勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    今年、73歳になる習近平中国国家主席は、後継者も決めずに「猪突猛進」している。異論を封じ込め、側近で指導部を固めるため、かつてスターリンや毛沢東が用いたような独裁的な手法を駆使している。後継者を決めた途端に、権力の座が揺らぐという過去の実態から、習氏は14億人の国民の運命を一人で担って驀進を続ける。それが、吉と出るか凶と出るか。いずれ、歴史が判断を下すだろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月10日付)は、「習氏の独裁手法、スターリンと毛沢東に倣う」と題する記事を掲載した。

     

    習氏は自らの側近を含む数十人の高官を粛清し、個人崇拝の拡大を主導し、絶対的な忠誠を求めてきた。目標は、中国の運命を長年にわたって自ら決定し、国力を拡大し、軍事力と経済力で米国に並ぶことだ。中国共産党の最高指導者として14年目を迎えた73歳の習氏は、毛沢東時代の後に一人支配体制への回帰を防ぐために設けられたルールを廃止してきた。

     

    (1)「こうした強権的な手法にはリスクが伴う。議論を封じ、恐怖の雰囲気を醸成することで、習氏は政策立案をより恣意(しい)的なものにし、誤りを修正しにくくしている。また、明確な後継者計画がないため、スターリンや毛と同じ運命をたどるリスクも抱えている。両者とも在任中の死去が権力闘争を招き、最終的に彼らの政治的構想は崩壊した。スターリンと毛は、絶対的権力を固める過程でライバルを排除し、反対意見を封じた。どちらも大規模な粛清を主導し、数百万人の官僚・知識人・一般市民を投獄・強制労働・死に追いやった」

     

    強権的手法は、一般的に政策の修正を阻むものだ。中国は今、この最も悪い面が出ている。習氏は、過去の経済政策も全て取り仕切ってきた。不動産バブル崩壊は、習氏の責任に帰せられる。習氏は、これを回避しており、何事もなかったように振舞っている。中国経済が、失速した根因はここにある。

     

    (2)「毛は悲惨な文化大革命を発動し、熱狂的な若者を動員して反革命分子とされた人々を攻撃させ、暴力と社会的混乱を引き起こした。習氏はそのような狂信主義を避けつつも、毛時代以来見られなかった速度と規模で高官を粛清してきた。腐敗と政治的異論に関する絶え間ない摘発は、官僚に習氏への忠誠心を示すよう迫り、誰も習氏の権威を損なえないようにすることを目的としている」

     

    習氏の絶え間ない摘発は、自己の権力を確立するための「日常行為」となっている。頭角を現す人物は、習氏の地位を脅かす危険があるとして粛清される。豊臣秀吉と同じ心境なのだろう。

     

    (3)「習氏は2022年に党最高指導者として3期目を開始して以降、粛清を強化している。エリート集団である党政治局の現職委員3人を6カ月以内に相次いで失脚させた。この階級の粛清としては1976年以来最大規模だ。ほかに国防相や外相、農業農村相が解任されたほか、軍の司令官や地方指導者、金融規制当局者、国有企業幹部も同様の処分を受けた」

     

    習氏が、人民解放軍の飽くなき粛清を続けている理由は、習氏への反抗心を抱かせないようにする「脅迫行為」だ。粛清を続けて、習氏の言いなりになる「腑(ふ)抜け」にさせたいのだろう。恐るべきことを始めたものである。

     

    (4)「習氏は毛時代の慣行に倣い、自らが主宰する年次会議で政治局員に自己批判と相互批判を求め、習指導部への忠誠心を含む基準で各自の実績を審査している。共産主義指導者は「成功すれば成功するほど、敵は自分を恐れ、打倒しようと団結する。だからこそ、より多くの粛清が必要になる」。ソ連と毛時代の中国における権力闘争を研究してきたアメリカン大学の歴史家ジョセフ・トリジアン氏はこう述べた。「均衡点は存在しない。敵は次々と現れ続ける」。毛以来最長となる党指導者としての在任期間を誇る習氏は、2027年に党総書記として4期目(任期5年)を目指し、翌年には国家主席として続投する構えを見せている」

     

    「自己批判と相互批判」は、組織から異分子を取り除くローラーのような役割をする。21世紀の今も、こういう暗黒時代の手法が使われていることに驚かざるを得ない。西側諸国にとって、この異質な国は警戒すべき存在であろう。

     

    (5)「中国政府はかつて、5カ年計画の策定にあたって世界銀行や米経済学者のジョセフ・スティグリッツ氏といった外国の機関や専門家に意見を求めていた。しかし習氏はそうした助言を拒んでいる。習氏は、計画策定プロセスも厳しく管理している。最新の5カ年計画では、信頼する代理人の李強首相により実務的な役割を与えた。米シンクタンク「アジア・ソサエティ政策研究所」の分析によると、習氏の顧問たちが計画を起草する際、下位の官僚や外部の専門家からの提案を受け入れることが減っている。その結果、習氏はこれまでのところ、経済に重くのしかかる持続的なデフレと戦うために消費を拡大する必要があることを示す兆候を無視し続けている」

     

    習氏は、経済の専門家ではない。その習氏が、五カ年計画をリードしている。聞いただけで、身の毛のよだつ話だ。ジェット機が、技術未熟なパイロットの手で操縦されているようなものである。

     

    (6)「習氏は、党員と政府職員の行動を細かく規定する規則と施行の広範なシステムを構築してきた。習政権は、毛後の歴代指導者をはるかに上回るペースで、職務と行動に関する党規則を制定または改定してきた。これらの規則を施行するため、習氏は党の最高内部監視機関である中央規律検査委員会(CCDI)に権限を与え、1億人の党員を精査し、その忠誠心を監視させている」 

     

    習氏の権力を支えているものは、人民解放軍とこの中央規律検査委員会である。党員を監視してコントロールしているのだ。こうやって、習氏の「終身国家主席」を演出し続けるのであろう。一番、不幸せなのは国民である。

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    ハンガリーで、中国製EV電池の「環境リスク」が、初めて公式に暴露され、行政処分へ持ち込まれた。これは、単なる一企業の不祥事ではなく、中国のEV電池産業モデルそのものが、環境違反に問われた意味で、重大な転換点になろう。EV電池は、製造過程で莫大な二酸化炭素を排出する。それだけに厳重な管理が求められるにも関わらず、ルーズな中国方式を欧州へ持ち込み、大恥をかくことになった。

     

    今回の事件は、欧州が抱えていた 3つの懸念が現実化 した。

     

    1)環境汚染リスク(最悪レベル)。

    欧州で地下水汚染はレッドラインである。 基準値1万3000倍は、通常の工場事故ではあり得ない数値である。

    2)地元住民の反発が臨界点に達した。

    粉塵・騒音・水質汚染で住民の抗議が激化している。 欧州では、住民の反対運動が政策を止める力を持つだけに、今回の事態は予断を許さなくなっている。

    3)中国企業の「環境管理の甘さ」が制度的問題として認識された。

    これは単なる一工場の問題ではなく、 中国の電池産業モデルが欧州の環境基準と根本的に合わない という構造問題が露呈した。

     

    『レコードチャイナ』(7月10日付)は、「中国の電池工場、環境汚染によりハンガリーで操業停止命令独メディア」と題する記事を掲載した。

     

    独『ドイチェ・ヴェレ』(7月9日付)は、ハンガリーの新政権による環境規制強化に伴い、EV用電池産業に大きな影響が広がっていることを報じた。

     

    記事は、ハンガリーの環境当局が6月下旬、中国の電池部品メーカーである恩捷股份(エナジー・ニュー・マテリアル)の工場周辺から大規模なアルミニウム汚染が検出されたことを理由に、同社の生産許可を一時停止することを決定したと伝えた。

     

    (1)「具体的なデータとして、公式の地下水検査報告書で基準値を1万3000倍以上上回る濃度のアルミニウムやヒ素、亜鉛、鉛、コバルト、カドミウム、ニッケル、クロムなど各種重金属が基準値を超えて検出されたことに触れ、工場があるデブレツェン市当局が刑事告訴に踏み切ったほか、今月1日にはパップ同市長が同社に対し「デブレツェンから立ち去るべきだ」と公に呼び掛けたことを紹介している」

     

    ハンガリーの地元市長は、「立ち去るべきだ」とまで言うほど強い怒りを買っている。これまで、中国でも同じことを繰り返してきたはずだ。環境意識が、微塵もないことを証明した。

     

    (2)「その上で、ハンガリーではオルバン前首相が2021年以降に多額の外国投資を誘致してEV電池産業を成長させたものの、今年4月の総選挙で中道右派の野党指導者マジャル氏を首相とする新政権が誕生すると、全国のすべての電池生産許可を再審査する方針が打ち出されたと解説。ラスロ環境相が環境規制を遵守しない電池工場は閉鎖すると警告しているとした」

     

    旧オルバン政権は、親中国的振る舞いが多かった。新政権は、全てを見直し対象にしている。欧州で、環境対策の甘さは致命傷である。中国政府に取っても不名誉この上ない話だ。

     

    (3)「さらに、与党「ティサ」の議員であるタルカーニ交通投資政務次官が、環境を汚染する工業企業を監視・制裁する新しい規制機関を設立する意向を示したことにも言及。同国内では多くの電池工場建設計画が地元住民の強い不満を招いており、粉塵や水質汚染、騒音などが懸念されていると伝えた。記事は、中国の業界最大手である寧徳時代(CATL)がデブレツェンで電池工場建設を進める中、タルカーニ氏が5月末に「政府は既存の工場敷地に隣接する第2、第3工場を建設する拡張計画を支持しない」と述べたことも併せて紹介している」

     

    CATLの工場まで飛び火している。BYDも工場建設中であるから、厳しい監視の目が注がれる。「ESG基準」から見た今回の事件の位置づけは、次の通りだ。欧州のESG規制は、世界で最も厳しい規制が掛っている。特に、環境(E)については、以下が「絶対基準」となっている。地下水汚染、重金属汚染、有害物質の基準値超過、住民の健康被害リスクなどによって、行政処分(操業停止)や刑事告訴へ進む。今回の中国・恩捷股份のケースは、これらすべてに該当する。

     

    特に 基準値の1万3000倍のアルミニウム検出 は、欧州の環境規制では「即時閉鎖レベル」の重大違反に当たる。 ヒ素・鉛・カドミウム・ニッケル・クロムなどの重金属汚染も、ESG評価では「最悪ランク」に分類される。つまり、ESGのE(環境)で完全アウトである。 欧州市場からの追放は、制度的に避けられないであろう。大変な騒ぎになってきた。この問題は、前政権時代から認識されており、オルバン敗北の理由でもある。

     

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    中国メディア『21世紀経済報道』は9日、「日本でラーメン店の倒産ラッシュが起きている」と報じた。しかし、中国のネットユーザーからは「自国はどうなんだ」とのツッコミが入って大炎上中である。

     

    『21世紀経済報道』は経済・産業分野で信頼性が高い部類のメディアである。理由は、経済専門紙として取材力が強い、企業情報・金融情報は比較的正確、海外投資家も参照することがあるというのだ。これまでの日本報道でも冷静であった。それが、突然の「日本批判報道」で、倒産実数を伏せて増加率をセンセーショナルに取り上げ、読者の非難を浴びている。当局の「日本非難報道せよ」に沿ったものであったのだろう。飛んだところで馬脚を現した恥をかかされた格好だ。

     

    『レコードチャイナ』(7月10日付)は、「『日本のラーメン店に倒産ラッシュ』と中国メディア、『自国はどうなんだ』とツッコミ殺到」と題する記事を掲載した。

     

    記事は、「日本では中小企業の倒産ラッシュが深刻化している。代表例として挙げられるラーメン店では、東京商工リサーチの調査によると、今年16月の倒産数が前年同期比44.4%増となり、2009年に統計を開始して以来、過去最多を更新した」と伝えた。ただ、同メディアは実際の倒産件数が2025年1~6月は25件、今年1~6月が36件だったことに触れず、「44.4%増」という数字だけを強調している」

     

    (1)「記事は、ラーメン業界が苦境に陥っている原因として、食材価格やエネルギーコストが上昇していること、飲食業界で人手不足が続いていること、最低賃金の引き上げによって人件費がさらに膨らんでいることを指摘。多くの店は夫婦だけでの営業を余儀なくされ、サービスの質に影響が出ているだけでなく、経営者自身も過酷な労働にさらされているとした」

     

    日本では、ラーメン店の競争が激しい。ラーメン通が店の格付けをするほどだ。大衆向けだけに、人気が出るか出ないかで商売にも影響する。

     

    (2)「上海外国語大学金融イノベーション・発展研究センターの章玉貴(ジャン・ユーグイ)主任の話として、「労働生産性の停滞や産業競争力の低下、少子高齢化の進行といった構造的な問題が、円相場を支えるファンダメンタルズを継続的に弱体化させている。マクロ経済の改善が力強さを欠く中、中小企業はもともとリスク耐性が弱く、円安の影響が急速に波及しているため、企業倒産が相次ぐのは不思議ではない」と伝えた」

     

    円安による食材値上がりの影響もあろう。だが、ラーメン店廃業について、ここまで理屈づけられると、かえって「嘘ぽく聞こえる」から不思議だ。ラーメン店は生業である。もともと、わずかな資本で始められる分野だけに浮沈が激しいのだ。これをもって、「マクロ景気」を論じるのは逸脱している。

     

    日本は、「ラーメン店密度が世界一」といわれる。全国に約 2 万店、新規参入が多い、味の差別化が難しい。SNSで、評価が瞬時に広まるなど競争が激しすぎて、「普通に美味しい店」が生き残れない構造になっている。ラーメン店は設備費が高く、居抜きでも 300〜900 万円、新装なら1000〜1500 万円。 これを回収するには 月商 150〜300 万円を安定して維持する必要がある。しかし、原価・人件費・家賃が上がる中で、 このラインを維持できない店が増えている。

     

    ラーメン店は、「客単価が低い」ために、 回収までには時間がかかる。客単価が、700〜1200 円、利益率は10〜15% 、月商が150〜300 万円が必要な背景だ。回収期間として、どうしても2〜5 年は必要。以上が、「ラーメン経営学」の一端である。

     

    (3)「この報道に中国のネットユーザーからは、「国内の状況がどうか見てみては?」、「自国にしっかりと目を向けた方がいい」、「相手を笑える立場なのか?」、「五十歩百歩」「海外のことばかり気にして、自国の状況だって良くないのに」、「中国の飲食店の倒産の方がもっと多い」「他人の問題を虫眼鏡で拡大して見るのはやめよう。他人をあれこれ観察する暇があるなら、まずは自分を見つめた方がいい」、「中国の店がどれだけ倒産しているかを見ろ。飲食店の倒産なんて牛の毛の数(数えきれない)ほどあるぞ」といった声が相次いだ」

     

    中国の読者は、自国の飲食業の競争が激しいことをよく知っている。自国の例を棚に上げて日本批判するメディアへ批判を浴びせている。

     

    (4)「中でも最も多くの共感(いいね)を集めたのが、「なぜ(日本のラーメン店の)実際の倒産件数を伝えないんだ?」との指摘で、これに対しては別のユーザーから「今年の倒産が30件余り、去年が20件余りだよ」との回答があり、また別のユーザーから「その程度で『倒産ラッシュ』って(笑)」と中国メディアの報道の仕方を揶揄するコメントが書き込まれた」

     

    日本の倒産件数が、半年間で20~30件と低いことも読者に違和感を与えている。中国では、高級レストランが閉店している。日本のラーメン店の倒産とレベルが違うのだ。

     

    (5)「さらに、あるユーザーは「日本で2025年1~6月に倒産したラーメン店は計25店で、中国で1日に倒産する蘭州ラーメン店の数の3分の1にも満たなかった。2026年同期は日本のラーメン店の倒産件数は急増して36店になったが、それでも中国で1日に倒産する蘭州ラーメン店の数の2分の1に過ぎない」と解説し、こちらも多くの共感を集めている」

     

    蘭州ラーメンとは、甘粛省・蘭州市発祥の牛肉ラーメンである。牛骨と牛肉を薬膳系スパイスと一緒に煮込んだ透明感のあるスープに、職人がその場で手延べする麺を合わせるのが特徴とされる。日本のラーメンとは、違った味を出し麺も自前だ。一度、味見したいものである。

     

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    中国企業は、原油高でも価格転嫁できほど落込んでいる。16月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比1%増に止まった。主要国では、最も低い伸び率である。これは、中国経済の「構造的な弱体化」を示す重要なシグナルである。単なる物価の視点でなく、 「中国企業が価格決定力を失った」=「社会主義的統制経済の動揺」 という深い構造問題に繋がっている。

     

    原油価格が上がれば、物流コスト、生産コスト、電力コストなどが上昇し、企業は価格転嫁するものだ。中国では、 価格転嫁がほぼゼロの状態である。これは、消費者の購買力が弱すぎるため、企業が値上げすると需要が消えるからだ。競争が過剰で値上げできない面もある。こうして企業は、赤字覚悟で価格を維持せざるを得ない事態を迎えている。これでは、賃上げも設備投資もできない「先細り状態」へ移行する。中国企業は、「値上げしたら倒産する」ほど需要が弱いのだ。これで、習近平氏の「大言壮語」は、かなり割引かれるであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月9日付)は、「中国企業、原油高でも価格転嫁進まず 16月物価1.0%上昇」と題する記事を掲載した。

     

    中国国家統計局が、9日発表した16月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比1.0%上昇した。中東情勢の悪化による原油高で、ガソリンなどの価格上昇が続いた。企業の輸入コストはかさむが、内需不振で価格転嫁は進んでいない。

     

    (1)「政府が、2026年の物価目標として掲げる「2%前後の上昇」を下回った。品目別にみるとガソリンなどの交通燃料は5.%上がった。25年16月は7.%下落していた。資源高やメモリー半導体の価格上昇でスマートフォンなどの通信機器も4.%上がった。耐久財は、不動産不況による消費不振を反映して値下がりした」

     

    スマホなど通信機器は4.0%も上がったが、耐久消費財全般は値下がりだ。コストは上がりながら販売価格は値下がり。これでは、マージンはますます圧縮され利益へて食い込む。

     

    (2)「電気自動車(EV)を含む自動車は1.%下がった。政府が、25年末まで全額免除していた新エネルギー車の車両取得税の免除額は、26年から半額にしたので販売が落ち込む。自動車は、単月でみても22年7月以降マイナスとなっている。住宅販売の不振は賃貸市場にも波及し、16月の家賃は前年同期比0.5%低下した」

     

    EVも値下がりしている。家賃も値下がりである。見る物聞く物、全てが値下がりである。この中でも、家賃の値下がりによる「帰属家賃」(仮想家賃)が、GDPそのものを引下げるという負の波及効果を及ぼす。現在の中国GDPでは、この帰属家賃が6~7%占めていると仮定している。16月の家賃は前年同期比0.%低下しているので、26年名目GDPは0.03%引下げる計算だ。一見、小幅に見えるが、家計消費の抑制効果として機能していることを見落としてはならない重要項目だ。

     

    (3)「企業の調達コストは、イラン情勢の悪化で膨らむ。16月の卸売物価指数(PPI)は1.%上昇した。16月のPPI変化率がプラスになるのは22年以来となる。6月単月では前年同月比4.%上がり、4カ月連続でプラスとなった。産業構造の川上と川中にあたる製品をまとめた生産財は、16月に前年同期比2.%上がった。一方、川下にあたる生活財は1.%下落していて、最終製品メーカーなどの価格転嫁は遅れている」。

     

    PPIは、川上と川中が2.2%上昇し、川下で1.2%下落である。これは、製品メーカーが材料費の値上げ分を価格転嫁できないどころか、値下げしているという最悪状態を示している。つまり、2.2%+.2%=3.4%の減益要因になる。これで、設備投資も雇用増も不可能となろう。

     

    (4)「中国経済は、不動産バブル崩壊から5年近くがたち、景気の停滞が長引いている。消費が弱含んでおり、企業はコスト上昇分を販売価格に上乗せしにくい。価格競争は根強く、韓国の家電大手サムスン電子は中国での家電販売からの撤退を決めた。家計の消費マインドは冷え込んだままだ。消費者心理を示す消費者信頼感指数は、5月に89.9となり、米イラン衝突前の2月の水準(91.6)を下回っている」

     

    消費者心理を示す消費者信頼感指数は、悪化したままだ。凍り付いた消費者マインドを「解凍」する手段はあるだろか。それが、全くないところに事態の深刻さがある。習近平氏は、「打倒米国」の号令をかけ続けるほかない。

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    中国は、欧州からは「非人権国家」として烙印を押されている。その中でも、北欧の中国批判には厳しいものがある。中国の政治手法や人権、安全保障に関する欧州のより広範な懸念を反映したものだ。中国EV(電気自動車)についても、「監視されている」感じと警戒されている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月9日付)は、「中国EVが欧米で直面する信頼の壁フィンランドが示す現実」と題する記事を掲載した。

     

    中国のEVメーカーが、低価格と高い技術力だけで十分通用するかどうかを試す上で、フィンランドは欧州で最も厳しい場所の一つかもしれない。この国では中国に対する懐疑的な見方が根強い。それはガバナンスや人権、安全保障に関する欧州のより広範な懸念を反映している。またそこには、中国のEVメーカーが欧州を攻略する上で直面する壁を垣間見ることができる。

     

    (1)「フィンランドでは苦戦を強いられている。フィンランド最大の新聞「ヘルシンギン・サノマット」で自動車と経済を担当するエサ・ユントゥネン氏は、中国のEVに不利に働いている二つの要因を説明した。第一に、フィンランド人は高額商品を買い控えている。昨年の新車乗用車登録台数はわずか7万1888台と、通常の10万台を大きく下回った。同氏はこの低迷をウクライナ戦争や予測不能な米政権、そしてイランとの対立に結びつけている。「人々はお金を枕の下にしまい込んでいる」と同氏は述べた」

     

    フィンランドで、中国EVが販売不振であるのは、世界情勢が混乱していることへの警戒心である。北欧フィンランドは過去、国際情勢に翻弄されてきたので敏感なのであろう。

     

    (2)「第二に、保守的なフィンランドのドライバーにとって、EV自体が依然として受け入れられにくいということだ。同国の運輸相がユントゥネン氏に「内燃機関は永遠に残るだろう」と語ったほどだ。さらに、中国特有の疑念もある。ユントゥネン氏によれば、フィンランド人は、車に監視されていないか、「キルスイッチ(遠隔停止装置)」が仕込まれていないか、自分たちのお金が共産党に流れていないか、疑問を抱いているという。こうした障害はフィンランドに限った話ではない。中国のEVメーカーにとって、より広範な課題を浮き彫りにしている。それは、信頼性よりも価格や技術の方が重要だと欧州の買い手を納得させることだ」

     

    フィンランドは、保守的でEVを簡単に受入れない気風がある。とりわけ、中国製EVは車に監視されていないか、「キルスイッチ(遠隔停止装置)」が仕込まれていないか、という警戒心を高めている。

     

    (3)「ユントゥネン氏は、2024年から導入されている中国製EVに対する欧州連合(EU)の関税を「何かあるという、潜在意識に訴えるメッセージ」だと捉えている。同氏によれば、そもそも車を買う人がほとんどおらず、買う人の中にもEVを信用しない人がいる一方で、EVに前向きな人の中にも依然として中国を信用しない人がいる。要するに、「膨大な数の障害はすぐには解決できない」のだという。

     

    フィンランド人は、EVを信用しない上に中国という国家自身への不信感を持っている。こうなると、中国EVは売れるはずがない。

     

    (4)「EUの関税に対するBYDの答えは、EU域内で製造することだ。ハンガリーの新工場では今年、試験生産が始まっており、年内に関税が免除されるEU製の車両生産を目指している。BYD専任担当者であるミッコ氏は一つの仮説を示した。サイドミラーがまだ付いていない車をフィンランドに出荷して現地でそれを取り付け、そこで組み立てられたように見せかけて関税を回避できるのではないかと。ただ、実際にこれをやってのける企業があるかどうかについて、同氏は語らなかった」

     

    EUでは、ハンガリーがBYDの組み立て工場が稼働する。だが、中国企業ゆえに「不正」をするのでないかと疑われている。国家としての信頼度が、これほどまでに低いのだ。

     

    (5)「このことは、中国メーカーが欧米の関税ルールの限界を試そうとしているという、このサプライチェーン(供給網)のリアルを物語っている。対照的に、米国政府は中国に関連するコネクテッドカー技術を全面的に禁止しており、2027年から段階的に適用を開始していく方針だ。最近、ある中国EVメーカーの幹部は私に、貿易摩擦の逆風下にあっても、自社の戦略は依然として強気だと語った。米国が完全に閉ざした北米市場への活路を、カナダが中国EVメーカーに開いた。この幹部によれば、中国企業が世界規模で事業を拡大するには、欧州と米国の両方が必要だという。「どんなに困難であっても、この二つの市場を諦めてはならない」と同幹部は私に言った」

     

    中国EVは、欧米市場が不可欠と認識している。それ故、どんなことがあっても諦められないとしている。だが、8月稼働の「重要鉱物特恵市場」は、中国排除が目的である。30年以降には、「ESG基準」によって中国工業製品は全て排除される見通しである。レアアース製造が、ESG基準に反しているという理由だ。西側諸国は、着々と中国製品の封じ込めに動いている。知らぬは「中国だけ」という状況である。

     

    (6)「一見すると、フィンランドのEVに関する数字は依然として目を見張る。今年6月までの新車販売の47.8%が完全なEVだった。だが、ユントゥネン氏によれば、その多くは企業の環境目標のためにリースされた社用車で、フィンランドの個人消費者が自腹でBYDとフォルクスワーゲンを比較検討して購入したものではない」

     

    フィンランドで、EV販売比率が高まっているが、リースされた社用車である。個人消費者は、無関心である。

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