(4)「中国のレアアース産業は、1980─90年代にかけて手厚い税優遇と豊富な低賃金労働力の恩恵を受けた。政府とその関連組織は、現在も研究機関に資金を提供し、国有系金融機関は重要鉱物を採掘する企業に優遇条件で融資している。中国では研究者、大学、産業界が今も緊密に連携している。北京の国家レアアース工程研究センターの科学者らは新技術を開発し、国有企業の甘粛レアアース新材料は2023年、年間5万トンの高度処理レアアースを生産できる精錬施設にこの技術を導入した。これは、中国以外で最大のレアアース企業である豪ライナス・レアアースが25年度に生産した量の5倍に相当する」
中国の研究体制は、「権威主義の限界」を抱えている。中国が、技術者のパスポート没収、外国人との接触制限、技術の輸出規制などを行っている。これは、
知識の自由な交流を阻害する権威主義の典型だ。化学的精錬のような高度技術は、失敗の共有、データの公開、国際共同研究、批判的議論が不可欠である。ところが、中国は全くの逆の囲い込みである。中国のような権威主義体制下では、
失敗が隠蔽され、技術の進歩が止まるのだ。
(5)「ロイターが確認した複数の大学の授業資料からは、産業界の需要に応えることを強く意識した内容もうかがえる。江西理工大学の講義スライドによると、学生はレアアースの地政学的重要性や、中国産材料が米国の主要兵器システムに組み込まれている実態について学んでいる。江西理工大学の講義スライドのスクリーンショット。学生がレアアースの地政学的重要性や、中国産材料が米国の主要兵器システムに組み込まれている実態について学んでいることを示している」
中国は、巨大な研究エコシステムを持っていても、 化学的精錬の核心技術では日本に追いつけないというのが、世界の評価である。その理由は三つ指摘されている。暗黙知の蓄積がない。環境汚染を前提にした「非合理的技術蓄積」、権威主義が知識の進化を阻害する、という点だ。つまり、
文明としての日中の「合理性の差」が、「技術の差」として現れている。
(6)「内モンゴル科技大学でレアアース工学を専攻する学生は、レアアース化学や材料科学などの授業で100時間超の教育を受ける。基礎科目の1つはレアアース研究所や企業と連携して実施され、学生は企業施設での講義を受ける選択肢もある。江西理工大学(JXUST)が国営メディアに明らかにしたところによると、新設したレアアース学位課程には70人が入学する見通しで、加工、冶金から磁石までサプライチェーン全体を学ぶ。卒業前には企業と共同で研究プロジェクトにも取り組む」
中国の量的優位 vs 日本の質的優位 をどう評価するか。これが核心部分である。
車に喩えれば、中国は、「車のスピードは速いが、ルールを守らず、ドライブ・テクニックも低い」国に喩えられる。これは、中国のレアアース精錬を説明する上で、最適の言葉であろう。
日本の化学的精錬法は、「環境制約の中で進化した技術」である。中国の精錬は、 汚染を外部化(公害を引き起す)することで成立している「粗い技術」だ。日本は、汚染を「内部化」(生産工程内で解決)する技術。中国は、汚染外部化によって本来、必要なコストを払わずに等しく、それだけ環境を破壊しているのだ。西側諸国は、こうした中国製法のレアアースは、「ESG基準」で不適合として2~3年後に西側市場から排除することになった。すでに、「排除宣言」は発せられており、後は執行時期が問われるだけである。


コメント
コメントする