勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評


    韓国メディアは、北朝鮮の金正恩氏の訪韓が迫っていると報じてきた。12月13日説も流れていたが、現状では訪韓スケジュールは白紙になった。

     

    『共同』(12月10日付)は、「韓国大統領府、正恩氏訪韓『催促しない』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国大統領府の金宜謙報道官は9日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のソウル訪問について『現段階で確定した事実はない』とした上で『私たちとしては急いだり、(北朝鮮側に)催促したりするつもりはない』と説明し、北朝鮮側から連絡が来るのを待つ意向を示した。金報道官は、ソウル訪問が盛り込まれた9月の南北首脳会談の合意を履行しようとす『両首脳の意思は明らかだ』と強調。今後も日程や手続きについて協議を続けるとした。韓国では、金正恩氏のソウル訪問が年内に実現するかどうかを巡って報道が過熱。日程や訪問地に関する臆測が飛び交っている」

     

    北朝鮮の「首領様」が、韓国を訪問したことはない。それだけに、金正恩氏の訪韓ニュースは過熱していた。「13日確定説」まで報じられたので、このブログでもそのように掲載した。ところが、北朝鮮にその動きが見えず、韓国側が勝手に騒いでいた構図となった。

     

    北朝鮮の首領が、海外へ出る場合、警護態勢が厳重になる。先ず、先遣隊が派遣されるが、今回は全くその動きがないという。

     

    『中央日報』(12月10日付)は、「北朝鮮の974部隊が動けば1週間後に金正恩委員長が訪韓」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「金委員長の警護は963部隊が外郭を、974部隊が近接を担当していると把握されている。すなわち、警護の側面で見ると、金委員長の答礼訪問が決定する場合、北朝鮮の974部隊が最初に動く可能性が高いという点を示唆する。平壌首脳会談を控えて青瓦台(大統領府)警護チームも先発隊形式で先に行った前例があり、金正恩国務委員長が中国やシンガポールを訪問する場合にも北朝鮮警護チームが先に動いたという点で、電撃的に答礼訪問を決めても北朝鮮側は974部隊などの事前踏査を要求するはずだ」

     

    金正恩氏の警護の準備からいえば、まず974部隊が最初に先遣隊として動くという。今のところ、その動くがないから、「金正恩訪韓」はなさそうだと言う結論である。

     

    (2)「複数の政府当局者によると、このため北朝鮮が金委員長の答礼訪問を公式的に確定しても、答礼訪問までには少なくとも1週間ほどの準備時間が必要という。ある当局者は『以前には首脳会談を準備するのに2カ月ほどかかった』とし『今回は何度か首脳会談をしただけにそれほどではないが、答礼訪問会談の場合、準備するのに少なくとも1週間はかかるだろう』と予想した」

    先遣隊が現れてから最短でも、1週間の準備時間が必要という。韓国メディアでは、こういう基本的なことをなぜ把握できず、空騒ぎをしてきたのか。韓国メディアの方が浮かれていた感じである。

     

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    11月に台湾で行われた統一地方選挙で、与党・民進党は大敗を喫した。野党・国民党が、22県・市のうち15県・市で首長に当選したもの。この裏で、糸を引いていたのは中国である。中国から訪台観光客を送らず、兵糧攻めにした結果だ。中国がいつも使う手である。

     

    勝利を収めた国民党にとって痛し痒しなのは、中国と一体視されるデメリットである。台湾市民は、脱中国意識が徹底している。国民党が、その中国の「回し者」というイメージを与えれば、次回の総統選がどうなるか分らない。

     

    『レコードチャイナ』(12月10日付)は、「台湾総選挙を機に中国が態度軟化、観光業は『暖冬』に期待感」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国メディア『参考消息網』(12月8日付)によると、英BBCはこのほど、台湾総選挙をきっかけに中国が態度を軟化させ、台湾の観光業とその関連産業で期待感が高まっていると報じた。11月に台湾で行われた中華民国統一地方選挙で野党・国民党が大勝した。中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光(マー・シアオグアン)報道官は、総選挙後の定例記者会見で、高雄への団体旅行を企画している旅行会社があることを明らかにした」

     

    中国共産党は、相手が意のままに動かないと必ず制裁措置を仕掛けてくる。日本も尖閣諸島国有化で、中国の罵詈暴言と旅行禁止の洗礼を受けている。日本は、「サムライ・スピリット」で意に介せずにかわしてきた。ついに中国から、「ニーハオ」と接近する事態になっている。台湾市民は、このくらいの決意を示さないと、中国から軽く見られるのだ。

     

    この中国が現在、米国から貿易戦争で制裁を受けている。因果応報と言うべきで、自らがこれまで冒してきた数々の蛮行を反省する機会だ。

     

    (2)「馬報道官はさらに、『台湾政局に変化が生じている。中台の都市交流は広がり、規模も大きくなるだろう』と述べた。高雄市は民進党の牙城とされていたが、国民党が勝利している。中国本土から台湾への渡航は08年に解禁され、観光客は年々増加し、15年には400万人を超えてピークとなったが、16年に民進党が政権を奪取し『九二共識』を否定したことを契機に冷え込み、台湾の旅行業を中心に巨額の経済的損失が生じた。しかし、今回の総選挙で国民党が勝利したことで、再び中国本土からの観光客が台湾を訪れるようになるのではないかと期待の声が高まっているという」

     

    台湾のIT大手企業6社が中国へ進出している。米中貿易戦争で、一斉に中国を引揚げる構えも見せている。これこそ、台湾のできる中国への「報復」である。これが、現実の動くになったとき、中国は台湾政府へ「ニーハオ」と言ってくるに違いない。中国共産党は、目先の利益で動くことが分かるはずだ。

     

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    日産の前会長、ゴーン氏をめぐる報道は毎日、途切れることはない。その中で、ビッグ・ニュースが飛び出してきた。ゴーン氏は11月の役員会で西川社長解任案を提出すべく準備していた。危機一髪、西川社長は首を切られるところだった。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月10日付)は、「ゴーン前会長、逮捕前に西川社長解任を計画か、11月の取締役会で」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が先月逮捕される前に、西川広人社長兼最高経営者(CEO)の解任を計画していたことが、事情に詳しい関係者の話で分かった。西川氏はこれまで、日産はゴーン前会長による同社資産の不正使用疑惑などを数カ月前から調査し、情報を東京地検に提供していたと述べている」

     

    ドラマのような展開である。ゴーン氏の来日は、日産取締役会で西川社長を解任する目的であった。その話が事前に西川氏へ伝わって、ゴーン氏の羽田での逮捕に結びついた。「西川解任」の根回しが進んでいたのだ。

     

    (2)「前会長は同じ時期、米国市場での販売減速や日本での相次ぐ品質検査不正問題を巡り、西川氏の手腕に不満を募らせていたと事情に詳しい関係者らは明かす。ゴーン前会長は数カ月前から日産経営陣を刷新する意向を示し、西川氏を退任させる計画を一部の役員に伝えていたと関係者らは述べている。関係者の1人によれば、前会長は11月下旬の取締役会で西川氏の解任を諮りたいと話していた。だが取締役会は1122日、ゴーン前会長の不正疑惑に関する社内調査の結果を受け、前会長を解任した」

     

    ここに登場する「関係者」は、日本人であろうか。外国人であれば、日本人への根回しは難しいであろう。想像力をたくましくすると、対象者は絞られる。

     


     

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    北京は、冬の「名物」である大気汚染が始った。昨冬は、厳しい規制強化で大気汚染源の企業は、軒並み大幅な減産を強いられ、青空を取り戻した。今年は、米中貿易戦争で経済が傾いていることから、規制緩和して「大気汚染してよろしい」ということらしい。こういう「ご都合主義」が企業に対して、環境規制の認識を弱めている。

     

    『ブルームバーグ』(12月9日付)は、「北京の大気汚染、山火事並み、冬季迎え深刻化、高層ビルも見えず」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「暖房で石炭や灯油の使用が増える冬季を迎え、中国・北京市の大気汚染が深刻化している。11月にはスモッグで高層ビルが見えなくなり、山火事並みの汚染度を記録した。中国政府が石炭と灯油の使用削減による大気汚染削減キャンペーンを実施したことで市内の大気汚染は10年ほど前に比較すれば著しく改善している。それ以前は、人間の肺の奥深くに留まる微小粒子状物質「PM2.5」の非常に高い測定値が観測されていた」

     

    (2)「市内では毎年11月から3月にかけては暖房が必要になり、エネルギー需要がピークを迎える。中国政府は現在、こうした冬季の大気質改善に力を入れている。しかし、11月14日の北京の大気汚染は過去1年半で最も悪い値を測定した。北京の米国大使館が発表したデータによると、同日正午の中国の首都北京でPM2.5の測定値は288に達した。この値は世界保健機関(WHO)が健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましいとする水準の11倍だ」

     

    (3)「この測定値は山火事の影響を受けている米カリフォルニア州の都市で記録された測定値を上回る。米政府ウェブサイト「エアーナウ」が示した同日の北京時間午前11時時点の測定値は、ナパバレーで161、サクラメントで188、サンフランシスコで164だった。同日、北京では、多くの人が「ビルが見えなくなった」といったタグを付けて、ソーシャルメディアに写真を投稿した。こうした投稿は、冬場、空気の質が悪くなったときの慣例になっている。この日、河北省や北京の一部では視界が50メートル以下になった」

     

    昨年は、大気汚染改善に乗り出したが、手荒い「一律規制策」で8割も生産の落ちた地域があったという。統制経済のもたらす非効率である。市場機構に基づく「優勝劣敗」の経済運営であれば、こういう「一律規制」という乱暴な政策をするはずがない。中国経済は現在、大量失業の恐怖に怯えているから、大気汚染ぐらいは我慢せよということだろう。こういう政府の下で、健康被害を覚悟して生活しなければならない。お気の毒と思う。

     


     

     

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    今朝、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    GDPで見た内需はマイナス

    経済音痴の大統領府秘書官達

    不況がもたらす支持率の低下

    支持離れ「イ・ヨンジャ現象」

    自営業者が悲鳴上げるも見殺

    金正恩訪韓で支持率上げ狙う

     

    韓国経済は奈落の底に向かっています。唯一、それを知らないのは文政権だけという悲劇が起っています。文政権と言っても、厳密に言えば韓国大統領府です。文在寅大統領の任命した秘書官の6割は、「86世代」と言われる特殊グループ出身です。1980年代に学生運動を行い、北朝鮮の「主体思想」(チュチェ思想)に染まった人達です。

     

    文政権による北朝鮮への肩入れは、尋常ではありません。米国トランプ政権から、米韓の対北朝鮮への足並みを乱せば、核放棄が実現しないと警告を受けているほどです。文政権にとって、南北融和は千載一遇のチャンスと捉えています。文政権が変っても、その後の政権に北朝鮮との融和を継続させる。こういう狙いが明白です。文政権は、先の南北による「平壌宣言」を国会で批准させる動きを見せています。

     

    一方、この「86世代」が目指す経済政策は、「反企業主義」と「所得主導成長論」という極めて硬直的な考え方です。チュチェ思想の信奉者ですから、市場経済による競争を否定します。労働者の天国を目指し、大幅な最低賃金引き上げを実行しています。それによって、国家としての経済循環の輪が崩れようと気にしません。その部分は、財政支出を拡大して補強する考え方です。チュチェ思想によれば、労働者は国家の「主人公」という位置づけです。この結果、国家経済のバランスが崩壊する点に関する配慮はありません。

     

    文政権は、今年1月から最低賃金を16.4%引き上げました。さらに、労働時間の大幅短縮を行い週52時間(従来68時間)が上限に決めて7月から実施に移しています。もちろん、最低賃金引き上げや労働時間の短縮は、労働環境の整備であり歓迎すべきことです。問題は、肝心の企業がスムースに対応できるかいなかです。韓国では、罰則を伴い法的な強制力を持っています。企業が対応できなければ、罰則が科されます。こうなると、対応できない中小零細企業では、従業員を解雇する手しか残っていません。労働時間短縮は目下、罰則が猶予(6ヶ月)されています。その猶予も12月で切れますが、延長を議論しています。

     

    GDPで見た内需はマイナス

    文政権は、こうした最低賃金引き上げや労働時間短縮が、「労働者天国」に通じる道と信じています。現実は、全くの逆であり零細規模の労働者を「地獄」へ突き落とす結果となりました。それが失業率の上昇に現れています。この経済的な損失は、GDP統計にはっきりと表れています。

     

    韓国銀行(中央銀行)が12月4日に発表した7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.6%(年率換算2.42%)成長です。だが、中味を見て愕然としたのです。7~9月期の純輸出(輸出-輸入)が、1.9%ポイントも寄与したのに、内需の成長率がなんとマイナス1.3ポイントで足を引っ張っているのです。内需とは、個人消費・設備投資・公共投資などです。要約すれば次のようになります。

     

    7~9月期は、純輸出が韓国経済を押上げ、内需が逆に足を引っ張るという最悪事態に陥っているのです。その原因は、最低賃金の大幅引き上げによる失業率上昇だったのです。(つづく)

     

     

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