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日銀は、6月15~16日の政策会合で政策金利を0.25%引上げ、1%にする方針を決める模様だ。これは、円相場が160円台で推移するなか、物価上振れリスクへの対応が後手に回るとの市場の見方を避ける意味合いが込められている。今回の利上げは、円安や原油高に伴う物価上振れリスクへの予防的な措置であろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(6月9日付)は、「日銀、6月利上げ1.%へ 国債買い入れは減額停止で調整」と題する記事を掲載した。

 

日銀は、15〜16日に開く金融政策決定会合で利上げを決める方針だ。物価の上振れリスクに備え、政策金利を現状の0.75%から1.%に引き上げる。国債の買い入れ額を減らす措置は市場の安定を重視し、来春以降に停止する方向で調整に入った。

 

(1)「植田和男総裁ら日銀執行部が、16日の会合で利上げ議案を提出し、9人いる政策委員の賛成多数で決める見通しだ。国債買い入れの減額停止案は政策委員の過半が支持する情勢で、政府側とも調整している。利上げを決めれば2025年12月以来、半年ぶりとなる。政策金利は1%と1995年以来31年ぶりの高さになる」

 

政策金利1%は、31年ぶりである。この間、日本経済はバブル後遺症で苦しんでいたことになる。利上げは、日本経済が健康体になった証拠である。

 

(2)「日銀内では、中東情勢の緊迫による原油高が幅広い品目の物価上昇につながり、一時的な変動要因を除いた基調的な物価上昇率を押し上げるとの見方が強まっている。政府の電気・ガス代補助といった物価高対策の影響を除いた日銀版の消費者物価指数(CPI)は4月に2.%上昇し、3月(2.%上昇)から伸びが加速した。日銀関係者は、「企業の価格転嫁のスピードが速まっている。タイミングを逃すと、後から大幅な利上げを迫られかねない」と話す。中東緊迫に伴う経済の下振れリスクが現状では限定的なこともあり、物価の上振れリスクを重視した利上げが必要だとの意見が日銀内で広がっている」

 

利上げが、遅れたことは否めない。物価や円相場の動きをみれば、ワンテンポ遅れている感じだ。賃上げ状況と企業収益動向からみて、利上げを早めても良かったであろう。日銀総裁の慎重な性格も影響している。

 

(3)「国債の買い入れ減額は、現行計画に沿って27年1〜3月期までは四半期ごとに2000億円の減額を続ける。同年4月に減額を停止し、月2兆1000億円のペースで国債購入を続ける案を検討している。足元の債券市場は中東緊迫に伴うインフレや財政拡大への懸念から不安定な動きが続く。5月には長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、2.8%台と29年半ぶりの高さとなった。日銀はこれまでの国債買い入れ減額で市場を通じた自由な金利形成が促され、市場機能の改善が進んだと評価している。ただ、25年以降は金利が一時的に急上昇するなど、債券市場が不安定になる場面も増えている」

 

利上げをする一方で、27年4月から国債購入を減額することにより、利上げ効果を相殺するとの見方もでている。長期金利に跳ね上がりを警戒する結果であろう。次回利上げは、2026年末〜2027年前半で1.25%が限界とされている。ただ、景気が強い、賃金が伸びる、円安が止まらない、国債市場が安定している、などの前提が成り立てば、1.50%の利上げもありうるとみられる。

 

(4)「日銀が、国債買い入れの減額を停止すれば、需給の悪化懸念が和らぎ市場の安定につながる効果が見込める。他方で過去に買った国債の償還分を考慮すれば日銀の抱える国債の残高減は続くため、金融政策の正常化路線は維持することにもなる。日銀は国債市場の機能改善と市場の安定という目標のバランスを取った措置を探る。市場や日銀内の一部では、来春以降も国債買い入れの減額を続けて日銀の国債保有をより早く減らすべきだという意見もある。日銀は会合直前まで金融市場の情勢を見極めながら、国債買い入れ減額停止の是非を判断する」

 

国債買い入れ(=長期金利の安定装置)は、日銀の金融政策の中でも「最も市場に影響を与える部分」である。資金需給の調整においては、政策金利以上に重視されている。日銀は、長期金利の急騰を防ぐことで、企業の借入金利を安定させるように努力するであろう。円相場は、150円台に止まる。