勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    韓国トラック運転手のストライキは、すでに港湾での輸出入貨物の積卸しで大きな影響が出ている。輸出減少に悩んでいるが、ストライキの影響で一段と輸出の落込みが厳しくなりそうだ。

     

    市内では、ガソリン運搬車がストライキで稼働率が落ちており、ガソリンスタンドに「ガソリンがない」という事態が始まっている。今週は、ソウル市内で「ガソリン不足」現象が広がる恐れも出てきた。

     

    ユン政権は11月に、貨物車労働者に業務開始命令を下した。これは盧武鉉政権が、2004年に貨物自動車運輸事業法の改正に伴ってつくった法律に基づく命令である。野党「共に民主党」は、この業務開始命令に対して反対もできない微妙な立場になっている。労働者が、業務開始命令に応じなければ刑事処罰されるだけに、いずれ騒ぎは大きくなるであろう。

     

    『WOWKOREA』(12月3日付)は、「『ガソリンスタンドにガソリンがないなんて』、貨物連帯のストライキが招いた品切れ大乱」と題する記事を掲載した。

     

    全国民主労働組合総連盟・公共運輸労組・貨物連帯本部(貨物連帯)のゼネスト(運送拒否)が10日目を迎え、全国の品切れガソリンスタンドが60か所に増えたことが分かった。

    (1)「12月3日、産業通商資源部(産業部)によると、前日の午後2時時点で全国の品切れガソリンスタンドは計60か所だった。同日の午前8時(52か所)より8か所増えた。11月30日の午前8時時点の23か所から37か所に増加した。燃料別ではガソリン41か所、軽油13か所で、ガソリンと軽油が共に売り切れたところは6か所と集計された。地域別では、ソウル市22か所、キョンギド(京畿道)16か所など首都圏で目立っている」

     

    首都圏でガソリンスタンドが、ガソリン不足に見舞われるケースが増えてくると、世論もやかましくなろう。左派の盧武鉉政権がつくった「業務開始命令」だけに、野党も業務命令を非難でない立場だ。スト収拾に向けて、野党も協力すべきであろう。

     

    (2)「パク・イルジュン(朴一俊)産業部第2次官はこの日、大韓送油管公社チョナン(天安)貯油所を訪問し、石油製品の出荷状況を点検した。天安貯油所は1989年7月に竣工し、貯蔵タンク9基、計21万バレルの貯油設備を通じて首都圏・忠清圏に石油製品を供給する施設で、先月24日にストライキが始まって以来、連日集会が続いていたところである。朴第2次官は「全国のガソリンスタンド出荷量は11月30日以降回復傾向である」としながらも「首都圏を中心に発生した一部のガソリンスタンドでのガソリン・軽油品切れ現象が最近は忠清南道地域まで広がっている状況について非常に厳重に認識している」と述べた」

     

    ガソリン不足になると、経済活動に直接の影響が及ぶ。特に、10~12月期のGDP成長率が前期比マイナスもあり得るという厳しい見方も出て来ただけに、早期解決が望まれる。12月という1年の最繁忙期を迎えているだけにストの行方に関心が持たれている。


    (3)「続いて、「集団運送拒否でも運送に乗り出すタンクローリーの運転手たちに被害が発生しないよう、産業部でも積極的な警察の支援と協力を繰り返し要請する」と付け加えた。産業部は精油4社と大韓石油協会、韓国石油公社などが加盟する‘精油業界非常状況班’を運営し、主要拠点別の入荷・出荷とガソリンスタンドの在庫現況などをモニタリングしている」

     

    政府は、ガソリンスタンドの在庫状況などをモニタリングしているが、厳しい状況になれば、政府への非難となろう。韓国世論の半分は、左派支持である。

     

    (4)「これに先立ち、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は民主労総公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)に対し「不法と犯罪に基づく争議行為には最後まで法的責任を問う」と明らかにした。また、週末以降も貨物連帯のゼネストが続く場合、業務開始命令の拡大など、利用可能なすべての案を検討するという強硬な考えも再確認した。特に、首都圏のガソリンスタンドのガソリン品切れ事態まで予想されるため、週明けにただちにタンクローリーに対する追加業務開始命令を発動するものと予想される。さらに大統領室は政府発注物量被害額と関連した訴訟も検討している」

     

    政府は、法的手段一点張りである。これだけでは、解決は難しい。韓国のトラック運転手は、特殊な雇用形態になっている。これを、解決することが必要だろう。

    あじさいのたまご
       

    習近平氏は、すべてが台湾統一に向けられている。国家主席3期目の最大の課題は、台湾統一とされている。習氏が歴史に名を刻むには、これしかないというのだ。

     

    中国政治では、祖国統一が最大の目的とされている。秦の始皇帝が、最も尊敬されるのは中国統一であった。次いで、毛沢東の革命による新中国建国である。後は、台湾統一が残されている。習氏が、万難を排してこれに挑むためには、国内を緊急時に合わせて整備することが不可欠。中国が、台湾有事で西側諸国から制裁されるのに備え、国営の食料品店を拡張しているというのだ。何とも、時代錯誤なことに心血を注いでいるものである。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月3日付)は、「中国、国営食料品店が拡大 売上総額120兆円 アリババに迫る 有事念頭に習指導部後押し」と題する記事を掲載した。

     

    中国で、食料や日用品を実店舗で扱う国営の「供銷社」が売り上げを伸ばしている。2021年の売上総額は前年比19%増の6兆2600億元(約120兆円)で、インターネット通販の巨人アリババ集団の8割に迫った。習近平指導部が国主導の流通網の強化に向けて支援していることが一因だ。紛争など有事の際にも食糧を安定供給する狙いがあるとの見方が出ている。

    (1)「供銷社は農家から農産物を買い上げて流通させており、日本の農協に似たところがある。国の機関である中華全国供銷合作総社が管轄する。北京市中心部の朝陽区団結湖地区。外国人も多く住むこの地域に10月、供銷社が開店した。11月平日の午前中に訪れると店内は中高年の買い物客でにぎわっていた。「きょうは大根がほかのスーパーより安い。ここの野菜はどれも形がきれいね」。40代の女性客は笑顔で話した。入り口のポスターには、特売品ではなく「共産党に従い、共産党とともに歩む」とのスローガンが並ぶ。外壁には「供給を保障します」と書いてある。店内は普通のスーパーだが、部分的に国営色が色濃く出ている」

     

    中国共産党の第20回党大会が10月終わった後、国営商店である供銷社(供給販売合作社)が北京、上海、広州、深圳などの大都市で拡大していると官営メディアが大々的に報道している。全国各地で「国営食堂」が営業を始めたというニュースも相次いでいる。10月31日、中国の住宅建設部と民政部は、全国の各市・区政府が共同食堂、商店、乳児院、保育所、老人ホーム、医療施設を備えた「完全な居住団地」(完整社区)を試験建設するよう指示したという。韓国紙『ハンギョレ新聞』(11月15日付)が報じた。「共同富裕論」の実現に向けたテストケースと見られる。

     

    (2)「供銷社は、建国直後の1950年に誕生した。農産品や日用品の配給が滞らないように党と政府が流通統制を敷いたのが誕生のきっかけで、改革開放前の計画経済時代には食品や日用品の主な流通経路だった。改革開放後は民間小売業に押されて衰えたが、近年はじわじわと復活している。特に習氏が党トップに就いた2012年以降に拡大が加速し、21年の売上総額は12年比2.4倍に膨らんだ。21年の伸び率は19%で、中国全体の小売売上高の伸び(12%)を上回る。好調の一因はゼロコロナ政策だ。外食を減らし、自炊する人が増えたことが追い風になっている」

     

    今時、供銷社という国営商店の拡充に乗り出している目的は、鄧小平の改革開放路線を棚上げして、毛沢東時代に戻ろうという動きであろう。また、台湾有事の際は生活必需品を国民に届けるという狙いもあろう。

     

    (3)「ネット通販も含め民間小売業が全盛の時代に、なぜ国営商店なのか。北京市の有名大学の教員は「将来起こりうる『危機』に備えて食糧供給が滞らないように準備している可能性がある」と指摘する。習指導部が「公約」に掲げる台湾統一に武力を用いた場合、米国が中心となって対中国の「経済封鎖」に乗り出す可能性はぬぐえない。仮に食糧不安が起きれば共産党体制を揺るがしかねない。供銷社を通じて流通網への国の関与を強めることが有事の備えにつながるとの見立てだ」

     

    ここでも、国営商店拡充の狙いは台湾有事に備えたものという解釈である。誰でも、「今なぜ」という疑問を持って当然だろう。

     

    (4)「中国の穀物自給率は公式統計では95%と高いが、実際には78割との見方もある。豚の飼料に欠かせない大豆など大半を輸入に頼る穀物もある。供銷社は中国が貧しかった計画経済時代の「象徴」ともいえ、中国の庶民は供銷社に複雑な感情を抱く。北京市出身の50代の男性は「子どもの頃、親が食糧配給切符をもって供銷社で農産物を受け取っていたのを思い出す。あの頃に逆戻りしているようだ」と語る。人口が2千万人を超える北京市では民間の大手スーパーがしのぎを削る。安くて鮮度の高い野菜を売る市場も残る。「国営商店が前面に出てくる事情がわからない」と首をかしげる市民も少なくない」

     

    中国の穀物自給率(エネルギー・ベース)は、70%台前半と推測されている。台湾有事になれば、経済封鎖で2割強が不足する。習氏は、これに備えて「食べ残すな」「レストランでの注文料理数を減らせ」とかやかましいことを言っている。だが、絶対的な食糧不足は如何ともし難いのだ。「頭隠して尻隠さず」である。

    あじさいのたまご
       

    習近平氏は2021年の新年演説で、新型コロナウイルス感染を徹底して封じ込める中国の「ゼロコロナ」政策の成功ぶりを誇らしげに語った。先の党大会でも、ゼロコロナ政策の成果を宣伝したものだ。それも束の間で、国内で感染患者が続出しており、ロックダウンが強化される始末である。 

    中国は、これまでコロナも封じ込め、市民の不満も封じ込めと、すべて「臭いものに蓋をする」という便宜的手段で対応してきた。それも、ついに限界に達した。若者が、一斉に街頭へ出た「ゼロコロナ反対」を叫んでいるのだ。21年の新年演説と全く逆の事態が引き起こされている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月2日付)は、「中国『ゼロコロナ』出口、手探り 浮かぶ段階的緩和」と題する記事を掲載した。 

    中国政府が新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の「出口」を模索している。全面解除なら、感染爆発で200万人以上が死亡するとの試算もあるが、長引く行動制限と経済停滞で市民の不満は強い。習近平指導部の威信を傷つけぬよう、段階的な緩和に動くシナリオが指摘されている。 

    (1)「11月26日以降に、ロックダウンなどへの不満を示す抗議活動が全国に広がり、一部は習近平国家主席の退陣や政治的自由の拡大まで求めた。抗議活動が政権の安定を揺るがしかねず、習指導部はゼロコロナの軌道修正を探らざるを得ない状況にある。だが、全面解除には国産ワクチンの有効性と接種率の低さという壁が立ちはだかる。世界保健機関(WHO)の専門家らは7月、各ワクチンの有効性を比較した論文を発表した。2回接種した香港の60歳以上の患者で重症・死亡を防ぐのに、米ファイザー・独ビオンテック製の有効性は約89%、中国のシノバック製は約70%と差が出た」

     

    ゼロコロナという非科学的な封じ込め策は、中国製ワクチンの効果が、欧米製に比べて劣ることと、医療施設の不足という中国の後進性が招いた事態である。世界の笑い者になったことに気づくべきであろう。英紙『フィナンシャル・タイムズ』(11月29日付)は、「ゼロコロナの失策で、これまで周到につくり上げてきた習氏の知能と力を備えた人物というイメージはもはや維持できないだろう」と辛辣な批判を加えている。 

    (2)「中国国家衛生健康委員会によると、ワクチンを2回接種した人は60歳以上で約86%、80歳以上で約66%にとどまり、日米よりも低水準だ。英医療調査会社エアフィニティは11月28日の報告書で「中国がゼロコロナを解除すると130~210万人が死亡するリスクがある」との推計を示した。中国政府も4月、ゼロコロナを緩和した場合に「200万人の死者が出る」との試算値を公表した。習指導部がゼロコロナに固執してきたのは、徹底的な隔離で感染や死亡を抑え込み、プラス成長を維持した初期の成功体験があったためだ。ゼロコロナの是非は習氏個人の威信や政治手腕への評価と直結、柔軟な軌道修正が困難になった」 

    中国では、高齢者のワクチン接種率が日米よりも低水準である。これは、農村のお年寄りが「漢方薬」になれきっており、「注射」を嫌うという前時代的な感覚による面が大きい。また、中国製ワクチンの副作用が知れ渡っており、農村では忌避されている。まさに、中国は「身から出た錆」と言える。

     

    (3)「目算が狂ったのは感染力の強いオミクロン型の流行だ。感染者数の急増で今春、最大の経済都市上海を約2カ月にわたって封鎖した。いったんは収束したが、10月以降に再拡大し、野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)の推計で、68都市の約5億3000万人(11月28日時点)が封鎖や行動制限の対象となっている。中国では失業率が高止まりし、個人消費も冷え込む。国際通貨基金(IMF)は10月、2022年の中国の実質経済成長率の見通しを3.%と下方修正し「下振れリスクが残る」と注記した」 

    11月28日現在で、約5億3000万人がゼロコロナで行動制限を受けている。全人口の38%にも及ぶ。これでは、中国経済に大きなダメージを与えて当然である。IMFが今年のGDP成長率に下振れリスクがあると警告するほどだ。中国国家統計局が11月30日に発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.0と、前月の49.2から低下し、7カ月ぶりの低水準となった。世界的な需要低迷や新型コロナウイルス対策の規制が影響したのだ。このように、中国経済は沈滞の底を這っている感じである。

     

    (4)「今後の出口戦略について三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、22年末、23年3月末と2段階の緩和を予想する。高齢者のワクチン接種と地方での医療整備を加速しつつ、隔離期間を2段階で短くし、春先にゼロにする流れだ。SMBC日興証券は「政策変更は威信に関わる問題で、目先で劇的な変化が起こると期待すべきではない」と指摘する。ゼロコロナの看板は下ろさずに徐々に緩和を探るとの見方だ。経済停滞が長引けば市民の不満は解消しない。感染爆発で死者の急増を許せば、遺族らの悲しみの矛先は習指導部に向かう。求心力の維持へ難しいかじ取りが続く」 

    ゼロコロナを行なわざるを得ない条件が、全く変わっていない中で、「22年末、23年3月末と2段階の緩和を予想する」のは、無責任という感じである。欧米製ワクチンを導入するなどの施策がない限り、さらなる混乱を招くだけであろう。

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    習近平氏は、中華思想の復活を目指している。中国が、世界の中心というこの民族主義は、国際社会で摩擦を引き起こしている。まさに、チャイナ・リスクの発生である。中国企業は、このリスクに飲み込まれては大変と、本社所在地をシンガポールで登記する例が急増しているという。台湾有事が起こって中国経済が制裁を受けても、「シンガポール企業」としてリスクをすり抜ける計画だ。

     

    英国『フィナンシャル・タイムズ』(11月30日付)は、「中国企業、シンガポールへの『退避』急増」と題する記事を掲載した。

     

    中国企業が過去1年間でこっそりとシンガポールに住所変更、または登記する事例が急増している。その数は500社にも上る。米中間の緊張が高まる中、地政学的リスクを回避することが狙いだ。

     

    (1)「中国企業がシンガポールに拠点を置くのは、今に始まったことではない。しかし、銀行幹部らによると、西側諸国が中国企業への監視を一段と強化する中、中国本土の企業が持ち株会社をシンガポールに設置して将来のリスクに備えようとする動きが現在、「激しく」なっているという。こうした行動に出ている中国企業の正確な数は不明だ。というのも、シンガポールは公式統計で、同地に新たに設立した企業の国籍を明らかにしていないからだ。しかし、ある弁護士は自らの事務所の内部調査で、500社を超える中国企業が2022年、シンガポールに会社を設立したことが分かったと述べており、専門家によると、これは過去数年の数字を超えているという」

     

    世界が中国企業へ監視の目を強めている中で、シンガポールへ本社を移す中国企業が増えている。習氏が描く「中華復興」は、すでに世界から警戒されている証拠だ。

     

    (2)「シンガポールの別の経営コンサルタント会社が、データを元に計算したところによると、富裕層の資産運用を担う「ファミリーオフィス」を含め、その数は400社だという。同社も前述の弁護士と同様、取り扱いに配慮が必要な情報であるため、匿名を希望した。アナリストらは、ファミリーオフィスの多くが中国からで、その数は、今年末までに1000をはるかに超えるとみている。20年末には400だった」

     

    中国からシンガポールへ移転するのは企業だけでない。中国の富裕層までが、将来の財産没収リスクを回避すべく、資産をシンガポールへ移している。

     

    (3)「シンガポールはこの傾向の恩恵を受け、世界の金融と資本の流れの中心として一層強みを発揮する見通しだ。グローバル金融センター指数によると、9月には、香港を追い越して、アジア最大の金融の中心地となり、ニューヨーク、ロンドンに次いで世界第3位につけた。シンガポールは、ネットワーク作りや取引形成の上でも中国より優位にある。中国では渡航規制が厳しく、新型コロナウイルス回避のためのロックダウン(都市封鎖)が続いているため、企業幹部にとって重要な出張は限られている」

     

    シンガポールは、「脱中国ムード」に乗って潤っている。グローバル金融センターも、香港が中国支配を受けて脱落し、シンガポールが世界3位に浮上している。

     

    (4)「世界展開している未公開株式投資会社のある幹部は、「我々はこの傾向を『シンガポール洗浄』と呼んでいる。その企業を投資家に紹介する際に、シンガポールに住所がある、または本社があるとなれば、投資に売り込む条件を満たす材料となる。シンガポールに上場しているというだけでも良い」と述べた。この傾向は加速している。西側の消費者に人気のあるファッション企業SHEINは今年、シンガポール支社を大幅に拡充した。EV生産のスタートアップ企業であるNIOは、欧州市場に進出した後、米市場への参入を計画している。同社はすでに、ニューヨークと香港に上場しているにもかかわらず、今年5月にシンガポール株式市場に上場した」

     

    資本市場の世界でも、シンガポールに本社があるというだけで安心感を持って貰えるという。中国は落ちぶれたものだ。異次元の世界にみられているのであろう。シンガポール市場への上場も「箔」がつくというのである。

     

    (5)「シンガポールの大手法律事務所デントンズ・ロダイクのシニア・パートナー、キア・メン・ロー氏は、以前は多くの企業が香港を選んだものだと話す。しかしシンガポールと並ぶ金融センターである香港への締め付けを中国政府が強化する中、代替地としてシンガポールを選ぶのは当然の成り行きだと同氏は述べた。ロー氏は、中国企業がシンガポールの企業と合併、または買収して合弁企業を作り、シンガポールの経営陣や従業員を取り込み、さらに、シンガポール人を取締役会に加える例をよく見るという」

     

    シンガポールは、完全に香港に取って代わる地位についた。香港の地盤沈下が確実に進んでいるのだ。

     

    (6)「米ナスダックに上場している国際金融サービス企業、ストーンXCEO、グレッグ・カリニコス氏は「シンガポールにとって未来は明るいが、同国はこの傾向を適切に取り扱わなければならない。シンガポール政府はシンガポールにとっての好機を最大限に利用しようとしており、正しい方向に進んでいる」と述べた。同氏は、シンガポールの司法制度が世界の投資家を安心させているとみている。「シンガポールの会社と聞くだけで(投資家は)信頼できる」と同氏は言う」

     

    投資家は、シンガポールの会社と聞いただけで安心するという。シンガポールの司法制度が、世界の投資家を安心させているのだ。この伝で言えば、中国の司法制度が世界の投資家から信頼されていないので、中国企業まで信頼されない事態となっている。

     

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    韓国経済は、輸出依存度が高いので世界経済の動向に大きく影響される。米シティグループは11月30日、23年の世界経済の成長率が2%以下に減速するとの見通しを明らかにした。これまでに米ゴールドマン・サックス、JPモルガン、英バークレイズなども同様の見通しを示している。世界経済の成長率は3%以下の場合、貿易が厳しくなると受け止められてきた。来年は、そういう時期に遭遇するだけに、韓国経済には逆風となろう。

     

    『中央日報』(11月30日付)は、「韓国、『コロナショック』以降で産業生産が最大・最長の減少 半導体不振まで」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の産業景気が、新型コロナ初期のような動きである。生産と消費が萎縮し、主要業種の不確実性が続く状況だ。特に主力産業の半導体が振るわず、来年の景気見通しにも寒波が近づいている。

    (1)「統計庁が11月30日に発表した「10月の産業活動動向」によると、10月の全産業生産は前月比1.5%減少した。産業生産は7月(-0.2%)、8月(-0.1%)、9月(-0.4%)と減少が続き、10月は減少幅が大きく拡大した。新型コロナが経済に本格的に打撃を与え始めた2020年4月(-1.8%)以来の最大幅だ。生産が4カ月連続に減少したのは2020年1-5月以来の最長期間。新型コロナ危機が始まった当時と景気指標が似ている」

    生産が7月以降、4カ月連続で減少したのは2020年1~5月以来である。これは、新型コロナ危機当時と似かよっていることから、警戒しなければならない。コロナ危機(2020年)では、GDPがマイナス0.7%成長であった。来年の景気予測で、ノムラがマイナス0.7%としたのは、最近の動きが2020年の景気動向と近似したパターンであると判断している結果かも知れない。

     

    GDP成長率を尺度として見ると、韓国経済が1%台以下に低下したのは、次の3回だけである。

    1)1998年 マイナス5.1%(通貨危機)

    2)2009年 プラス0.8%(金融危機)

    3)2020年 マイナス0.7%(コロナ禍)

    内外の主要機関が、来年の成長率見通しを1%台に引き下げているのは、前記のような「危機クラス」の経済寒波がやってくるという予告だ。


    (2)「特に半導体の不振が、製造業の活力低下に主な原因として作用している。10月の半導体生産は前月比で0.9%反騰したが、内容をみると依然として厳しい。半導体生産は3月以降、6月を除いては9月まで減少した。統計庁は「半導体生産は小幅増加したが、それ以前に連続で減少しただけに相対的反騰の性格があるとみている」とし、「業況の不確実性が解消したとはみていない」と評価した」

     

    半導体は、これから本格的は下落局面を迎える。現在の下落は序の口である。韓国の輸出の2割は半導体が占めている。それだけに、半導体不振が生産活動に大きな影響を与える。私は、ノムラのマイナス成長予測が現実の厳しさを見抜いていると見る。韓国経済に占める半導体の位置は、圧倒的であることを忘れてはいけないのだ。

     

    (3)「最近、半導体産業は中国の封鎖措置、情報技術(IT)産業の不況など影響で需要が減少している。これに先立ち産業研究院は来年も半導体生産が年間4.9%減少すると予想した。来年の半導体輸出は9.9%減と見込んでいる」

    米国のIT関連企業が、相次いで大規模な人員整理に動いている現実を見落としてはいけない。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は11月9日、従業員に宛てたメッセージで、自分も「永続的なIT加速がコロナ収束後も続く」と考えていた一人だと打ち明け謝罪した。これは、半導体の大口需要先のIT企業が、大型設備投資を控えるという兆候である。IT産業界は、このように過去の惰性で将来を見ることの危険性を伝えている。韓国経済は、半導体依存度が大きいだけに慎重に見ることである。



     

     

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