a0960_008527_m
   

アジア安全保障会議(シンガポール)で5月31日、小泉防衛相は中国の度重なる日本への「新型軍国主義論」へ反論した。「核兵器や戦略爆撃機という強大な軍事力を保有する国がある一方で、日本にはそうしたものは何一つない。それにもかかわらず、日本を『新たな軍国主義』と呼ぶのはおかしいのではないか」というものだ。

 

アジア各国は、中国の南シナ海不法占拠によって圧力を受けているだけに、中国の「軍国主義」に脅かされている。その中国が、ASEAN(東南アジア諸国連合)への支援を惜しまない日本を非難しているだけに違和感を強めている。

 

『江南タイムズ』(6月4日付)は、「『核も爆撃機もない日本を軍国主義扱いか』小泉防衛相、中国の主張に痛烈反論」と題する記事を掲載した。

 

米国のドナルド・トランプ大統領は、NATO(北大西洋条約機構)に対して厳しい姿勢を取っている。前日には、シャングリラ・ダイアローグで米国のピート・ヘグセス国防長官が、欧州の同盟国は防衛費の負担が不十分だとして改めて批判した。小泉進次郎防衛相は、インド太平洋地域への強いコミットメントを示したヘグセス長官を評価したうえで、世界規模での強固な連携が依然として必要だと訴えた。

 

(1)「小泉防衛相は、アジア安全保障会議で「分裂は抑止力を弱め、結束は抑止力を強める」と述べた。さらに、「米国、欧州、同盟国、そして価値観を共有する国々の間に亀裂が生じれば、それを好機と捉える勢力が必ず現れる」と指摘し、「そのような事態を防がなければならない。我々の協力関係を維持し、さらに強化していく必要がある。今こそ協力を一段と強固なものにすべき時だ」と強調した」

 

小泉氏は、同盟国と同士国が団結することの必要性を訴えた。カントの『永遠平和のために』という名著(1795年)以来、民主国が独裁国へ対抗する唯一の手段が同盟としている。カントは、無防備の単独平和論を説いていたのではない。

 

(2)「中国が軍事力を急速に拡大・近代化する中、国内では防衛政策の見直しを進めている。先月には、高市早苗首相率いる政権が殺傷能力のある兵器の輸出禁止措置を解除し、戦後の平和主義路線に大きな転換をもたらした。これに対し中国は、「新たな軍国主義へと向かう日本の無謀な動きだ」として強く反発した。こうした中国の批判に対し、小泉防衛相は「核兵器や戦略爆撃機という強大な軍事力を保有する国がある一方で、日本にはそうしたものは何一つない。それにもかかわらず、日本を『新たな軍国主義』と呼ぶのはおかしいのではないか」と反論した」

 

集団的自衛論は、日本国憲法9条に違反しないというのが解釈として成立している。中国の言う「軍国主義論」は、中国そのものに当てはまるものであり「天に唾する」行為である。

 

(3)「『透明性は議論と対話から生まれる』と語った小泉防衛相は、中国がこのフォーラムに国防相を派遣しなかったことは残念だと付け加えた。一方、米国のヘグセス国防長官は、中国に関する発言のトーンを昨年より抑えた。昨年は、中国の脅威が急速に高まっていると警告し、中国が台湾侵攻に向けた訓練を積極的に進めていることを認識すべきだと述べていた。

 

中国が、アジア安全保障会議へ国防相を派遣しなかったのは、米国との摩擦を恐れたとされている。万一、米国が対中批判すれば反論せざるを得ず、米中間に溝を作ることを恐れたとも言われている。今の中国は、米国との対立を恐れている。経済面へ波及するからだ。

 

(4)「この日、フィリピンのギルベルト・テオドロ国防相は少人数の記者団に対し、「最も重要な同盟国である米国の姿勢の変化を懸念してはいない」と語った。フィリピンは南シナ海の領有権問題をめぐり、中国とたびたび対立している。同氏は、「中国が行動を変えない限り、我々の姿勢も変わらない」と強調した。また、オーストラリアの閣僚は、防衛問題には原則に基づいて対応する必要があると訴えた。前日、ヘグセス長官はアジアのパートナー諸国が欧州の同盟国とは異なり防衛費の増額を進めていると評価する一方、欧州の同盟国については「国境管理を緩め、防衛力を弱体化させながら、『ルールに基づく国際秩序』という空虚なグローバリズムのレトリックに惑わされている」と批判した」

 

中国の南シナ海不法占拠こそ、ASEANとの摩擦を引き起こしている元凶である。フィリピンが対中警戒を強めるのは当然である。豪州の閣僚も原則に応じて対応としている。相手国の対応に応じて軍備を揃えるということだ。

 

(5)「この日、フォーラムの合間に記者団の取材に応じたオーストラリアのリチャード・マールズ国防相は、「ルールに基づく国際秩序には力による裏付けが必要だ」というヘグセス長官の指摘に同意しつつも、「同時に、原則そのものがかつてないほど重要になっている」と述べた。さらに、「我々がルールに基づく国際秩序にコミットしているのは、それがオーストラリアのような中堅国や、より小規模な国々に実際の行動力を与えるからだ」と語った。そのうえでマールズ国防相は、同盟体制が地域の防衛と安全保障に不可欠だと強調した。また、「これは集団的な課題であり、集団的な対応が求められる。そして、その集団的対応こそが、まさにルールに基づく国際秩序が重視するものだ」と付け加えた」

 

豪州の国防相は、「集団的対応こそが、ルールに基づく国際秩序の重視」としている。カントの『永遠平和論』である。