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ウェアラブルデバイス「Ouraリング」の製造元が、同社製品の利用者約5000人を対象に、世界の国々の睡眠データを比較する調査を行った。その結果、「日本人の睡眠時間は世界でも非常に短い」という事実だった。

 

睡眠不足は、注意力・判断力・記憶力を確実に落とし、ミス・事故・判断遅延を増やすと指摘されている。 RAND研究所の試算では、日本の睡眠不足による年間経済損失は、約15〜20兆円、GDPの約3%にも相当するとしている。「頑張り」と「成果」の乖離は明白である。 長時間働いても、睡眠不足でパフォーマンスが落ちているため、投入時間に見合う成果が出ていないと言われる理由だ。

 

『ニューズウィーク日本語版 電子版』(7月6日付)は、「やはり日本人は「寝不足すぎ」だった睡眠時間の国別ランキングで、日本の『特異な状況』明らかに」と題する記事を掲載した。

 

今回の調査対象はOuraリングの利用者に限られるものの、日本人の平均睡眠時間は約6時間23分で、欧米の国々と比べて明確に短かった。最も睡眠時間が長かったニュージーランド(7時間11分)や、続くオーストラリア(7時間9分)、アイルランド(7時間8分)などに比べると約50分もの違いだ。

 

(1)「これには長時間労働など日本特有の生活習慣が影響している可能性がある。一方、やはり睡眠時間が短かったインドは夕食の時間帯、UAEは暑さを避けた夜間の活動などが影響しているとみられ、睡眠時間には各国の文化や環境も大きく関わっているようだ。睡眠は脳や身体の回復を担う生物学的に不可欠な営みであり、不足すれば心身の健康や日中のパフォーマンスに悪影響を及ぼすと考えられている。そのため、十分な睡眠を確保することは健康維持の基本であり、多くの専門家が睡眠の重要性を訴えている」

 

OECD比較によれば、日本の平均睡眠時間は約7時間42分で、OECD33か国中最短である。平均(約8時間30分)より約50分も短い。アメリカ・北欧諸国は8時間半前後が多く、「休息も生産性の一部」という認識が、政策・企業文化に組み込まれている。アジアでは、中国が約9時間02分と最長級で、日本とは1時間20分の差。韓国も短いが、日本ほどではない。東アジアの中でも日本は特異な「短眠国」である。

 

(2)「今回の調査では、睡眠時間が短い人ほど必ずしも寿命が短いわけではないことも示唆された。実際、日本は睡眠時間が短い一方で平均寿命が非常に長い。とはいえ、米カリフォルニア大学のハミド・ジャリリアン教授によれば「夜は78時間」眠るのが最適で、「短すぎる(6時間以下)のも長すぎる(9時間以上)のも体に悪い」のが一般的な考えだという。

 

日本人の睡眠が短い理由は、次の要因が挙げられている。長時間労働、長い通勤時間、夜型生活。もう一つ、睡眠軽視の文化である。長時間睡眠は、怠け者という誤った観念が広く流布している。「早起きは三文の得」などと、早起きが奨励されてきた。早起きは良いのだが、就寝時間との関係が大事であろう。

 

睡眠不足は、 健康への影響が指摘されている。認知機能低下、代謝異常、心血管リスク、免疫低下、精神的負荷増大などである。日本人は、睡眠が短いのに、平均寿命が世界最長クラス という事実がある。これは、以下の要因が睡眠不足の悪影響を相殺していると指摘されている。

 

1)食生活(塩分は多いが、魚・発酵食品が多い)

2)医療アクセスの良さ

3)社会的安定性

4)生活習慣病の早期発見

5) 遺伝的要因

 日本人は、睡眠不足のリスクを他の要因で補っている特殊な国 ということになろう。睡眠時間さえ長くなれば、日本人の平均寿命はさらに伸びるであろう。