勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

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    自民党が、地滑り的大勝となった。荒天気にも関わらず、事前予想通りの選挙結果になったのは、有権者が日本の未来へ向けて意思表示したことになる。2月9日午前3時過ぎ現在、自民党が315議席(117増)と全議席456のうち7割弱という圧倒的な議席を得ることになった。維新は35議席(1増)。中道は48議席(124減)と大敗した。中道の議席減は、自民と参政やチーム未来へ流れた計算である。昨秋の参院選で多党化現象が取り沙汰されたが、今回の自民大勝によってそれも吹飛んだ形だ。

     

    物価上昇という中で、自民党が大勝した要因は、高市人気による面が極めて大きい。高石市の政策は右寄りである。有権者が、その政策へ7割弱の議席を与えたことは何を意味するかだ。国際情勢の変化による危機感がもたらしたものであろう。戦後日本が守ってきた専守防衛という消極的防衛政策から一歩踏み出して、地域の安全に寄与するという姿勢へ転換したことを意味する。皮肉にも、この後押しをしたのが中国の日本威圧である。

     

    高市人気は、率直に言えば「反中国票」の結集とも言えよう。日本世論は、中国の日本威嚇に対して、極めて強い不快感を持っている。中国の政府高官が、下品な言葉で日本を見下す発言への反発は、高市人気を押し上げたのであろう。そういう意味では、高市氏の勝利は、中国の敗北とも言えるのだ。

     

    中国は、自民党圧勝という選挙結果に対してどのように対応するか。中国のGDPは、日本の5倍以上もあるので、日本へ威圧を掛ければ「折れてくる」とみているようである。こういう期待は無駄であろう。日本は、中国へ譲歩して「レアアースを輸出してくれ」というような哀れみを請う国ではない。西側諸国の技術リーダーとしての立場から、米国と協力して「重要鉱物特恵市場」を構築する構えだ。コア・パートナー(中核国)は、日本・米国・EU・カナダ・豪州である。これに、セカンダリー・パートナー(補完国)として、アフリカ、南米、東南アジアの資源国が中心に合わせて50か国以上が参加する計画である。

     

    注意すべきは、重要鉱物特恵市場の中核国の中でも、日本の精錬技術と需要が支え手になることだ。今や米国は、日本の技術に全幅の信頼を寄せている。こういう立場にある日本に対して、中国がレアアースで「虐める」という小手先の悪戯をすれば、大きな火傷になりかねないという大掛かりなシステムづくりが始まっているのだ。中国は、レアアースなどの精錬でも旧技術である。日本のような化学的精錬法を開発できず、相変わらずの環境破壊の精錬を続けている。いずれは、日本の製錬技術に圧倒される運命である。そういう技術の流れも理解せずに、「夜郎自大」な振舞の結末は必ず己に帰ってくるものである。

     

    中国が研究で日本を超えられない理由は、まず制度面にある。自由な研究環境が存在しない点だ。基礎研究は「自由な発想」「失敗の許容」「異端の尊重」がなければ成立しないのである。中国の制度はその真反対である。研究テーマは国家戦略に従属する。研究者の評価は論文数と政治的忠誠による。失敗が許容されず、短期成果が強制される。研究費は政治的配分で、透明性がない。学術界に党組織が常駐しており、自由討論が成立しないのである。およそ、自由な研究が進む環境にないのだ。

     

    こういう状況では、パラダイムシフトを生むような基礎研究は絶対に育たないと言って過言でない。また、中国は模倣文化が根底にある。中国の技術発展は「キャッチアップ型」であり、既存技術の模倣・改良には強いが、ゼロからの創造には極めて弱いのだ。以上のような致命的欠陥を抱える中国が、日本を威圧すれば屈するであろうという妄想は捨てるべきであろう。今回の高市自民党の大勝には、日本世論が示した中国への反論と理解すべきであろう。

     

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    中国の台湾占領を食い止めるための新兵器が考案されたという。数千の無人兵器を台湾海峡に展開して「無人の地獄絵図」をつくるというものだ。米インド太平洋軍のパパロ司令官が、2024年6月に明らかにした防衛作戦の計画は当時、「絵空事」との見方もあった。それが今、技術革新が進んだ結果、現実味を帯びつつあるというのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月8日付)は、「戦争を変える、米AI兵器 台湾防衛に大量無人機、構想 『突然エスカレートの恐れ』」と題する記事を掲載した。

     

    米首都ワシントンで25年10月、米連邦議会議員や米国防総省の幹部を前に、あるAI兵器の開発計画が披露された。「X-BAT(エックス・バット)」と呼ばれる次世代の戦闘機だ。


    (1)「エックス・バットは全地球測位システム(GPS)や外部との通信を必要とせず、「AIパイロット」が自律的に判断して動く。世界で初めて完全無人、かつ滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能にした。搭載できる兵器も多様で、戦闘機同士の空中戦、地上施設への攻撃のどちらにも対応できる。製造・運用にかかるコストは米軍の最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1におさまるという。エックス・バット開発の責任者、アーマー・ハリス氏は「敵対勢力は、我々が決定的な優位性を持つと理解することになる」と出席者に語った。開発したのは西部カリフォルニア州を拠点とし、ドローンの自律飛行ソフトを開発する新興の米シールドAIだ」

     

    無人戦闘機エックス・バットは、「AIパイロット」が自律的に判断して動くという。世界で初めて完全無人、滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能であるという。コストは、最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1程度だ。

     

    (2)「滑走路を必要としないエックス・バットは、これまで航空戦力の展開が難しかった台湾周辺の無人島などにも配備できる。シールドAIは28年に任務遂行能力の試験飛行を目指す。25年9月には台湾の防衛能力の強化をうたい、防衛・航空大手の漢翔航空工業(AIDC)と提携した。24年夏まで米国防総省で次官補代理を務めていたマイケル・ホロウィッツ氏は、「無人の地獄絵図」計画にはエックス・バットだけでなく「AI搭載の無人水上艇・水中艇、さらに片道切符の長距離型攻撃ドローンの開発が重要だ」と説く。米国や同盟国などが積極投資を進めれば、今後2年以内にAI搭載兵器を実戦配備できるようになると予見する。中国による台湾侵攻を「著しく困難にする可能性がある」と指摘する」

     

    米海兵隊は、すでに小部隊編成で台湾付近の島嶼部に潜む配置となっている。この小部隊には、滑走路を必要としないエックス・バットを与えれば、島影から無人戦闘機が襲いかかるという戦術を展開するのであろう。

     

    (3)「米国ではAIの広がりが、軍需産業のあり方も変えようとしている。国防総省は26年会計年度でAI関連予算に134億ドル(約2.1兆円)を求めている。22年会計年度と比べ、およそ6倍に増えた。米調査会社グランドビューリサーチの推計では、世界の軍事用AI市場は25年から30年にかけて年平均13%のペースで伸びる。シールドAIのほか、データ分析のパランティア・テクノロジーズ、自律走行車のアンドゥリル・インダストリーズなどが急成長し、軍事専業の独占市場に風穴を開けつつある。ロイター通信によると、新興AI企業の国防総省との契約は25年にほぼ倍増した」

     

    今回の米軍のベネズエラ急襲作戦で使われたとされる「ダイナミック・オントロジー(Dynamic Ontology)」は、現代の軍事AIの中でも最先端の領域に属する。これは単なる情報分析AIではなく、戦場そのものを「動的に理解し続けるAI」と位置づけられている。エックス・バットは、このダイナミック・オントロジーに連携して使われるのであろう。

     

    (4)「AIの軍事利用を進めているのは米国だけではない。中国の国有防衛大手、中国兵器工業集団は25年2月、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両を公表した。米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のステーシー・ペティジョン氏は、「中国がかなり幅広く無人システムを開発し(群れで動く)協調型ドローンの開発に一貫して注力しているのは懸念材料だ」と指摘する。「AI戦争は人類の存続を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べ、AIモデルでは核戦争を含め、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかった」と指摘」

     

    中国は、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両である。米国のエックス・バットとは、レベルが異なる。

     

    (5)「米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたマーク・ミリー氏と米グーグル元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏による米誌『フォーリン・アフェアーズ』への24年の寄稿は、専門家に重い問いを投げかける。人間であれば、最低でも2日かかっていたような作戦策定に向けたシナリオ分析が、1分以内でできることが分かってきた。人間なら二の足を踏むような人的被害を生む攻撃も、AIはためらわない可能性がある。それでも米中ともに、AI兵器を規制する国際ルール作りには消極的だ」

     

    これは、ダイナミック・オントロジーを指しているとみられる。センサー情報(衛星、ドローン、通信傍受、レーダー)を統合したもので、敵の行動・意図・位置を「ストーリー」として理解するものだ。つまり、結論を導くので指揮官に「次に起こりうる事象」を提示するという。米軍は、すでにこのレベルに達している。 

     

     

     

    あじさいのたまご
       

    朴槿恵大統領時代は、韓国から日本企業へ就職を目指して留学するケースが多かった。韓国の地方自治体は、これを支援すべく補助金をだすところまであったほどだ。それが、文在寅政権になって「反日姿勢」へ転換。日本に企業への就職斡旋の会合まで中止させるほどだった。この断ち切られて絆が今、復活しているという。日本企業へ就職するには、日本の大学へ留学して日本語を学んで、就職に備えるというのだ。韓国の就職難が、日本への留学を後押ししている。

     

    『朝鮮日報』(2月7日付)は、「韓国の若者たちが日本に留学する理由」と題するコラムを掲載した。

     

    「脱韓国」の先は日本だろうか。最近息子娘を日本に留学させた、あるいはさせる予定という企業の部長・役員クラス10人を取材した。米国や英国など英語圏を中心に留学をねだる「すねかじり」たちのリストに日本が追加されているのだ。

     

    (1)「留学先は、慶応大学や早稲田大学のような名門大学ばかりではない。立命館大学、帝京大学、東洋大学など韓国ではさほど知られていない大学への進学を目指し高校23年生から日本語にチャレンジする生徒たちもいた。なぜ日本なのか、その理由を尋ねると「すぐ近くの先進国だから」「最近の米国は以前のようではない」「日本文化に関心がある」など定番ばかりではない。韓国の厳しい受験戦争とその後に待ち構える就職競争という現実の中で、生徒たちは自分なりに真剣に将来を考え、その結果として新たなチャンスを日本に見いだそうとしているのだ」

     

    高校23年生から、日本の大学への進学を目指して、日本語にチャレンジする生徒たちもいるという。早く日本へ渡って、日本語の壁を乗り越えようという狙いである。

     

    (2)「多くが入試によるストレスを口にした。「SKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)」「イン・ソウル」などの物差しで人を判断する韓国の雰囲気に誰もが疲れ果てている。1回の試験で人生が決まり、それが嫌なら国語、英語、数学などの基本科目はもちろん、日常生活やサークル活動、ボランティア、評判管理に至るまでほぼ完璧が求められる。内申で1回か2回問題が記載されれば退学を検討するしかなく、また母親たちも「情報力」を高めるため1時間50万ウォン(約5万3000円)のコンサルを受けねばならない。それがすぐ隣の国に目を向けると違う世界が開かれているのだ」

     

    韓国の大学進学熱は、中国と同様に加熱している。学校でスポーツもやらないで、勉強一筋という高校生が「ゴマン」といる。

     

    (3)「日本も、東京大学や京都大学などトップクラスは受験戦争が熾烈(しれつ)だが、それ以外の大学入試は韓国ほど厳しくはない。四年制大学だけで韓国の4倍に相当する800校あり、「それなりに良い大学」も地域ごと、専攻ごとにはるかに多い。入試も自らの強みを生かして選択できる。例えば美術専攻なら実技と面接だけで入学できる優れた大学が多い。選択肢が広がれば入試のストレスは軽くなる。日本での生活を通じて得られる日本語の実力や国際感覚はおまけのようなものだ」

     

    日本での生活を通じて得られる日本語の実力や国際感覚は、おまけのようなものだという。韓国は、就職浪人で1年以上を無駄にしている。こういう厳しい韓国事情を考えれば、日本で伸び伸びと勉強するのも一つの選択であろう。

     

    (4)「日本留学を真剣に検討する価値がある、もう一つの理由は就職だ。周りにいる日本への留学生の多くは現地で就職あるいは定住するため韓国を去るか、あるいは去るつもりだという。韓国には就職先がないが日本は人手不足だ。実際に日本では仕事が有り余り若い人材が求められている。人口減少に少子高齢化が何十年も前から始まったためだが、それだけが理由ではない。日本の大手企業はコロナ渦後、過去最高の利益を更新し続け、新入社員の採用を増やしている。自動車や半導体関連の素材、部品、装備を中心に実力のある製造業が日本経済を支えている」

     

    日本では、大学生の就職率は100%である。一人で何社もの内定をとって「勲章」にしている時代だ。大企業初任給は、韓国の方が高いと言うが、宝くじで当るようなものだ。

     

    (5)「10年前に団塊世代(ベビーブーマー)の定年退職が一段落し、日本企業は経費削減と利益率の改善が進んだため、若い人材を採用する余裕が出る好循環も目に付く。さらに日本特有の「新卒一括採用」という文化は100%近い大卒就職率を生み出している。新卒の大量採用は終身雇用を基本とする日本企業が求める人材を効率的に育てる方法だが、それは同時に大学を卒業したばかりの新卒を「社会人」に育てる社会的な責務でもある」

     

    日本の人材難は、これからさらに厳しくなる見通しだ。初任給は、急ピッチで上がるはずだ。

     

    (6)「これに対して韓国では、大卒の10人に4人は就職できず、20~30代の「就職浪人」が今や70万人に達している。サムスンを除く大手企業は新卒採用をやめ、経歴を見る「中途採用」を随時行う形に転換した。景気が落ち込む中で企業は変化や革新、効率をより重視しているからだ。海外で経験を積んだ学生たちが世界で活躍するのは素晴らしいことだ。しかし韓国にチャンスがないから国を後にするしかない学生が増えるのはやはり残念だ。韓国は少子化への危機感から出生率を上げるため数十兆ウォン(数兆円)を使っている。ところが生まれた子供たちは大人になる前に韓国から出ていく。だとすればこの膨大な努力に何の意味があるのか。日本留学ブームを横目に韓国がやるべきことは何か、改めて考えざるを得ない」

     

    韓国は、20~30代の「就職浪人」が今や70万人にも達している。韓国は、日本以上の終身雇用制で固めている。労組の強い要請が、こういう事態を生んだ。

     

     

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    (3)「2点目の「経済」について、記事は「日本政府は2027年の商業採掘開始という青写真を描いている(※実際には27年2月に大規模採掘の検証、28年3月までに採算性などの検討)ものの、経済的な実現可能性という問題は避けて通れない」と指摘。「野村総合研究所の試算によると、深海レアアースの採掘コストは陸上採掘の10倍以上に上り、輸送費だけでも総コストの30%以上を占める」とした」

     

    南鳥島のレアアースの品位は、中国陸上鉱山の20倍以上とされている。採掘コストと精錬コストの合計は、品位換算でトン当たり400~600ドルとされている。野村総研の想定する「深海レアアースの採掘コストは陸上採掘の10倍以上」の仮定は、品位を計算に入れていない単純計算であろう。判定のポイントは、南鳥島のレアアースの「高品位」にある。これが、採算点のカギを握るのだ。

     

    (4)「そして、「南鳥島は本土から約2000キロ離れており、数千トンから数万トン規模のレアアース泥を海底から採掘し、本土へ輸送して精錬するには、天文学的な資金が必要となる。高騰する採掘コストは、日本のレアアース製品が国際市場で競争力を持ち得ないことを意味する」と主張。「採掘自体は比較的単純であるものの、設備投資には少なくとも750億円が必要だとされており、理想的な条件下でも投資回収までに16年を要する。コストと時間という二重の圧力の下でより冒険に近いチャレンジになっている」と論じた」

     

    南鳥島の海底レアアースは、南鳥島で脱水してから日本本土を送ることになっている。「水分」を含んだ泥のままで送るはずがない。27年2月までに脱水施設が完成予定である。「理想的な条件下でも投資回収までに16年を要する」としているが、これは全くの「想定問答」である。日本には、経済安全保障という大義がある。日本がレアアースで、中国から威圧されるという屈辱を受け続ける訳にはいかないのだ。

     

    (5)「3点目の「生態系」について、記事は「深海採掘は海洋生態系に不可逆的な破壊をもたらす」と指摘。「技術面や経済面の困難がまだ数値で評価できるとすれば、深海採掘が生態系に与える影響は、もはや計り知れない災厄と言える。23年にはすでに国連の国際海底機構(ISA)に50を超える国々および環境保護団体からすべての深海採鉱許可を一時停止するよう求める署名が出されていた」とした」

     

    海洋鉱物資源の商業開発に関する国際ルールはまだない。開発を進めるには国際的な理解を得る必要もある。そこで、国連組織の国際海底機構(ISA)は、資源や生態系の保護を踏まえて海底の開発に関わる規則の策定を目指している。ISAのレティシア・レイス・デ・カルヴァーリョ事務局長は25年11月に来日し、外務省などを公式訪問した。ISAは今回の調査について、探査船「ちきゅう」を「最高水準の装備だ。日本の基礎的な科学研究と技術は、南鳥島沖の試験を確実に進めるだろう」(『日本経済新聞 電子版』(2月2日付)と太鼓判を押したのだ。この点についての懸念は、完全に払拭されている。

     

    (6)「その上で、「今回、日本が試掘を宣言した南鳥島の周辺海域は、太平洋の熱帯循環流の中核に位置し、サンゴ礁をはじめとする独特な生態系の生息域とされている。環境保護団体は、この採掘によって泥水が数万平方キロメートルに及びプランクトンや魚などの生物種を破壊し、連鎖的な生態系崩壊を引き起こすと警告している。深海生態系の回復には数千年を要するとされ、一度破壊されれば地球の生命ネットワークそのものが変質しかねない」と主張した。さらに、「深海採掘は海洋環境汚染を引き起こす可能性もある。採掘過程で発生する排水や廃棄物には重金属やその他の有害物質が含まれる恐れがあり、これらの有毒物質や放射性元素が海水を継続的に汚染し、海流によって世界中の海域へ拡散する危険性がある。その影響は、核汚染水がもたらす危険性と本質的に変わらない」と述べた」

     

    ISAのレティシア・レイス・デ・カルヴァーリョ事務局長が、25年11月に来日して日本側の対応を完全に評価したことで、この問題はクリアされている。

     

    (7)「記事は、以上の3点はいずれも日本の「レアアースの夢」を頓挫させるに十分な重さを持っていると指摘。「この大博打は、始まった時点ですでに勝ち目がない運命にある。日本の計画は本質的には資源不安と地政学的駆け引きの中で生じた非合理的な衝動にすぎない」と切り捨て、「高市政権が理解すべきは、レアアースを巡る駆け引きの核心は資源そのものの奪い合いではなく、科学技術、責任、そして未来に対する深い理解にあるという点だ。この小さな礼節と大きな大義を併せ持つ理解を欠いたままでは、日本の夢が実現することはない」と主張した。

     

    記事は、「この大博打は、始まった時点ですでに勝ち目がない運命にある。日本の計画は本質的には資源不安と地政学的駆け引きの中で生じた非合理的な衝動にすぎない」と切り捨てている。ならば、なぜ日本へレアアース輸出規制をしているのか。地政学的駆け引きをしているのは中国である。こうして、この記事は完全に論理の一貫性が保てない点で破綻しているとみるほかない。日本の南鳥島のレアアース採掘は、確実に前進していくはずだ。中国のレアアース「主権」は、揺らぐはずである。この焦りが、この記事の裏側に見て取れるのだ。

     

    あじさいのたまご
       

    日本が、総力を挙げて取組んでいる南鳥島のレアアース採掘について、中国メディアは冷淡な報道を行っている。日本は、「中国のレアアース依存から脱却するための重要な一歩とまで喧伝しているが、実際には技術、経済、生態系という3点から大きな賭けと言える」と指摘する。最終的には、科学技術力が勝負を決めるもので、基礎研究力が高い日本に歩のあることは確実である。戦後、ノーベル科学賞授賞者26名を生み出した基盤が生きるであろう。ちなみに、中国のノーベル科学賞授賞者は1名である。日中では、科学研究層の厚みが全く異なるのである。

     

    『レコードチャイナ』(2月6日付)は、「レアアース採掘で大ばくち、日本の願いはかなうのか?―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国のニュースサイト『観察者網』(2月6日付)は、「水深6000メートルの深海で泥を掘る大ばくち、日本の願いはかなうのか?」との記事が掲載された。

     

    日本政府は2日、南鳥島周辺海域でレアアース(希土類)を含む海底泥の試掘に成功したと発表した。記事は、「このニュースは中国のレアアース依存から脱却するための重要な一歩とまで喧伝されたが、実際には技術、経済、生態系という3点から大きな賭けと言える」と指摘した

     

    (1)「1点目の「技術」について、記事は「日本の試験採掘における技術的課題は、水深6000メートルという極限環境にある」とし、「探査船『ちきゅう』は数キロメートルに及ぶパイプを海底まで伸ばし、約550気圧に相当する極端な水圧に耐えながら、高粘度・低流動性のレアアース泥を正確に採取する必要がある」とした。その上で、「日本側は今回の試験採掘によって高圧環境下における設備の信頼性を検証できたと主張しているが、過去のデータはそれに冷や水を浴びせるものだ」とし、「日本は2012年にすでに深海レアアース採掘計画を打ち出していたが、技術的なボトルネックにより延期を繰り返してきた。22年には水深2500メートルでの技術検証を行ったにとどまり、商業化の目標には依然として程遠い状況にある」と主張した」

     

    この記事は、日本側記事の出典を明らかにしていない点で、「ルール違反」である。批判する以上は、必ず明記すべきである。そういう意味で「歪曲」されている危険性がある。人類未到の深海での泥の吸い上げという難事業である。まず、2200メートルで実験するのは科学的事業では当然である。こういう慎重な過程を経て6000メートルへ到達した。中国でも同種の実験を行って失敗しているのだ。自国が不可能であったから、日本も失敗するという前提は、科学の進歩を否定するものであろう。


    成功の要因は、日本製の高張力鋼がその機能を発揮したことだ。日本製鉄の高張力鋼は、世界一の性能を誇っている。中国では、この技術がないのだ。かつて日鉄から特許違反で提訴されたほどだ。

     

    (2)「また、「日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の関係者は、サンプル採取に成功することと1日350トンの安定的な採掘を実現することには大きな技術的ギャップがあると認めている」としたほか、「さらに重要なのは、日本にはジスプロシウムやテルビウムといった重レアアースを高効率で分離・精錬する技術が欠けていることだ」と指摘。「不純物を大量に含む深海のレアアース泥から高純度のレアアースを効率的に抽出することは、絵空事に等しい」と断じた」

     

    日本が、1日350トンの安定的な採掘を実現には大きな技術的ギャップがある指摘しているが、そういう技術的な詰めを行っているのが今回の実験である。ここから多くのヒントが得られているはずだ。科学というものは、こういう実験の積み重ねである。27年2月から1日350トンの実証実験が始まるのだ。部外者の中国が、実験データも見ずに安易な結論を出すのは、科学実験への否定に繋がる。基礎研究力の弱い中国では、こういう慎重な取組みを理解できないのだろうか。

     

    日本の精錬法は、中国の物理的精錬法と異なり、「化学的精錬法」と言われるものだ。常温・常圧で小規模で精錬ができる点で、中国とは180度も異なっている。環境破壊も起こさないのだ。これも日本の基礎研究力が生み出した成果である。精錬コストも、中国より安いのだ。(つづく)

     

     

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