a0960_008532_m
   

中国は、25年産業用ロボット導入において世界トップである。25年の設置台数は、世界の設置台数の59%を占めた。日本は、アジアで2番目に大きな導入だが、世界ランキングでは米国に抜かれて順位を2位から3位に落とした。このことから、中国メディアは「日本後退」と囃し立てているが、無意味な話である。日本は産業用ロボットを「つくる側」である。中国は「使う側」である。この差は大きいのだが、中国は設置台数世界ナンバーワンを自慢している。

 

『レコードチャイナ』(10月2日付)は、「中国は産業用ロボット導入で世界をリード―米メディア」と題する記事を掲載した

 

中国メディア『参考消息』(9月26日付)は、「中国は産業用ロボットの導入において世界をリードする地位をさらに確かなものにしている」とする米The Robot Reportの記事を紹介した。

 

(1)「記事が、国際ロボット連盟(IFR)の報告書を引用して伝えたところによると、世界の産業用ロボットの稼働台数は2025年に前年比9%増加して過去最多の500万台に達した。この増加は年間設置台数が同11%増加したことによるもので、世界中の工場は25年に新たに60万台超を設置したという」

 

 ロボット導入台数は、「産業の質」でなく「産業の労働集約度」を示す指標である。中国がロボット導入を増やす理由は、人件費上昇、労働力不足、労働集約型産業の自動化、低付加価値製造の効率化目的である。中国は、「労働集約型製造の自動化」を急いでいるだけだ。これは、産業の高度化でなく、低付加価値製造の延命措置でもある。

 

日本が、ロボット導入台数で中国に負ける理由は、日本はすでに自動化が進んでいる、労働集約型産業が少ない、高付加価値産業はロボット台数より技術密度が重要、海外生産比率が高く、国内工場の絶対数が少ない、などの理由である。日本は、すでに「ロボット台数を競う産業構造でない」のだ。こういう日中産業構造の違いを無視して、単純にロボット導入台数を比較しても意味はない。

 

産業の質で、日中を比較すると日本が圧倒的に強いのが現実である。日本が握る「世界の製造業の深層」は、次のようなものだ。半導体製造装置(世界シェア32%)、精密機械、化学素材、産業用ロボット(日本製が世界シェア60%)、電池素材、医療機器、中核部品である。中国は、これらをほぼすべて日本・欧米・台湾に依存している。中国は「ロボットを使う側」、日本は「ロボットをつくる側」である。この構造差は決定的である。

 

(2)「IFRのジェーン・ヘフナー会長は「産業オートメーションは急速に進歩している」とし、「世界中の工場で稼働しているロボットの数は7年前の2倍余りとなっている。最も成長が著しいのがアジアで、それに次ぐのが南北アメリカだ。欧州は比較的緩やかなペースで進んでいる」と語る。米Launchpad Build AIの最高経営責任者(CEO)、ジョン・クイック氏によると、「今はロボット開発にとって絶好の時期」で、「ロボットの能力は飛躍的に向上し、コストは低下している」という」

 

世界中のロボットの稼働が増えれば増えるほど、「つくる側」の日本にはプラスである。

(3)「IFRによると、中国は産業用ロボットの導入において世界をリードする地位をさらに確かなものにしている。25年の設置台数は前年を約6万台上回る35万4000台で、世界の設置台数の59%を占めた。日本はアジアで2番目に大きな市場で、25年には3万6219台が設置されたが、前年を19%下回り、世界ランキングでは米国に抜かれて順位を2位から3位に落とした」

 

中国の産業用ロボットの設置台数が増えればふえるほど、日本はつくる側で利益になる。

 

(4)「米国の設置台数は、前年比12%増の約3万8500台。世界4位の韓国は同1%減の3万台。インドは同15%増の約1万500台で、ドイツに次ぐ世界6位となった。産業用ロボットの設置台数は26年には9%増加して65万5000台に達し、29年には80万6000」台に達すると予測されている。中国、米国、インドなどが力強い成長市場となっていて、世界的な見通しは依然として明るいという」

 

日本の産業用ロボットの需要が、一段と増えてゆく見通しである。