韓国政府は、2030年代半ばまでに初の原子力潜水艦(原潜)を国内で建造・進水させ、30年代後半には海軍の第一線部隊に配備する目標を発表した。だが、日本海での作戦計画に従事する目的だけで、原潜を保有するのは非経済も甚だしいと指摘されている。韓国は、中国への遠慮でインド太平洋戦略へ参加する計画がない。原潜は本来、大洋での作戦従事が基本である。ハッキリ言えば、「無駄」とされている。
『ハンギョレ新聞』(5月30日付)は、「『32年間秘密』の韓国の原潜事業、ついに公表…『水中キルチェーンの実現に貢献』」と題する記事を掲載した。
(1)「アン・ギュベク国防部長官は26日、李在明(イ・ジェミョン)大統領が出席する中、慶尚南道鎮海(チネ)にある海軍潜水艦司令部で開かれた「第1回未来国防戦略委員会」で、原潜開発の基本計画である「張保皐(チャンボゴ)N事業」について報告した。「張保皐N事業」とは、大韓民国初の潜水艦である「張保皐」の精神を継承した次世代モデルに、原子力推進方式を適用し、最先端の新技術を集約した潜水艦を建造するという事業を意味する。アン長官は、原潜が「北朝鮮の潜水艦発射型核ミサイルの脅威に備える上で重要な役割を担うだろう」とし、「ディーゼル潜水艦よりも密かに、かつ迅速に北朝鮮の潜水艦戦力を監視・追跡できるため、水中キルチェーンの実現に大きく貢献する」と述べた。
朝鮮半島周辺だけで運用する潜水艦が、原潜である必要性は全くない。韓国は、インド太平洋戦略に参加していないため、原潜の必要性は極めて低い
というのが軍事的な評価だ。
(2)「韓国軍当局は、原潜を少なくとも4隻以上建造する案を検討しているという。アン長官は「大韓民国国内で原潜を開発・建造する」と述べた。国内で原潜のプラットフォーム(船体)と推進システム(小型原子炉)を製造し、原子炉の核燃料については米国の支援を受ける方針だ。政府はこの日、基本計画を発表し、32年間にわたり極秘で推進してきた原潜開発を公開事業へと転換した。原潜開発の公開事業への転換は、韓国の核武装に対する懸念を払拭し、トランプ米大統領の任期内に成果を固める効果を狙ったものとみられる」
原潜は、少なくとも4隻以上建造する案を検討している。1隻当たりのランニングコストは、300~500である。4隻で1200~2000億円もする。10年に1度は原子炉の補修があり、1隻当たり5000億円は必要。4隻で2兆円にもなる。通常潜水艦の10倍以上の維持費がかかるので、韓国海軍の予算規模では、
原潜を複数運用するのは極めて困難とみられている。
(3)「金泳三(キム・ヨンサム)政権時代の1994年に始まった原潜開発は、32年間にわたり推進と頓挫を繰り返してきた。最大の障害は、「韓国が核武装する可能性がある」という米国の懸念だった。米国から原潜の推進機関である小型原子炉に投入する核燃料を提供してもらえなければ、原潜を運用することはできない。従来の韓米原子力協定は民需用を前提としているため、軍事的活用を目的とした濃縮ウランの確保には別途の協定が必要だ。米原子力法第91条には、大統領の承認があれば軍事的用途の核物質を他国に移転できるようにした例外規定がある。昨年11月の共同説明資料(ジョイント・ファクトシート)発表直前まで、韓米はこの問題を巡って駆け引きを繰り広げた。このため、今後の実務協議が順調には進まないだろうという見通しが示されている」
韓国原潜計画が持ち上がったのは30年以上も昔である。当時は、反日ムードが強かっただけに日本への対抗が主目的であったのだろう。
(4)「韓国は基本計画を通じて、核兵器を搭載した戦略潜水艦は建造せず、魚雷のような通常兵器で武装した潜水艦を建造すると繰り返し強調した。政府が基本計画に、核不拡散義務を透明かつ確固として履行するという「約束」を含めたのも、韓国の核武装への懸念を払拭するためだ。基本計画は「いかなる形の核兵器も保有せず、核兵器を開発もしない」という基本姿勢を明らかにした。さらに「大韓民国は国際原子力機関(IAEA)と共同で、原潜に適用可能な安全措置体制を構築し、高水準の核不拡散義務を履行していく」と明記した。韓国は、そもそも核兵器として使用できない20%以下の低濃縮ウランを使用する方針だ」
原潜は本来、外洋での敵潜水艦追跡や海上交通路の防衛に当たる。また、同盟国との共同作戦や長期潜航による戦略偵察もある。このため、これらは 複数隻のローテーション が前提になっている。だが、韓国のように外洋作戦をしない、インド太平洋戦略に参加しない。同盟ネットワークを持たないという国が、原潜を持っても 戦略的価値はほぼゼロとされている。こうなると、韓国が4隻の原潜を持つ意味が不明となる。




