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中国政治において、最高指導者は弱みを見せないのが通例である。写真に写る妻は、「儀礼的存在」にとどめ、権力の匂いを一切出さないものである。先の訪米時に、習氏は専用機のタラップを降りる際と国立公文書館の急な階段を上る際に、夫人の彭麗媛氏の手を握った。これは、単なる夫婦愛の姿ではなく、「転倒リスク」の回避が目的である。この情景は、「習氏が公の場で頼れる人物が、もはや彭麗媛氏しかいない」という権力構造の露呈という厳しい見方が出ている。中国国内放送ではこの場面を削除した。つまり、党は「習氏の弱さ」を国民に見せたくないのだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月1日付)は、「習氏が妻の手を握る姿から見える中国の権力構造」と題する記事を掲載した。

 

習近平氏は、中国において過去数十年で最も権力を掌握した最高指導者になる前、国内ではむしろ「彭麗媛氏の夫」として知られていた。軍所属の国民的ソプラノ歌手である彭氏は、2012年末に習氏が政権の頂点へ上り詰める中で、同氏のイメージを向上させる上で重要な役割を果たした。

 

(1)「先週ワシントンで、習氏は改めて華やかな妻にどれほど頼っているかを世界に示した。それも儀礼的な場面だけではない。2人が23日に専用機のタラップを降りる際、習氏は片手で手すりを握りながら、もう一方の手で彭氏の手を取った。25日には、トランプ大統領夫妻とともに国立公文書館の急な御影石の階段を上る間も、習氏と彭氏は手を握り合っていた。こうした振る舞いはささやかなものに見えるが、外からの見え方に細心の注意を払う中国指導部の流儀からすれば極めて異例と言える。最高幹部らは自らの弱みを見せることを極力避け、妻に身を委ねるような姿勢を控えるのが常である。これまで公式訪問における配偶者の役目は、手を振り笑顔を見せ、文化的な行事に参加するだけの名目的な存在に過ぎなかった」

 

米国大統領のトランプ氏は、「習氏は御影石が大好きだ」と唐突に発言した。習氏が、米国立公文書館の急な御影石の階段を上る姿を揶揄したに違いない。その上る姿が、御影石を拝むように見えたのだろう。習氏の健康不安が、米国では痛いほど曝け出されてしまった。習氏は、トランプ氏より7歳年下である。

 

(2)「こうした場面の未編集の映像が海外で放送された一方、中国国内の放送では、専用機の入口で手を振る姿、タラップ下での公式な歓迎、過去の握手の場面などを強調した、入念に編集された映像が流された。慎重な足取りを感じさせる描写は国営メディアの中心的な映像から取り除かれていた。これらは彭氏が持つ権力、または習氏の健康状態について何ら確定的なことを示すものではない。しかし、一つの問いを残す。習氏が公の場で明らかに頼っている人物――彭氏の役割はそこで終わるのだろうか」

 

習夫人の彭麗媛氏は軍の文化幹部として長年、軍区・軍指揮機関を巡回している。その過程では宴席で高官と親しくなり、習氏にとって誰が忠実で誰が危険かを把握している。習氏は、大学卒業後の初の職場は人民解放軍の秘書であった。軍との関わりはこの程度で、軍の人脈が極端に薄いとされている。父・習仲勲は軍閥出身でない。

 

こういう習氏が大量の粛清を行いで軍の信頼を失っている。だから、習氏は軍の人事評価で彭麗媛氏の「目」に頼らざるを得ないのだ。これは、毛沢東が江青を通じて文化大革命の急進派を動かした構造と酷似している。彭氏が、「江青以来最も権力を持つ女性」という指摘されている理由である。これは中国政治のタブーに関わる問題になる。

 

江青は、「四人組」を率いて党を破壊した。以来、党は「指導者の妻が権力を持つ」ことに過敏である。配偶者は「無害な存在」として扱うのが鉄則になった。その中で、彭氏が軍の人事に関与している可能性があると噂されている。党が最も嫌う構造だ。だから夫人の情報はほぼ公開されないできた。しかし、習氏が公の場で夫人へ頼る姿は隠しきれなっている。習氏の権力基盤が、制度でなく「妻の人脈」に依存しているという異常事態を映像で見せつけることになっているからだ。