テイカカズラ
   

中国共産党が、北京で学生らの民主化運動を武力で弾圧した天安門事件から4日で37年を迎えた。現場となった北京市中心部の天安門広場は、多くの警察官や私服の公安関係者が配置され、事件に関する国内の言論は封殺された。今年は、犠牲者家族の墓参も禁じられた。当局は、経済危機のもたらす「社会不安」拡大に一段と神経を払っている。

 

『毎日新聞 電子版』(6月4日付)は、「天安門事件から37年 悲劇の風化狙う習指導部 抑圧さらに厳しく」と題する記事を掲載した。

 

習近平指導部は、高齢化する遺族が真相公表を求める訴えに背を向け、共産党の暗部である悲劇の記憶を風化させようとしている。

 

(1)「事件は1989年63日深夜から4日未明にかけ発生。民主化を求めて天安門広場などに集まった若者たちに、中国軍が発砲し、多くの死傷者を出した。中国当局は事件を「動乱」と呼び、弾圧を正当化する姿勢を変えていない。中国外務省の毛寧報道局長は4日の記者会見で「80年代の政治的波乱について、中国政府は明確な結論を出している」と主張した」

 

中国軍は、武器を持たない学生デモに対して発砲した。政府は、「動乱」と呼ぶが明らかにこじつけである。鄧小平が行った蛮行だ。鄧小平は、自らの遺体を遺言で海葬にさせた。後世の批判によって、自らの遺骸が掘り起こされ辱めを受けることを危惧したのだ。中国の歴史では、こういう場面がしばしば行われてきている。鄧小平は、天安門事件を深く悔いていたのだろう。

 

(2)「遺族団体「天安門の母」はウェブサイトに、真相の公表や遺族らへの賠償、法的責任の追及を求める声明文を公表。今年は遺族107人が署名したが、過去の署名者のうち既に約80人が亡くなったという。声明文は当局の言論統制を「(今や)多くの若者たちが、軍隊が無防備な学生や市民に発砲した悲惨な事実を知らず、まるで何事もなかったようにされている」と批判。「現在の国家指導者は、臆さずに歴史的責任を負い、公正に解決するよう望む」と訴えた」

 

天安門遺族の墓参が禁止された。これに呼応する「騒ぎ」を引き起させない予防策であろう。政府は、若者失業者が増えているだけに不安が増えている。

 

(3)「習指導部の下で遺族への抑圧はかつてなく厳しくなっている。米政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア」によると、北京市の公安当局が、遺族に対し、今年以降は4日当日に犠牲者の墓参りをすることを禁じたという。昨年末には遺族の交流会も中止に追い込まれていた。以前は数十万人規模の追悼集会が開かれた香港でも、2020年に施行された香港国家安全維持法などを根拠に、追悼を取り締まる動きが続いている」

 

中国は、37年前の天安門事件の「亡霊」に怯えている。それだけ、社会不安の種が増えているからだ。GDPは、37年前より数段拡大しても社会不安が増えているのは、見せかけの繁栄にすぎないことを裏付けている。

 

(4)「香港メディアによると、繁華街の香港島・銅鑼湾では多くの警官が巡回。3日午後に1人の芸術家が長さ64メートルの赤いひもを柱にくくりつけようとしたところ、警官に制止され事情聴取された。過去に追悼集会の舞台となったビクトリア公園では今年で4度目となる中国各地の物産展が開かれる一方、通りかかった一部の市民に事情を聴く警官の姿もあった。一方で、世界各地では追悼集会が開かれた。台北市中心部の中正紀念堂前の広場には市民らが集まり、「8964」の数字の形になるようにキャンドルライトを置き、犠牲者の冥福を祈った。台湾の頼清徳総統はフェイスブックへの投稿で「中国が事件を正視し、真相を認め、痛みをいやすことを心から期待する」とつづった」

 

北京は、天安門事件の犠牲者追悼を禁じている中で、台湾が同事件の犠牲者を悼んでいるのは極めて象徴的である。習近平氏は、この台湾を武力でも統一しようとしている。世界は、中国への強い違和感を持って当然であろう。