中国が、苦しい弁明をしている。日本に対して、地域の安全を乱すとして非難している中国が6日、南太平洋の島嶼国近海へ潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射した。中国外務省は、「今回の発射試験は中国軍の定例的な訓練活動だ。特定の国家や目標を標的としていない」と語った。「中国は自衛のための核戦略を堅持し、自らの核戦力を常に国家安全保障の必要最低水準にとどめてきた」と主張した。
中国は、「自国だけは別」という論理を振りかざしている。日本批判を続けている一方で、中国は潜水艦発射弾道ミサイルの発射である。日本とは「桁違いの」軍事行動である。着弾地点になった島嶼国は、発射に反対の意向を表明している。島嶼国は、これで中国へ背を向け米豪へ接近するという外交姿勢を強めるであろう。
『ロイター』(7月7日付)は、「豪ソロモン諸島、関係深化で一致 中国のミサイル発射を批判」と題する記事を掲載した。
オーストラリアのアルバニージー首相とソロモン諸島のワレ新首相は7日、ソロモン諸島の首都ホニアラで首脳会談を行った。2国間関係を深化させることで一致するとともに、中国が太平洋で原子力潜水艦から弾道ミサイルの発射実験を行ったことを批判した。アルバニージー氏は会談後の共同記者会見で、太平洋の平和と安全を損なう恐れのある行動を望まないと述べた。
(1)「アルバニージー氏は、「これが地域を不安定化させる中国による挑発的な行為であることは疑いない」と語った。中国は試射の48時間前までに通告するという標準的な手順を踏まなかったと指摘した上で、ミサイルが原子力潜水艦から発射されたことこそが「真の懸念」との認識を示した。ワレ氏は「(中国は)ソロモン諸島の良き友人だが、これは友人がするようなことではない」と批判した。「中国であれ米国であれ、これ以上どの国にも太平洋諸島地域でICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験をしてほしくない。この点が重要だ。友人であるならわれわれを脅かさないでほしい」と述べた」
ソロモン諸島は、「太平洋島嶼国の中で地理的・戦略的に最重要の一角」であり、人口規模こそ大きくないものの、地域安全保障の文脈では影響力のある国として扱われている。
今回、中国のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)実験への反対表明は、太平洋島嶼国の中でも特に重い意味を持っている。
ソロモン諸島は、 地理的に「太平洋の要衝」にあたる。南太平洋の中心に位置し、オーストラリアの北側に広がる群島国家だ。第二次世界大戦では、日本のガダルカナル戦の舞台でもあり、海洋交通路の要衝として歴史的に重要な位置を占めている。中国・米国・豪州が影響力を競う「第二列島線」に近く、軍事的価値が極めて高い。人口は、約70万人と少ないが、EEZ(排他的経済水域)は日本の国土面積の約20倍
で、 海洋資源・海域管理の観点で地域の発言力が大きい。
(2)「ソロモン諸島は、2022年に中国と安全保障協定を締結し、太平洋諸国の中で中国と最も緊密な関係にあるとみられてきた。5月に就任したワレ氏は、先月のオーストラリア公式訪問中、同国と包括的な条約の交渉を進めるとともに、中国との安全保障協定を見直す意向を示していた。両首脳は新たな包括的条約の交渉を継続することで合意した。アルバニージー氏は可能な限り速やかに交渉を加速させたいとし、ソロモン諸島との包括的な条約や取り決めの締結を目指していると述べた。「内容を重視しており、急いで質を犠牲にするつもりはないが、これまで非常に建設的な議論ができた」と語った。ワレ氏は「協議すべきことは多く、今後の活発な対話を期待している」と述べた」
ソロモン諸島は、2022年に中国と安全保障協定を締結した。しかし2024〜2026年に豪州との関係を再強化 というように、どちら側にも大きく振れ得る国で、地域外交のバランスを左右します。ソロモン諸島は、太平洋諸国の中で中国と最も緊密な関係にあるとみられてきた
。その国が、中国のミサイル発射実験に対して反対した。中国は、完全に目算が狂った形だ。
(3)「アルバニージー氏は、太平洋歴訪の一環としてホニアラを訪れているが、Xに「オーストラリアとソロモン諸島はパートナーシップを強化している」と投稿した。「オーストラリアの安全保障は太平洋から始まる。われわれは常に隣国のために駆けつける」と記した。オーストラリアは6日にフィジーと相互防衛同盟を締結した。先月はバヌアツと開発・安全保障協定に調印した」
中国が、このタイミングでミサイル発射実験をした理由は何か。 日米への威嚇・牽制が目的である。日本の防衛力増強(反撃能力、南西諸島防衛)と米軍のプレゼンス増加(グアム・フィリピン・日本)への対抗であろう。こうした流れに対し、中国は
「我々は第二列島線まで射程に収めている」 というメッセージを送るために、SLBMやICBMの試験を行ったと分析されている。また、 国内向けの示威(政権の統治正当性)もある。中国は経済減速・失業増加・地方財政危機など、国内の不満が高まる局面で
軍事力の誇示を「統治の安定化」に使う傾向がある。この調子では、さらなる試射も行うであろう。


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