国内銀行の中国離れが進んでいる。主要な地方銀行の中国拠点は、5年で2割も減った。日系メーカーの不振や現地の人件費上昇を受けた措置である。中国進出の金融機関が減っているのは、日本企業の撤退が原因ではなく、
中国経済が構造的な縮小局面に入り、金融リスクが急増していることの反映である。金融機関はリスクに最も敏感であり、最も早く動き出すという「習性」がある。この動きは、中国経済の「真実」を映し出している。
『日本経済新聞』(6月2日付)は、「地銀の中国拠点、5年で2割減 東南アにシフト 企業の進出へ逆風」と題する記事を掲載した。
日本経済新聞が全国地方銀行協会のリポートや聞き取りをもとに、海外展開する主要61行の拠点数を調べた。中国の事務所や支店、現地法人の総数は全体の半数近くを占めるが、2021年4月の50から26年3月末には40まで減った。
(1)「25年5月には、北海道銀行が瀋陽事務所を閉じた。現地情報の収集や取引先の販路開拓支援を目的に19年間運営したが、業務を国内に移した。京都銀行も同年に大連事務所を閉じ、上海事務所に集約した。拠点の維持負担が増し「顧客のニーズもなくなっていったので縮小した」(同行)。八十二銀行(現・八十二長野銀)は24年に香港支店を閉鎖した」
地銀の撤退理由は、「顧客のニーズもなくなっていったので縮小した」としている。金融機関の撤退は、中国経済の縮小とみて間違いない。金融機関が撤退する最大の理由は、「中国で貸した金が返ってこない」という貸倒れリスクが急増している結果であろう。不動産向け融資の焦げ付き、地方政府融資平台(LGFV)のデフォルト懸念、国有企業の収益悪化、外資企業の撤退で貸出先が減少しているだ。また、資本規制で資金回収が困難という側面もある。銀行にとって最悪なのは、
貸した金が返ってこないことだ。こういう状況になると、金融機関は真っ先に撤退する。
これは、日本だけではなく世界的現象である。米国銀行、欧州銀行、香港系金融、シンガポール系金融など、すべてが中国でのプレゼンスを縮小している。特に欧米は、
「中国は投資先ではなく、リスク源」 と明確に位置づけ始めている。
(2)「進出が相次いだのは、2000年代だ。中国の高成長が続くなか地銀は現地で税制や規制をつぶさに調べ、進出する自動車部品会社などの先兵になる役割も担った。あるメーカー役員は「融資より情報共有を含めた戦略的なパートナーの役割を期待している」と話す。だが、三菱自動車やホンダなど日系メーカーが現地生産の撤退・縮小を進めるなか、地銀は四半世紀の歴史に幕を下ろそうとしている。巨大な市場を抱える中国への戦略を、地元企業が前向きに見直す状況はますます望みにくくなる」
2000年代の中国経済は、右肩上がりの状況にあった。日本企業の進出が急増したので、金融機関も進出した。だが、もはやそういう時代ではない。「中国繁栄」も極めて短期間であった。
(3)「3メガバンクも、中国での融資は低調だ。三井住友銀行は2021年3月末からの5年間で貸出金を519億ドル(約8.3兆円、香港を含む現地法人との合算ベース)から4割減らした。三菱UFJ銀行も同期間に貸出金が約3.5兆円から2割減少。みずほ銀行も現地法人などとの合算で3割超減っている。資金需要の落ち込みが背景にある。取引先に多い日系の製造業には高騰する人件費や賃料が重荷だ。自動車は、中国製電気自動車(EV)の普及や品質向上で徐々に日本車のシェアが落ち込む。香港国家安全維持法(国安法)での規制強化など、「チャイナリスク」への警戒感も高い。「突然輸出入にブレーキがかかる不安」(千葉県内の機械メーカー)を理由に取引する国の分散を検討する企業も少なくない」
中国での融資は、3メガバンクも低調である。取引先に多い日系の製造業は、高騰する人件費や賃料が重荷となっている。
(4)「対照的に、地銀の進出が続くのが東南アジアだ。比較的人件費が安い国が多く人口も増え続ける。千葉銀行は25年1月にシンガポール支店を設けた。タイやベトナムのほか、オーストラリアなど幅広い地域に目を配る拠点として、非日系企業への営業網も拡大する。シンガポールには、宮城県地盤の七十七銀行も進出した。26年には山口県地盤の西京銀行がインドネシアで現地法人を立ち上げた」
東南アジアは、資金需要が活発である。地銀の進出も続いている。非日系企業への営業網も拡大させている。ASEAN(東南アジア諸国連合)は、これから融資の拡大局面を迎える。
(5)「世界最大の人口規模を持つインドも有望な展開先だ。三井住友銀がインド大手に約3000億円を出資するなど、25年は3メガ銀の出資案件が相次いだ。地銀では京都FGがインドに駐在員事務所を設ける方針だ。ニデックや京セラといった製造業との取引が深く、インドの半導体企業などとの親和性に目を付けた」
インド市場は、拡大局面である。非日系企業への融資にも積極的だ。沈む中国と浮上するインドとの差が、これから時間の経過とともに拡大する。


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