中国は、2021〜23年にかけて住宅販売の「青田売り」を規制したはずである。住宅が竣工するまで、予約販売約してはならないという内容だ。これによって、住宅ローンを払いながら住宅が引き渡されない事故を防止する目的であった。現実は、この規制が守られなかった。住宅ローンを払いながら住宅に住めない事例が後を絶たないのだ。
住宅業者には、契約を守る精神もないので、「住宅詐欺」がはびこっている。中国は、まさしく「生き馬の目を抜く」社会である。強者が、弱者を食い物にしている。こうした状況下で、再び購入者保護の規制が始まるという。弱い立場の庶民を泣かせてはならない。
『レコードチャイナ』(8月31付)は、「中国政府が不動産で新政策、マンション購入者の負担とリスク低減―仏メディア」と題する記事を掲載した。
ランスメディア『RFI』はこのほど、中国政府が打ち出した不動産関連の新政策を紹介する記事を掲載した。この新政策は、購入者の保護と、不動産開発業のより堅実なビジネスモデル構築に効果があると考えられる。
中国の不動産開発会社は長年にわたり「分譲住宅の予約販売」に頼るビジネスモデルを採用してきた。すなわち、住宅の建設が終わっておらず引き渡し条件に達していない段階で販売を開始し、そのことで販売予定あるいは他のマンションの建設資金を調達してきた。中国・国家金融監督管理総局や中国人民銀行が28日に出した通達は、関係業者に従来のビジネスモデルの抜本的変革を迫るものだった。
(1)「マンション物件購入者が事前に払い込んだ頭金などは、そのマンション建設事業について主弁銀行(主幹事銀行)としてかかわる銀行が保管し、開発業者が流用することはできなくなった。またローンの定期的支払いも、物件が入居可能な状態になってから始まる。購入者は「払い込んだのに物件を受け取れない」という最悪の事態は想定せずに済むことになった。ある不動産アナリストは、新政策は「業界の信頼危機を修復するものだ」と評した。
住宅購入予約として頭金などを受入れるが、その管理を金融機関に委託させるとしている。これによって、「青田売り」を禁じる。過去も、こういう規制を行ったが実行されなかった。この実態を知っている消費者は、新規購入に慎重になろう。
(2)「中国では、業界トップだった恒大を含む多くの不動産開発業者が、資金調達ルールの厳格化や住宅価格下落に遭遇したことで債務不履行に陥った。そのことで、完工前に工事が停止した不動産プロジェクトが今も存在する。新政策は、金融機関に大きな責任を求めるものだ。まず、不動産開発業者が進めるプロジェクトに関与するかどうか自己責任をもって見極めることを求めた。仮に複数の金融機関がシンジケートを組んで関与するとしても、うち1行または1支店が主幹事銀行になることを義務付け、主幹事銀行にプロジェクト専用の口座を設けさせる。主幹事銀行は同口座の金銭を、他の用途に流用することを認めない。
政府は、金融機関に不動産企業の経営を保証させる狙いであろう。公的資金を使わずに、不動産バブル後遺症を乗切る目的だ。これは、バブルの責任をあくまでも業者と金融機関に負わせる狙いにほかならない。これでは、市況底入れなど望むべくもない。業者救済だけでは、「大海の一滴」にすぎないからだ。不動産不況が、長期化する背景である。
(3)「住宅購入者の債務負担の軽減を図るために、個人住宅ローンの最長ローン期間を30年から40年に延長した。ただしこの決定に対しては一部の市民から、定年退職しても依然として債務の圧力を背負うことを意味するとの不満の声が上がった。中国当局によるマンション開発についての新政策については、流動性の状況が良好な大型不動産開発業者により有利に働く可能性があるとの指摘もある。なぜなら、流動性が良好ならばプロジェクト資金の回収圧力が比較的小さく、長期にわたる販売や資金回収に対応する能力もより高いからだ。逆に、新政策は中小不動産業者の経営圧力を増大させることを意味し、そのような企業は市場から退出するか、他の経営モデルの模索を余儀なくされる可能性がある」
個人住宅ローンの最長ローン期間が、30年から40年に延長された。こうなると、不動産企業が倒産すると消費者が住宅の質維持で懸念を持つほかない。結局は、民営不動産業者よりも国有不動産企業へ乗換えさせるきっかけになろう。
(4)「中国政府の証券関連の監督機関である中国証券監督管理委員会は、上場不動産企業の増資(追加資金調達)、合併、および再編を支援することで、不動産開発業者の資金調達を支援すると表明した。同委員会はまた、不動産業界のリスク解消に注力し、上場廃止規則を厳格に執行し、債券の債務不履行リスクに対応する仕組みや手段を拡充するとも表明した。中国では多くの大型開発業者が債務不履行に陥り、国の大部分の地域で住宅価格が下落している。中国国家統計局によると、中国での不動産投資は2026年上半期に前年同期比で18%減少し、新築住宅の着工数は23%以上減少し、新築住宅の販売額は14%近く低下した」
当局は、上場不動産企業の増資(追加資金調達)、合併、および再編を勧め、不動産開発業者の資金調達を支援すると表明した。一方で、上場廃止規則を厳格に執行し、債券の債務不履行リスクに対応する仕組みや手段を拡充する。これは、当局が不動産企業の整理淘汰を行うという宣言だ。業者が整理されても、住宅需要が増えるわけでないものの消費者に安心感を与える面でプラスだ。
(5)「あるメディアは、問題は中国で不動産危機が発生するかどうかではなく、それが体系的な金融危機へとエスカレートするかどうかだと論評した。中国では内需の3分の1近くが直接的または間接的に不動産に依存しており、さらに中国の家計の富の大部分が不動産に集中しているため、不動産危機が経済の「足かせ」であることはすでに自明の理とされている」
不動産危機が、信用危機へ直結しないかという切羽詰まった事態である。当局が、そういうリスクのある企業を事前に整理しようということだ。あくまでも、財政資金投入を回避する姿勢である。


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