軽くて曲がる太陽電池を製造するスタートアップのPXP(相模原市)は、次世代太陽電池のカルコパイライト太陽電池とペロブスカイト太陽電池を組み合わせた「タンデム型」太陽電池の量産を2028年に始める。発電効率は28%である。ペロブスカイト×カルコパイライトのタンデム型は、世界で日本だけが狙える領域で、日本にとってEV(電気自動車)を太陽光だけで運転できるという革命的な時代が、目前に来ている。
その特色は、次のようなものだ。軽い(1kg/m²)、曲がる、設置が速い(シリコンの10倍)、工事費が半分、発電効率28%(シリコン並み)、スペース効率が高い(EV・ドローン向き)である。
最大の目玉は、ペロブスカイト×カルコパイライトのタンデム型によって、EVが運転できることだ。これは、日本が世界のEV市場を支配するチャンスが生まれることで、日本の自動車メーカーは既に水面下で動いている。中国は、カルコパイライト技術がないので、世界で実用化できるのは日本だけとされる。欧州は、研究段階である。
『日本経済新聞 電子版』(8月29日付)は、「ペロブスカイト×カルコパイライト、太陽光発電量5割増 PXPが量産へ」と題する記事を掲載した。実装化にはほど遠い。
軽くて曲がる太陽電池を製造するスタートアップのPXP(相模原市)は、次世代太陽電池のカルコパイライト太陽電池とペロブスカイト太陽電池を組み合わせた「タンデム型」太陽電池の量産を2028年に始める。種類の異なる電池を重ねて発電効率を28%まで高め、カルコパイライト単体より発電量を5割増やした。限られたスペースでも十分な電気をつくれるとして、需要を開拓する。27年3月に相模原市内に新工場を設けて初めて量産する。年間の生産能力は25メガ(メガは100万)ワットを予定する」
(1)「2020年設立のPXPは銅やインジウム、ガリウムなどを原料とする化合物を薄い膜にしたカルコパイライトの試作品を製造し、30以上の企業・団体に電池を売ったり、実証用途で供給したりしてきた。このほど、東京センチュリーや名古屋電機工業などから約15億円を調達し、27年3月に相模原市内に新工場を設けて初めて量産する。年間の生産能力は25メガ(メガは100万)ワットを予定する」
年間の生産能力は25メガワットである。これは、1kWパネルなら2万5千台分/年、一般家庭(3〜4kW)なら約6000〜8000世帯分/年に相当する。工場・倉庫の屋根用途なら、中規模案件を年間数十件こなせるレベルとされる。試験操業という趣である。
(2)「開発したカルコパイライト電池は軽くて曲げることができる。重さは1平方メートルあたり1キログラム弱で、現在普及するシリコン型太陽電池の10分の1以下だ。耐荷重が弱くシリコン型を置けなかった工場の屋根に取り付けたいという要望が多くきているといい、栗谷川悟社長は「現状では『曲がる』よりも『軽い』特性へのニーズが強い」と説明する。太陽光発電システムでは設置費が総コストのうち大きな割合を占める。PXPのカルコパイライトは軽いため、作業員が1日につき100平方メートル設置できる。これはシリコン型の10倍にあたる。電池の土台や留め金が少ないこともあり、工事費がシリコン型の半分ほどで済むという」
カルコパイライト電池は、ペロブスカイト電池と組み合わせるタンデムによって効果を発揮する。ペロブスカイトの耐久性の弱さが、カルコパイライトによって補強させる関係にある。この両者は、切っても切れぬ関係性で「双子」的存在だ。
(3)「設置・メンテナンス代などの総コストを20年間で見込める総発電量で割ったLCOE(発電量あたりコスト)は、1キロワット時あたり20円を見込む。シリコン型は同16円だという」
シリコン型太陽光パネルに対して、タンデム型の1キロワット時あたりコストは若干の割高になるが、タンデム型の利用範囲はシリコン型と比べて比較にならないほど広範囲である。これは、日本の太陽光産業の「第二の黄金期」の入り口となる。
中国が絶対に作れない「軽量×曲面×高効率」の市場を日本が独占する。つまり、ペロブスカイト×カルコパイライトは、日本技術が「勝ち筋」そのものである。その最適例が、EV登載である。これこそ「本命中の本命」となる。
EV(車載)は、屋根・ボンネット・リアスポイラーに薄膜タンデムを貼り付けるだけだ。1日30〜40km相当走行の発電が、「通勤中」可能となる。日本車+欧州車の「エコ・プレミアムグレード」に標準化されれば、コンセントによる給電に頼らないで「日常走行」が実現する。これは、現在の電池製造時に出す膨大な二酸化炭素排出を回避できる点でも「革命的」変化である。
日本車メーカーが、採用する場合のシナリオは、次のようなものが想定できよう。
第1段階(2030年前後) 高級車EVに「屋根+ボンネット」搭載。
第2段階 ミニバン・商用車・配送車など「毎日走る車」に標準化。
第3段階 軽EV・地方向けEVで「通勤・買い物は太陽光だけで完結」というコンセプトが確立する。
ペロブスカイトとカルコパイライトは、日本発技術である。この二つが「軽量」「高効率」を武器に世界市場を席巻する。「日の丸」印がEVに装着されれば、日本自動車産業は絶対的な強みを発揮できる。


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