中国は、日本威圧の象徴としてレアアースの輸出規制を行っているが、実態は分類を変えて輸出していることが判明した。日経記事では、「3〜4月の輸出量は前年同月比8割超減った」と報じているが、その気配はないという。中国の「魔術」に引っかかった形の報道になった。
HSコードは、世界共通の貿易品目分類である。中国は、このHSコードに抵触しないように、レアアースを加工させて、別のHSコードに付け替えさせているというのだ。対日レアアース輸出規制は、「自作自演」の寸劇であったわけで、輸出規制による業者の損失を考慮した「小細工」とみられる。8月から、世界55ヶ国が参加する日米欧主導の「重要鉱物特恵市場」が発足する。中国は、これを恐れており日本繋ぎ止め策に出ているとみられる。
『日本経済新聞 電子版』(6月8日付)は、「中国、レアアース対日輸出8割減 日本企業は豪印・再利用で代替急ぐ」と題する記事を掲載した。
中国政府が戦略資源として輸出規制するレアアース(希土類)の対日輸出が急減している。日中関係の悪化を受け、3〜4月の輸出量は前年同月比8割超減った。日本企業は自動車やハイテク製品などの心臓部の製造に不可欠な原料の安定確保をめざし、豪印などへ調達先の切り替えを急ぐ。
(1)「中国は1月から軍民両用(デュアルユース)の規制に基づき日本への輸出規制を厳しくした。高市早苗首相の台湾有事を巡る2025年11月の国会答弁を踏まえ、中国だけで世界の総生産量の7割を占めるレアアースを武器にした経済的圧力を強める。中国商務省は25年4月にジスプロシウムやテルビウムなど7種のレアアースに関する輸出規制を導入し、対象を細分化した10ケタの関税番号(HSコード)を公表した。これを参考に品目を一部抽出し、中国税関総署の貿易統計で検索できる8ケタのデータに基づき日本経済新聞が分析した」
西村友作・中国対外経済貿易大学経済学院 教授は、貴重な示唆を与えている。中国の輸出管理制度のHSコードはあくまで参考情報とされている。実務上は、加工度の変化に伴いHSコードを変更すれば輸出管理対象外として扱われる。日本向け輸出は、こうしたHSコード変更という仕組みを活用して、レアアース輸出が継続していると示唆しているのだ。これは、極めて重要な手がかりである。
中国企業が、実際にやっていることは、次の動きである。
1)レアアース原料 → 中国国内で中間品に加工(例 酸化物、合金、磁石の半製品など)
2)加工後の品目は、規制対象外のHSコードになる。→ 「輸出管理の対象外」として扱われる。
3)その形で日本に輸出される。→ 日本企業は必要なレアアースを確保できる。
中国は、「規制した」と政治的にアピールしつつ、 実務では日本向け輸出を止めていないのが現実である。
中国は、なぜこういう「抜け道」を残すのか。
1)日本へのレアアース輸出を完全に止めると、中国企業が損をする。レアアースは、中国企業の重要な収益源だ。 禁輸すると 、中国企業が自滅する。
2)日本が代替調達を進めると、中国の影響力が減る。豪州、ベトナム、米国、インドで調達するからだ。日本が本気で脱中国を進めると、
中国のレアアース支配力が崩れる。だから、中国は「規制した」と言いながら、実務では止めないという「二重構造」を取る。
(2)「26年1〜4月の7種合計の対日輸出は前年同期比34%減だった。足元の減少が目立ち、3月は前年同月比88%減、4月は82%減だった。単月減少率では中国がレアアースの7種の輸出規制を導入した翌月の25年5月(42%減)を上回る。内訳をみると、電気自動車(EV)のモーターなどに欠かせないジスプロシウムとテルビウムは、26年1月以降は対日輸出がゼロだ。規制が始まった25年4月以降は輸出が滞りながらも米中関係の緊張緩和で25年末までに回復しつつあった。その後の日中関係の冷え込みが影響した。イットリウムも減少が深刻だ。レーザーを使う医療機器や半導体製造装置、航空、宇宙分野に欠かせないとされ、代替は難しい。1〜4月の日本向け輸出は前年同期比で9割超減った」
この記事は、全て中国の輸出管理制度のHSコードに従ったデータ分類である。だが、既述の通り、レアアースに加工を加えればHSコードが変わる。統計データでは減っても、一部加工されればHSコードが変わり輸出規制に抵触しないのだ。


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