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外資の投資が営業を始めてから5年たったが、シェアは0.1%と不振である。外資の投信シェアがこれだけ低い最大の理由は、 中国の家計が貯蓄余力を失ったことが根底にある。 これに加えて 、「文化・制度・政治リスク」が三重に重なっている。 「需要がない+参入障壁が高い+政治リスクが大きい 」という三重苦だ。不動産バブル崩壊で「資産の柱」が消えたことが、不振の大きな要因である。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(6月1日付)は、「中国で外資の投信シェア0.% 市場開放5年でも開拓進まず」と題する記事を掲載した。

 

中国政府が外資規制を緩和した後、中国本土で独自に投資信託事業に参入した海外資産運用会社の市場シェアは5年でわずか0.%にとどまっている。中国の投信市場への期待は大きかったが、現実は厳しい。

 

「米ブラックロック、英フィデリティ・インターナショナル、米ニューバーガー・バーマン、独アリアンツ、米アライアンス・バーンスタイン、英シュローダーズなどだ。中国の2020年の規制緩和を受けて進出した。6社の運用資産は、3月末時点で340億元(約8000億円)だった。一方、全体の市場規模は36兆5000億元に上る。中国市場の開放を将来の成長機会と見込んでいた海外金融機関にとって、事業拡大は容易ではないことが浮き彫りになった」

 

投信の需要先は、多くが中間層である。この層は、住宅ローン、教育費、医療費、収入停滞の悩みに直面している。富裕層は、海外投資などできる余力を持っているが、中間層とは「別次元」の存在である。 国内貧困化が、海外投信不振の背景だ。

 

中国の中間層は「縮小」ではなく 消滅に向かう 可能性が高い。 しかも、これは景気循環ではなく 構造的な不可逆プロセス ですある。中国経済自体が、急速に弾力性を失っているという大きな理由がある。後述の通り、シュローダーズが事業開始からわずか3年で中国本土の投信事業から撤退する。

 

(2)「販売網の構築からブランド認知度の向上まで課題が多く「海外勢にとっては非常に厳しい状況だ」。資産運用コンサルティング会社スリー・ライオンズAWMアドバイザリーのシニアコンサルタント、コナル・マクマホン氏は指摘する。中国政府は、トランプ米大統領の第1次政権終盤に結んだ米中貿易協定の直後、外資による投信運用子会社への完全出資を認めた。この規制緩和はそれ以前から予告されていた。ところが海外勢は米中関係の悪化に加え、国内勢との激しい競争や中国経済の減速に直面した」

 

中国政府は、長いこと「金融自由化」に応じず、投信進出は金融解禁の象徴的な位置づけになった。当時の雰囲気には、中国の個人貯蓄へ食い込めると大きな期待感があった。それが、5年経ってのシェアは0.1%である。拍子抜けである。

 

(3)「フィナンシャル・タイムズ(FT)は5月、シュローダーズが事業開始からわずか3年で中国本土の投信事業から撤退すると報じた。シュローダーズは、世界全体でおよそ1兆ドルの資産を運用するが、中国では17億元にすぎなかった。同社は中国証券当局から3本の投信と運用チームをニューバーガーへ移管する許可を得ている。「残念ながら海外勢は現地のビジネス慣行に適応できず、効果的に競争できなかった」とZベンのディレクター、ピーター・アレクサンダー氏は述べた。

 

中間層は、資産の柱である不動産市場が崩壊した影響を大きく受けている。中間層の資産の 70〜80%が不動産であった。 現在は、価格下落、売れない、担保価値が消える、ローンだけ残るという事態である。 中間層にとっての「資産の核」が、消滅した状況である。

 

中間層の収入源は、民間企業が弱体化したことでおおきな打撃を受けた。IT企業規制、

民間企業への締め付け、共同富裕キャンペーン、中間層の給与が伸びなくなったなどの結果、収入が伸びなっている。こうして中間層は、 時間とともに下層化傾向を強める。

 

(4)「ニューバーガーのアンドリュー・コマロフ最高執行責任者(COO)はFTに対し、各社が営業免許を取得したのはちょうど中国の不動産市場が低迷していた時期だったと強調した。「その結果、新たな株式運用戦略を拡大するには不利な市場環境となった」が、この1年で「投資家心理はかなり改善した」と述べた。海外勢は合弁事業も展開している。シュローダーズは合弁を継続する方針で「中国事業に引き続き注力する」と表明している。ブラックロックが中国建設銀行と設立した合弁会社は約420億元の運用資産を持つ」

 

新規参入した海外投信は、事業スタートが不動産バブルの崩壊時であった。こういう営業環境の中でスタートしただけに、環境悪が大きく事業への圧迫要因になった。

 

(5)「長年にわたり中国企業と提携した後、合弁相手の持ち分を買い取った米JPモルガン・アセット・マネジメント、カナダのマニュライフ・インベストメント・マネジメント、米モルガン・スタンレーなどの運用子会社は、新規参入組より多くの資産を管理する。これらの企業の運用資産は合計でおよそ3730億元に達し、市場全体の1%程度を占める。フィデリティはコメントを控えた。アリアンツは中国には「大きな成長余地がある」とした。バーンスタインは取材要請に応じなかった」

 

中国市場へ、早くから馴染んできた企業は、それなりの生き方を学んでいるが、新規参入組は「烈風」をもろに受けている。