米韓関係は、何かと揉め事が多い。今度は、トランプ大統領が米国アラスカで韓国がLNG(天然ガス)開発をすると発表。韓国李大統領が、まだ「未調整案件」として反発している。この両国の行き違いは、何が原因で起っているのか。コミュニケーション不足が原因である。韓国は、米国と打ち解けて話をする機会が少ないという。建前論で終始していることが、誤解を生む理由とされている。その点、日本の対米外交は「本音レベル」で意思疎通しているという。常に日韓関係がモヤモヤしているように、米韓関係も同じ流れとされている。韓国の「建前論好き」が、思わぬ波紋を呼んでいる。
『ハンギョレ新聞』(10月1日付)は、「トランプ大統領、『アラスカLNG開発事業』への韓国投資を一方的に発表」と題する記事を掲載した。
米国のトランプ大統領は30日(現地時間)、アラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業と8基の大規模原子力発電所の建設を含む米国のエネルギーインフラに、韓国政府から最大2000億ドル(約280兆ウォン)が投資されると公式に発表した。アラスカの事業などについては、韓国政府は最近まで、商業性の問題から「さらなる検討が必要だ」との立場だった。
(1)「トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスの執務室でラトニック商務長官、バーガム内務長官、ライト・エネルギー長官、ダン・サリバン上院議員(共和党、アラスカ)らが同席する中、大規模投資計画を発表した。トランプ大統領は、「韓国は対米輸出品に対する関税を15%に引き下げる代価として、数千億ドルを投資しなければならない」として、「日本が5500億ドル、欧州が6500億ドルを支払うように、韓国の規模は約2500億ドル(約350兆ウォン)」だと説明。続けて「その資金の一部が今回のプロジェクトに投入されるもの」だと強調した。昨年、韓米合意にもとづく実際の総投資規模は3500億ドルで、うち、造船協力に投じられる1500億ドルを除いた投資額は2000億ドルだ」
韓国政府は、韓国国会で次のよう報告している。テキサスのガス火力(223億ドル)は商業性があるので承認する。アラスカLNGと原発は、商業性が不明であるので保留するとしている。韓国は、「採算が取れるか分からない」ので承認していないのだ。それにもかかわらず、米国が「決定」と発表してしまった。
(2)「この日の発表では、既に知られているテキサスの発電所以外にも、原子力発電所およびアラスカのLNG事業に対する具体的な投資額と地域が公開された。ラトニック商務長官は、今回の投資が韓国の国富資金で実施されることを明示しつつ、3つの主要プロジェクトの詳細な規模を明らかにした。ラトニック長官によると、8基の大規模原発の建設に1200億ドル(予備費200億ドル含む)が投じられ、オハイオ、テネシー、サウスカロライナ、ケンタッキーの各州に建設される予定だという。アラスカのLNGプロジェクトには500億ドル以上が投資され、テキサスに建設される6.5ギガワット規模の超大規模ガス火力発電所には220億ドル以上が投じられる」
米国は、正式に大統領が発表した以上、韓国に圧力をかけ続けるであろう。トランプ氏がすでに「韓国は投資する」と既成事実化したからだ。これは外交カードである。米国は、韓国が約束したとしている。韓国は、まだ承認していないと主張。韓国世論は、韓国が拒否すると「同盟軽視」と見られると苦悩する。こういう、「三すくみ状態」となろう。
米国は、政治的圧力で韓国を追い込むであろう。11月の中間選挙を控えてアラスカLNGプロジェクトは、絶好の選挙材料になっている。韓国政府は、「完全拒否」できない状況へ追い込まれているのだ。
韓国は、米国への「弱み」を抱えている。韓国が、米国への安保依存が極めて大きいからだ。在韓米軍、北朝鮮問題、半導体サプライチェーン、対中牽制の枠組みなど山ほどある。結局、韓国はアラスカLNGを完全拒否することが難しくなろう。一方、韓国は「全面承認」もできない立場だ。商業性が不透明、国内世論が反発、国会承認が必要になる可能性もある。韓国は、諾否をハッキリさせられないという苦しい立場だ。
(3)「米国政府は、今回のアラスカ液化天然ガスプロジェクトが単なるエネルギー開発にとどまらず、米国のエネルギー覇権を強固にするとともに、地政学的な構図を変えうる要となる事業だと評価した。トランプ大統領はこのプロジェクトを通じて、「アラスカで最大1万2000件の建設雇用と1000件の運営雇用が創出されるだろう」と述べつつ、現地住民のエネルギーコストを1世帯当たり年間で最大2200ドル削減できると強調した。バーガム内務長官は、アラスカ産ガスはハワイ、グアム、米領サモア、北マリアナ諸島などの米領土はもちろん、日本、韓国、フィリピン、台湾などの同盟国にも供給できるようになると述べた」
米国側の事情から言えば、もはや撤回できる立場にない。最も現実的なシナリオは、韓国が「部分承認」に逃げる以外に道はなくなっている。全額ではなく、「象徴的な少額投資」に止めるか。民間企業による「限定的参加」か。時期をずらして「段階的承認」か。または、投資額を引き下げる交渉である。韓国は、「投資するが、規模縮小」という形で妥協する道である。こういう米韓の食い違いはなぜ起ったのか。交渉担当者の責任は重大である。


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