勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    文在寅大統領の支持率が、7週間も下落し続けている。最新調査では60%になった。就任以来の最低だが、下げ止まる要因は見当たらない。経済状況悪化が、文氏の支持率を引下げているからだ。このまま、どこまで下がってゆくか、妙な関心を持つにいたった。

     

    文氏は目下、夏休み中である。ご丁寧にも、休暇中の読書リストが公開されたが、その中には一冊の経済書も見られなかった。やっぱり、この大統領は経済に関心がないとお見受けする。

     

    『朝鮮日報』(8月4日付)は、次のように伝えた。

     

    「韓国ギャラップが3日に発表した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は、先週に比べて2ポイント低い60%だった。文大統領の支持率は7週連続で下落しており、ギャラップによる今回の調査もこれまでで最も低い結果となった」

     

    支持しない理由は

        経済問題や国民生活の問題が未解決:38

        北朝鮮との関係・親北的な政策:11

        最低賃金引上げ:6

     

    不支持の理由では、①と③の経済問題・最賃引上が、合計で44%も占めている。国民の不満が経済問題にあることは確実である。

     

    支持する理由は

        北朝鮮との対話再開:12%、

        外交政策がうまくいっている:11

        対北朝鮮政策・安全保障政策:9%

    庶民のための努力と福祉拡大:9

     

    支持する理由では、北朝鮮関連(①と③)が合計で21%を占める。南北対話が文政権支持の主因である。

     

    与党「共に民主党」の支持率も先週に比べて7ポイント低い41%にとどまり、昨年5月の大統領選挙以来最低となった。これに対して正義党の支持率は先週よりも4ポイント高い15%で、共に民主党に次いで2位となった。これは201210月の結党以来最も高い数値だ。

     

    与党の「共に民主党」支持率は41%である。文支持率の60%から見て、見劣りのする数字だが、与党支持以外に「文ファン」が19%ポイント存在することを窺わせている。


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    痛ましい事故であった。すでに10日以上経っているが、被害状況の正確なデータが発表されない状態が続いている。その一方で、早くも補償問題が話題に上がっている。本来であれば、事故原因調査が優先されるはずだが、先ず金銭問題が登場している。お国柄だろうか。

     

    『朝鮮日報』(8月2日付)は、「ラオス政府、ダム事故は人災、SK建設に補償要求か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ラオス国営メディア『ビエンチャン・タイムズ』によると、ラオスのシーパンドン副首相は先ごろ、事故処理のための特別委員会会議で『洪水はダムにできた亀裂が原因で発生したもので、被害者への補償も一般的な自然災害とは違う形になるべき』と言及した。つまり『特別補償』が必要というわけだ。エネルギー鉱業省のポンケオ局長も『われわれには被災者に対する補償規定があるが、この規定は今回の事故には適用されないだろう。今回の事故が自然災害ではないからだ』と述べた」

     

    今回の事故は、自然災害でなく人災と位置づけている。この場合、どの程度の「割増」を要求されるのか不明である。

     

     

    (2)「ラオス当局が発表した現時点での人命被害は死者13人、行方不明者118人。周辺の村や田畑の浸水に伴う物的被害の規模はまだ具体的に明らかにされていない。SK建設、韓国西部発電、タイのラチャブリ電力、ラオスのLHSE社による合弁会社、PMPC側は、68000万ドル(約700億円)規模の建設工事保険に加入している。工事保険は、工事の目的物であるダム自体の損害などを補償するもので、一般住民の被害については特約事項となっている」

     

    68000万ドル(約700億円)規模の建設工事保険に加入しているが、ダム自体の損害補償である。後のパラグラフにあるように、特約条項で一般住民の被害補償も入っている。

     

    (3)「SK建設は、『工事に関連して事故が発生した場合、第三者に対する被害まで補償する保険にも入っている』と説明した。しかし、事故原因が施工上の問題と判明し、民間人の被害金額が保険で設定された金額を上回る場合、SK建設が大規模な被害補償を行わなければならなくなるというのが業界の分析だ」

     

    事故原因が、施工上のミスと断定され、一般人の被害額が全て保険でカバーできない場合、SK建設が負担せざるを得なくなる。これが、業界の分析という。ただ、SK建設は韓国第3位のSK財閥の一員という立場から、SK財閥グループで支援する形になるのでないか。韓国の「反企業ムード」から言えば、文政権がSK財閥に圧力をかけるケースは十分に予想できる。


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    あの強面のドゥテルテ・フィリピン大統領は、初訪中(2016年)で、中国の習近平国家主席と会談した。共同声明も発表されたが、盛りだくさんなフィリピンの開発事業に中国は協力を約した。その後、これらプロジェクトは動き出さずに終わっている。最近、ドゥテルテ氏は、理由を明らかにしなかったが、次期大統領選に立候補しないと語っている。この決断が本当とすれば、中国に空手形を掴まされた責任を取ろうとしているのだ。

     

    フィリピンは、南シナ海における中国の不法行動を常設仲裁裁判所に訴え勝訴判決を得た国である。そのフィリピンのドゥテルテ大統領が、中国に対して媚びる姿勢を見せたことは、極めて不可解であった。この外交上の甘さが、中国に手玉に取られた理由であろう。対中国外交では、厳しく対応することが鉄則である。少しでも脇の甘さを見せると、「空手形」を掴まされるのだ。日本も、東シナ海での共同石油開発協定を反古にされている。中国は、「嘘つき」常連国家である。

     

    『大紀元』(8月2日付)は、「比、中国に利用された、約束の投資が実行されず」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中比共同声明には、中国のフィリピンにおける鉄道、港湾、採鉱、エネルギーのインフラ整備や、中国農作物の輸入再開、貿易や投資の拡大などが盛り込まれた。フィリピン側によると、支援規模は総額240億ドル(25000億円)に上る。しかし、2年経っても投資プロジェクトはほとんど実行されていない」

     

    フィリピンは、完全に中国に一杯食わされた。ドゥテルテ氏は外交経験ゼロであり、百戦錬磨の中国外交の前には歯が立たなかった。最初から、フィリピンが自らの手口を全部相手に見せて始めた外交交渉など聞いたことがない。中国は、外交交渉で得た結論に従わない国である。昨年11月、米大統領が訪中の際に行なった共同発表もその時だけ。何ら実行しなかった。米国は、実行しないことが事前に分かっていたので、今回の「通商法301条」という伝家の宝刀を抜いた。約束を守らない国には、守らせる方法がある。その実例は今、米国が中国に向けて投げつけた刃にある。

     

    (2)「2016年10月、中国電力グループはフィリピンのエネルギー会社と共同で水力発電所の建設に合意した。総工費10億ドルの同計画は中国側が再三にわたり延期した。最後に2017年2月まで延期と発表されたが、2月になっても着工の気配がないため、フィリピン側は契約を中止した。ラテライトニッケル鉱石の探査、採掘を手掛けるGlobal Ferronickel社も中国側と7億ドルに上る工場建設計画を確定した。しかし、その後進展はなかった。726日付のブルームバーグの記事によると、フィリピン国家経済開発庁長官アーネスト・M・ペルニアは2年経ったが、中国政府とフィリピンとの間で、灌漑整備計画のローン貸付(7300万ドル)と2基の橋梁建設計画、合計7500万ドル規模の協議だけを結んだ。当初の投資総額240億ドルから大きくかけ離れている」

     

    前記の灌漑整備計画と、2基の橋梁建設計画で合計7500万ドルが、ようやく日の目を見るという。当初計画の240億ドルにくらべて0.3%に過ぎない。フィリピンが、南シナ海問題で強硬策に出ない。中国は、このことを知ったから約束を守らなかった。中国のような国を相手にするには、トランプ氏のような人物でなければ歯が立たないことを示している。

     

    3)「ドゥテルテ大統領は2016年の訪中時、投資を呼び込むために対中融和政策に転換した。軍事面でも経済面でも欧米と距離を置いた。しかし、中国依存の政策は実質的な収益をもたらされていない。また、ドゥテルテ氏は、中比両国が領有権を主張する南シナ海問題で政治的な譲歩姿勢を見せた。大統領は2017年11月12日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議関連のビジネスフォーラムで演説した際、南シナ海問題について『触れないほうがいい』と発言し、問題を事実上、棚上げした」

     

    ドゥテルテ氏の完敗である。もともと南シナ海問題で、法的に違反しているのは中国である。その相手に妥協するとは、不思議な外交感覚である。ドゥテルテ氏が、大統領1期で終わり立候補しないとなれば、次期大統領が新規まき直しで、中国とやり合わなければならない。7月、フィリピンで1200人の成人を対象に行われた世論調査で、中国への信頼度は2016年4月以降、最低水準を記録したという。国民は怒って当然である。

     


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    ラオス政府が、次第に事故の補償問題に触れてきた。表題のように、「人災」であると決めてかかっている。普通の水害という自然災害でない。こういう位置づけだ。このような姿勢に転じてきた背景には、ラオスにとって発電事業が、有力な「輸出産業」である点も無視できない。今後とも電力開発を行なう以上、「一罰百戒」で事故再発を防ぐ意味もあるのか。

     

    ラオスの電源開発計画はつぎのようだ。

     

    「1990年代前半から次々とダム建設に着手。エネルギー鉱業省などによると現在、国内には53基の水力発電所があり、発電能力は計約7千メガワット。8割は輸出していて、最大の購入国タイには4200メガワット分あまりを輸出。同省によると、将来的には9千メガワット分に増やすと確約しているという。中国やベトナムにも輸出しており、2021年までに全体の発電能力を現在の2倍近い約1万3千メガワットに増強する計画も進行しているという」(『朝日新聞』8月2日付)

     

    以上のような事情を考えると、ラオス政府の特別補償請求という意味合いが理解できる。ただ、原因究明はしっかりやらないと事故は再び起こる。

     

    『中央日報』(8月2日付)は、「ラオス政府、ダム決壊は欠陥工事による人災、特別補償を 韓国建設企業に向けて?」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日刊『ビエンチャンタイムズ』(8月2日付)報道によると、ラオスのソーンサイ・シーパンドン副首相は、最近開かれた補助ダム事故処理のための特別委員会会議で『洪水はダムに生じた亀裂のために起きた』と主張した。そして被害者への補償も一般的な自然災害の場合とは異なるべきだと強調した。この会議に出席した主務省庁の高官も同じ立場を明らかにした。エネルギー鉱山省のダオボン・ポンケオ局長は新聞のインタビューで『我々には災難の被害者に対する補償規定があるが、この規定は今回の事故に適用されない』とし、『今回の事故は自然災害ではないため』と主張した」

     

    決壊したのは、補助ダムである。現場写真を見ると、土を固めて堤防をつくっている。「アースフィルダム」と呼ばれているらしいが、私は今までコンクリートダムを想定していた。「土のダム」となれば、SK建設が主張するように大量の降雨があったという事情も考慮する必要があるように思える。ここは、土木工学の立場から「土のダム」と降雨量との関係を取り上げるべきテーマでなかろうか。

     

    (2)「こうした立場は、エネルギー鉱山相の主張とも一致する。カムマニ・インティラスエネルギー鉱山相は7月26日、現地メディアのインタビューで『規格に満たない工事と予想以上の豪雨が原因であるようだ。補助ダムに亀裂が入り、この隙間から水が漏れてダムを決壊させるほど大きい穴が生じたとみる』と欠陥工事疑惑を提起した。しかし施工を担当したSK建設はダムの事故が発生する前の10日間に1000ミリ以上の雨が降っただけに豪雨による『天災地変』とみている。村と農耕地の浸水による物的被害規模は算定するのが難しい状況だ」

     

    ラオス政府とSK建設が直接、話合っていてもラチがあかないであろう。ダムに関する国際的な研究機関のようなものはないのか。第三者機関による判定が最も必要に思われる。



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    中国の「台湾憎さ」は、尋常なものでない。もはや病的といっても良いくらいの振る舞いを続けている。腕力にかけても台湾に中国の威光を認めさせる荒々しさをみせている。戦前の台湾は、日本の植民地であった。日本が、日清戦争で得たものだが、清国は台湾について何らの関心も持っていなかった。「化外(けがい)の地」という認識だった。要するに、どうにも手が付けられない島だから、日本が欲しければ呉れてやる。こういう認識であった。

     

    台湾は、中国政府の掲げる「一つの中国論」を笠に着て、外交戦略で「中国を取るか、台湾を捨てるか」という二者択一を迫っている。台湾と外交関係を持つ国を減らして孤立させる戦術だ。現在、台湾が外交関係を維持している国は18ヶ国に減った。うち、6ヶ国が南太平洋に散在する。ツバル,ソロモン諸島,マーシャル諸島共和国,パラオ共和国,キリバス共和国,ナウル共和国である。

     

    中国が、台湾を外交的に孤立させる目的は、台湾への軍事攻撃を前提にしているからだ。中国と外交関係があれば、中国の台湾攻撃を容認するだろうという期待である。だが、中国は大きな誤算をしている。今回、米国が「国防権限法」の改正をした目的が何であるかを知らないのだ。この中には、「インドや台湾との防衛条約を強化する条項も盛り込まれている。これに加え、南シナ海の島々の軍事拠点化を中止するまで、中国の環太平洋合同演習(リムパック)参加を禁じるとしている」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』8月2日付)。中国の台湾孤立政策は無駄である。米国が、台湾防衛を前面に出しているのだ。中国が、身勝手な政策を行なっても反感を買うだけであろう。

     

    『ロイター』(7月31日付)は、「中国、小切手外交で攻勢、南太平洋諸国を借金漬けに」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「南太平洋に浮かぶ島国トンガは、中国からの融資が当初6500万ドル(約72億円)程度だった。現在は1億1500万ドルを超える。1年間の国内総生産(GDP)のほぼ3分の1に相当する。利子が膨らんだほか、トンガ全土の道路開発のために新たな融資を受けたためだ。元金返済計画が9月にスタートするが、トンガの年間元利払い費は約2倍に膨れ上がることになり、同国政府は対応に追われている。トンガの不安定な立場は、南太平洋の小国を直撃している広範な『負債疲れ』を示している。同地域が財政難に陥り、中国からの外交圧力にますます影響を受けやすくなるという恐怖も駆り立てている」

     

    トンガは、不幸にも台湾との外交関係を打ち切って、中国へ鞍替えして招いた悲劇である。現在の債務総額は、GDPのほぼ3分の1と言われる。この9月から返済がはじまるという。後のパラグラフに出てくるが、トンガは2013に債務免除を申入れて撥ね付けられた。最初は、猫なで声で接近しても、あとはがらりと態度を変える。それが、中国式の外交術である。日本も「ニーハオ」などと言う甘い声に騙されていると大変なことになろう。

     

    (2)「同地域の小国への融資は、台湾承認を巡る中台の影響力争いで、中国に『てこ』をもたらすことになる。台湾は同地域で強力な外交関係を築いており、同地域は世界有数の中台勢力争いの現場となっている。ロイターは南太平洋の島国11カ国の財務書類を分析。その結果、この10年で中国の融資プログラムによる債務残高がほぼゼロから13億ドル超に膨れ上がっていることが明らかとなった。オーストラリアが南太平洋地域に対して大規模な援助プログラムを提供しており、いまなお最大の支援国ではあるものの、2国間融資においては、いまや中国が最大の貸し手であることを財務書類は示している」

     

    中国は、台湾を追い詰めるために「札束外交」によって、「台湾断交」を行なわせた。トンガは、中国の「札束」の魅力に負けて台湾と断交して、今日の「借金地獄」へ落込んだ。自業自得の面もあるが、産業と言えば農魚業と観光しかない国にとって、過大債務の返済は大変な事態である。中国は、こういうことが分かりながら貸付け、工事を受注した。罪は深い。

     

     


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