韓国の労働組合員は、「貴族労組」と言われて優雅な生活を送っている。所得最上位20%に入っているからだ。その「貴族」が突然、文政権に縁切り状を渡して、政権打倒に邁進するというから、外部の者には事情が飲み込めない。文政権が、貴族労組の存在がお荷物になってきたのだ。政権が、労働運動で暴力沙汰を起こしている労組を、これ以上かばい立てできないという意味なのだろう。となれば、政権は労組と「喧嘩別れ」になる。
『聯合ニュース』(6月25日付)は、「韓国有力労組、文政権との全面闘争宣言、労働弾圧粉砕掲げストへ」と題する記事を掲載した。
韓国労働組合の全国組織、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は24日、青瓦台(大統領府)前で記者会見を開き、金明煥(キム・ミョンファン)委員長の逮捕を批判した上で、全面的な闘争に入ると宣言した。来月18日に「文在寅(ムン・ジェイン)政権の労働弾圧粉砕」を掲げる全面ストライキを実施する。
(1)「金氏は国会前での集会で警察を暴行するなどの違法行為を計画、主導した容疑で、21日に逮捕された。民主労総は記者会見で、金氏の逮捕を「文在寅政権の宣戦布告」と見なし、「文政権はスローガンでしか存在していなかった『労働尊重』を放棄し、『財閥尊重』と『労働弾圧』を宣言した」と批判。「全面的かつ大々的な闘争を並々ならぬ決意で組織する」と表明した。
警察官に暴行を加えた以上、警察もメンツにかけて逮捕せざるを得まい。労組側は見逃してくれると高をくくっていたようだ。次の記事(『中央日報』6月24日付)が、この間の事情を説明してくれる。
全国民主労働組合総連盟(民主労総)は現政権からパートナー待遇を受けた。政府は積弊清算という基準で前政権における「被害者」概念を民主労総に植えつけた。ほとんどの違法デモに目を閉じた。警察が暴行を受けても、器物が損壊しても、公共機関が占拠されても、ただ黙っていた。被害者が悔しさを噴出させていると見なすようだった。
キム・ミョンファン民主労総委員長がソウル永登浦(ヨンドンポ)警察署に出頭した当時、「逮捕状を請求しないはず」という見方が多かった理由だ。警察は逮捕状を請求した。逮捕の必要性に対する証明資料は意外にも緻密だった。裁判所が認めた。 民主労総は激高した。まさかが現実となり、予想以上に衝撃が大きかったようだ。「もはやロウソク政府ではなく労働弾圧政府だ。全面的かつ大々的な闘争をする」と明らかにした。パートナーシップ破棄だ」といきり立っている
(2)「ストに先立ち、今月26日に蔚山で全国労働者大会、27日に最低賃金1万ウォン(約927円)への引き上げと労働弾圧粉砕を訴える決起大会、28日に全国の単位事業場代表者による決起大会を開く計画だ。一方、民主労総は最低賃金委員会を含め、政府の53の委員会(2018年11月時点)に参加している。これらの委員会を欠席するかどうかは、今後議論して決める」
民主労総は、決起大会を開くと意気盛んだが疑問視する見方が出ている。前記の『中央日報』から掲載する。
民主労総が「総団結強力闘争」を宣言したが、効果は未知数だ。3月のゼネストでは全体組合員の1%にもならない3000人が参加にとどまった。動力をほとんど失った状況だ。ルノーサムスン車で見られたように産業現場の労働組合離脱現象も尋常でない。パク・ジスン高麗大法学専門大学院教授は「民主労総が社会的な対話など変化を図らない限り、労政の葛藤が今後、政府の民主労総離れにつながることもある」と述べた。