勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    環境対策は、実施が遅れるほどコスト増加に見舞われるものだ。中国は今、その渦中にある。中国の環境破壊は、人間生存の限界を超えていると言われている。最近の経済減速で、国民の暮らしが悪化している上に、大気汚染などが加わると、一層の政府批判を招くのは当然。そこで、遅ればせながらも環境規制に取り組んでいる。

     

    中国が、環境規制の法律を作ったのは1989年と早かった。だが、法律を制定してもそれだけ。取締はないも等しいザル法であった。企業からの賄賂で取締を見逃してきたのである。いかにも賄賂の国、中国らしい経緯を経ている。最近の大気汚染は、人間の生命を脅かす事態となっている。政府も重い腰を上げざるを得なかった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月10日付)は、「中国の環境規制強化、日本企業、生産移転広がると題する記事を掲載した。

     

    中国の環境規制強化に伴い、日本の素材や部品メーカーが生産拠点の移転や計画変更を余儀なくされている。三洋化成工業2019年中に中国の工場の一部生産をタイに移す。化成は蘇州市の工場の拡張を断念し、江蘇省に新設する。18年には汚染物などの排出量に応じた税制度も導入され、進出企業のコスト負担が増している。

     

    中国政府は広域経済圏構想「一帯一路」のなかで、環境保護政策で世界をリードする戦略を示している。15年以降、排水・排ガスなどの規制を段階的に強化し、既に「規制水準や罰則は日本より厳しい」(化学メーカー幹部)という声もある。現地で環境保護の姿勢をとってきた日本企業も対応を迫られている。

     

    (1)「三洋化成は江蘇省南通市の工場で手掛ける塗料用添加剤の生産をタイの既存工場に移す。これまで生産過程で大量に排出する廃液を現地業者が回収していた。しかし、環境規制の強化で回収価格が上がったり、業者が廃業したりして対応が難しくなった。旭化成は20年に江蘇省常熟市で自動車の軽量化に使う樹脂の新工場を稼働させる予定だ。蘇州市内の既存工場での生産での増産を検討してきたが、排ガス規制などが厳しくなり、拡張工事を断念した」

     

    環境規制は当然、行うべきものである。だが、改革開放の40年間、環境問題を真面目に取り上げたのはここ2~3年のことだ。その間は、全くの野放しにしてきた。それが突然の取締である。企業にとっては大変な負担増である。環境保全コストは、対策が遅れれば遅れるほど急増する特質がある。しかも、原状回復は容易でな。これは、以前から分りきったことであった。中国政府はそれでも行なわず、インフラ投資に資金を回してきた。その咎めが、これからコスト増加として跳ね返る。自業自得と言うべきだ。低成長を余儀なくされる中国経済にとって、新たな負担増になる。

     

    (2)「日本貿易振興機構(ジェトロ)が18年、中国に進出した日系企業を対象に環境規制についてアンケート調査したところ、回答企業の10%が「厳しすぎ・事業の継続が困難」と答え、6%が工場移転を「検討している」とした。中国では15年に環境関連の基本法である環境保護法を約25年ぶりに全面改正し、罰則強化を盛り込んだ。18年には環境保護税を施行し、汚染物の排出量や騒音の大きさに応じて企業に課税し始めた。中国環境保護省によると18年の全国での罰金総額は1528000万元(約2500億円)と17年に比べて3割増えた。現地企業への規制強化は、その取引相手である外資企業のコスト増にもつながっている」

     

    日系企業が、環境規制が厳しすぎるというのは、中国政府が過去の遅れを取り戻す勢いで、一度に規制強化しているのであろう。これは、企業にとって短期的に大きな負担になる。日系企業のうち工場移転を検討していのが6%ほどあるという。中国政府は10年以上前から、着実に実施していれば、企業は一度に対策を迫られることもなく、楽に対応できたであろう。中国政府のやることに、計画性を感じることは少ない。こういう体たらくでも、計画経済の旗を降ろさないのはなぜか。共産党独裁のためだ。


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    不動産バブルのなれの果てと言うべきか、中国経済は一挙に矛楯が噴き出している。改革開放40年間の経済成長率は平均9.5%。この高い成長率に、世界中のエコノミストが騙された。「間もなく米国GDPを追い抜く」と。バベルの塔が崩れたように、「習近平の塔」も崩れたのだ。投資主導型経済は、必ず挫折する。これは、経済学が我々に教える教訓である。

     

    『大紀元』(2月9日付)は、「中国、景気悪化で労働者の抗議活動が急増」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「経済成長が28年ぶりの低水準となった中国では、各地では労働者による賃金未払いを抗議するデモが増えている。景気鈍化により、労働者の生活が一段と厳しくなった。米紙ニューヨーク・タイムズが6日伝えた。同報道によると、広東省深セン市にある電子製品メーカーの従業員が1月に抗議デモを行った。ある従業員は、工場側は総額3000ドル(約329168円)の賃金を支給していないと主張し、食糧などを買えず生活苦になっていると訴えた」

     

    個人消費の低迷や米中貿易摩擦の未解決で、中国の景気悪化が一段と進んでいる。これを背景に、中国各地で、労働者やタクシー運転手などが賃金未払い、待遇改善を求めるデモが展開された。なかに、給料を支払わなければ飛び降り自殺すると訴える建築関係の労働者もいたという。今年は、「春節」どころではない緊迫した状況だ。

     

    (2)「『ニューヨーク・タイムズ』は香港に本部を構える『中国労工通訊』の統計を引用した。統計によれば、昨年中国国内では少なくとも、約1700件の労使紛争が起きた。前の年である2017年と比べて500件増加した。中国当局の厳しい報道規制より、多くの抗議活動は報道されていないという。中国当局は、社会不安の広がりが政権崩壊につながるとみて、抗議デモ参加者への締め付けを強化している。中国労工通訊によれば、当局昨年8月以降約150人以上を拘束した。抗議デモに参加したタクシー運転手や教師、建築労働者、学生などだ。120日、中国当局は深圳市で、『公共秩序を乱した』として労働者権利活動家5人を逮捕した」

     

    社会主義国の中国は、デモが「公共秩序を乱した」として逮捕される社会だ。この中国が、世界覇権を握りたいという。冗談もほどほどにして貰いたい。客観的に世界覇権を握れる条件は一つもない国が、「悪い夢」を見て国民を弾圧している。漫画である。

     

    (3)「米中国語メディア『新唐人』123日付によると、中国労工通訊の統計では昨年101日以来、製造業が多く集まる深圳市だけで、労働紛争をめぐる労使紛争は少なくとも17件が発生した。いっぽう、在米中国経済学者の程暁農氏は6日、大紀元中国語版に寄稿し、中国経済をけん引する「個人消費、投資、輸出」が不調であっため、2018年中国経済の失速は「持続不可能な繁栄の予測できた結果」だったと強調した。昨年12月、中国人民大学の向松祚教授は講演で、「ある重要な研究機関の統計によれば」、2018年の中国経済成長率は実際1.67%で、他の試算方法ではマイナスの結果になっていると述べた。

     

    2018年中国経済の失速は、「持続不可能な繁栄の予測できた結果」と指摘している。これは、投資主導型経済を40年間も続けた必然的な結果という意味である。「山高ければ、谷深し」という言葉を思い起こすべきだ。過去40年は高い山であった。これから迎える谷は深いことを示唆している。


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    中国外交は、2200年前の秦の始皇帝以来、何ら変化していない。始皇帝は、「合従連衡」によって敵方陣営の結束を乱して、秦と一対一の関係に持ち込み滅ぼす戦略を多用した。また、「孫子の兵法」で奇策を用いて、敵方陣営を撃破する戦術を用いた。これに付け加えれば現在、カナダに対して行なっている「人質外交」も使っていたであろう。

     

    中国の戦法に、新しいものは一つもないのが特色である。それは、保守的な民族で新しいことを試みる点で臆病なのだ。未だに、民主主義を怖くて取り入れられない理由はその証拠だ。日本から見れば、はるかに硬直化した国家である。それだけ、発展性が乏しいことになる。

     

    中国は、カナダに対して滅法、高姿勢である。ファーウェイ副会長がカナダで逮捕され目下、保釈中の身であるから、圧力を掛けて釈放させる狙いだ。その圧力が、「カナダ人二人の拘束」である。中国が人質に取れば、カナダは音を上げてファーウェイ副会長を釈放するだろうという狙いである。

     


    『ブルームバーグ』(2月9日付)は、「中国の人質外交許す、未来暗くする悲しい戦術」と題するコラムを掲載した。

     

    (1)「カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏が、すでに2カ月近く中国で不当に拘束されている。この事実は、強権的な独裁勢力の台頭がまさに深刻な影響を人々に与えることを思い起こさせる。また、習近平国家主席が、中国と世界のつながりや理解を深めようと懸命に取り組んできた外国人を遠ざけつつあるリスクの証左でもある」

     

    日本でも、「人質外交」は江戸時代」の話だ。中国が、今でもこの時代遅れの威嚇方法を取っていることに呆れる。中国は、胸を張っているかも知れないが、先進国は軽蔑して見ているのだ。この時代認識のギャップが、中国に世界覇権を狙うなどという非生産的な「戯言」を言わせているにちがいない。

     

    (2)「カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏は中国語に堪能で、外交官として香港や北京に赴任した。2016年以降は非政府組織(NGO)の国際危機グループ(ICG)で中国を担当し、同国の米朝外交における役割や南スーダン内戦への関与、軍のグローバル展開といった幅広い問題を扱っていた。昨年12の拘束理由は、コブリグ氏がNGO関連法に抵触したというのが中国側の言い分だが、実際は政府による地政学的脅しにしか見えない。対イラン制裁違反だと主張する米国の要請を受けた華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)のカナダでの逮捕後の拘束というタイミングと、中国共産党を代弁する環球時報など新聞の論調が、カナダ政府に対する報復だと明確にしている」

     

    カナダの元外交官拘束は、中国の見せしめである。見せしめは、北朝鮮の専売特許と思っていたが、中国も得意技なのだろう。この中朝両国は、同じ穴の狢(むじな)である。共通の背景には、専制主義がある。

     

    (3)「コブリグ氏拘束は、独裁政権が非人道的に振る舞うのは常という点をあらためて示すものだが、中国の力が増すにつれ、同国政府の手の届く場所にいる外国人は当局から不評を買えばリスクにさらされることがはっきり警告された。一方、コブリグ氏のような外国人を拘束する中国は自らの首も絞めている。国外との最も重要なつながりを弱める恐れがあるためだ。ここ数年、中国はこうした人材を遠ざける驚くべき才能を発揮している。フーバー研究所は昨年遅く公表したリポートで、中国の台頭を抑えようとする海外の民主政治に対する操作を図る戦略の一環として、米政治に影響を与えようと試みる中国の取り組みを詳細に描いた。「個人と団体に圧力を与えるため威圧的もしくは腐敗を招く手法を活用し、それにより米市民・政治生活の機能に干渉」するのが中国の作戦だとリポートは論じた」

     

    今回の中国による「人質外交」は、明らかに中国の前近代性を暴露した。それだけ、国際的な普遍価値と次元の異なる存在であることを証明した。こういう国家が、世界の覇権を狙っているかと思えば、空恐ろしさを覚える。何としても、こういう野望を阻止しなければならない気持ちにさせられるのだ。まさに、中国にとっては、自縄自縛の振る舞いである。

     

    (4)「コブリグ氏拘束は、中国にとって逆効果だ。カナダは中国では「法の恣意(しい)的執行リスクがあるため、警戒を高める」よう今年1月半ばに国民に呼び掛け、米国務省も同様の警告を出した。経済界首脳の間には中国出張への懸念が広がる。何より米中で影響力のある外交政策担当者による長年の協議の妨げにもなっている。ワシントンにある多くのシンクタンクの仲間からは職場で中国出張が制限されていると聞く。何年も定期的に中国を訪れてきた人々が、今は中国を訪れたくないと言うが、それも納得がいく」

     

    中国の人質外交は、海外の友人を遠ざけるという逆効果を招いている。少なくとも、先進国のパートナーとして受入れがたい行為である。日本で「日中友好」を叫んでいる人たちは、どんな思いで見ているのだろうか。あなた方がいくら「日中友好」を叫んでも、中国自身がこういう蛮行を続ける限り、「賽の河原」である。


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    習近平国家主席は、中国14億人の頂点に立つが経済的にきわめて難しい立場にある。中国経済が、習氏によって国有企業中心に再編成され、鄧小平以来の改革開放政策を否定したことの矛楯に直面しているからだ。

     

    習氏は、第二の毛沢東を目指している。習氏との共通点は二つある。

     

    第一は、「誇大妄想」的な覇権主義である。毛沢東は、「大躍進運動」(1958~62年)によって中国式社会主義を完成させようとした。これは、大失敗で2000万人以上の餓死者によって計画が挫折した。習氏は、「中国製造2025」によって2050年頃に米国覇権に挑戦すると一昨年秋の党大会で公表した。

     

    これが、米国の反感を買い米中貿易戦争を招来している。「謀は密なるを以てよしとす」である。習氏は、覇権論を公表することで、中国国内の結束を高め、併せて自らの権力基盤強化に利用する積もりであったろう。結果は逆となり、米国の鋭い反発を受けて立ち往生している。米中貿易戦争がそれだ。

     

    第二は、市場機構を無視したことである。国有企業を中国経済の中軸に復活させた。鄧小平が、毛沢東路線を否定して市場経済を復活させたが、習氏は再びこれを否定してしまった。このように「復古路線」になった背景は、自らの権力基盤を固めるために「紅二代」(革命戦争に参加した元高級幹部の子弟)の協力を取り付けるべく国有企業の利権を保障したことだ。このように、習氏は国家主席就任時から復古路線を約束して、国有企業中心経済に戻した。これが、民営企業の弱体化につながり、現在の中国経済混迷の原因になっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月8日付)は、「中国共産党の宝刀『国有企業』の災い」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の非効率的な国有企業の略奪的行動は、同国の政策立案者と米国の貿易交渉官の双方にとって懸念材料となっている。国有企業の行動を制限すれば、米中両国の経済に資することになるだろう。ところが、習近平国家主席は市場重視の徹底した改革が必要不可欠だということに納得していないようだ。国有企業が中国の民間部門に及ぼしている悪影響(エコノミストはクラウディングアウトと呼んでいる)は鮮明になる一方である」

     

    習近平氏は、民族主義=保護主義である。明確に、市場経済システムへ背を向けている人物だ。これだけ見ても、鄧小平とは真逆の関係にある。習氏が、市場経済は共産主義と相容れないという固い信念持っている。どうにもならないもどかしさを感じるのだ。

     

    (2)「中国企業がグローバルな規範を無視することが多い理由の1つに、自国の規則が民間企業の経営を難しくしているということがある。生き残るためには、地方自治体当局者の協力を得るなどして規制の網をかいくぐらなければならない場合もある。筋金入りの国家統制主義者である習主席の下で進んだ中国政府の再中央集権化によって民間企業があまりにも大きな打撃を受けてきた理由もそこにある。つまり、地方の『実験』のための場所、特に硬直化した国有銀行システムを回避する方法を探る場所がなくなってしまったのだ」

     

    国有企業が、金融面でいかに優遇されているか。それを次のデータによって検証したい。

     

    新規融資に占める国有企業の割合

    2010年 36%

      11年 28%

      12年 32.4%

      13年 35.1%

      14年 59.7%

      15年 68.85

      16年 83.2%

    出所;『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月8日付)

     

    このデータを見ると、新規融資の国有企業割合は、16年に83.2%にも達している。これでは、民営企業が資金調達で干し上がってしまうことが分る。習氏の掲げる国有企業偏重主義は、中国経済に大きな歪みをもたらした。これでは、民営企業は行動範囲を大きく制約されるであろう。

     

    (3)「国が後ろ盾についた(国有)企業の優位性は、銀行融資だけにとどまらない。そうした(国有)企業は市場における支配的立場を利用して期日までの支払いを拒否するなどし、民間セクターの納入業者を苦しめている。こうした問題は、現在のように、工業系の国有企業全体の利益成長が減速しているときに悪化する傾向がある。調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのシニアアナリスト、トーマス・ガトリー氏は、増加しつつある国有企業の未払金によって2019年には民間企業に事実上、1兆元(約16兆円)の追加損失が出る可能性があるとみている。これは民間企業の昨年の社債とミディアム・ターム・ノート(MTN:中期社債で一定の限度内であれば自由な発行可能)の発行総額の約3倍に相当する」

     

    国有企業は、自らの優越的地位を悪用して、民営企業への支払いを拒否している。これでは、ますます民営企業が片隅に追いやられる羽目となろう。国有企業の未払い金によって、今年の民営企業は約16兆円の追加損失が想定されるという。この16兆円は、昨年の民間企業が発行した社債とMTNの発行総額の3倍にも達する金額である。これだけ、民営企業の資金繰りが悪化していることを物語っている。習近平氏の国有企業偏重は、これだけの問題があることを証明している。中国経済は、国有企業によって破綻の危機に立たされているのだ。


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    韓国の労組は、貴族労組と言われる。会社を潰しても賃上げストをする戦闘的な組合である。「スト至上主義」とでもいうのか、ともかくストを打つのだ。経済闘争である以上、「コスト・パフォーマンス」の比較秤量が原則と思うが、そうではない。勝ち負けの戦争である。

     

    「反日」もこういうタイプだ。日韓関係が悪化すれば、そのブーメランとして何が起るか。そういう事後問題は頭の隅にもない。ただ、「反日だ」と思ったら一直線である。この民族の直情径行ぶりをよく表わしている。

     

    『中央日報』(2月8日付)は、「日本工場より賃金20%高いが、基本給増やせというルノーサムスン労組」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ルノーサムスン釜山(プサン)工場は、2014年から対米輸出用ローグを受託生産している。昨年、ルノーサムスン釜山工場で生産した車両21万5809台のうち、49.7%の10万7262台がローグだったほど大きな比重を占めている。ローグ受託生産の契約はことし9月に終わる。これまで国内自動車業界はルノーサムスンが無難にローグの次期製造を契約できると観測してきたが予想外の突発的変数が生じた」

     

    ルノーサムスン釜山工場は、ルノー本社から対米輸出用ローグを受託生産している。ところが、この拠点工場でストライキが始った。フランス本社のルノーは、生産計画に支障を来たすので、対米輸出用ローグの委託生産を再検討すると言い出したのだ。日本の自動車労働者よりも20%も高い賃金を得ている。それでも満足せず、ストライキに入っている。

     

    (2)「労働組合の長期ストライキだ。ルノーサムスンは国内完成車5社の中で唯一、昨年の賃金および団体協約交渉を終えられなかった。同社の労組は昨年10月から28回ストライキした。ロス・モザス仏ルノーグループ製造総括副会長が「労組がストライキを継続すればローグの今後の製造台数について議論できない」という最後通告を送った理由だ」

    (3)「ルノーサムスン労組が変わったのは、昨年下半期からだ。労組は基本給を大幅に上げるよう要求し、使用者側は拒否した。昨年12月に新しい労組委員長のパク・ジョンギュ氏が就任し、労組は更に強硬になった。パク委員長は2011年にルノーサムスン職員50人余りを集めて既存の労組(上級団体に所属していない企業労組)とは別に全国民主労働組合総連盟ルノーサムスン支会を設立した。パク委員長は就任直後、ルノーサムスン労組を民主労組に加入させると公言していた」

    従来は穏健な労組であったが、昨年12月から豹変した。過激派委員長が支配下に収めた結果だ。一般労組員は、なぜこういう過激派委員長を選んだのか。少しでも賃上げ幅を広げようという欲望であろうが、会社が潰れたならば雇ってくれる先はないのだ。それでもストを打つ。特攻隊に見える。

     

    (4)「ルノーサムスン労組は、昨年10月から今月7日まで28回にわたり部分ストを行った。累積ストライキ時間は104時間だ。5000台程度の生産支障が発生したと分かった。ルノーサムスンの1カ月生産量(2万台余り)の25%に及ぶ規模だ。今年1月からはストライキ時間も増えた。昨年には昼間組と夜間組が2時間ずつ部分ストライキするのが一般的だったが、先月からは4時間ずつストライキしている」

    昨年10月からの部分ストで5000台の生産が遅延している。1ヶ月生産量の25%に当るという。ルノーサムスン自動車の株79.%を保有するフランス・ルノーグループのロス・モザス製造総括副会長は最近、同社の役員・社員向けの動画メッセージで「ルノーサムスンの労組がストを続けるなら、今後の製造台数の割り当てについて議論するのは難しい」と警告した。

     

    仕事が急減すれば、大規模な構造調整が避けられないというのが業界の見解だという。業界では4000人水準の釜山工場の人材のうち半数ほどが職場を失うかも知れないと予測している。それでもストを打つ。その心理は不可解である。

     

     


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