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習近平氏は現在、国家主席4期目を巡って策をめぐらしているであろうが、昨年11月から北京を離れないという「籠城状態」が続いている。軍部の粛清はピークに達しており、後任も指名しないという「宙ぶらりん」状況にある。中国は、経済も異常、政治も混沌という事態を迎えている。

 

『時事通信』(6月4日付)は、「上将の出席者1人だけ中国軍の会議、異常事態に」と題する記事を掲載した。

 

中国軍が「習近平強軍思想」の学習を強化するため、ハイレベルの会議を開いたが、上将(大将に相当)の出席者は、演説した中央軍事委員会副主席1人だけだった。軍内の大粛清で上将クラスの高官が次々と失脚したり、消息不明になったりしているが、ついに重要会議の上将出席者が演説者以外に全くいないという異常事態となった。

 

(1)「習近平強軍思想学習に関する会議が5月27日、北京で開かれ、中央軍事委の張昇民副主席(制服組トップ)が演説した。会議の模様を報じた国営中央テレビの映像を見る限り、演説を聴く参加者は、階級章の星が二つの中将が多数いたが、三つ星の上将は皆無だった。共産党総書記・国家主席と中央軍事委主席を兼ねる習氏はこの会議に出なかったものの、会議の主題は習思想の学習。習氏が4月に開始を宣言した「思想整風」の一環であり、軍高官は全員参加すべき行事である」

 

習近平強軍思想学習に関する会議に、上将(大将)では一人だけ出席という異常状態である。粛清しても後任を決めないことが理由である。これは、軍内部に不満を高めるだけで何の効果もない。習氏が、謀反を恐れて北京を離れられない理由は、軍部の不満の高まりを反映している。

 

(2)「演説した張昇民氏は、習思想の「国防・軍隊建設における指導的地位」を強調した上で、習氏への権力集中を意味する「二つの確立」「二つの擁護」や中央軍事委主席責任制の貫徹というスローガンを叫んで、思想整風の展開により党に対する忠誠の「政治的魂」を鍛えるよう訴えた。なお、粛清の結果、もともと6人いた今期の中央軍事委の軍人メンバーで生き残ったのは、政治工作や汚職取り締まりを担当してきた張昇民氏1人だけ。習氏はなぜか、メンバーを全く補充しないので、巨大な中国軍の指導部が習氏と政治将校の2人だけという変則的な状態が続いている」

 

軍内部の不満を抑えるべく、習思想の「国防・軍隊建設における指導的地位」を強調している。大人が、こういう説教を真面目に聞くだろうか。

 

(3)「中央軍事委は同日、国営通信社の新華社を通じて、「軍隊高級幹部教育・監督・管理強化に関する若干の措置」と題する文書伝達を公表した。具体的には、思想整風を展開し、政治整訓(政治的引き締めと教育)を深めて、教育・監督・管理の「鉄の掟」を打ち立てるとしており、同じ日の会議に合わせて伝達を明らかにしたと思われる。同会議はいかに重要かが分かる。習氏が思想整風の号令を発した全軍高級幹部養成班の始業式(4月8日)は、張昇民氏が主宰。同氏以外に董軍国防相と中部戦区の韓勝延司令官が出席したので、上将は計3人だった。昨年12月、韓氏と同時に上将となった東部戦区の楊志斌司令官の姿は会場になかった」

 

思想教育は、習氏への忠誠を誓わせることである。これを繰り返さざるを得ない軍隊とは何か。習氏への忠誠心が薄れている結果であろう。

 

(4)「上将の数が前回の3人でも不自然に少なかったが、今回はさらに減って1人。中国軍は現在、中央軍事委機関や地方大部隊の上将ポストの大半を中将が代行しているようだ。董氏は国防相として、5月中旬にトランプ米大統領が訪中した時の米中首脳会談に同席したが、同月下旬になると、前述の習思想学習会議だけでなく、パキスタン首相と軍トップの訪中でも姿を見せず、シンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」(通称シャングリラ会合)にも出なかったことから、異変説が広がった。

 

董氏国防相にも異変説が出ているという。軍隊は、実力集団である。このトップがしょっちゅう変わっている。忠誠心が試されて交代させられているのだ。習氏には、安心できない相手なのだろう。誰が、国防相のなっても直ぐに交代とは、習氏自身に問題があるのだろう。つまり、自身への「謀反」疑いである。

 

(5)「董氏は、習氏の腹心だった苗華氏(昨年10月、党籍・軍籍剥奪発表)が海軍政治委員だった時期の部下。苗氏が中央軍事委政治工作部主任として軍高官の人事を牛耳っていた頃、国防相に起用されたことから、「苗氏に連座して解任される」とのうわさが何度も流れた。苗氏人脈の要人は既に大半が粛清されており、董氏が思想整風を乗り切れるかどうかは微妙なところだ。5月28日の軍機関紙・解放軍報の論評によれば、思想整風とは政治整訓の効果的なやり方であり、学習・反省・批判などによって、「思想の大掃除」を行うという。その根拠は当然、習思想だ。一連の粛清で穴だらけになった軍の組織を再建する必要があるが、そのための人事は習氏に対する忠誠心が基準になるということだろう」

 

董氏は、習氏の腹心だった苗華氏(失脚)の系列である。となると、この董氏の「運命」も定かではない。

 

(6)「軍高官粛清が始まってから約3年もたって、軍指導部は既にほぼ全滅状態なのに、さらに粛清の延長戦を大々的にやらざるを得ない事態は、習氏の軍に対する掌握力に習氏自身が不安を抱いているとの印象を与えている。習氏が昨年11月以降、外国訪問をせず、地方にもほとんど行かず、できるだけ北京にとどまっている事実と合わせて考えると、中国の政局は世間で言われているほど安定していないように思える」

 

軍内部に相当な不満をつくっているはずだ。これが、習氏にとって「吉」と出るはずがなく「凶」とろう。国家主席4期目の鍵は、意外に軍部が握っているのかも知れない。軍内部からの不満が、他省へ広がるかどうかだ。