中国の統計数字には、事実を水増しする「ウソ」が混じっている。これは動かしがたい定説である。人間、水増しで「ウソ」をつく心理は「見栄」が原因である。中国政府は、この見栄によって「水増し統計」を発表しているのだろう。
その疑惑の統計数字は、「鉱工業利益」である。昨年5月頃から始まったと指摘されている。実は、日本経済新聞と米国経済通信社のブルームバーグが、同じような内容で報道した。これによって、中国の「ウソ」が暴かれたのだ。「企業利益」の水増しは、企業会計では「粉飾決算」にあたり犯罪である。国家が発表する粉飾決算」は犯罪でないようだ。これが、犯罪に問われていれば、中国は「前科×××犯」になっている。国家の犯罪は、かくも軽く「鴻毛(こうもう)」の類いか。習近平氏に罪の意識がないのは当然であろう。
『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国の工業利益、6月も力強い伸び-再び統計の整合性欠く」と題する記事を掲載した。
(1)「中国の工業利益は6月も力強い伸びを維持した。同月は工業生産が予想より低い伸びにとどまったものの、生産者物価指数(PPI)が今年最も大きな上昇率となった。国家統計局が7月27日発表した6月の工業利益は、前年同月比20.0%増の6582億9000万元(約10兆7200億円)。5月は21.1%増だった。ただ5月の名目値が純減を示唆していたことから、統計の信頼性を巡り疑念が生じていた」
5月の工業利益が、前年比で21.1%増と聞けば、誰でも「変だな」と直感で分るはずだ、6月も前年比で20.0%増である。これは、何か操作しているなと疑ってかかるのが常識というもの。記者稼業は、先ず疑うことから始まる。
(2)「6月の数値を単純計算すると、前年同月の7277億8000万元から9.5%減となり、5月と同様に整合性を欠くことになる。統計局の報道官は今月に入ってからの記者説明会で、調査サンプルの変更に伴い食い違いが生じたと説明し、調査対象企業の変更をこの統計は『正確かつ客観的』に反映することができると主張。報告済みの統計の詳しい検証と疑わしい会計・決算報告に対する取り締まりも差異にもつながっていると語っていた」
昨年発表の6月の数値をもとに、今年6月の伸び率を計算すると20.0%増でなく、9.5%減になるという。5月も同様の結果が出てマイナスになっている。このカラクリは何か。記者に問い詰められて出てきた答えが、「統計母数を変えた」いうのだ。日本の官庁統計では、統計母数を変える場合、統計数字の連続性を維持するため、過去にさかのぼり訂正するのが普通である。そういう「統計常識」をあえて破り、「木に竹を接ぐ」形のデータ発表は間違いである。こういう「統計常識」のない中国国家統計局とは何者なのか。
要するに、GDPを押上げるためには「何でもあり」なのだろう。とりわけ、「企業利益」という要の数字は株価や設備投資の予測に不可欠なデータである。そこを誤魔化し、高目の予測をさせて世間を騙す意図は明白である。
『日本経済新聞』(7月19日付)では、次のような説明である。
(3)「昨秋から統計局が公表する伸び率(公表値)と前年の利益額をもとに計算した伸び率(計算値)がずれ始めた。公表値で18年1~5月の利益額は2兆7298億元、伸び率は16.5%だが、前年同期の利益額は2兆9048億元。17年実績をもとにした計算値は逆に6%減となる。証券会社のエコノミストらが不自然さを指摘していた。統計局の担当者によると17年~18年4月の内部監査により国で72件、地方で7千件超の違法な統計操作が発覚した。ある企業はグループ25社のうち19社の業績を重複報告していた。これら過去の水増しを正し、17年秋から正しい数値を公表し始めた。比較対象となる17年の利益額が以前より縮小したため18年の伸び率は計算値より高めに出るという」
この説明にも納得できない面がある。利益の水増しという不正行為を企業の責任になすりつけている。だが、昨年半ばから突然、水増し記入を始めたとは思えない。不正をしていたならば、過去から続けているはずだ。要するに、最近の経済環境の悪化を反映して、国家ぐるみで企業利益の水増しを始めているのであろう。こうやって、GPPを手軽に押上げる「術」を利用し始めたと見たほうが間違いない。





