勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

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    日本、英国、イタリアの次期戦闘機の開発を担う合弁企業エッジウィングのマルコ・ゾフ最高経営責任者(CEO)は9日、2027年初めに日本で設計・開発拠点を開設し、将来的には1000人規模の人員を雇用する方針を明らかにした。

     

    戦闘機産業は、国家の総合技術力の塊である。必要なのは、AI、ソフトウェア、半導体、センサー、レーダー、通信、エンジン、材料工学の最先端技術である。戦闘機開発であると同時に先端産業開発でもある。1000人という数字より、そこで蓄積される技術と人材の相互効果が大きい。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月10日付)は、「次期戦闘機の日英伊連合、27年に日本拠点 雇用1000人規模に」と題する記事を掲載した。

     

    日本、英国、イタリアの次期戦闘機の開発を担う合弁企業エッジウィングのマルコ・ゾフ最高経営責任者(CEO)は9日、2027年初めに日本で設計・開発拠点を開設し、将来的には1000人規模の人員を雇用する方針を明らかにした。

     

    (1)「日本の拠点は愛知県に設置する。日本経済新聞の取材に答えたゾフCEOは「各拠点には1000人規模の人員を配置する予定で、そのうち約半分は現地の人材で構成する」と話した。日本に加え、英ウォートンにも同様の設計・開発拠点を設置する方針だ。エッジウィングは日英伊の次期戦闘機の開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」の設計・開発を担う。三菱重工業などが設立した日本航空機産業振興(JAIEC)と防衛大手の英BAEシステムズ、伊レオナルドが株式を3分の1ずつ保有する」

     

    日本が、戦後初めて本格的な軍事技術共同開発の中核国になり、単なる部品供給国ではないことだ。戦闘機産業は、国家の総合技術力の塊になるので、日英伊3カ国が今後何十年も協調関係を築くことのメリットは極めて大きい。戦闘機を共同開発することは、単なる防衛装備の共同調達ではない。技術、産業、人材、軍事運用思想を共有することであり、実質的な同盟強化に近い意味を持つ。こういう視点からみると、今回の事業は大きな意味を持つ。

     

    (2)「エッジウィングは9日、イタリア北部トリノでグローバル設計・開発拠点の開所式を開いた。ロンドン郊外レディングの本社以外に、開発・設計拠点を持つのは初となる。27年末までに敷地内に2棟目の施設を設置し、3カ国から約300人の技術者らを集める。将来的には1000人以上を雇用する」

     

    イタリアでも、グローバル設計・開発拠点の開所式を開いた。将来的には1000人以上を雇用する。

     

    (3)「ゾフCEOによれば、トリノ拠点にはアーキテクチャー(構造・システム設計)とエンジニアリング(エンジン部品開発など)の統合に関わる専門家が在籍するという。その後、アビオニクス(航空電子機器)など特定のサブシステムの専門家を順次配置する。トリノ拠点はレオナルドの航空分野の主要開発拠点内にある。40年代に退役する「ユーロファイター」の開発製造拠点であり、周辺には航空分野に強いミラノ工科大学やトリノ工科大学がある。同分野の一大拠点で育った人材やノウハウをGCAPでも生かせるとみる」

     

    トリノ拠点は、40年代に退役する「ユーロファイター」の開発製造拠点である。その知的資源が引き継がれる。

     

    (4)「日英伊の3拠点はいずれも同規模の人員を確保する。ゾフCEOは「効率性を高めるために重複することなく特定のサブシステムに特化する」と強調した。3カ国に拠点を置き関連人材を集めることで、開発速度を上げる。次期戦闘機は35年の量産配備を目指している。初期の概念評価を完了し、設計段階に進んでいるものの、フランスとの次世代機の共同開発に頓挫したドイツが参加する可能性が浮上している」

     

    日英伊の3拠点は、いずれも同規模の人員を確保する。

     

    (5)「ドイツの参画は、各国のコスト負担が軽減できるなどのメリットが期待できる一方、要件の見直しなどが必要となり計画に遅延が生じる可能性がある。バーナム英首相は8日、英独首脳会談後の記者会見で、ドイツのGCAP参画に前向きであることを伝えたと語った。

    ゾフCEOは「機会と複雑さのトレードオフを評価するのは政府だ」とした上で「日本は他の国以上に期限を守ることを重視している。メリットがない限り、誰も時間に関して妥協しようとはしないだろう」と話した」

     

    ドイツの参加が実現すれば、それは欧州防衛産業の再編だけでなく、独仏中心だった欧州安全保障の重心を英独中心へ移動させる可能性を持つ。そして日本は、その再編に外部協力国として関与するのではなく、もはや構成メンバーの一員として組み込まれつつある。GCAPとは、戦闘機開発計画の名称であると同時に、「欧州とインド太平洋を結ぶ新しい安全保障共同体」の萌芽となりうる。

     

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    (4)「ICCは近年、ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領、パレスチナ自治区ガザを過剰攻撃したイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出した。トランプ氏は、対テロ作戦を巡る米軍兵士への捜査や関係が親密なネタニヤフ氏への訴追を批判してきたが、ICCを敵視する理由はそれだけか。トランプ政権は、ベネズエラやイランで国際法違反の疑いが濃い軍事行動を重ねた。ICC解体を主張する背景に大統領や側近が訴追を免れたい保身が見え隠れする。身勝手と言わざるを得ない」

     

    ICC解体を主張する背景には、米大統領や側近が訴追を免れたい保身が指摘されている。

     

    (5)「ICCは、各国の司法機関の上位にはない。戦争犯罪を起こした個人は本来、当該国家が裁くべきで、その能力や意思を欠く場合に代わって正義を守る存在がICCだ。米国がICCを過度に恐れるなら、それは法治国家としての機能不全を宣言しているに等しい。ロシアは、プーチン氏訴追への報復として赤根氏らを指名手配し、8日にはオランダ政府に身柄引き渡しを要求した。イスラエルは米国の制裁強化に強く賛同した。これらはICCに未加盟だが、憂慮すべきは同調する加盟国が出ていることだ。ロシアと関係が深いアフリカのマリやニジェール、米国の要請を受けたチャドやベネズエラなどが脱退を表明した」

     

    第二次世界大戦も80年を過ぎると、過去の忌まわしい記憶が風化してしまうのだろう。このためにもICCは守らなければならない。

     

    (6)「日本は、07年にICCに加盟して以来、最大の資金拠出国として赤根氏ら裁判官を絶えず輩出してきた。高市早苗首相は9日、米国の追加制裁について「日本の立場と相いれるものではなく深く懸念している」とSNSへ投稿し、ICCへの支持継続を強調した。25年にトランプ氏がICC制裁の大統領令に署名した際、欧州など約80カ国が連名でICC支持の声明を出したものの、対米配慮から日本は加わらなかった経緯がある。今回、8カ国外相の共同声明に名を連ねたのは半歩前進だ」

     

    日本は、ICC最大の資金拠出国である。太平洋戦争開戦の責任を負うべき立場の国家として、戦争犯罪には厳しく立ち向かう義務を負っている。

     

    (7)「米国は、制裁措置の適用開始まで180日間の猶予を与えるとし、外交的な対話の余地も示唆した。米国とICCの立場の違いを埋めるのは容易ではないが、法の支配を訴えてきた日本は他の加盟国と連携し、ICCの機能と独立性を守る外交の先頭に立つべきだ。戦争犯罪を国際法で裁くという考え方は、80年前にナチスドイツの戦犯の罪を追及したニュルンベルク裁判にさかのぼる。世界が問われているのは、戦後積み上げてきた法の支配を放棄し、力の支配への逆戻りを許すか否かだ。それを是としない国々の結束がいまほど必要なときはない」

     

    戦争犯罪を国際法で裁くという考え方は、日本が「新軍国主義」呼ばわりされている現在、汚名を晴らす意味からもICCを守る義務がある。

     

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    日本は、中国やロシアの力による現状変更を抑えるには、国際法を重視せざるを得ない立場である。同時に、米国との同盟も不可欠である。その米国が今回、ICC(国際刑事裁判所)制裁論を強硬に主張し始めた。問題の本質は、「米国は戦後秩序の守護者であり続けるのか」という根本的な疑念を懐かせている。

     

    米国がもし、WTO、ICC、国連機関、多国間協定からさらに距離を取れば、1945年以降の国際秩序は徐々に「ルール中心」から「国力中心」へ移行するという危機に直面する。そのとき最も不利になるのは、実は欧州よりも日本である。日本は、資源大国でも核大国でもなく、これまで「法の支配」によって安全保障上の利益を得てきた国家であるからだ。日本へ、突如として降りかかってきた難題となった。

     

    トランプ政権から見れば、「選挙で選ばれていない国際機関が主権国家の首脳を裁く」という発想そのものが受け入れ難いのであろう。だから「米国はICCを必要としていない」

    という言葉が出るのだ。これは、米国第一主義の法体系の主張である。だが、第二次世界大戦後の世界ルールを決めたのは米国の英知であった。その米国が、自国に不利益になったから「潰してしまえ」という主張は、余りにも身勝手という言うべきであろう。

     

    『日本経済新聞』(10月11日付)は、「ICCは『法の支配』を守る試金石だ」と題する社説を掲載した。

     

    トランプ米政権が9日、人道犯罪を追及する国際刑事裁判所(ICC)を制裁対象に指定した。ICC判事の経験を持つ元国連人権高等弁務官、ナバネセム・ピレイ氏が今年のノーベル平和賞に選ばれた数時間後だった。

     

    (1)「日本を含むICC加盟の8カ国外相が「強く反対する」と共同声明を出したのは当然だ。国家指導者であっても法の上に立つことは許されない。国際社会はあまたの悲劇のうえに確立してきた「法の支配」を守る覚悟が試される。オランダにあるICCは2002年に初の常設の国際刑事法廷として設置され、戦争犯罪や集団虐殺などにかかわった個人を裁く。トランプ政権は自国民を訴追する権限を持つICCを「主権に対する脅威」と非難し、赤根智子所長ら職員に制裁を科してきた」

     

    EU(欧州連合)は歴史的に、国家主権の暴走が第一次世界大戦や第二次世界大戦・ホロコーストを生んだと考えている。だから、国家を縛る超国家的な法制度が必要だという発想になる。ICCはその象徴である。そのため欧州は今回、単に裁判所を守ろうとしているのではなく、戦後欧州が作ってきた価値体系を守ろうとしている。

     

    (2)「今回は組織自体も対象に加え、米国を経由する金融取引を原則禁止する。ルビオ国務長官は「不正な裁判所の資金源を断ちきり、運営能力を失わせる」と語った。制裁強化はかねて検討していたが、ノルウェーのノーベル賞委員会がピレイ氏に平和賞授与を決めた直後の発表は偶然ではない。アパルトヘイト(人種隔離政策)下の南アフリカで法律家となり、1994年にルワンダで起きた大量虐殺を巡る国際法廷で裁判長を担った。同じく90年代の旧ユーゴスラビア紛争での国際法廷設置も踏まえ、国際条約に基づく常設の法廷としてICCが発足すると、草創期に裁判官を務めた」

     

    米国は、基軸通貨国の特権をこういう形で濫用してはならない。冷静になるべきだ。

     

    (3)「ノーベル賞委員会は授賞の理由に「国際法を通じた紛争解決の重要性」を挙げた。「裁判官たちが制裁対象となり、組織が攻撃を受けているいまこそ勇気、先見性、決意を持つ人々が必要だ」と同氏の選出がICCへの間接的な支持表明であることも匂わせた。ICC設立に至る経緯やピレイ氏の授賞理由を考えれば、それを踏みにじるかのような米国の制裁は法の支配への挑戦である」

     

    トランプ氏は、ノーベル平和賞受賞を期待していたのだろうか。それが裏切られたらと言って、直情径行的な振る舞いをしてはならない。

     

     

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    韓国は6日、国会で開かれた科学技術情報放送通信委員会の国政監査で、中国製人型ロボットによる「ショー」が行われた。与党・共に民主党の李政憲(イ・ジョンホン)議員が質疑を行っていた際、会場に2台の人型ロボットが入って来たものだ。この突然の「闖入に」議員の間からは反対論も。

     

    2台は会場での実演のため中国から運び込まれた宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)と智元機器人(AGIBOT)のロボットで、歩行に加えて武術やダンスを披露。国会では、「中国製ロボットを披露することは韓国の尊厳を損なうものだとして反発が起きた」という。

     

    『レコードチャイナ』(10月9日付)は、「韓国国会で中国製ロボットがパフォーマンス披露し物議―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディアの新浪財経によると、韓国国会で6日に開かれた科学技術情報放送通信委員会の国政監査で、中国製人型ロボットによる「ショー」が行われた。

     

    (1)「6日、与党・共に民主党の李政憲(イ・ジョンホン)議員が質疑を行っていた際、会場に2台の人型ロボットが入って来た。2台は会場での実演のため中国から運び込まれた宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)と智元機器人(AGIBOT)のロボットで、歩行に加えて武術やダンスを披露。与野党の議員からは身を乗り出してこの様子を観察したり、スマートフォンで撮影したりと強い関心が示された」

     

    国会議場へ人型ロボットを登場させるのは問題があるだろう。別の会場で行うべきことだ。国会議場は、最も神聖であるべき場所であるからだ。

     

    (2)「李氏はまた、中国北京のロボット量産工場と大規模データセンターを訪れた際に撮影した動画も紹介し、「大規模な生産現場を目にして非常に衝撃を受けた」と表明。調査会社オムディアのデータを引用して、「2025年に世界で生産された人型ロボットは約1万3000台。うち、生産台数上位6社はいずれも中国企業だった」とも説明した。一方、この出来事を巡り、中国SNSの微博(ウェイボー)には「韓国議員の中国製ロボット披露が物議」との話題が登場している。関連の投稿によると、「ロボットのダンスや武術は中国のAIロボットの先進性を示して韓国政府に重視するよう促すことが目的だったが、国会で中国製ロボットを披露することは韓国の尊厳を損なうものだとして反発が起きた」という」

     

    韓国議員が、反応した本当の理由は何か。仮に米国製ロボットなら、「先進技術の視察」で終わった可能性があろう。ところが相手が中国だった。反発の原因は、ロボットでなく、

    中国が先端技術で優位に立ち始めた現実にある。韓国は長年、半導体、家電、IT、ディスプレーで中国を追いかける側でなく、追われる側であった。近年は、EV、電池、AI、人型ロボットで状況が変わっている。その心理的衝撃が、今回の反応の原因であろう。

     

    だが、中国人型ロボットの主要部品は日本製である。中国は、それを組立てているにすぎない。当の日本は、主要部品がありながらなぜ、人型ロボットをつくらないのか。製造現場や看護現場で役立つロボットという「実用性」が主目的である。中国人型ロボットは、「余興のネタ」程度である。人間そっくりの人型ロボット製造は、半導体性能に限度があって開発は困難という見立てだ。米国ですら2035年程度と見込まれている。その間に進む労働力不足をカバーするには、実用性が第一目的となる。日本では、トヨタ型ロボットが2028年、川崎重工が二足歩行と四足歩行ロボで、2030年に発売目標に掲げた。

     

    中国ロボットは、いつまで「踊って走って」の段階に止まるのか。精密工業に劣る中国が、自前でロボットの高級な主要部品を作れるのはいつか。先端半導体も7ナノが限度の国である。EV(電気自動車)と人型ロボットでは、技術水準が「天地」ほどの違いである。中国の産業用ロボット企業が、人型ロボットへ進出しない理由は、技術で高い壁を認識しているからだ。

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    日本のインバウンド市場に変化が起っている。多極化である。これまで中国人観光客が、訪日観光需要を牽引したが、今や減少する一方である。これに代って、英国をはじめとする欧米諸国からの訪日客が増加している。

     

    訪日中国人観光客の減少については、日中関係の悪化や政治的緊張が指摘される。本質的には、中国国内経済の変調が大きな理由であろう。海外旅行は、家計が将来不安を抱く局面では最初に削減される項目の一つだ。訪日需要の減少は、日本側の要因よりも中国社会内部の経済的緊張を反映している可能性が高い。

     

    『レコードチャイナ』(10月10日付)は、「日本のインバウンドに変化=中国人が急減し、英国人が急増―台湾メディア」と題する記事を掲載した。

     

    台湾メディア『中時新聞網』(10月7日付)は、「中国人観光客が急減し、英国人が来た!」と題し、日本を訪れる英国人が増加している背景について報じた英紙インディペンデントの記事を紹介した。

     

    (1)「記事は、「日本のインバウンド市場では、訪日客の出身国に変化が生じている」と指摘。「昨年は中国の国慶節(建国記念日)大型連休で最も人気の高い海外旅行先だった日本が、今年は人気トップ10からも外れた。一方、英国からの訪日客は急速に増加しており、2025年には前年(24年)比24.8%増の48万3000人に達し、コロナ禍前(19年)と比べて40.8%の大幅増となった」と伝えた」

     

    英国からの訪日客が、急増しているとは初耳である。これまでの訪日客では、アジアが圧倒的であった。それが、英国人の急増とは「ビッグ・ニュース」であろう。欧州における日本の認知度が、高まっているに違いない。

     

    (2)「その上で、英国の若者の訪日旅行を押し上げる重要な要因としてTikTokやInstagram(インスタグラム)などのSNSがあるとし、実際にSNSで「#japantravel」と検索すると、富士山、ラーメン、渋谷スクランブル交差点など、日本に関する動画が大量に表示され、観光スポットからグルメ、宿泊まで、さまざまな情報がアルゴリズムによって繰り返し表示されるとした。また、今年日本を旅行したという24歳の英国人女性が「TikTokを見ていたら、日本に関する情報がずっと出てきた。こうしたコンテンツを見たことで、日本旅行への思いが高まった」と話したこと、別の29歳の英国人男性も「他の人が投稿した日本旅行の動画を見たことが、最終的に日本を訪れるという決断につながった」と語ったことを紹介。男性が友人との日本旅行の動画をSNSに投稿したところ、再生回数は110万回を超えたという」

     

    従来の観光需要は、旅行会社→広告→旅行者という流れで形成されていた。現在では、SNS投稿→推薦アルゴリズム→模倣需要→旅行行動という経路が重要になっている。観光需要は、国家や企業が一方向的に形成するものでなく、ネットワーク空間の中で自己増殖する現象へと変化している。この点は、デジタル社会における新しい消費形成の特徴として位置付けることができる。これまでの常識が通用しない時代だ。山形県の長井市が、地元在住外国人によってSNSによる「けん玉」投稿で、多くのインバウンドを獲得している事例も報じられている。

     

    (3)「記事は、日本での消費が比較的安価で済むことも英国の若い旅行客を引きつける要因になっていると指摘。円安が進む中、英国人観光客の多くが日本での飲食などの日常的な消費で大きな価格の違いを実感するとし、26歳の男性が「英国ではそれほどおいしくないラーメンを1杯食べるのに20ポンド(約4100円)かかることもあるが、日本なら3~4ポンド(約620~840円)で印象に残るラーメンを食べられる」と語ったことを伝えた」

     

    日本の「ラーメン」は、「おにぎり」と同様に海外でも認知度が上がっている。そのラーメンが英国の5分の1以下の値段で食べられるとなれば、刺激的であろう。

     

    (4)「そして、「中国人観光客の減少と英国人観光客の増加は、日本のインバウンド市場がさまざまな要因の影響を受けていることも示している。一方では、日中間の政治的緊張によって中国からの訪日需要が打撃を受けている。もう一方では、SNSが欧米の若者の間で日本の人気を高め続けていることに加え、為替相場によって消費面での魅力が高まっており、英国など(中国以外)の市場が日本のインバウンド成長の新たな原動力になっている」と評した」

     

    日本のインバウンド市場は、中国中心型・東アジア中心型から、欧州・北米・南アジア・オセアニアを含む多極分散型へ移行しつつある。中国経済の停滞は、中国国内の問題にとどまらず、国際的な人流や消費の流れを変化させようとしているようだ。

     

     

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