中国メディア『21世紀経済報道』は9日、「日本でラーメン店の倒産ラッシュが起きている」と報じた。しかし、中国のネットユーザーからは「自国はどうなんだ」とのツッコミが入って大炎上中である。
『21世紀経済報道』は経済・産業分野で信頼性が高い部類のメディアである。理由は、経済専門紙として取材力が強い、企業情報・金融情報は比較的正確、海外投資家も参照することがあるというのだ。これまでの日本報道でも冷静であった。それが、突然の「日本批判報道」で、倒産実数を伏せて増加率をセンセーショナルに取り上げ、読者の非難を浴びている。当局の「日本非難報道せよ」に沿ったものであったのだろう。飛んだところで馬脚を現した恥をかかされた格好だ。
『レコードチャイナ』(7月10日付)は、「『日本のラーメン店に倒産ラッシュ』と中国メディア、『自国はどうなんだ』とツッコミ殺到」と題する記事を掲載した。
記事は、「日本では中小企業の倒産ラッシュが深刻化している。代表例として挙げられるラーメン店では、東京商工リサーチの調査によると、今年1~6月の倒産数が前年同期比44.4%増となり、2009年に統計を開始して以来、過去最多を更新した」と伝えた。ただ、同メディアは実際の倒産件数が2025年1~6月は25件、今年1~6月が36件だったことに触れず、「44.4%増」という数字だけを強調している」
(1)「記事は、ラーメン業界が苦境に陥っている原因として、食材価格やエネルギーコストが上昇していること、飲食業界で人手不足が続いていること、最低賃金の引き上げによって人件費がさらに膨らんでいることを指摘。多くの店は夫婦だけでの営業を余儀なくされ、サービスの質に影響が出ているだけでなく、経営者自身も過酷な労働にさらされているとした」
日本では、ラーメン店の競争が激しい。ラーメン通が店の格付けをするほどだ。大衆向けだけに、人気が出るか出ないかで商売にも影響する。
(2)「上海外国語大学金融イノベーション・発展研究センターの章玉貴(ジャン・ユーグイ)主任の話として、「労働生産性の停滞や産業競争力の低下、少子高齢化の進行といった構造的な問題が、円相場を支えるファンダメンタルズを継続的に弱体化させている。マクロ経済の改善が力強さを欠く中、中小企業はもともとリスク耐性が弱く、円安の影響が急速に波及しているため、企業倒産が相次ぐのは不思議ではない」と伝えた」
円安による食材値上がりの影響もあろう。だが、ラーメン店廃業について、ここまで理屈づけられると、かえって「嘘ぽく聞こえる」から不思議だ。ラーメン店は生業である。もともと、わずかな資本で始められる分野だけに浮沈が激しいのだ。これをもって、「マクロ景気」を論じるのは逸脱している。
日本は、「ラーメン店密度が世界一」といわれる。全国に約 2 万店、新規参入が多い、味の差別化が難しい。SNSで、評価が瞬時に広まるなど競争が激しすぎて、「普通に美味しい店」が生き残れない構造になっている。ラーメン店は設備費が高く、居抜きでも
300〜900 万円、新装なら1000〜1500 万円。 これを回収するには 月商 150〜300 万円を安定して維持する必要がある。しかし、原価・人件費・家賃が上がる中で、
このラインを維持できない店が増えている。
ラーメン店は、「客単価が低い」ために、 回収までには時間がかかる。客単価が、700〜1200 円、利益率は10〜15% 、月商が150〜300
万円が必要な背景だ。回収期間として、どうしても2〜5 年は必要。以上が、「ラーメン経営学」の一端である。
(3)「この報道に中国のネットユーザーからは、「国内の状況がどうか見てみては?」、「自国にしっかりと目を向けた方がいい」、「相手を笑える立場なのか?」、「五十歩百歩」「海外のことばかり気にして、自国の状況だって良くないのに」、「中国の飲食店の倒産の方がもっと多い」「他人の問題を虫眼鏡で拡大して見るのはやめよう。他人をあれこれ観察する暇があるなら、まずは自分を見つめた方がいい」、「中国の店がどれだけ倒産しているかを見ろ。飲食店の倒産なんて牛の毛の数(数えきれない)ほどあるぞ」といった声が相次いだ」
中国の読者は、自国の飲食業の競争が激しいことをよく知っている。自国の例を棚に上げて日本批判するメディアへ批判を浴びせている。
(4)「中でも最も多くの共感(いいね)を集めたのが、「なぜ(日本のラーメン店の)実際の倒産件数を伝えないんだ?」との指摘で、これに対しては別のユーザーから「今年の倒産が30件余り、去年が20件余りだよ」との回答があり、また別のユーザーから「その程度で『倒産ラッシュ』って(笑)」と中国メディアの報道の仕方を揶揄するコメントが書き込まれた」
日本の倒産件数が、半年間で20~30件と低いことも読者に違和感を与えている。中国では、高級レストランが閉店している。日本のラーメン店の倒産とレベルが違うのだ。
(5)「さらに、あるユーザーは「日本で2025年1~6月に倒産したラーメン店は計25店で、中国で1日に倒産する蘭州ラーメン店の数の3分の1にも満たなかった。2026年同期は日本のラーメン店の倒産件数は急増して36店になったが、それでも中国で1日に倒産する蘭州ラーメン店の数の2分の1に過ぎない」と解説し、こちらも多くの共感を集めている」
蘭州ラーメンとは、甘粛省・蘭州市発祥の牛肉ラーメンである。牛骨と牛肉を薬膳系スパイスと一緒に煮込んだ透明感のあるスープに、職人がその場で手延べする麺を合わせるのが特徴とされる。日本のラーメンとは、違った味を出し麺も自前だ。一度、味見したいものである。


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