あじさいのたまご
   

韓国電力公社(韓電)が、資金難でサムスンとSKハイニクスに対して、今後5年分の電気料金としてそれぞれ20兆ウォン(約2.3兆億円)と5兆ウォン(約0.6兆円)をあらかじめ納付する案を提案し、詳細な条件を協議していることが分かった。世界GDP10位に位置する韓国で、電力会社が需要家側から電力料金の前受けによって設備投資するとは驚くべき経営実態だ。韓電は、この25兆ウォン規模の前受金を、竜仁(ヨンイン)・湖南(ホナム)半導体クラスターの電力網建設の財源として活用する構想とされている。

 

韓電は、文在寅政権前まで安定した高収益を挙げてきた。原子力発電が、低コストをもたらしてきた結果である。だが、文政権による「原発廃止論」によって、強引に原発の操業を止めてLNGなど高コストに切替えた後遺症が続いている。廃止された原発は、文政権によって復活されたが高コスト構造は続いている。世論の反発が強く、電力料金の値上げができず韓電は赤字を貯め込んでいる。

 

韓国電力公社は、累積赤字が約50兆ウォン(約5.8兆円)超、債務総額は200兆ウォン(約23.2兆円)規模と「死に体」に陥っている。国債に近い「電力債」を大量発行し、金融市場を歪めているほどだ。電力料金を政治的理由で上げられず、赤字が雪だるま式に拡大し、資金繰りが完全に詰まっている。

 

『中央日報』(9月3日付)は、「サムスン電子・SKハイニックスに「電気料金25兆ウォンの前払いを」…「負債210兆ウォン」韓電が提案」と題する記事を掲載した。

 

9月3日、韓電は最近、サムスン電子とSKハイニックスにそれぞれ20兆ウォン、5兆ウォンに達する電気料金の前納を提案した。昨年の電気料金はサムスン電子が4兆1000億ウォン、SKハイニックスが9000億ウォンだった。これを基準に来年から今後5年間に支払う電気料金を算出した金額だ。

 

(1)「現在、韓電の顧客は前受金の名目で電気料金を前納し、これに対する利子を受け取ることができる。韓電はこの制度を大規模な資金調達手段として活用するため、特例を新設する案を検討している。韓電は前納する料金について、2年物国債の金利を上回る水準の利子を両社に提示したという。利子は現金の代わりに半年単位で電気料金から差し引く方式で支払う案が取り沙汰されている。ただ、韓電は両社に電気料金の前納を提案したのは事実だが、参加の有無、金利、前納規模、前納期間など具体的な事項はまだ確定していないとの立場だ」

 

今回の前払い要求は、国家インフラ(電力)まで半導体企業に依存する段階に入ったことを意味する。これは、「韓国経済は成長期が終わり、衰退期に入りつつある」ことを示唆するものだ。さらに深刻なのは、「電力不足が半導体生産に影響する可能性」である。半導体工場は電力が止まると、数千億円規模のウェハが全滅、製造ラインの再立ち上げに数週間、歩留まりが大幅に悪化する。電力不安は、半導体産業にとって致命傷になる。これは、「韓国の電力インフラが半導体産業の足を引っ張り始めた」という危険な兆候だ。

 

(2)「韓電が前納を提案した背景には、財務余力の悪化もある。韓電の負債は6月末基準で210兆7000億ウォンに達し、これに対する利払い費だけで1日115億ウォンに上る。韓電は、電気料金前納制度が双方にとって「ウィンウィン」になるとみている。電力網の拡充が急務の企業と投資財源が必要な韓電が、互いの必要を補完し合うという説明だ。韓電関係者は、メディアに「大規模な電気料金前納制度は、電力網の拡充が急務の企業と投資財源が必要な韓電が互いの必要を補完し合う制度」とし、「韓電は社債以外の資金調達手段として大規模な投資財源を確保し、参加企業は無リスク資産による安定的な収益とともに、新規工場を適時に稼働できるという保証を得られる」と明らかにした」

 

韓電は、電気料金前納制度が双方にとって「ウィンウィン」になるとみている。なんと無責任なことか。電力インフラは、供給力に余裕を持たせて初めて,安定した運用が可能になる。「大口需要家の必要な電力は料金前納で払え」とは、工業国家の電力企業として失格である。これでは、「その日暮らし」になる。

 

(3)「これに先立ち、国会気候エネルギー環境労働委員会所属の朴釘(パク・ジョン)共に民主党議員は2日、「電気料金前納制度を通じた電力インフラ投資拡大討論会」を開き、電気料金前納制度を提案した。朴議員によると、前納制度は大規模な電力消費企業が3~5年分の電気料金をあらかじめ納付すれば、韓国電力がこれを送電網や変電設備など国家電力インフラの構築に優先的に活用する方式だ」

 

韓電の赤字原因をつくった韓国左派は、電力料金前納制度を異常と思わないという「感覚麻痺」に陥っている。これで、市場経済を運営できると思い込んでいる。電力は、突発事故に対しても余裕をもって対応できる余力が必要だ。その余裕がないとは、深刻な事態だ。