このダム決壊事故は、情報が少ないためにいろいろな説が飛び交っている。古い技術による施工などの情報も流れているほどだ。だが、建設を請け負ったSK建設は、韓国でダム工事首位のランクであり、韓国第3位の財閥であるSKブループに属する企業だ。無名の企業でないから、古い技術で施工する合理的な理由がない。
『レコードチャイナ』(8月3日付)は、次のように伝えた。
(1)「天災なのか、それとも人災なのか?ラオス南東部の水力発電用ダム決壊をめぐり、当事者間の言い分が大きく異なっている。ラオス政府は『欠陥工事による人災』と主張。韓国企業側は豪雨が原因で『ラオス側の対応が被害拡大をもたらした』との見解を示し、対立している。コンクリートダムではなく、粘土をコアにした石積みによるアースフィルダムで、韓国大手財閥SKグループのSK建設と韓国西部発電、タイ政府系の発電大手ラチャブリ電力、ラオスの国営企業が合弁で建設。2013年に着工し、19年の稼働を目指していた」
完工目前であったようだ。すでに、水を貯めており下請け業者も撤収していたという。腑に落ちないのは、ラオス側が事故調査も済まない早期段階で、「欠陥工事」と決めつけている点だ。人災ゆえに補償は「天災と異なり上乗せ」とも主張しており、「金目当て」という感じもする。少なくも、中立を保つべきラオス政府の言うべきことではあるまい。
(2)「現地からの報道を総合すると、7月20日、貯水池造成のために建設した五つの補助ダムの一つが豪雨で約11センチ沈下。沈下は許容範囲内だったため措置を取らなかったが、22日になってダム上段部10カ所に拡大し、翌日の23日午前11時にはダム上段部が約1メートル沈下したことから、午後2時半に補修作業に着手しようとしたところ、沈下が加速してダムの一部が壊れたという」
5つの補助ダムのうち一つが決壊した。手抜き工事とすれば、他も疑われるはずだが、なぜこのダムだけを手抜きと断定するのか。沈下が許容範囲というダムがあるのか。工事発注側も最初から「ゆるい基準のダム」とすれば、決壊も想定していた感じがする。不思議なダムである。
(3)「ラオス紙によると、同国のエネルギー鉱山相は『規格に満たない工事と予想以上の豪雨が原因であるようだ。補助ダムに亀裂が入り、この隙間から水が漏れてダムを決壊させるほど大きい穴が生じた』と主張。副首相も『洪水はダムに生じた亀裂のために起きた。被害者への補償も一般的な自然災害の場合とは異なるべきだ』などと強調した」
ラオス政府側は、規格が満たないダム工事であると決めつけている。まだ、現地調査されたという情報は出ていない。盲めっぽうに言っている感じもする。要するに、悪意に解釈すれば、最初から「賠償金目当て」という感じが否めないのだ。このラオス・ダム決壊情報を10日間も扱ってきて、私は大いなる疑問を持つにいたった。SK建設が食い物にされ始めた印象が強い。
(4)「SK建設は決壊が発生した理由として連日の豪雨を指摘。聯合ニュースによると。調査報告で同社は『ラオス当局に連絡して近隣住民を避難させるよう求めた。23日午後6時ごろ、責任者が建設現場職員に避難完了を知らせた後、同8時ごろに大規模な決壊が発生し、多くの死者と行方不明者を出した』とし、『当局や現地住民の事故抑止意識の低さが大きな被害につながった』などと反論している」
SK建設側は、豪雨が続いていたので早期に避難通知を出すよう、ラオス側に求めていた。その点で、住民への連絡が遅れたと主張している。決壊2時間前に連絡済みとしているからだ。このダム決壊事故は、まだ真相は闇である。賠償金問題よりも事故原因の究明が先のはずだ。補償は二段構えで行なうべきで、最初から「人災」扱いでなく、まず「天災」基準で行なえば、補償は迅速に進むように思える。





