の一部を計算から除外した。直ぐに「手口」が判明したのだ。
(4)「ミリビルタ氏によると、この再定義によって、「過去5年間の中国のCO2排出量の伸びは、事実上半分になった」という。中国政府は書類上の操作によって、韓国やドイツの総排出量にほぼ匹敵するほどの統計上のギャップを生み出した。習近平国家主席は2022年、CO2の削減目標について、エネルギーおよび食料に関する安全保障や国民の「普通の生活」を犠牲にして実現すべきものではないと述べていた。それを欧米の熱狂的な気候変動対策支持者に伝えてほしい。彼らは中国による太陽光発電や電気自動車(EV)への投資を、中国でさえも自分たちの主張に賛同している証拠だとして、もてはやす傾向にある。今後は中国に対する信頼を少し抑え、もう少し検証してみるべきだろう」
統計の粉飾によって、「過去5年間の中国のCO2排出量の伸びは、事実上半分になった」という。この粉飾は「やり過ぎ」である。こういう欺瞞国家を相手にして、異常気象など語りあうことは、どれだけ「時間の無駄」であるかを示している。だが、データを改ざんしても事実は変わらない。世界的な異常気象の進行は進んでおり、2035年以降の中国華北平原は、夏の「炎熱」で人間が居住不可能な事態が予測されている。灌漑農業によって、地下水が過剰に吸い上げられており、夏の大地が「悲鳴」を挙げるのだ。その時、データ改ざんを指示した人物は、糾弾されるであろう。


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