勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

    a0001_000213_m



    韓国上場企業の今年上半期の業績が集計された。驚くべきことに、サムスン電子1社に依存することが分った。文大統領は、韓国の近代化は日韓併合と無縁で自力で実現した。8月15日の「光復節」では、こう演説した。自力に依存するほど「イノベーション能力」が高いならば、上半期業績がこれほど悪化しなくても事前に対策を打てたはずである。それが、何もなかったのだ。

     

    こういう過程を見ていると、韓国の近代化(工業化)は自力によるものでなく、日韓併合時代の制度改革が大きく寄与したことは疑いない。GDP推計において、設備投資比率が急速に盛り上がったのは、1930年代であることが確認できる。いわゆる「離陸」現象というものだ。

     

    韓国は、「反日」で日本の影響力を根こそぎ否定する運動を続けてきた。皮肉にもそれが、日本から学んだ「改革力」も一緒に捨ててしまったのだろう。「お湯で赤ん坊を一緒に流す」という諺がある。日本の全否定をしているうちに、肝心のことまで忘れてしまったのだ。日本統治下で得た制度改革力の賞味期限が切れた、とも言って良い。韓国は、仇敵のごとく憎む日本だが、絶対に捨ててはいけないことまで捨て、もはや何もなくなった。それが、現在の韓国であろう。お気の毒だが、業績の自力回復は難しいと見る。

     

    『朝鮮日報』(8月17日付)は、「韓国経済、サムスン除けば大幅減益という現実」という社説を掲載した。

     

    (1)「12月決算企業536社の今年上半期の営業利益は、前年同期比8.6%増、純利益は1.3%増だった。しかし、サムスン電子を除くと、営業利益は0.2%の伸びにとどまり、純利益は7.3%の減少だった。韓国企業の業績は事実上後退したことになる。サムスン電子の営業利益(30兆ウォン=約3兆円)と純利益(23兆ウォン)は12月決算上場企業の35~36%に達する。韓国経済がサムスン電子1社にどれだけ依存しているかを物語っている」

     

    全上場企業の上期業績はサムスンを除けば、営業利益は0.2%増、純利益は7.3%の減だ。この状態では、サムスンが減益になれば上場企業全体が減益になる異常な状態だ。

     

    (2)「サムスン電子は輸出全体の約14%を占め、法人税の6.4%を負担している。サムスン電子の業績は確かに堅調だが、他の主力企業が不振だったことも同時に示している。現代自動車の上半期の営業利益は37%減。LGディスプレーは3200億ウォンの赤字に転落した。現代重工業、韓国電力公社なども数千億ウォンの赤字を出した。バイオ業界を代表するセルトリオン、ITを代表するネイバーも営業利益は減益だった。大半の企業で46月期の業績が13月期よりも悪化した」

     

    サムスン電子は、輸出全体の約14%を占め、法人税の6.4%を負担する。まさに、スパー企業である。国民は、このサムスンを叩き批判している。現実は、このサムスンのお陰で税金を払って貰い、国家運営が可能な状態だ。ならば、サムスンと国家が共存共栄できる妥協点ないのか。財閥解体を進めて、家族が経営に参加する現状を改め、「コーポレートガバナンス」を確立する。これさえ可能になれば、国民が敵視することもなくなる。日本で、特定企業と敵視することなど考えられない。

     


    a1150_001142_m



    米朝交渉は、押したり押されたりしているが、次第に双方の決着点が見えてきたようだ。相変わらず、北の米批判は続いているが、トランプ大統領には敬意を表した発言である。北はまた「トランプ砲」が炸裂して、「米朝会談止めた」と言われたら一大事。腫れ物にさわるような気遣いが見られる。

     

    『朝鮮日報』(8月15日付)は、「核リスト提出の見返りに終戦宣言、米朝が歩み寄りか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国のポンペオ国務長官が今月末に北朝鮮を訪問するのを前に、米朝は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の解体と国外搬出・廃棄、さらに核兵器リストの提出問題について協議を行っていることが14日までにわかった。北朝鮮はそれらに対する見返りとして体制保証のための終戦宣言を米国に要求しているという。米朝は先週、板門店で実務者協議を行い、これらの問題でかなりの歩み寄りがあったようだ。複数の外交筋が伝えた」

     

    米朝間で、親書の交換が続いている。交渉が進展している証拠かも知れない。米国はこれまで、核リストの提出がなければ終戦宣言はしない。北朝鮮は、終戦宣言が先であり、体制保証なければ、核リストは出さないと譲らなかった。「ニワトリが先か卵が先か」の話に似ている。米朝が妥協して、「同時交換」となるのだろうか。

     

    (2)「米朝関係に詳しいある外交筋は14日、『米国で11月に行われる中間選挙を前に、米国内の世論を味方につけたいトランプ大統領と、北朝鮮の政権樹立70周年記念日(99日)を控えた金正恩朝鮮労働党委員長の間で利害が一致し、最近になって交渉が大きく動いている』と明らかにした。トランプ大統領は先日、金正恩氏に親書を送り、その中でポンペオ氏の訪朝を提案すると同時に『非核化に向け北朝鮮は速度を上げねばならない』と求めたようだ。双方の水面下での交渉が進展すれば、ポンペオ氏が今月下旬にでも訪朝し、最終合意に乗り出す可能性もあるという」

     

    米国の11月の中間選挙と、北の9月に迎える政権樹立70周年記念日というタイミングに合わせて、米朝が合意に達しそうだという。ポンペオ米国務長官が、8月下旬にでも訪朝して最後の詰めを行なうという。

     

    (3)「現在、膠着状態にある米朝による非核化に向けた交渉が再び動き出したことで、中国の習近平・国家主席も99節直前の9月はじめに訪朝する方向で中朝間の調整も行われているようだ。習主席は4月の南北首脳会談を前にした326日、そして6月の米朝首脳会談をわずか1カ月後に控えた57日、金正恩氏と電撃的に首脳会談を行った。南北首脳会談と米朝首脳会談の直前になると、習主席は必ず金正恩氏と直接会い、いわば存在感を誇示してきたと言えるだろう。上記の外交筋は、『米朝間で非核化交渉が急激に進展すれば、習主席が訪朝する可能性も高まるだろう』との見方を示した」

     

    習氏の訪朝計画がまとまれば、米朝合意のシグナルになるという。

     

    (4)「韓国と北朝鮮は17日ごろに実務者協議を行い、平壌での首脳会談の日程を910日以降とすることで一致する見通しだ。8月下旬のポンペオ氏訪朝を皮切りに、習主席の訪朝、文大統領の平壌訪問と続くことで、韓半島(朝鮮半島)非核化に向けた動きが大きな転換点を迎えるのは間違いなさそうだ」

     

    8月下旬のポンペオ氏訪朝を皮切りに、習主席の訪朝、文大統領の平壌訪問と続く。これら一連の外交日程が固まれば、「米朝合意」の最終決定と言えそうだ。朝鮮半島で第二次世界大戦後の未処理問題が解決に向けて進展すれば、日本の拉致問題も解決への展望が開ける。拉致家族の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

    a1200_000017_m


    韓国ではときおり、目を剥くような大英才が現れる。凡人には真似もできない話だが、この青年は、「IQ187」という神がかり的な存在だ。

     

    IQについて調べたところ、次のようなことが分かった。分布はほぼ正規分布になり85~115の間に約68%の人が収まり、70~130の間に約95%の人が収まる」という。となると、IQ187は、ほとんど「神の領域」かも知れない。

     

    この韓国青年が、8歳で大学へ入学して宇宙物理学を学んだが、8年間の博士課程在学中に博士号を取得できず、規定により退学するというニュースである。日本でも国立千葉大学が、高校2年生で入学させる「飛び級」制度を採用している。ここに飛び級入学した青年が、その後の人生で今は、長距離トラック運転手という記事があった。「人生山あり谷あり」を実感する。

     

    『中央日報』(8月13日付)は、「科学英才を1人も生み出せない韓国教育システム」と国を批判的に報じている。

     

    8歳で大学に入学したIQ187の『天才少年』ソン・ユグンさん(21)が結局、博士課程を終えられず学校を離れることになった。科学技術連合大学院大学校(UST)によると、ソンさんは6月、卒業のための博士学位論文最終審査で不合格になったことが分かった。ソンさんは2009年、修士・博士統合課程でUST韓国天文研究院キャンパスに入学したが、卒業年限の8年以内に博士学位を取得できず、結局、2018年前期学位が終わる今月末で卒業でなく『修了』となった。ソンさんは12月に現役兵として軍に入隊する予定という。今後、博士学位を取得する場合、軍服務を終えた後に別の大学の学位課程に入学しなければならない」

     

    「ソンさんは6歳でアインシュタインの相対性理論を理解し、大学レベルの微分・積分問題を解いて話題になった。その後、検定試験で中学・高校課程を終え、8歳で仁荷大自然科学系列に入学した。しかし幼い年齢で入った大学での生活に適応できず中退し、独学で電子計算学学士学位を取得した。その後、2009年にUST天文宇宙科学専攻修士・博士統合課程に進学した。2015年には英国の天体物理学ジャーナルに発表したブラックホール関連の論文に盗用疑惑が浮上し、翌年11月に論文が公式撤回される危機を迎えた。当時ソンさんは『特に残念とは思わない。1カ月後に新しい論文を発表するので卒業自体にいかなる問題もない』と語った。ソンさんはその後、指導教授なくUST博士課程の学生として日本・台湾の天体物理学者らのサポートを受け、台湾の関連研究所で研究を続けた。ソンさんの家族側は『ユグンは依然として日本から共同研究の要請が入ってくるほど外国では可能性が認められている』とし、『博士の学位に執着せず、天体物理学者として研究を続けていく予定』と伝えた」

    この記事を読んでの感想は、二つある。

     

    一つは、対人関係がスムースにいかなかったことだ。誰か、サポート役がついていれば良かったと思う。かなり神経過敏症的な点はなかったか。

     

    二つは、発表した論文に盗用疑惑を持たれた点だ。これも、話相手になれる指導者が側にいれば防げた点であろう。学術研究では、引用文献がしっかりしていれば、「よく研究してフォローしている」という評価につながるもの。その点で、やや背伸びした点はなかったか。韓国の大学が、博士号を出さなかったのは「盗用疑惑」が災いした点もあるように思う。博士号を出した後で、「盗用」であったとなれば、大学の権威が揺らぐからだ。その意味でも、最初の「盗用疑惑」が響いているように思える。

     

    どうかめげずに、苦難を乗り越えて大成して貰いたい。


    a0070_000057_m


    フィリピンのドゥテルテ大統領は、就任後に南シナ海における中国の横暴を事実上認めるきっかけをつくった人物である。常設仲裁裁判所から、中国の違法性を100%認められながら、腰砕けの姿勢をとったからだ。

     

    そのドゥテルテ大統領が、思い切った中国批判の発言をして注目されている。

     

    『ロイター』(8月15日付)は、「南シナ海での行動、中国は再考を、フィリピン大統領」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ドゥテルテ大統領は14日遅くに行った講演で『いつの日か引火点となりかねないため、中国は考え直さなくてはならない』と指摘。同大統領が中国を非難するのは異例。『島を造ることはできない。人工島の上の空域を自分のものだと言うことは間違いだ。なぜならそれらの海域をわれわれは公海とみなすからだ。そして無害通航権は保証されている』と述べた」

     

    最近、中国軍は米軍飛行機が南シナ海を飛行した際、「中国領空を飛行するな」という警告メッセージを出していた。ドゥテルテ大統領は多分、こういう中国の越権行為を非難したと思われる。それにしても、「遅すぎた発言」という誹りは免れまい。

     

    中国は、中比紛争で勝訴したフィリピンが、すっかり「中国寄り」になったことで勝利感に酔っていた。米海軍抜きで、中国海軍を中心とる軍事演習を南シナ海で実施する案まで作っていたほど。

     

    (2)「中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)に対し、南シナ海で米軍抜きの共同軍事演習の実施を提案したことが分かった。中国とASEANはシンガポールで開いた8月2日の外相会議で、南シナ海の紛争回避に向けた行動規範の『たたき台』をまとめた。中身は各国の意見を列挙しただけの内容だが、複数の外交筋によると、中国が提出した部分にASEAN10カ国との共同演習を南シナ海で定期的に実施し、原則として域外国は参加させないとの提案が書き込まれた」(『日本経済新聞』8月4日付)

     

    中国は、南シナ海の「盗人」にも関わらず、主人役に収まるという異常な行動に出ていた。これに「義人」をもって任じるドゥテルテ大統領が、反撃を加えた形だ。これには、理由がある。

     

    フィリピンは、中国から総額240億ドル(2兆5000億円)に上る経済支援を受ける約束になっていた。しかし、2年経っても投資プロジェクトはほとんど実行されていない状況である。ドゥテルテ大統領が腹に据えかね、中国批判に転じたと見られる理由だ。

     


    a1380_000014_m




    中国の高利貸しとしての技は、ますます冴えてきた感じだ。中央アジアでインフラ投資をエサに接近して、多額の資金を貸付け、返済できぬと見るや担保を取り立てる。その腕前は、『ヴェニスの商人』に登場するユダヤ人の金貸しシャイロック以上だ。

     

    中国は、ロシアの「裏庭」に当る中央アジアで触手を延ばしている。ロシアは敏感に反応しており先頃、異例の「中国批判」の報道が飛び出した。

     

    ロシア主要紙『インディペンデント』は最近、中央アジアにおける一帯一路プロジェクトを批判する長文記事を発表した。記事によると、中央アジア諸国では、一帯一路プロジェクトが広がるにつれ、中国からの投資が増え、国のキャッシュフローも改善されているが、相対的に反中感情が高まっている。各地での反中デモが増加している。中国共産党政権による中央アジアへの支配的な態度は、キルギスタンとカザフスタンのみならず、中央アジア全体に広がっている。『大紀元』(8月8日付)が報じた。

     

    この続報が、次の記事である。

     

    『日本経済新聞』(8月13日付電子版)は、「中央アジアでも中国依存のワナ、トルクメン経済危機」と題する記事を掲載した。

     

    この記事では、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス3ヶ国が、中国の「債務トラップ」に引っかけられ、それぞれ担保権を設定されている実情が報じられている。「一帯一路」計画にまんまと乗せられた形だ。日本のODA(政府開発援助)では、担保権の設定という高利貸しまがいのことはないが、中国は露骨にそれを請求する。「アジアのユダヤ人」といったらユダヤ人からお叱りを受けるだろう。中国は、血も涙もないことを平気でやる。

     

    (1)「中央アジアのトルクメニスタンが経済危機に陥っている。国家収入の大半を占める天然ガスの輸出で中国依存を深める一方、同国への借金が膨らみ、資金繰りが悪化した。タジキスタンも中国から巨額の融資を受ける見返りとして資源開発権を同国企業に譲渡した。アジアと欧州を結ぶ『一帯一路』の要衝と位置づけられる中央アジアでも中国頼みの『ワナ』が浮き彫りになってきた」

     

    中国が親身になって相手国の経済発展に役立ちたいと思うならば、返済不可能な貸付けをするはずがない。最初から担保権狙いがハッキリしている。この中国が、世界覇権を握ったら世界はどうなるか。考えただけでゾッとする。

     

    (2)「国家収入の7割を天然ガス輸出に頼るトルクメニスタン2009年にウズベキスタンとカザフスタンを経由して中国と結ぶパイプラインを開通させ、中国シフトを強めた。同時にガス田開発やインフラ建設の資金を中国からの借金に頼った。ロシアの独立国家共同体(CIS)研究所によると総額は80億ドル(約8800億円)規模に上り、ガス輸出代金の一部は返済に取られている」

     

    トルクメニスタンは、中国から総額80億ドルを借入れており、これが国家財政を圧迫し、通貨安に見舞われている。「食料品店に毎日長蛇の列」「小麦粉の購入は1カ月前の予約制」「主婦らが食料を求めて道路を封鎖」――。厳しい情報統制を敷くトルクメニスタンからこんなニュースがロシアまでもれ伝わっているという。原因は、中国の過大貸付けにある。

     

    (3)「中央アジア各国は中国の習近平国家主席が掲げる『一帯一路』構想の恩恵を受けようと競って中国との関係強化に動いた。各国から直接投資を集めるカザフスタンや出遅れたウズベキスタンを除き、中国からの借り入れを膨らませた。タジキスタンは4月、発電事業への3億ドルの融資の見返りに中国企業に金鉱山の開発権を譲り渡した。キルギスでは首都ビシケクの発電所事業を巡る政府と中国国有銀行の融資契約の中で『(中国側は)債務不履行の場合、あらゆる資産を要求できる』とする条項が含まれていると報じられた。鉄道建設の交渉でも中国側は融資の見返りに資源権益を求めていると見られている」

     

    中国の甘言に乗せられ、過大な債務を中国に負っている。キルギスは、融資契約において債務不履行の場合、「中国があらゆる資産を要求できる」という条項が含まれているという。中国は、現代版「ヴェニスの商人」である。


    このページのトップヘ