あじさいのたまご
   

中国にとっては、グローバル経済ほど都合の良いシステムはない。スポーツに喩えれば、レース中に「不正のやり放題」である。中国は、公正な競争というWTO(世界貿易機関)のルールなど無視して、売上高に対する産業補助金が、OECD(経済強力開発機構)平均の3~8倍にも達する。OECDが発表して明らかになった。

 

OECD事務総長は、中国が生産性や収益性の改善は限定的で、「効率ではなく補助金で勝っている」とコメント。比喩として「スポーツのドーピング」になぞらえ、市場の公正な競争を歪めると強く警告した。西側諸国は、不幸にもこの不正競争者と「同居」させられているのだ。

 

『毎日新聞 電子版』(6月2日付)は、「中国の企業補助金『市場ゆがめる』 OECD加盟国の最大8倍」と題する記事を掲載した。

 

経済協力開発機構(OECD)は1日、各国の産業補助金に関する報告書を公表した。中国企業は、日米欧を中心とするOECD加盟国に拠点を置く企業と比べて売上高に対する補助金の割合が38倍に達した。OECDは「多額の補助金は市場をゆがめる」と指摘し、是正が必要だとの考えを示した。OECDは34日に年に1度の閣僚理事会を開き、公平な競争条件の確保も議論する見通しだ。中国企業の世界的なシェア拡大による各国産業への打撃を懸念しており、協調策を模索する。

 

(1)「OECDは2005年から24年にかけて、太陽光発電パネルや半導体、鉄鋼、自動車といった15の製造業で、企業規模が大きい525社が受け取った政府支援の規模を調べた。支援には補助金のほか、税制優遇措置や、市場金利を下回る水準での借り入れが含まれる」

 

OECDが示したのは、中国企業が受け取る補助金の規模が、OECD加盟国企業の38倍に達する事実だ。 これは、国有企業(SOE)や特定産業への集中支援が背景にあり、OECDは「市場の歪み」を強く問題視している。補助金の透明性が低い上に、WTOルールでは補助金の詳細開示義務が弱いのだ。国際競争条件が、極めて不公平になっているる。中国が、ダンピング輸出で巨額貿易黒字を出している裏には、この補助金がテコになっていることは疑いない事実だ。

 

中国の不正に対して、WTOに制裁規定がなく限界を示している。WTOの補助金協定では、「禁止補助金」と「問題のある補助金」を定義しているものの、 実際には 是正させる強制力が弱く、制裁メカニズムが機能していないのだ。中国にとっては「やり得」である。

 

その理由は以下の通りだ。補助金の透明性が低く、立証が困難である。しかも、現状はWTO上級委員会が機能停止状態にある。中国の補助金は、「輸出補助金」でなく「産業育成型」でグレーゾーンになっている。WTOは、国家の産業政策そのものについて、是非を判定するところまで踏み込めないのである。中国は、この抜け穴を利用している。世界には、この補助金を止める制度的手段が存在しないだ。

 

 各国の自衛手段は、関税を引き上げるしかない。トランプ関税は、対中国だけでなく世界中へ「網を掛ける」という過剰防衛を行い、中国に匹敵する問題を引き起こしている。

 

(2)「報告書によると、政府支援は企業の世界シェア拡大を後押しする効果がある。中国企業に関しては、シェア拡大分の約60%は政府支援で説明できるとしている。OECDのコーマン事務総長は「このデータは各国が課題への共通認識を築く一助となる。世界の貿易体制を公正で、機能的にするための協調への道を開く」と述べた」

 

OECDは、中国の輸出シェア拡大分の約60%が、政府支援で説明できるとしている。問題は、「元凶」である中国自体がこの「補助金漬け」によって大きなダメージを受けることである。補助金が過剰な結果、次のような問題を抱える。

 

非効率な企業が生き残る(ゾンビ企業化)、過剰生産(鉄鋼、太陽光パネル、EVなど)の発生に伴う国内投資の非効率化である。設備投資をしてもそれに見合う「果実」(付加価値)が得られず、経済がジリ貧に陥るので財政負担が増大する。すでに、不動産バブルの崩壊後遺症で不良債権が山積し、特に地方政府がその負担に苦闘している。さらに、国際摩擦は激化しているので、中国国内でも「補助金依存の産業構造は持続可能でない」という議論が増えているほど。補助金の「毒」が、中国経済全体に回り始めている。中毒症状である。