勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

    テイカカズラ
       

    豪州政府が18日、中国系投資家による自国内レアアース企業への影響力拡大を阻止する措置に乗り出した。中国系株主6人に対しレアアース企業の株式売却を命じたもの。レアアースは、最重要な戦略資産になっている。中国は、世界でレアアース製品の9割を占めている。西側諸国は、これに対抗すべく種々の対応を進めているが、豪州もその一環として「中国締出し」へ動いている。

     

    新型コロナ前まで、豪州は大変な「親中国」であった。この豪州が現在、中国に対して「敵対国扱い」するほど先鋭な関係になっている。豪州が、中国に対して「コロナの原因を究明し発表するよう」に発言したことが発端だ。これに反発して中国が、一方的な輸入制限を課して今日の事態を招いた。習近平氏の奢りが招いた結果である。

     

    『江南タイムズ』(5月19日付)は、「豪州、中国系投資家にレアアース企業株売却命令『国益保護が目的』」と題する記事を掲載した。

     

    半導体や防衛産業に不可欠な重希土類(レアアース)供給網を巡り、西側諸国と中国の対立が激化する中、オーストラリア政府が18日、中国系投資家による自国内レアアース企業への影響力拡大を阻止する措置に乗り出した。

     

    (1)「豪州のジム・チャーマーズ財務相は同日、中国と関係の深い投資家らがレアアース探査・開発企業ノーザン・ミネラルズの経営権掌握を図った懸念があるとして、中国系株主6人に対し保有株式の売却を命じたと明らかにしたという。チャーマーズ財務相は、声明で「豪州は強力かつ非差別的な外国投資審査制度を運用しているが、国益保護のため必要な場合には措置を講じなければならない」と説明した。豪州政府は今回の措置について、国家利益保護と外国投資規制順守の確保が目的だとしている。ただし、売却命令の対象となった投資家の実名は公表していない」

     

    中国と関係の深い投資家らが、レアアース探査・開発企業ノーザン・ミネラルズの経営権掌握を図った懸念があるとして、保有株式の売却を命じた。徹底的な中国勢力の排除である。

     

    (2)「ノーザン・ミネラルズは、西オーストラリア州キンバリー地域のブラウンズレンジで重希土類開発プロジェクトを進めている。特に、電気自動車(EV)向け高性能磁石に使われる重要レアアースのジスプロシウムの生産分野で、中国の支配的地位に挑戦している企業として知られる。ジスプロシウムは、半導体や防衛産業にも不可欠な素材とされる。豪州政府は、中国資本による戦略鉱物産業支配を防ぐため、2024年にも同様の措置を講じていた。当時、豪州は外国企業買収規制法に基づき、中国関連投資家5社に対してノーザン・ミネラルズ株の売却を命じていた」

     

    ノーザン・ミネラルズは、中国へ重要レアアースのジスプロシウムで挑戦している。それだけに、攻撃の矛を恐れて画策を狙っていたのであろう。

     

    (3)「その後、一部投資家が香港の投資会社Ying takに株式を移転していたことが判明し、迂回的な再参入ではないかとの議論が浮上していた。これを受け、チャーマーズ財務相は今年4月、Ying takに対して暫定命令を発動し、ノーザン・ミネラルズ株主総会での議決権行使や株式処分を制限した。今回、売却命令を受けた6社のうち、3社は中国本土、2社は香港、1社は英領バージン諸島に登録されているという。メディアは、これら投資家がノーザン・ミネラルズ流通株式の約27%を保有していると推定した。このうち4社は、主要株主に該当し、最大株主のバストネス・インベストメントは約7%の株式を保有している。豪州財務省は中国系投資家に対し、この日から2週間以内に株式を処分するよう指示した」

     

    今回、株式売却命令を受けた6社は、ノーザン・ミネラルズ流通株式の約27%を保有しているとみられる。これだけの大株主になれば、経営秘密を盗み出すことは容易である。「獅子身中の虫」になって、暴れ出す危険性があった。

     

    (4)「パースに本社を置くノーザン・ミネラルズは、声明で「財務省命令の内容を精査しており、評価完了後に市場へ通知する」と明らかにした。豪州政府は昨年、中国企業1社が既存の売却命令に違反したとして提訴し、勝訴している。また、豪州財務省は先月、一部の関連投資家が現在も命令に違反している可能性を懸念していると公表した。ノーザン・ミネラルズの株主構成を巡っては、2024年以降、豪州政府が繰り返し介入してきた。ノーザン・ミネラルズ側も、敵対的または非公開型買収のリスクを懸念し、2025年11月に自主的に外国投資審査委員会(FIRB)へ審査を申請している」

     

    中国は、かつて豪州国会へスパイを送込み、豪州が日本製潜水艦購入契約の成立を阻むために議員を買収した一件が暴露されたことがある。中国のスパイ行為は、筋金入りである。

     

    (5)「豪州のジェイソン・クレア教育相は、無人機(ドローン)、サイバーセキュリティー、新エネルギー技術などに関連する研究協力プロジェクト13件への支援を打ち切ったと明らかにした。豪州では過去10年間に、豪州国内研究者が中国、ロシア、イラン、北朝鮮の研究陣と少なくとも1500件に及ぶ共同研究を実施していたことが判明しており、豪州政府は研究安全保障規制を強化している」

     

    豪州の国内研究者が、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の研究陣と共同研究していた件数が1500件を上回るという。豪州が、穴場とみられていたのだ。

     

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    プーチン大統領は19~20日の日程で中国を訪れる。同行する代表団は、エネルギー、工業、交通、金融など多くの分野をカバー。副首相5人、ラブロフ外相ら外交、農業、文化、交通、経済発展など8人の大臣のほかに、中央銀行総裁ら16人の名前が訪中リストにあるという。このほか、大企業の責任者も含まれている。

     

    米中が今や、世界秩序を話し合う場となり、 ロシアが含まれていないことは、「周縁国」に落ちたことを示している。だからプーチンは急いで訪中し、 「ロシアは中国の重要パートナーだ」と確認したいのであろう。「弱者」ロシアの行動を余すところなく示している。ロシアの輸出入の約4割が中国経由。 金融決済も中国の金融網に依存している。全ては、ウクライナ侵攻を始めた「代償」である。

     

    『レコードチャイナ』(5月19日付)は、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか香港メディア」と題する記事を掲載した。

     

    香港『フェニックステレビ』(鳳凰衛視)は17日、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」として、北京外国語大学地域・グローバルガバナンス高等研究院の崔洪建(ツイ・ホンジエン)教授による解説を伝えた。

     

    中国には、米国のトランプ大統領が13~15日の日程で訪れたばかりで、16日にはロシアのプーチン大統領の19~20日の訪中が発表された。

     

    (1)「フェニックステレビは、「トランプ氏が去った直後にプーチン氏が中国を訪れる」「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」と問い掛けた上で、「最近の中国と米国の間のやり取りについて中国側と意見交換を行う」とロシア側が説明したことを紹介。さらに「ロシア側は両国のやり取りについてどのような情報を知りたがっているのか」と提起してから、崔教授の解説を伝えた」

     

    プーチン氏は、米中がロシア抜きで世界秩序を話し始めることへの恐怖感を持っている。ロシアは今、国際的な孤立によって経済制裁を受けている。戦争は長期化し、中国に依存せざるを得ない立場になった。こうして、米中が接近すると、ロシアは置いていかれる危険があるのだ。

     

    中国が、大国外交のハブになり、ロシアが周縁化している現実は、ロシアにとって屈辱的な事態である。かつては、米国、ロシア、中国 の「三大国」構造だった。今は、米国 ・中国の二極構造 であり、ロシアは「従属的パートナー」へ転落した。ロシアは、この現実を理解しているからこそ、 中国に見捨てられないように急いで訪中するに違いない。

     

    (2)「崔教授はまず、「中国はすでに大国外交の中核的ハブになっている」と言及し、今回の米ロ首脳の相次ぐ訪中は世界的な問題において高頻度かつ高効率な大国間協力が急務になっていることを際立たせていると指摘した。中国は仲介役、調整役という重要な役割を担っているという。また、プーチン氏が今回の訪中を切実に望んでいる理由として、崔教授は「第一に昨年は反ファシズム戦争勝利80周年に当たり、中ロ両国間の協力や国際的立場の合意が持続的に深化した」と指摘。今年は良好な協力関係の継続を急ぐ必要があるとの考えを示した」

     

    ロシアは、ウクライナ侵略戦争さえ引き起こさなければ、現在のような状況へ落込むこともなかったであろう。プーチン氏による判断の誤りが、こういう取り返しのつかない事態を招いた。習氏も、他人ごとではない。中国経済は、目に見えない形だが明らかに下り坂へ踏み込んでいる。調子に乗って台湾へ兵を送れば、確実に「第二のロシア」となろう。

     

    (3)「さらに、崔教授は第2の理由として、「多くの地域紛争が情勢転換を迎えようとする中、中国と米国がハイレベルの協議を終えたことを受け、ロシア側は双方の会談内容の核心を探り出すのを急いでいる。特にロシア・ウクライナ紛争や米国とイランとの駆け引きなど自国利益に密接に関わる議題に関心を寄せている」と指摘した」

     

    ウクライナ戦争では、ウクライナが主導権を握ったとも評されている。「大国ロシア」が、見下していたウクライナによって、「手玉」に取られ始めている。科学技術では、ウクライナが侮りがたい力を持っていることを示し始めている。ドローン開発がそれだ。

     

    (4)「第3の理由は、米中関係の改善がもたらす変化で、崔教授によると「ロシア側は中米関係の着実な改善がもたらす世界の構造変化に多大な関心を寄せている」。ロシアは世界秩序の行方や対中・対米外交の布陣を検討し、将来の発展方向を整理・明確化したい考えで、今回、中ロ首脳の間ではロシアの外交方向や戦略環境に関わる重要議題について深い意見交換が行われる見通しという」

     

    ロシアは今、経済力で中国の1割、技術力は経済制裁で崩壊寸前にある。外交力も孤立している。軍事力は、消耗の一方である。国際的正統性は、失墜している。この状況では、 中国に対して「対等」ではなくなった。プーチン氏の訪中は、「盟友」の訪問ではなく、「どうか見捨てないでほしい」という 立場の弱い側の外交行動に陥っている。もはや、「ロシア帝国」の片鱗もなくなった。

     

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    米中首脳会談はホワイトハウスの発表によると、中国がイランがホルムズ海峡を軍事化しようとするいかなる動きや、通行料を課そうとする試みにも反対することを明確にした。中国、ロシア、イランからなるいわゆる「枢軸」の実態が脆い関係であることを露呈した。枢軸の一角にヒビ割れが起こった理由は、中国の損得計算に大きく響くからだ。

     

    『ニューズウイーク 日本語版』(5月18日付)は、「イランを見捨てた中国は、次にロシアを見捨てる。中露イランの『枢軸』の『急所』とは」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ロシア国内では、対中依存はすでに構造的なものになっている。ロシアの輸入に占める中国製品の割合は約40%に上り、戦前のおよそ20%から増加している。機械、車両、通信機器、デュアルユース技術など、制裁下のロシアの戦時経済を支える主要分野では、中国が60%から90%の物資を供給している。中国は、ロシアにとって最大の債権者であり、最大のエネルギー顧客にもなった。結果、ロシアは石油や天然ガスの大幅な値引きを受け入れざるを得なくなっている。中国は、ロシアにとって最大の貿易相手だが、ロシアの中国の貿易に占める割合は3%強だ。この非対称性は、決して見過ごせるものではない。ロシアは対中依存状態に陥っている危険性を理解している。ただ、それを表に出さないだけだ」

     

    中国にとってのロシアは、安い石油や天然ガスの売手であるだけである。中国の貿易に占めるロシアの割合は3%強。ロシアの輸入に占める中国製品の割合は、約40%で戦前の約20%から倍増している。この中ロの貿易関係が、国益の比重を示している。

     

    (2)「2024年にフィナンシャル・タイムズが確認したロシア軍の流出文書によると、ロシア軍参謀本部は中国が南方から侵攻してきた場合に備え、中国へ戦術核攻撃まで想定していたことが分かる。あるシナリオでは、中国がロシア極東で抗議者に資金を渡して警察と衝突させ、破壊工作員をロシアのインフラに投入し、そのうえで「ジェノサイド」を口実に人民解放軍を国境に集結させる展開が想定されている。ロシアの計画担当者は、中国の都市への核攻撃を机上演習で想定していたが、西側にはそのように考えていることを知られたくないようだ」

     

    歴史的にみた中ロ関係は、敵対関係にあった。中国は、帝政ロシアに極東地域を奪われたからだ。必ず、奪回に動くはずである。ロシアは、これを認識しているから「戦術核」という反撃構想を秘めている。

     

    (3)「ロシアは好戦的な、衰退しつつある劣位のパートナーである一方、中国は慎重に台頭しており、冒険主義よりも安定と貿易の維持を重視する。だからこそ、中国はホルムズ海峡をめぐってイランをかばわなかった。イランは中東で強硬な行動を続けた結果、すでに中国にほぼ全面的に頼らざるを得ない立場に追い込まれていた。中国は、イラン戦争開戦までは、イラン産原油輸出のおよそ90%の輸出先となっていた。イランによるホルムズ海峡への機雷敷設や通行料の徴収が、中国のエネルギー安全保障に悪影響を及ぼし始めると、習近平の判断は明確だった。中国にとって、従属的な立場にあるイランをかばうために、タンカーの重要航路を危険にさらす理由はなかったのだ」

     

    イランは、ホルムズ海峡を封鎖して中国経済に多大の被害を及ぼしている。だから、中国にとって救済相手でないという認識になっている。中国にとって、イランは従属的な立場にあるので、リスクを冒す必要はないとしている。

     

    (4)「トランプによると、習近平はさらに踏み込み、中国はイランに軍事装備を供給しないと約束した。トランプの言葉を借りれば、それは「大きな発言」であり、イランにとっては壊滅的な発言であった。中国のユーラシア戦略は、対等な同盟関係を築くことではない。相手国を中国に依存させ、都合のよいときには利用し、必要になれば従わせるのだ。イランは、そのやり方が最もはっきり表れた例だった。イランの強硬姿勢が西側への圧力になっている間は有用だったが、それが中国のサプライチェーンを脅かした瞬間、中国はイランをばっさり切り捨てた。ロシアも今、同じ道を歩んでいる。ただ、イランよりスローペースなだけだ」

     

    中国の戦略は、相手国を中国に依存させ、都合のよいときには利用し、必要になれば従わせるのだ。始皇帝以来の「合従連衡」そのものである。合従(同盟)を嫌い、連衡(従属)させるものである。

     

    (5)「中国にとって、ロシアはあくまで利用価値のある相手だった。安いエネルギーを供給してくれる上、アメリカの注意を引きつけてくれる。中国の北側にある緩衝地帯としても機能する。ロシアの行動が中国の経済的安定を脅かし始めた瞬間、中国は態度を変えるだろう。欧州への貿易ルートを破壊すること、中国の銀行に二次制裁のリスクを及ぼすこと、湾岸の中国顧客を巻き込むより広範な対立に発展すること。そのような事態が起これば、中国はイランに対してそうしたように、対応を変えることになる。ホルムズ海峡をめぐる今回の出来事は、中国、ロシア、イランの「枢軸」が、深い信頼や共通の理念で結びついているわけではないことを思い出させる。三者を結びつけているのは、西側からの圧力という側面が大きい」

     

    中国は最近、ロシア極東地域の地図に「中国名」を書き入れている。必ず、奪回するという意思を示したものだ。中国のロシアへの姿勢は、イランも同様で使い捨てである。

     

     

     

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    1~4月の固定資産投資が、累計でマイナス1.6%減という冷え切った中で、国有系企業がマンション建設に乗り出すという。明らかに政府の圧力による「ヤラセ建築」の疑いが濃厚である。住宅不況底入れのサインではなく、さらに悪化するという不吉のサインであろう。売れない住宅の在庫を増やすだけだ。国有系企業は、地方政府の土地売却益捻出目的に奉仕させられている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月18日付)は、「中国『バブルの塔』用地が再起動 超高層ビルの呪いを解けるか」と題する記事を掲載した。

     

    中国で1番高いビルを建設するはずだった広東省深圳市の開発計画が再起動した。経営破綻した民営大手、世茂集団控股が手放し競売にかけられた用地を落札したのは国有大手の華潤置地だ。勝算はあるのだろうか。

     

    (1)「ついにあの土地が動くのか。6日、深圳市北東部にある龍崗区の開発用地の売却が成立した。買い手は商業施設運営に強みを持つ華潤置地だ。華潤置地が、取得した土地面積は約17万平方メートル(東京ドーム4個分弱)で、取得額は最低入札価格の約70億元(1600億円)だった。世茂集団が2017年に取得した金額は239億元の3割だ。9年間で7割も下落した計算である」

     

    深圳市北東部にある龍崗区の開発用地が最近、売却が決まった。最初の企業が倒産して、ようやく次の企業が決まったもの。地価は、9年間で実に7割も下落したという。凄い値下がりである。

     

    (2)「龍崗区は深圳市の郊外地域だ。現在でも中心部から地下鉄を乗り継いで1時間余りと決して利便性の高い場所ではない。25年に深圳市が買い取り、26年4月に再度売り出していた。試算によると、70億元を住宅部分の床面積で割った1平方メートル当たりの金額は2.3万元。周辺の新築住宅価格は1平方メートル当たり5万元前後と、建設費を加味しても元が取れる計算だという。まずは、住宅分譲で用地の取得費用を回収し、投資リスクを抑える算段だ」 

     

    新たに建てるマンションは、付近の新築住宅価格に比べ半値以下の価格に設定して、先ずは、購入した土地代を回収するという。場所は、深圳市中心部から地下鉄を乗り継いで1時間余りの場所だ。思惑通りにうれるか。

     

    (3)「上海市郊外の嘉定区。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)などの合弁工場がある自動車産業の集積地だ。この街の中心部で10年間たなざらしにされた「幽霊ビル」を賃貸住宅に衣替えするプロジェクトが始まった。プロジェクトを進めるのは、中国4大不良債権管理会社の1社、中国信達資産管理だ。28年をメドに家具付きの賃貸住宅に改装し、安定した賃料収入を確保した後に不動産投資信託(REIT)として上場させる計画だ」

     

    上海市郊外の嘉定区で、10年間たなざらしにされた「幽霊ビル」が、賃貸住宅に衣替えする。新たな建築主は、4大不良債権管理会社の1社、中国信達資産管理だ。政府系企業である。不動産投資信託で経営するという。若者の就職動向と密接な関係を持つ。

     

    (4)「成功事例も生まれている。3月21日に上場した匯添富上海不動産賃貸住宅LEATとの投資物件は上海市内の遊休オフィスを転用した賃貸住宅だ。隣接するハイテクパークで働く若者をターゲットに1LDKの間取りを主体としたことが奏功し、入居率は9割を超えるという。ニッセイ基礎研究所の胡笳研究員は「今後もREITを活用した物件の再生事例が増えていく」と指摘する。もっとも、中国で不良債権の物件再生は始まったばかりだ。問題は物件の完成後にもある」

     

    若者をターゲットに1LDKの間取りの賃貸住宅は人気があるという。中国人は、広い家に住みたがるだけに、1LDKで満足するのは相当の低収入層であろう。貧困の象徴である。

     

    (5)「25年4月、直轄市である天津市で高さ597メートルの「世界一高い未入居ビル」の工事が約10年間の中断を経て再開した。誰もが心配するのは、景気が悪い天津でテナント需要があるかだ。米CNNの取材に対し、米デューク大学のチアオ・シトン教授は「必ずしも利益が出るわけではないが、政府は少なくとも人民の自信を増幅できると期待している」と分析した。

     

    天津市の高さ597メートルの高層ビルが、未竣工で放置されてきたことは有名な話だ。これも、25年4月に工事再開である。地元政府のメンツによる建設工事再開だ。

     

    (6)「中国では高層ビルの完成が相次いでいる。国際非営利団体の調査によると、24年に完成した高さ200メートル以上の133棟のビルのうち、91棟が中国だったという。こうした新規ビルの過剰供給がオフィス需給を大きく悪化させている。中国の主要都市のオフィス空室率は23割にのぼる。日本の主要都市の2〜3%台と比べると、かなりの高水準だ。中国のオフィスビルは国有企業や政府系ファンドなどが保有しているケースが多く、その実態がみえてこない。国有銀行が資金を供給し続ければ、未完成や低稼働率ビルの問題が表面化しないからだ。政府系でテナントを埋めることも可能だ」

     

    世界で24年に完成した高さ200メートル以上の133棟のビルのうち、中国が91棟を占めるという。68%に当たる。建設不況が起こっても、何ら不思議のない状態である。バブル崩壊は、起こるべくして起こったのだ。

     

     

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    今回の米中首脳会談に成果が少なかったことから、いろいろと揣摩憶測(しまおくそく)が流れている。メディアでは、習近平氏が会談の主導権を握って中国が有利に立ち回ったという説が支配的である。この流れで、中国が5年以内に台湾へ侵攻するという説まで流れている。その理由は、「中国が米国との対等な関係を誇示し、台湾問題をさらに強く押し通そうとしているシグナルと受け止めた」というものだ。たわいのない話である。

     

    習氏は、国内経済が悪化しているだけに、国内向けに虚勢を張って振舞ったのであろう。中国が、米国と対等と認識していれば、習氏があえて会談冒頭挨拶で「トゥキディデスの罠」を持ち出すはずがない。トゥキディデスの主張は、「新興勢力」が「既存勢力」に挑戦する際には、紛争が避けられないというもので、中国は新興勢力という位置づけである。既存勢力は米国だ。中国が、米国と戦って勝利できるという自信があれば、「台湾独立に反対してくれ」と米国へ依頼するはずがない。中国は、米国と戦って勝てる見込みがないから、「独立に反対」という米国の言質が欲しいのだ。

     

    『中央日報』(5月18日付)は、「『台湾は交渉のチップ』のはずがトランプ氏側近『中国、5年以内に台湾侵攻の可能性』」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米国大統領が台湾への武器売却を中国との交渉のための「良いチップ」と表現して波紋が広がる中、一部では5年以内に中国による台湾への武力侵攻の懸念が高まっているという報道が出た。

     

    (1)「米アクシオス(Axios)は17日(現地時間)、トランプ大統領の側近を引用して「今回の訪中は、今後5年以内に台湾問題が米中間の戦略交渉のテーブルに上がる可能性がはるかに高まったというシグナル」と報じた。この側近によると、習近平中国国家主席が先週の米中首脳会談でトランプ大統領のために準備した儀典をめぐり、トランプ大統領の参謀の間でこのような分析が出たという。「中国が米国との対等な関係を誇示し、台湾問題をさらに強く押し通そうとしているシグナルと受け止めた」ということだ。彼は「習主席は中国がもはや台頭する大国ではなく米国と対等な国であり、台湾は中国のものであると言おうとしている」と説明した」

     

    中国は、深刻な経済状況に追い込まれている。4月の経済データは、小売売上高は前年比0.2%増に急落した。物価上昇を織り込めば、実質マイナスである。固定資産投資は、1~4月の累計でマイナス1.6%減となった。「消費も投資もマイナス」という異常な事態だ。これまで、中国経済を支えてきた固定資産投資(GDPの4割)までが、マイナスになったことは、消費の実質マイナス状況と合せてみれば、スタグフレーション(不況下の物価高)という事態へ入り込んだと危惧される。この状態へ突っ込むと、少なくも数年は景気停滞に陥る。戦争どころの話でなくなるのだ。

     

    (2)「実際に習主席は、トランプ大統領との会談で、「(台湾問題を)適切に処理すれば両国関係は全般的な安定を維持でき、間違って処理すれば両国は衝突して中米関係全体を非常に危険な状況に追い込むことになる」と述べていた。この日、ホワイトハウスが公開したファクトシートをはじめとする米国側の発表には該当の内容が含まれていないが、トランプ大統領は首脳会談の最終日である15日のインタビューで、台湾への武器売却をめぐり「良い交渉チップ」と表現して波紋を広げた。トランプ大統領はさらに踏み込んで「台湾は中国本土から59マイル(約95キロ)離れており、米国は9500マイル(約1万5000キロ)離れている」とし、台湾を「一つの中国」とみなす中国の立場を擁護するような発言を続けた」

     

    台湾へ侵攻するのは、米国でなく中国である。その中国が、戦争を引き起さなければ平静である。台湾防衛は、米国内法である「台湾関係法」で婉曲だが規定されている。米議会は、党派を超えて台湾防衛派である。

     

    (3)「米国が、台湾の安全保障を対中交渉カードとして活用しかねないという論争が大きくなると、米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表はこの日、ABCとのインタビューで「米国の台湾政策に変化はない」として沈静化に乗り出した。グリア代表は、それとともに「現実的に米国と中国が安定した関係を維持することは非常に重要だ」とし、「台湾への武器売却は中国が常に提起してきた事案であり、大統領はどのようにアプローチするか考慮中だ」とした。トランプ大統領が台湾への武器売却を交渉手段として活用する可能性を排除しなかったのだ」

     

    米国が、台湾へ武器を売却するのは台湾関係法による義務である。これを忘れた議論は、無駄である。


    (4)「この日、アクシオスとインタビューしたトランプ大統領の側近らは、すでに中国の台湾侵攻後の状況を懸念している。核心は世界最大のファウンドリ企業であるTSMCに絶対的に依存している半導体サプライチェーンだ。トランプ大統領の参謀は「(中国の台湾占領時)経済的に米国が準備する方法がない」とし、「半導体サプライチェーンは自給とは程遠い」と話した。それとともに「企業の最高経営責任者(CEO)たちと米国経済全体を見ても、人工知能(AI)用半導体のサプライチェーンより急を要する問題はない」と強調した」


    TSMCの半導体設備は、遠隔による爆破装置が付けられている。戦争によって、中国に接収させないという防衛策である。

     

     

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