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上海外国語大学日本研究センター主任の廉徳瑰(リエン・ダーグイ)教授が、『環球時報』で日本の輸出競争力が低下したと、その背景を分析する論評を掲載した。日本は、輸出立国から投資立国へ成長しており、中国や韓国の輸出主体国家を「卒業」して、現地で生産する体制へ切り替わっている。比較するレベルが違うのだ。上海外国語大学日本研究センター主任であるならば、視野を広げて研究すべきであろう。

 

日本の年間輸出総額は、104.2兆円(2026年)だが、日本の海外生産比率(製造業全体)は27.2%。日本製造業の約3割は、海外で生産されている。これは、1990年代の10%台から大きく上昇し、「輸出より海外生産で稼ぐ」構造が定着したことを示している。日本は、「海外で稼ぎ、配当で稼ぎ、サービスで稼ぐ」国へ完全に転換した。輸出額だけで日本の競争力を語るのは、構造を理解していない議論なのだ。中国メディアの「日本の輸出競争力低下」論は、日本の国際収支構造を理解していない政治宣伝にすぎない。

 

日本は、「海外生産比率が高いほど国力が強くなる」という、世界でも極めて珍しい「外部拡張型の国力モデル」を持っている。これは中国・韓国・ドイツなどの「輸出依存型モデル」とは構造がまったく異なり、むしろ日本の強さの源泉である。

 

日本は、海外生産が増えるほど「日本の所得」(第1次所得収支)が増える国である。日本の国際収支の最大の黒字は、貿易ではなく 海外投資収益(第1次所得収支)。2026年の第1次所得収支は36.8兆円の黒字(過去最大)であった。これは、海外で稼いだ利益・配当・利子が日本に流れ込む構造になっている。海外生産比率が高いほど、現地法人の利益、配当、利子、再投資利益が増え、日本の国力を押し上げる。輸出より「海外で稼ぐ力」の方が、日本の国力に直結する。

 

中国は、海外生産比率が5〜6%程度(推計)で、ほぼ全てを国内で生産し、輸出に依存している。輸出が止まれば、国力が崩れる状況にある。

 

『レコードチャイナ』(10月2日付)は、「『日本の輸出競争力はなぜ低下したのか』上海外大教授が分析―中国メディア」と題する記事を掲載した。

 

中国メディア『環球時報』(9月30日付)は、上海外国語大学日本研究センター主任の廉徳瑰(リエン・ダーグイ)教授による、日本の輸出競争力低下の背景を分析する論評を掲載した。廉氏は論評の中で、日本の財務省のデータとして今年1~6月の日本の輸出額が3861億ドル(約60兆7000億円)にとどまったことを紹介。一部の日本メディアは人工知能(AI)インフラ投資の活況と円安が日本企業の輸出を力強くけん引すると見ていたものの、実際には周辺国・地域との輸出規模の格差が急速に拡大していると指摘した。

 

(1)「これと比較して今年1~6月の韓国の輸出額が前年同期比50%近く増加して4963億ドル(約78兆1000億円)となったこと、中国に至っては6月単月だけで同27%増の4123億ドル(約64兆9000億円)に達し、1~6月では広東省1省だけで4645億6000万ドル(約73兆1000億円)に上ったと紹介した。また、横の比較として、東アジアの中核貿易国の中で日本は最下位に位置し、成長の活力や産業競争力で全面的に後れを取っていると論じ、特段の異変がなければ、今年は年間輸出総額で韓国などの経済圏が日本を追い抜く年になると予測している」

 

今年1~6月の日本の輸出額が、3861億ドル(約60兆7000億円)であった。この同時期に韓国が、4963億ドル(約78兆1000億円)、中国が4123億ドル(約64兆9000億円)だとしている。だが、冒頭に記したように、日本は「投資立国」で海外の現地生産体制へ切替えている。この点を全く無視した「失格記事」である。

 

(2)「廉氏は、円安が日系企業の輸出増やシェア維持をある程度後押ししたものの、資源の乏しさやエネルギー・食料の輸入依存という構造的な弱点が利益を相殺し、1~6月に約170億ドル(約2兆6700億円)の貿易赤字を維持させる結果になったと分析。支柱産業である自動車は、米国の関税や中東情勢の打撃を受け、輸出の伸びが前年同期比1%にとどまり、特に中東向けは同45.8%の大幅減になったと伝えた」

 

日本は、円安だからと言って輸出額が増えることはない。それは、輸出品目が基幹技術品目になっている証拠である。日本製品がないと、相手国の製造業がストップするような技術集約型製品になっている。だから、為替相場と関係なく輸出額がほぼ一定している。

 

(3)「廉氏は、「貿易立国」を基盤とする日本が、地政学リスクや為替変動、サプライチェーン再編といった課題に直面していると総括。日本政府の一方的、依存的、対立的な外交選択のツケが貿易の発展に跳ね返っていると批判。早期に是正できなければ日本の貿易競争力の低下は不可逆的な傾向になると警鐘を鳴らした」

 

日本は、「投資立国」である。この方が、はるかに安定した市場確保になっている。まだ、広く知られていないが、中国が「仰天する」ような輸出ニューフェースが間もなく加わる。トヨタ型ロボットとラピダス2ナノ半導体を組込んだ「フィジカルAI製品」である。28年以降に実現する。