米経済の先行きは、AI(人工知能)やトランプ政権の誕生で読みにくくなった。米求人情報サイトのインディードのエコノミストは、米労働市場が「採用も解雇も少ない」状態となり、雇用の空きが生まれにくくなっていると分析する。特に、CS(コンピューターサイエンス)や金融を専攻する学生には、非常に厳しい状況だという。
『日本経済新聞 電子版』(6月2日付)は、「米名門大の秀才を襲う就職難 8000社玉砕、コンピューター専攻で悲劇」と題する記事を掲載した。
激しい競争を勝ち抜き、数千万円もの学費を払って卒業したのに就職先がひとつも見つからない――。米国で大卒の失業率が上昇し、人工知能(AI)に自分たちの仕事が奪われているとの不満が若者の間で高まっている。グーグル元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏は5月、米アリゾナ大学の卒業式で「(AIによる技術革新は)かつてなく大きく、速く、重大なものになる」などと語り、ブーイングを浴びた。コンピューター関連を専攻した学生ほど、AIとの競合で就職しにくい皮肉な状況も広がる
(1)「8000社に応募してもまだ仕事に就けない」。米ニューヨーク大学の大学院で情報システムを専攻したドゥルヴ・スードさん(24)はため息をついた。大学院に入るためインドから渡米した頃には、テック業界が高額報酬をうたって大量採用を進めていた。「合格した時は年収20万ドル(約3200万円)は確実と思っていた。でも現実はインターンさえ見つからず、12万ドルでもいいと思うようになった。今はもう、とにかく仕事が欲しいという状態だ」と話した」
大学院で情報システムを専攻した若者は、8000社に応募してもまだ仕事に就けない状態だ。かつては「花形」であった。それが、AIの普及で状況は一変した。
(2)「米東部ニュージャージー州のラトガース大学出身のハラム・カングさん(23)は地元出身で、コンピューターサイエンス(CS)を専攻していた。エンジニアを束ねて技術プロジェクトを管理するプロダクトマネジャーになることを目指していた。入学した頃には「CSを専攻すれば安泰」と言われていた。「10年前や5年前なら、それは本当だったと思う。でも私たちが卒業した頃には、市場は完全に飽和していた」。大学4年次だけで200社以上へ応募。その後も就職活動を続け、2年間で少なくとも500社へ応募した。卒業後は複数のインターンを経験したが、フルタイムでの雇用にはつながらなかった。最終的には「とにかく仕事が必要」と方向転換し、営業職であるテックセールスに職を得た」
コンピューターサイエンス(CS)を専攻した若者も2年間で少なくとも500社へ応募したが無駄だった。今は、営業職であるテックセールスに就職している。
(3)「米ニューヨーク連銀によると、大卒以上の学歴を持つ若者(22〜27歳)の失業率は直近の26年3月で5.6%と、新型コロナ禍後の22年の4%前後からじりじり上昇している。コロナ禍やリーマン・ショック後のピークと比べればまだ低いが、若者への逆風は強まっている。同連銀が2月に公表した専攻別の失業率(分析の基となったデータは24年)では、コンピューター工学が7.8%、CSが7.0%で高水準だった。コンピューター工学よりも高いのは人類学(7.9%)しかない」
大卒以上の学歴を持つ若者(22〜27歳)の失業率は、直近の26年3月で5.6%と高まっている。2月に公表した専攻別の失業率は、コンピューター工学が7.8%、CSが7.0%で高水準だ。コンピューター工学よりも高い失業率は、人類学(7.9%)しかないという。
(4)「米エール大学経営大学院の研究員、スティーブン・ヘンリケス氏はAIがエントリーレベルの雇用市場に大きく影響していると指摘する。「以前は10人必要だった業務が、AIの活用で5人程度で回るようになっている」と話し、多くの経営者がAIの生産性への影響を見極めようとしている段階だとした。ビジネスSNSのリンクトインでエコノミストを務めるペイ・イング氏は、AIによって代替しやすい職種としてソフトウェアエンジニア、マーケティングマネジャー、データアナリストを挙げる。「多くの職種で30年までに、必要とされるスキルの約70%がAIによって変化する」とも述べ、変化への対応が重要だと訴えた」
多くの職種は30年までに、必要とされるスキルの約70%がAIによって変化する、という。AIが、人間の雇用を奪う形になっている。


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