韓国政府が現在、342ある公共企業体を109も減らす構造調整に着手する。削減規模は、全体の約30%に達する。韓国電力公社傘下の発電子会社5社は一つに統廃合され、韓国石油公社と韓国ガス公社も統合される。2007年、298機関だった公共企業体がここまで増えたのは、国民の「公務員好き」がある。李朝以来、科挙の流れを汲む「公務員志望」が公共企業体数を増やす理由となった。日本は、公共企業体の完全民営化で、政府経営の公共企業体はゼロである。
韓国が、これまでタブーとされてきた公共企業体の整理に乗り出したのは、のっぴきならぬ事情を抱えているからだ。一つは経営不振である。25年末の負債が、769兆ウォン(約89兆円)に達したことだ。国家財政の赤字を減らして公共企業体へ「潜り込ませる」という手法が限界に達した。
もう一つは、CPTTP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)加盟への準備だ。韓国政府は、この問題について全く無言だが、CPTTPでは公共企業体について厳しい条件を設けている。韓国の公共企業体数は、OECD最多であり、TPPの加盟での「最大の障害」である。CPTPPは、国有企業の競争中立性、政府補助金の透明性、公共企業の市場歪曲の禁止を厳しく求めている。公共企業体が多い国は、CPTTP加盟できないのだ。韓国は、タブーを破ってまでもCPTTP加盟を目指さなければならない立場へ追い込まれている。貿易拡大が、経済成長にとって不可欠になっているからだ。
『中央日報』(9月4日付)は、「『借金だけで769兆ウォン』膨らむ財政圧迫に大なた…韓国公共機関109機関削減」と題する記事を掲載した。
韓国電力公社傘下の発電子会社5社は一つに統廃合され、韓国石油公社と韓国ガス公社も統合される。負債が170兆ウォン(約19兆5500億円)を超える韓国土地住宅公社(LH)は、宅地開発・住宅建設と住居福祉・資産備蓄の機能をそれぞれ担う2つの公企業に分割される。
(1)「韓国政府は3日、公共機関運営委員会を経て、こうした内容の「公共機関機能改革推進案」を発表した。公共機関運営法が施行された2007年に298機関だった公共機関は今年342機関まで増え、昨年末の負債は769兆ウォンに達した。韓聖淑(ハン・ソンスク)首相は「過去最大規模となる109の公共機関を削減する」とし、「法律改正などが必要ない機関は直ちに履行に着手する」と述べた」
昨年末の公共企業体の総負債は、769兆ウォンにも達している。文政権は、公共企業体の非正規雇用を全員、正規雇用に切替えるなど「大盤振る舞い」をしてきた。こういう「甘さ」が、現在の経営不振を招いている。
(2)「実際の統廃合までには越えなければならないハードルが少なくない。まず、統合公企業の本社所在地をめぐる地域間の衝突が変数だ。発電5社は慶尚南道晋州(キョンサンナムド・チンジュ)と忠清南道保寧(チュンチョンナムド・ポリョン)・泰安(テアン)、釜山、蔚山にそれぞれ本社を置いている。本社が別の地域に移れば地方税収入や常住人口などが減る可能性があり、既存の所在地からの反発が予想される。全北(チョンブク)特別自治道と全南・光州(チョンナム・クァンジュ)統合特別市なども再生可能エネルギー産業との連携を掲げ、統合発電会社の本社誘致に乗り出した。許樟(ホ・ジャン)財政経済部第2次官は本社問題について「議論中」と明らかにした」
本社統合で、本社所在地でなくなる都市の税収入が減るという問題が指摘されている。これは、税収を一定期間配分することで解決するほかない。
(3)「負債処理も課題だ。韓国土地住宅公社の負債は昨年末173兆7000億ウォンと1年前より13兆6000億ウォン増え、負債比率は230.8%に達した。しかし、既存の資産と負債を2つの新設公社にどのような基準で配分するかは今回の発表には盛り込まれなかった。特に住居福祉部門は昨年、賃貸住宅の運営損失だけで3兆1949億ウォンに達する」
韓国は、住宅政策で失敗してきた。この問題は、韓国独特の賃貸住宅制度(チョンセ)と深い絡みがある。借家人は、多額の保証金(契約解除後に返金)を出すことで、契約期間中の家賃が無料になるという制度だ。これが、不動産高騰の要因とされるものの、未だに解決せずに放置されている。家主が、受け取った巨額保証金で住宅投機をするという悪循環が指摘されている。
(4)「石油公社とガス公社の統合は財務構造と支配構造の問題が絡み合っている。石油公社は昨年末、資本合計がマイナス2兆5290億ウォンの完全資本蚕食状態だ。ガス公社も財務状況は改善しているが、依然として負債が42兆ウォンを超える。ガス公社が上場企業である点も変数だ。民間株主の持ち分が相当あり、合併方式によっては一般株主の反発が出る可能性がある。政府は石油公社の不良資産と負債を別途子会社として切り離す案を検討している。統合過程での労組の反発も変数だ」
石油公社とガス公社は、経営不振が続いている。すでに、日韓首脳会談で、日本がASEAN(東南アジア諸国連合)へ提案して承認された「POWER Asia」(100億ドル・エネルギー支援)へ、韓国も加わることになった。この背景には、石油公社とガス公社の整理案があったのだろう。韓国は、エネルギー政策で日本の枠組に加わる。


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