中国「二重基準」で凌ぐ
G7が日本擁護で抗議へ
重要鉱物市場で中国自滅
鉱山国はいずれ「反中」
日本の通商外交が最近、冴え渡っている。中国の反日政策である「レアアース輸出規制」カードをことごとくひっくり返しているからだ。日本単独でなく、欧米とスクラムを組み中国へ対抗する。組織化された対抗策として、大きな効果を上げている。4月の「POWER Asia」(100億ドル支援)も、ASEAN(東南アジア諸国連合)のエネルギー基幹を日本が受託。ここでも、中国の影響を排除した。
日本が、開発したレアアース化学的精錬法によって、中国の旧式精錬法を逆に窮地へ追い込んでいる。南鳥島沖の膨大なレアアースは、日本が独占せず西側諸国へ解放する証として、米国・EUと共に「重要鉱物特恵市場」(8月稼働)開設に持ち込んだ。世界の鉱山国を含む55ヶ国が参加する。これによって、中国のレアアース独占を打破する狙いである。これは、中国経済の「命運」そのものに大きな影響を及ぼすであろう。
日本の化学的精錬法は、中国と異なりレアアース採掘や精錬に当たって、環境を破壊しないという最大メリットで知られている。これが、EU(欧州連合)の掲げる「ESG基準」(環境・社会・企業統治)に合致するとして採用され、世界標準になる公算が強まっている。2030年以降は、確実にESG基準が西側諸国に定着して、中国レアアースとこれを含む工業製品全てが、輸入禁止措置となる見通しになっている。
中国のレアアースは風前の灯火である。中国は、この状況をどこまで認識しているか不明である。日本へ「新軍国主義」という言われなき非難を投げかけているところをみると、全くの「極楽とんぼ」の振る舞いに見える。中国レアアースは、「賞味期限」のあることを認識していれば、日本へ敵対的振る舞いはできないはずだ。将来、日本の化学的精錬法を導入するなどの余地を残した行動が求められるであろう。中国は、あくまでも強気を見せて、日本との融和の機会を潰している。
中国の対日レアアース輸出規制は、一種の「資源カルテル」である。中国政府が、中国のレアアース企業に対して対日輸出規制を強制することは、当該企業にとって死活問題になる。それだけに、輸出規制は破られ易いものである。これは、資源カルテルの最大の弱点とされている。中国でも同様に起る問題だ。もう一点、中国のレアアース輸出先として、日本は米欧と並んで重要市場である。その日本へ輸出規制することは、代替市場がないだけに即、中国企業の損失となる。
中国「二重基準」で凌ぐ
中国は、2010年にも対日レアアース輸出規制を課して大失敗した。脆弱な「資源カルテル」そのもので密輸や値下げによって対日輸出を行った経緯がある。中国政府は、過去の経験や他国に日本市場を奪われないよう現在、「ダブルスタンダード」で臨んでいる。表面的には、対日レアアース輸出規制を掲げながら、中国企業が実損を受けないように「裏工作」をしているのだ。何とも締まらない話になっている。この裏には、中国がドルを稼がなければならないという、切羽詰まった「外貨事情」も絡んでいる。
中国が裏で操っている手法は、次のようなものだ。世界共通の貿易品目分類であるHSコードに抵触しないように、レアアースを加工させて、別のHSコードに付け替えさせて輸出させている。だから、これまでのHSコード分類でみると、レアアースは急減している。だが、他のHSコードでは急増しているという「チグハグ」状況が起っている。従来のHSコードでの減少が、実態を表わさなくなっている。そのカラクリを確認しておきたい。
日本側の輸入統計では、次のような変化が起っている。
レアアース酸化物(HS2846)は 減少。
レアアース磁石(HS8505) は、ほぼ横ばい。
レアアース含有合金(HS7202など) は、むしろ増加傾向になっている。
このように原料は減ったが、「半加工品」は増加しているのだ。以上のように、典型的な「コード付け替え」が行われている。ラベルの付け替えである。
レアアースの輸入経路も変わってきた。「香港・ASEAN経由」で日本に輸出しているのである。次のようなルートが指摘されている。
1)中国本土 → 香港 → 日本
2)中国本土 → ベトナム → 日本
3)中国本土 → マレーシア → 日本
このルートを通じて、 レアアース磁石・合金が従来通り日本に輸出されている。これは中国政府が、「禁輸の建前を守りつつ、輸出企業の利益は確保する」ための典型的手法だ。
中国が、目先を変えているのは、 中国自身も「完全禁輸」できない事情にある。理由は単純で、 レアアースの最大顧客が日本企業であるからだ。例えば、中国のレアアース磁石メーカーは、売上の30〜40%が日本向けである。日本企業への輸出が止まると、中国のサプライチェーンも止まるという連環関係にある。中国は、「禁輸のポーズは取るが、実際に止められない」という二重構造に陥っている。
そこで、今回の「禁輸」騒ぎは何だったのか。こういう根本的な問題になる。中国は政治的メッセージとして「禁輸」を打ち出したが、
実際は輸出コード変更・経由地変更で日本向け供給を維持している。 このように、中国は日本市場を「失う」ことによって、大きな損失を被る矛盾した立場に立たされているのだ。
G7が日本擁護で抗議へ
米国は、日中におけるレアアース問題が、米国経済にも影響をもたらしかねないと危惧し始めている。例えば、日本はMRI(核磁気共鳴画像法)など高度な検査機器の主要製造国である。日中のサプライチェーンの断絶が、米国の医療機器の調達リスクに直結しかねなくなっている。こういう理由から、米高官は6月15〜17日に仏エビアンで開くG7首脳会談で、この問題を取り上げて対策を検討する方向だと明らかにした。(つづく)
https://www.mag2.com/m/0001684526


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