勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    中国政府高官といえば、記者会見でも平然と「白を黒」と言いくるめる話術を持っている。このパターンとは全く異なる「誠実発言」が注目されている。次の発言である。

     

    中国商務省高官は12日、「中国の消費の伸びが今年さらに鈍化する公算が『非常に大きい』との認識を示した」(『ロイター』2月12日付)

     

    この記事を見た瞬間、「エッ」という驚きの声を上げるほどであった。中国経済がついに迎えた断末魔でもあるのだ。中国の二大高額商品は、住宅と自動車である。GDPに占める比率は、住宅25%、自動車10%である。この二つが、ついに変調を来たしている。

     

    『大紀元』(2月13日付)は、「中国当局、経済失速認める世論に合わせるためとの指摘も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国当局と中国政府系メディアがこのほど、今年の中国経済が一段と失速すると公言した。その真意について憶測が広がっている。中国商務部(商務省)の王斌・市場運行司副司長は12日に開かれた2018年商務工作関連会議で、『中国消費市場における圧力が強まっている。今年の個人消費は一段と減速する可能性がある』と述べた。消費動向を示す小売売上高は2018年に9%増となった。伸び率として15年ぶりの低水準となった」

     

    中国当局は、もはや実勢悪を隠せなくなって情報をオープンにしているのであろう。

     

    (2)「中国メディアの報道では、王斌副司長は、昨年小売売上高の不振は自動車販売と住宅市場の低迷に関係すると示した。中国紙『証券日報』(12日付)によると、2019年2月12日まで、上海と深圳株式市場に上場する自動車メーカーのうちの16社が2018年度業績報告を公表した。なかに、「マクロ経済成長の減速、米中貿易戦、消費者心理の冷え込みの影響を受けて」、うちの12社が収益の減少や赤字拡大などを示した。自動車メーカー、吉利汽車や東風汽車などは今年の販売目標を、昨年の水準から引き下げて設定した」

     

    国内自動車メーカーも軒並み業績不振である。16社中、12社が減益や赤字拡大などに陥った。理由に、「マクロ経済成長の減速、米中貿易戦、消費者心理の冷え込みの影響を受けて」などを上げているという。この、状況では自動車取得税(10%)の減税(幅は未定)があっても回復は難しいであろう。

     

    (3)「また、『中国証券報』は、中国投資銀行、中国国際金融(CICC)の統計を引用し、旧正月の大型連休中、上海や南京など17の大中都市の新築住宅販売面積は前年同期と比べて56%減少したと伝えた。中小都市の住宅市場も不調だという。CICCの統計によれば、今年1月1日から2月2日まで、60の中小都市の新築住宅販売面積は前年同期比8%減となった。前月比では30%減。不動産開発企業の販売実績も低迷しているという。住宅市場調査会社の克而瑞が提供する月別統計では、中国トップ10社の不動産開発企業の1月の売上高は15%減少したという」

     

    旧正月の大型連休中、上海や南京など17の大中都市の新築住宅販売面積は、前年同期と比べて56%減少した。高値の住宅を購入しても、ローン支払いで難儀するので慎重になっているのだろう。新年に入って、ムードががらりと変ってきた。中国トップ10社の不動産開発企業の1月の売上高は15%減少したという。ついに来るべきものが来た感じだ。不動産バブル崩壊への第一歩。金融市場は、これより早くつまずいている。これが、住宅市場へ波及したもの。

     

    (3)「国営新華社通信傘下の『経済参考報』は11日、トップ一面に評論記事を掲載した。『今年中国経済が引き続き下振れ圧力に直面する。このため、1~3月期のGDP伸び率は6%まで下落するだろう』と1990年以来の最低水準になると示唆した。同評論記事は、すでに22の省・市政府が今年のGDP成長率目標を引き下げたことにも言及した。うち半数の地方政府は、GDP成長率目標を6%に下方修正したという。また記事は、今年1月の製造業購買担当者指数(PMI)が昨年12月に続き、景気拡大と悪化の分かれ目である50を下回ったことは、中国経済を支える製造業の不振局面が続いているのを浮き彫りにした、と主張した」

     

    1~3月期のGDP成長率は前年比6.0%まで下落するとの予測が国営メディアに登場した。これは、改革派が経済政策の実権を握った証かも知れない。民族派が後退したとすれば、習近平氏の勢力関係にも影響があると見る。実態はどうか。

     

    (4)「中国当局が景気悪化を公に認めた理由について、カナダ在住の中国人評論家の文昭氏は、米『ラジオ・フリー・アジア』に対して『中国世論に合わせるためだ。多くの中国国民は身をもって経済の悪化を感じている。この状況下で当局が経済指標を水増したら、国民の実感とのギャップが広がり、国民の不満が高まるだろう』と述べた」

     

    中国国民の怒りを買わないように、水増し情報を流すことを止めざるを得ないほど、実勢悪がはっきりしてきたのだろう。


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    けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    一人っ子政策が危機の原因

    10年遅れ日本の後を追う

    人口減が海外戦略を狂わす

    出生率低下による3大問題

     

     

    現在の中国は、建国以来の潜在的な危機を抱えています。出生率の急低下という問題です。過剰人口に悩まされた中国は、1979年~2015年までの36年間、「一人っ子」政策を実施して人口増加にブレーキをかけました。それが、結果として行き過ぎてしまい出生率の急低下を招いています。

     

    人口問題は、一般にはなかなか理解されがたいものです。日本もその轍を踏んでおり、出生率の引上げに躍起となっています。幼児教育から高校・大学の授業料無料化まで、膨大な財政負担によって、日本の発展を支えようという大構想です。

     

    中国の場合、日本よりもはるかにその対策が遅れています。聞き慣れた言葉になりましたが、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数)は、日本が1.4人台です。中国は2015年に1.05人という数字が算出できる関連データを発表以来、その発表を中止しました。それは、合計特殊出生率が1人を割る事態になって、あえて中国の「弱点」を公表するまでもない、という懸念によるものと見られます。

     

    人口は、安定的な社会保障や年金制度の維持という観点から、横ばい維持が理想です。それには2.08人という合計特殊出生率が必要です。日本では、2025年までに1.8人の目標を立て、人口1億人維持を目指しています。中国は現在、合計特殊出生率が1人を割っていると見られます。これは、中国の将来に最大の潜在的な危険要因を抱えたと言えます。

     

    合計特殊出生率は、一国経済の潜在成長率に大きな影響を与えます。人間は、生産の主体であり、消費の主体です。労働力不足はロボットなどが代替できます。ロボットは、消費をしませんので、経済の均衡ある成長に寄与しないのです。経済発展と社会保障充実には、人口の安定的な増加率が欠かせない理由です。

     

    一人っ子政策が危機の原因

    人口が純減状態になれば、年金制度が維持できません。中国のように社会主義を標榜している国家では、年金によって老後生活を保障せざるを得ません。中国は折りに触れ、社会主義の体制的優位性を強調してきた手前、これを裏切ることは共産党の権威を自ら貶める結果となります。その公約は、人口高齢化で働き手が減れば維持できないのです。「一人っ子」政策が、皮肉にも中国共産党の将来を揺さぶる要因になってきました。

     

    中国は、2050年頃を目途にして米国の覇権に挑戦すると宣言しました。米中貿易戦争の裏には、この覇権をめぐる米国の拒否姿勢が色濃く投影されています。中国が、その2050頃に人口動態面で、どのような落込みになっているか。それが、カギを握るでしょう。この問題は後で取り上げますが、現在の国民の平均年齢は、米中ともに37.4歳です。合計特殊出生率は、米国が1.82人(2016年)。中国も公式では1.62人(2016年)としていますが、信憑性に乏しく信頼できません。現実は、1人を割っていると推測されているのです。

     

    米中の平均年齢が現在、同一レベルにあります。かつ、中国の合計特殊出生率が、米国を下回っている点を勘案すると、次のことが予測できます。

     

    1.   中国は、米国よりも早く人口高齢化を迎える

    2.   中国の潜在的成長率は、米国を下回る事態を迎える

    3.   米国は移民社会であるので、移民を受けいれて出生率を引上げる余地がある

     

    このように中国は、米国と比較して不利な状態に置かれています。米国の覇権を狙える人口基盤が存在しないことになるのです。この点は、きわめて重要ですので記憶に止めていただきたいと思います。

     

    中国の普通出生率は2018年、1000人あたり11人を下回りました。1949年の中華人民共和国建国以来、最低の水準となって衝撃を与えました。2018年の出生数は17年比200万人少ない1523万人でした。2年連続の減少で1980年以降では最も少ない出生数になりました。

     

    中国政府系シンクタンクの中国社会科学院は、中国の人口は2029年に14億4000万人でピークに達し、50年までに13億6000万人に減るとの予測を発表しました。これは、生産年齢人口が2億人程度減少する可能性を意味しているのです。中国政府は、2050年頃に米国覇権へ挑戦するという国家目標を打ち挙げました。その時点で、生産年齢人口が2億人も減っており、中国の経済成長率が急減速しているはずです。(つづく)




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    文在寅政権の経済政策失敗は、いよいよ明らかになってきた。最低賃金の大幅引上げが、雇用を奪っているからだ。政府は、涼しい顔をして南北問題に全精力をつぎ込んでいる。

     

    『聯合ニュース』(2月13日付)は、「1月の失業率4.5%に悪化、10年以来の高さ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国統計庁が13日発表した雇用動向によると、1月の失業率は4.5%で、前年同月比0.8ポイント悪化した。1月としては、リーマン・ショックの影響が残っていた2010年(5.0%)以来の高さだった。また、失業者数も122万4000人と1年前に比べ20万4000人増加し、1月では00年(123万2000人)に次ぐ多さとなった」

     

    文政権は、失業統計の発表を「原数値」(元データ)に換えてしまった。本来ならば、「季節調整値」にすべきだが、それを止めさせたのだ。原数値では、月々の変動が激しいので季節調整する。ところが、1月の原数値の失業率が「4.5%」となった。季節調整値にすれば、これほど高くなるはずがない。「策士、策に溺れる」という感じだ。自分で自分の首を締めている。

     

    ともかく、1月の失業率は前年同月比0.8%ポイントも高くなった。失業者は122万4000人と1年前に比べ20万4000人増加し、1月では2000年(123万2000人)に次ぐ最悪事態だ。これまで、失業者が100万人を超えて問題になってきたが、今やそんな域を超えている。文大統領は、この厳寒期に仕事を失った人々が122万人もいることに陳謝すべき立場である。自らの最低賃金の大幅引上げが招いた「事故」であるからだ。

     

    (2)「就業者数は2623万2000人で、前年同月比1万9000人増えた。増加数は昨年8月(3000人)以来の低水準にとどまり、政府が提示した今年の目標(月平均15万人)にはほど遠い。増加数の推移をみると、昨年7月から4カ月連続で10万人を下回り、11月は16万5000人に拡大したものの、12月は再び3万4000人に鈍化。先月は2万人も割り込んだ。統計庁は、製造業を中心に雇用不振が続いている上、昨年1月の増加幅(33万4000人)が大きかった反動もあると説明した」

     

    政府が、目標とする月平均の就業者増加数は15万人である。1月実績は、たったの1万9000人である。目標の13%に過ぎない。これで、政治と言えるのか。「倒閣運動」が起っても当然の事態である。だが、肝心の労組は文政権の支持母体である。しかも労組は大企業労組で組織されているので、差し迫った雇用の心配はない。現政権の下では、雇用悪化が政治問題にならない仕掛けになっている。報われないのは、未組織労働者である。踏んだり蹴ったりである。


    韓国統計庁が先月31日に発表した景気の先行指数は、昨年12月まで一致指数とともに7カ月連続で下落している。2つの指数が7カ月連続でともに下落したのは、第1次オイルショック当時の1971年7月から1972年2月まで8カ月連続下落して以来の最長記録となっている。 景気動向に関心を持つ者ならば、誰でも「これは危ない!」と思うはずである。ところが、政府は馬耳東風である。経済知識がないから無関心なのだ。救われないのは国民である。

     


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    経済音痴の大統領をトップに頂く韓国は、船が傾いているのにその危険性も認識できない状態だ。韓国の不況判断は、「一致指数が6ヶ月連続して減少した場合」と規定されている。この規定によれば、韓国経済は昨年10月から「不況期」として認定されなければならない。だが、大統領府にその動きは見られない。

     

    『聯合ニュース』(2月12日付)は、「韓国経済 4カ月連続景気鈍化ー政府系機関」と題する記事を掲載した。

     

    政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は12日発表した「経済動向2月号」で、韓国経済について生産と需要の両面で景気鈍化傾向が続いているとの判断を示した。「景気鈍化」の判断は4カ月連続。

    (1)「KDIは昨年11月に「輸出は高い増加率を示しているが内需が振るわず、景気は多少鈍化している」と分析したのに続き、12月には「内需が振るわず、輸出の増加傾向も緩慢になり、景気は徐々に鈍化している」と懸念を示した。今年1月には「内需不振が続き、輸出も萎縮するなど景気鈍化傾向が続いている」として経済状況への警告レベルを引き上げた。今回の評価は先月と同様だが、範囲が「内需」と「輸出」から「生産」と「需要」へと広がった。

     

    昨年11月のKDI報告では、内需が不振と指摘している。実は、内需不振は昨年4~6月以降ずっと続いてきた。昨年10~12月期のGDPは前期比1.0%と跳ね上がったが、これは財政支出拡大による一時的な現象である。昨年4~6月期、7~9月期は、ともに前期比0.5%増である。しかも、内需のマイナスを輸出増で糊塗したにすぎない。

     

    輸出増という化粧が剥がれて「素顔」の韓国経済に戻ると、内需不振が鮮明になっている。現在、「不振の範囲が『内需』と『輸出』から『生産』と『需要』へと広がった」のである。私は、かつて経済企画庁(現在、内閣府)の「景気判定委員」を数年務めたことがある。その経験からいえば、内需・輸出という経済の両輪が不振になった結果、韓国経済が「火だるま」になるのは不可避であると見る。

     

    (2)「KDIは鉱工業生産とサービス業生産は半導体、保健・社会福祉などを除いたほとんどの業種で増加幅が小さく、建設業生産は建築部門を中心に大幅な減少傾向が続いていると説明。需要面では内需と輸出がともに萎縮した状態だと判断した。また設備投資の不振も続いているとしたほか、1月の輸出額は半導体や石油類など主要品目を中心に減少幅が拡大する中、世界経済の鈍化も輸出に悪影響を及ぼしていると分析した」

     

    内需・輸出が萎縮するので設備投資が落込むのは当然である。これでは、雇用に重大な影響が出てくる。こういうマイナス局面で、最低賃金の大幅引上げが行なわれたのである。病人にさらなる負荷をかけたような話だ。「経済音痴」の文政権の決定的な間違いである。

     

    (3)「このような中、専門家は今年の韓国経済の成長率が政府の予想を下回ると予想した。KDIが国内経済の見通しについて専門家に行ったアンケートの結果、回答者は今年の韓国経済の成長率が平均2.5%と予想した。韓国政府は今年の成長率を2.6~2.7%と予想している。KDIの金ヒョン旭(キム・ヒョンウク)経済展望室長は、『韓国経済は対外需要に敏感な構造のため、成長を続けるには世界市場でさらに活発に活動しなければならない』とし、『競争力を向上させる努力を政府が積極的に支援すべきだ』と提言した」

     

    今年のGDPは、政府目標の2.6~2.7%などあり得ない。海外調査機関はもっと厳しい目で韓国経済を見ている。2.5%以下が多数である。私は、輸出の落込みによって、最悪の場合で2%スレスレまで減速すると見ている。その時、文政権は自らの政策がいかに的はずであったかを知ることになろう。


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    南太平洋に浮かぶバヌアツ共和国は、「地球上で最も幸せな国」に選ばれた国である。2006年のことだ。現在は、天国どころか借金地獄に苦しんでいる。例によって、中国が甘い顔をして接近し、大型 会議場を無料でプレゼントされたが、宝の持ち腐れで利用もされずにいる。政府は、この会議場の電気水道代を払えない状態だ。

     

    バヌアツとは、どんな国か。

     

    人口 27万6000人(2017年)

    名目GDP 8億7000万ドル(2017年)

    1人当たり名目GDP 3094ドル(2017年)

    外貨準備高 3億9500万ドル(2017年)

    貿易赤字 3億4900万ドル(2017年)

    経常赤字 7800万ドル(2017年)

     

    『朝日新聞』(2月11日付)は、「バヌアツ、中国が会議場つくってくれたが島国、電気代払えない」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国に造ってもらったけれど、お金がない――。南太平洋の島国バヌアツのサルワイ首相が、中国の無償支援でできた大型会議場について、維持する予算がなくて困っていると認めた。電気代すら払えないという。地元紙デイリーポスト(電子版)が11日、伝えた。首都ポートビラにある会議場は、中国が約1500万ドル(約16億5千万円)かけて建設し、2016年に完成した。1千人を収容するメインホールのほか、200人収容の会議室、100人収容の記者会見室、厨房(ちゅうぼう)などを備える。首相府が管理している」

     

    人口27万人の国で、1000人収容の大型会議場をつくっても稼働率が上がるはずもない。建設前に、真面目に需要予測をやったのだろうか。中国のことだから、そういう手間のかかる仕事をせず、ドカンと大型会議場をつくったはずだ。何を狙っていたか。運営に音を上げて中国へSOSを言ってくるのを待って、うまく「料理」する積もりでいたであろう。だが、中国の「債務漬」が国際的に知れ渡り、もはや奥の手を使う余地がなかった。実態は、こんなところであろう。

     

    (2)「サルワイ首相は地元紙に対し、維持する予算がなく、電力・水道会社への未払いが数百万バツ(数百万円)に上っていると認めた。企業や官庁がイベントを催す際、この会議場ではなくホテルを使いがちだとも説明。今年7月にポートビラで国際電気通信連合(ITU)が開く国際シンポジウムも「残念ながら、会議場はこの重要なイベントにならない」と語った。人口27万人の同国では、近年、港の埠頭やスポーツ複合施設、首相府庁舎など、中国の支援で次々と大きな施設ができた。太平洋の島国に対する中国の「インフラ攻勢」については昨年、地理的に近いオーストラリアの担当相が「白い象(無用の長物)」と表現して警戒感を示していた」

     

    経常赤字は、年間7800万ドルにもなっている。外貨準備高3億9500万ドルのバヌアツにとって、頭の痛い問題だ。この調子でいけば、5年を待たずに外貨準備高を食いつぶす。「地球上で最も幸せな国」ともてはやさていたことが噓のような事態になる。

     

    日米が主導するアジア開発銀行(ADB)は、南太平洋諸国を中国の「債務漬」から守るべく各国へ常駐の係官を置いて、「中国攻勢」をかわすことになった。中国は「ハエナワ」扱いである。中国政府系メディア『環球時報』(18年9月19日付)は、次のように報じた。

     

    (3)「ADBは9月18日、11の太平洋島しょ国で拠点を拡大し、同地域への融資額は2020年に40億ドル(約4500億円)に達する見通しだと発表した。ロイター通信は「ADBの太平洋島しょ国におけるプレゼンスの強化は、米国とその同盟国による中国との影響力争いに一致している」と論じている」

     

    (4)「ADBは声明で、クック諸島、ミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバルの7カ国に「カントリーオフィス」を設置するとともに、サモア、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツの4事務所を「カントリーオフィス」に昇格させることを発表した。新しいカントリーオフィスは「ADBがその国の政府や開発パートナーと定期的に連絡し、実質的なコミュニケーションを持つことを可能にする」としている」

    バヌアツにも、ADBが「カントリーオフィス」を置いて、中国の甘言に乗らぬように「監視」するのだろう。中国は、アジアでもこれだけ信頼されていないのだ。


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