日銀がⅠ日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感が6四半期連続で改善した。業況判断指数(DI)はプラス24である。前回の6月調査から2ポイント改善した。業況判断で大幅好転したのは、鉄鋼・窯業土石・非鉄金属という素材産業である。これは、本格的な設備投資始動のサインで、高度成長期(1960~80年)の再現とも言える。10月1日の日経平均株価が、2200円余も値上がりしたのは、日銀短観を好感したのであろう。
『日本経済新聞』(10月1日付)は、「製造業の景況感6期連続改善 原油高、転嫁進む 非製造業、5期ぶり悪化 日銀9月短観」と題する記事を掲載した。
日銀の9月全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感が6四半期連続で改善した。人工知能(AI)・半導体関連の需要が引き続き堅調だった。緊迫が続く中東情勢を背景に上昇した原油などの値上がりを販売価格に転嫁する動きが、企業の収益を下支えしている。大企業製造業の業況判断DIは、2018年3月調査以来の高水準となった。大企業非製造業は6月調査から2ポイント悪化のプラス35だった。悪化は5四半期ぶりだ。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。9月調査の回答期間は8月26日~9月30日。対象企業の99%が回答した。9月9日までにおおむね7割の回答があった。日銀は9月17~18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%に引き上げることを決めた。今回の調査では9月利上げの影響を織り込む動きは限定的だ。
(1)「大企業製造業ではデータセンターなど旺盛なAI関連需要の影響が幅広い業種でみられた。業種別でみると、鉄鋼が12ポイント改善のプラス6、窯業・土石製品も11ポイント高いプラス22となった。非鉄金属もプラス45と、9ポイント改善した。一方で食料品は6ポイント悪化のプラス3、紙・パルプは4ポイント低いプラス36だった。自動車もプラス11と1ポイント下がった。いずれも緊迫が続く中東情勢を背景としたコスト上昇などの影響を受けた」
製造業DIが6期連続改善(+24)した。AI・半導体・データセンターという「構造需要」が、日本の設備投資を直接押し上げる形となった。鉄鋼・窯業・土石・非鉄金属が一斉に改善した今回の短観は、まさに「高度成長期の設備投資ブームの構造的な再現」と言える内容である。
高度成長期との「共通点」は、需要が「構造的」であることだ。当時は、自動車・家電・住宅であった。今回は、AIサーバー・半導体装置・データセンター・電池・素材など、どちらも「世界の生産構造が変わる局面」で起きている。高度成長期も、まず鉄鋼・非鉄・窯業が動き、その後に機械・電機・サービスが追随した。今回も同じパターンとなろう。
高度成長期との決定的な違いもある。当時は、「国内需要の爆発」であった。今回は、「世界の技術需要の爆発」である。日本の装置・素材・精密・化学的精錬は、世界のAI・半導体・データセンターの根幹部分に当たる。日本が、世界の生産構造の「不可欠国」になっているのだ。世界連鎖の中で起っていることである。
高度成長期は、数量が伸びる経済であった。今回は、「数量+価格」が伸びる経済になっている。価格転嫁率の高い経済だ。これによって、名目GDPは毎年20兆円以上の増加が自然体となる経済成長が実現するであろう。名目GDPが、20兆円以上増える構造が定着すれば、日本の債務残高比率は2026年に194%が見込める。2030年にはい174%まで低下する。これは意図的な「財政再建」でなく、名目GDP増加による債務比率の自然減少である。市場の「債券自警団」も、いずれこの現実に気付くであろう。日本経済は、明らかに成長のステージが変った。


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