中国各地で猛烈な嵐による甚大な被害が出ており、これまでに多くの犠牲者が出ている。数十の河川が氾濫したほか、貯水池のダムが決壊。救助隊による生存者の捜索活動が続けられている。当局は8日も悪天候が続くと警告している。
『AFP=時事』(7月8日付)は、「中国で猛烈な嵐 ダム決壊、竜巻、土砂崩れ…各地で甚大な被害」と題する記事を掲載した。
(1)「地方当局の発表によると、中国南部の広西チワン族自治区では台風10号(アジア名:メイサーク)による猛烈な雨と深刻な洪水により6人が死亡、少なくとも13万人が避難した。当局は、同自治区および隣接する広東省では8日も雨が降り続くと警告している。
国営メディアの報道によると、広西チワン族自治区では40の河川や水路の堤防が決壊し、約5200ヘクタールの農地に被害が出た」
近年は、洪水だけでなく竜巻・土砂崩れ・強風被害が同時期に発生している。被害範囲は、南部(広西・広東)から中部(湖北)、さらに北西部(甘粛)まで、中国のほぼ半分の地域で災害が発生している。中国は、ダムの数が世界最多で、老朽化も問題になっている。
今年は、「複数のダムが決壊・危機的状況」と報じられており、これは通常年より深刻な状況である。
(2)「中国国営中央テレビ(CCTV)が、公開した映像には決壊したダムから泥水が激流となって押し寄せる様子や、ライフジャケットを着用した救助隊員がゴムボートで出動する様子が確認できた。
国営新華社通信は、当局により食料やレインコート、ゴムボートなどの追加の災害救助物資が現地に送られていると報じた。洪水・干ばつ対策当局によると、広西チワン族自治区における洪水制御の緊急対応レベルは、上から2番目に高い水準に維持されているという」
異常気象の被害が拡大している背景は、「極端降雨の増加」である。地球温暖化で大気中の水蒸気量が増えると、「降るときに一気に降る」極端豪雨が増えることが世界的に確認されている。中国気象局も近年、豪雨の頻度増加や台風の強度上昇、竜巻の発生件数増加
を公式に指摘している。
地形的な脆弱性が被害を大きくしている。中国南部は山地が多く、豪雨による土砂崩れ、河川氾濫によって平地の都市が浸水 する構造的な弱点が表れている。広西チワン族自治区では、40の河川・水路の堤防が決壊した
。また、都市化の急速な進行も被害を大きくしている。中国は過去20年で都市人口が爆発的に増えた。その結果、河川の遊水地が減少、コンクリート化で雨水が浸透しない。下水容量が追いつかないなどの問題が顕在化し、洪水が起きやすくなっている。
これに加えて、インフラの老朽化が目立っている。中国には約9万基のダムがあり、その多くは1950〜70年代に建設されたもの。老朽化したダムが、豪雨に耐えられず決壊リスクを高めている。日本では余り聞かない中小ダム決壊は、中国インフラの泣き所になっている。
過去に大量に建設されたダム・堤防・水路が現在、設計寿命に近づきつつある。気候条件が当時より厳しくなっているため、「想定外の負荷」にさらされている。このため、更新・補強を行わなければならないが、地方政府の財政は赤字状態である。補強には莫大な投資が必要で、地方財政の制約が安全性に影響する深刻な事態だ。ハッキリ言えば、資金難によってこれらの補強工事は後回しにされよう。被害は、増えるばかりだ。
(3)「李国英水利相は、同自治区では9日早朝に洪水のピークが予想されると指摘。その上で、「断続的な豪雨の影響と、高水位での洪水通過が長期化していることにより、被災地域の貯水池や堤防の安全性は厳しい試練に直面している」と付け加えた。
新華社によると、中部・湖北省でも6日夜遅くに発生した激しい雷雨と強風により、11人が死亡、331人が負傷。1人が行方不明となっており、4800棟の家屋が損壊、さらに22棟が倒壊した。一部地域では竜巻も報告された。 CCTVによると、習近平国家主席は7日、救助隊に対し「全力を尽くして」緊急救助活動を組織するよう指示した。 これとは別に、中国北西部の甘粛省宕昌県で土砂崩れが発生。国営メディアは8日、33人が巻き込まれ、21人が死亡したと報じた」
中国の中小ダムは、既述の通り1950〜70年代に一気に造られたが、その後の安全管理で不十分な面がみられる。1954〜2021年、中国で記録されたダム事故は3000件超で、洪水による越流・構造欠陥が主因とされている。主な危険要因は、近年の全国データ解析では、浸透・漏水と構造安全性の問題(ひび割れ・基礎・盛土の安定性など)
が最も顕著なハザードとされている。これから本格化する異常気象への備えは、完全に後手へ回っている。


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