勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    中国の住宅不況は深刻である。不動産上位100社合計の2025年の販売額は1兆6189億元(約36兆7000億円)と、前年比2割減だった。ピークの21年に比べて6割も減っており、市況の低迷が鮮明になっている。こうした中で、地方政府は新築と売れ残りで在庫の中古住宅に補助金を出して住宅需要を支える苦肉の策にでている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月22日付)は、「中国、マンション購入に補助金 地方政府が不動産不況対策」と題する記事を掲載した。

     

    中国の不動産不況が長期化し、地方政府が独自のてこ入れ策を打ち出している。マンション購入に補助金を出したり、住宅ローンの利子補給をしたりする。不動産の販売は地方政府の重要な財源だ。2026年以降も市況低迷は続く見通しで、住宅需要の下支えを狙う。

     

    (1)「江蘇省常州市はマンション購入の補助制度を拡充する。25年4月から売れ残りの在庫物件を対象に補助金の支給を始めており、26年からは新築と中古も対象に加える。補助金は新築が購入額の15%で20万元(約4400万円)、中古は15%で18万元を上限とする。市政府によると25年11月末までに約4800世帯が補助金を使って在庫物件を買った」

     

    ビジネスの常道から言えば、先ず住宅在庫の一掃である。価格を下げて売り切ることが先決である補助金を出す目的は、さらなる地価下落を恐れている結果だ。地価下落が進めば地方政府に土地売却益が減って地方政府の歳入減が起ることを恐れているのであろう。こうした微温的政策が、在庫整理の進まない理由である。土地国有制がもたらした、大きな矛盾だ。

     

    (2)「地元の官製メディアは、「斬新な方法で69億元の経済効果をもたらした」と成果を報じている。補助金は需要の刺激に一定の効果があると見て補助金の対象を拡大する。湖北省武漢市は同年10月から12月まで、一部地区で住宅ローンの利子補給の申し込みを受け付けた。ローンを組んだ元本の1%2万元を上限に今後2年補助する。利子補給は、江蘇省南京市や浙江省杭州市なども実施したことがある」

     

    湖北省武漢市は、ローン元本の1%2万元を上限に今後2年補助するという。こういう「雀の涙」のような補助金では意味はない。

     

    (3)「優秀な人材を呼び込むため、学歴に応じて支援策に差を付けるケースもある。山西省運城市は博士後期課程の学位を持つ人は、15年間にわたり30万元を低利で融資し利息の50%を市が補助する。博士だと11年間、20万元を融資し利息の40%を補助する。こうした対策をするのは財政に余裕がある地方政府が多い。常州市は25年の歳入に占める税収が86%と省内で最も高く、財政の健全度が高い。自動車大手の比亜迪(BYD)などの工場があり、製造業を中心に安定した法人税がある。武漢も車や電子製品の有力企業が拠点を構える」

     

    地方政府は、人材確保目的で低利融資を行っている。先行投資ができる地方政府は限られている。日本では、地方自治体は政府の「交付金」で最低限の行政費が保証されているのそれほど凸凹はないが、中国では、その差が大きい。

     

    (3)「財政の厳しい地方政府はじり貧だ。中国国家統計局の調査によると河北省唐山市は1〜11月の平均住宅価格が新築は前年同期比7%、中古は10%それぞれ下落した。過剰供給による消耗戦にさらされている鉄鋼産業が集積し、税収が減っている。不動産対策に回す財源がなく、販売も減り財源が細る負のスパイラルに陥っている。中国は土地の私有が認められておらず、かつて地方政府は使用権を不動産会社に販売して巨額の収入を得てきた。しかし現在は状況が一変。販売に四苦八苦している。24年から地方政府が在庫住宅を購入し、「保障性住宅」として中低所得者向けに安く貸し出す制度が始まった。しかし財政難の地方政府が多く対応は遅れている。

     

    地方政府によっては、財政状態が厳しく住宅購入補助金を出す余裕がない。そういう地域の住宅値下がりは、他地域よりも大幅だ。

     

    (4)「ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は、「不動産政策は26年以降も在庫住宅の買い取りや購入支援などの微調整型が中心になる」とみる。ただ、市況低迷の長期化を受けて「国が本格介入する可能性も高まってきた」(三浦氏)。不動産会社の経営環境は厳しさが増す。調査会社の中国指数研究院によると26年に始まる中国政府の第15次5カ年計画の期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込む」。

     

    第15次5カ年計画(2026~30年)期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込という。これから5年間も住宅不況が続くという想定だ。不動産上位100社合計の2025年の販売額は、21年に比べて6割も減っている。これから5年間にさらに半分も減れば、21年比で8割減となる。このような長期低迷を前提にするなら、補助金政策も業者「延命型」ではなく、企業「転換型」にシフトすべき時期に来ている。つまり、多くは廃業すべきである。

     

     

     

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    今年は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が、会談する機会がいくつかある。11月に中間選挙を控えるトランプ氏が、貿易合意で成果をあげる見返りに、習氏に台湾問題で妥協するのではないかという懸念が一部に出ているという。実態はどうか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「トランプ氏は台湾で譲歩せず ケネス・ワインスタイン氏 米ハドソン研究所 日本部長」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ氏が、中国へ妥協するという見方は誤りで、彼はいかなる大きな譲歩もしないだろう。トランプ氏は、台湾の現状維持を望んでいる。台湾への武器売却を承認し、米台交流を強化する法律にも署名した。台湾が奪われれば、習氏に勝利を与えることになり、米国の威信が失墜すると彼はよく分かっている。

     

    (1)「中国経済は弱々しく、不動産部門は不振に陥ったままだ。習氏は部下の多くを粛清している。これは強力な指導者の姿とはいえず、見かけより弱い立場にあるのではないかとすら推察する。中国と緊密な関係にあるベネズエラへの米国の攻撃でも、中国は大きな打撃を受けた。マドゥロ政権に提供していた借款は返済されることはなくなり、中国製の防空システムは役に立たないことがわかった。ベネズエラにとっての主要な貿易相手であり、中国との関係も良好なキューバやイランへの圧力も増すことになる。中国にしてみれば、ベネズエラは重要な資産からお荷物になったといえる」

     

    米国のベネズエラ急襲は、諸々の意味で中国の弱さを露呈した。防空網の弱さや、ベネズエラへの貸付が焦げ付きになる懸念も強まった。キューバやイランとの関係も弱くなりかねない。

     

    (2)「私たちは、中国を強気にさせてはならない。米国はレアアース(希土類)で中国への依存を減らす取り組みも含め、日本、韓国、フィリピンとの協力を深めつつある。できればインドネシアとも同じような関係を築きたい。(高市早苗首相の台湾有事発言を機に)中国は日本に多大な圧力をかけている。中国の立場からすると、公明党の連立離脱で日本政府に影響を及ぼすルートがなくなった。どう対処するかは、日本の国益に基づいて判断すべきではあるが、中国の挑発をエスカレートさせないよう細心の注意を払わなければならない」

     

    米国は、レアアースで中国の攻撃的姿勢に対抗しなければならない。日本、韓国、フィリピンとの協力を深めている。日本は直接、中国のレアアース攻撃を受けているが、協力関係強化で乗切るほかない。

     

    (3)「米国と北朝鮮が、日本にとって不利な合意をするという見方についても心配は無用だ。現時点で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、米朝首脳会談に意欲を示しているようにはみえない。北朝鮮を取り巻く環境は、第1次政権の時から激変した。バイデン前政権下で北朝鮮はロシアと関係を深めた。ウクライナ戦争でロシアへ兵器を供給する見返りに、技術や石油、外貨を得ている。「米大統領との合意」という名声以外に、米国が彼らに何を提供できるのか思いあたらない」

     

    北朝鮮が、米国との首脳会談を急ごうという理由がないので、米朝接近は見込み薄である。

     

    (4)「北朝鮮が、非核化に関心がないのは、破談に終わった(2019年2月開催の)2回目の米朝首脳会談をみれば明らかだ。いまのところ、彼らが米朝合意に動く理由が見当たらない。中国や北朝鮮の動きを踏まえれば、日本は防衛費を増やさざるを得ない。北大西洋条約機構(NATO)加盟国と同じ国内総生産(GDP)比5%の水準をめざすことが必要だ。インフラやサイバーといった防衛関連費も含めれば、(NATOと同じ期限である2035年に)達成するのが不可能とは思わない」

     

    中朝の攻撃的姿勢からみると、日本は防衛費をGDPの5%水準が必要になろう。2035年ごろが目標達成時期としている。

     

    (5)「問題は、35年ごろの安保環境がどうなっているかだ。5%はあくまで目安に過ぎない。ますます攻撃的になっている中国やロシア、核を持つ北朝鮮に囲まれた日本がどのような地政学的な状況にあるのか。そこから必要な数字が決まってくる。日本は安全保障関連3文書の改定にあたり、あらゆることを徹底的に考え抜く必要がある。核抑止の議論はその一つだ。核保有について日本で健全な議論が起こりつつあるのは歓迎する。しかし、拙速に結論を出そうとするのは誤りだ。多大な議論と国民的な合意が欠かせない」

     

    2035年ころには、アジア版NATOも結成されている。その頃の中国経済の潜在成長率は、OECD(経済協力開発機構)予測によれば、2030年代に2%台から1%台へ低下する悲惨な状況に追い込まれている。近隣国を軍事挑発する力は相当、低下していると見られるが。

     

     

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    日本は、中国による対日レアアース輸出規制へ対抗し、あらゆる手を打っている。南鳥島のレアアース採掘という「世紀の大事業」は別格として、化学的精錬の普及や調達先の拡大。さらにはレアアースそのものを使わない製品開発や、資源循環などと総力戦を展開している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「レアアースの中国依存軽減 日本企業、調達先確保や技術革新に動く」と題する記事を掲載した。

     

    日本企業がレアアース(希土類)の確保に向けて様々な備えを進めている。2010年、尖閣諸島問題を巡り中国が輸出を規制したことをきっかけに取組みが加速した。JX金属や大手商社などは中国以外の海外からの調達ルート確保に動く。プロテリアル(旧日立金属)などはレアアースを使わない技術の開発に力を注ぐ。

     

    (1)「JX金属の林陽一社長は、「南米とオセアニア、南アフリカに資源担当者を配置し、開発できるような場所がないか常にウオッチしている」と、レアアースの確保に向けた取り組みをこう話す。JX金属は25年6月、オーストラリアのレアメタル(希少金属)やレアアースの鉱床に5%出資すると発表した。追加出資も検討している。同じ鉱床には丸紅も同年11月に出資すると表明し、日本勢の比率が高まる」

     

    JX金属や丸紅は、海外鉱山へ出資して権益を確保している。

     

    (2)「JX金属の林氏は、豪州に続くレアアース権益の確保についても「当然探っている」と語る。同社は半導体の材料にレアアースを使っており、調達先には中国も含まれる。安定的に必要な量を確保するのは喫緊の課題となっている。国内商社もレアアースの確保に動く。双日は25年10月、希少性の高い「重希土類」のレアアースを豪州から初めて輸入した。25年にはエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と岩谷産業の共同出資会社もレアアース精錬を手掛けるフランス企業に出資した。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている」

     

    双日は、豪州で積極的にレアアース確保へ動いている。23年、豪州大手レアアース企業ライナスに約2億豪ドル(180億円)を出資し、同社が生産するジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本に供給する契約を結んでいる。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている。

     

    (3)「レアアースは、1980年代まで米国などが主な生産地だった。その後中国で鉱山開発企業が乱立し、低価格での輸出が広がった。当時の中国は環境規制がゆるかった。採掘や精錬の過程で生じる放射性廃棄物や、レアアース抽出に使う酸性液の処理が不十分でも許された。中国は環境対策費用が安い分、生産コストを米国などに比べて圧倒的に下げられる「メリット」を生かした。結果、中国の生産量は伸びレアアース大国となった。仮に日本企業が権益を確保しても、コスト面で圧倒する中国にどう対抗するかという課題は残る」

     

    日本が開発したレアアースの化学的精錬法は、常温・常圧の精錬が可能で放射性物質も出ないという環境親和的である。モジュール型の小型設備で移転も可能である。当然、コストは安くなる。小鉱山で、これまで開発を見捨てられているレアアース鉱石に焦点が当る。

     

    (4)レアアースの必要性を技術革新で乗り越える取り組みも進む。プロテリアルは電気自動車(EV)の駆動用モーター向けに、重希土類のレアアースを使わない磁石を開発した。2025年4月に米国の相互関税への報復の一環で中国政府が7種類のレアアースの輸出規制に踏み切った際には、日本の自動車大手が生産の一時停止に追い込まれた。重希土類なしでEVモーターにも使える磁石が実現すれば、こうした供給不安を軽減できる」

     

    レアアースを使わない磁石も開発されている。科学の進歩が、「省レアアース」へ向わせている。

     

    (5)「リサイクルの技術開発も進む。ネオジム磁石大手の信越化学工業は、日本とベトナムにリサイクルの拠点を持つ。使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させる。トヨタ自動車と組み、ハイブリッド車(HV)のモーターに使われる資源の再利用もしている。日本企業は過去の教訓を生かし、省レアアースのネオジム磁石や代替技術の開発、リサイクルなどに取り組んできた。ただ安い中国製ネオジム磁石の優位を崩すまでには至らず、導入は広がっていない。レアアースの安定確保という世界的な課題の解決に寄与するため、これまでの取り組みをどう生かすか。官民が連携し知恵を絞る必要がある」

     

    信越化学工業は、使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させている。資源が乏しければ、それに応じた経済行動が取られるのだ。

     

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    立憲民主党と公明党が、新党「中道改革連合」(中道)を結成する。この中道が、中国に対して「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦うことになった。「対中国」は、間違いなく今回の衆院選の大きなテーマだ。与野党ともに中国へ厳しい姿勢である。習政権は、高市非難によって日本世論へ働きかけ、「政権崩壊」を狙ってきた。この目論見は、完全に外れた。総選挙期間中、日本全土で「反中」が連呼される事態になりかねないからだ

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「『反・高市』中国に再び誤算、政局第2の大波 中道に苦虫かみつぶす」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙編集委員の中沢克二氏である。

     

    中国・習近平政権が、日本の野党内で立ち上がったばかりの新党、中道改革連合(中道)について公式報道する際、なぜか迷いが見られる。本来なら、202511月から執拗に攻撃してきた日本の首相、高市早苗に対抗する大きな塊の登場は、中国にとって大歓迎すべき動きだ。ところが事態は極めて複雑である。

     

    (1)「中国にとっての複雑さは19日午後、明確になった。「中国に対する懸念への毅然とした対応……」。驚くことに、これは衆院解散・総選挙、真冬の28日投開票を宣言した高市の発言ではない。その直前、中道が発表した基本政策の文言である。立憲民主党と公明党によって野党内で出来上がったばかりの有力勢力まで、中国に対する「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦う。しかも与野党ともに中国に厳しい。これには習政権も苦虫をかみつぶさざるをえない。世論工作などで相手勢力内の分断を図りつつ、味方を増やしていく。中国共産党が得意とするこんな「統一戦線工作」は、いまのところ奏功していない」

     

    中道が発表した基本政策の文言には、中国に対する「毅然とした対応」をうたっている。これは、中国にとって大変な目論見違いとなった。

     

    (2)「中道は、基本政策の第4の柱として「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しをあえて立てた。その詳細で「中国に対する懸念への毅然とした対応と、国益確保を両立させる中長期的視点に立った戦略的互恵関係の構築」を明記している。

    明らかに今後、政権与党になった際の外交・安全保障政策の継続性を考慮した現実的な選択だ。中国に習政権が登場する前から続く日中関係に関する「戦略的互恵関係」というスローガンをわざわざ入れたのも同じ趣旨である」

     

    中道は、「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しまで掲げている。高市政権の基本姿勢を容認している。中国にとっては、「青天の霹靂」であろう。

     

    (3)「中国は軍民両用品の対日輸出規制の強化を発表。レアアース(希土類)の対日供給にも支障が出かねない厳しい状況になっている。この局面で新党の基本政策で「中国に甘い」「中国への譲歩」と見られかねない表現をとれば、目前に迫る衆院選の短期決戦を戦えないのは明らかだった。中道の共同代表である野田佳彦は、12年に沖縄県の尖閣諸島を国有化した際の首相である。中国での激しい反日デモ、日系企業への破壊行為のすさまじさは身をもって感じている。その当事者として、中国による威圧への対処がいかに重要なのかを知らないはずはない」

     

    中国は、「威圧」によって日本政治へ影響を与えられるとみてきた。それが、とんでもない逆の事態へ動いている。日本を甘くみてきた代償の大きさを知ったであろう。

     

    (4)「中道を巡って、さらに注目すべきなのは、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態への態度だ。基本政策では「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。かつて立憲民主党が主張してきた内容と比べ、相当、現実主義に傾いている。安保法制は15年に自民・公明両党による安倍晋三政権下で成立した。中道の安保政策は、安倍政権での基本方針から大きく乖離していないのだ。ここも習政権にとって大きな悩みどころである。なぜなら、中国が高市を個人攻撃してきた理由が、25年11月7日の台湾有事に絡む存立危機事態を巡る国会答弁内容だったからである」

     

    中道は、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態で、「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。台湾有事を存立危機事態として捉えている点で、高市政権と違いはない。中国にとっては、これも大変な誤算になった。

     

    (5)「中国共産党総書記で国家主席の習の体面、メンツを考えられないほど重視するのが今の中国だ。その命令一下、安倍路線の継承、進化を掲げる高市への攻撃を続けているのに、対抗勢力の中道まで中国への毅然とした対応をうたい、問題としてきた安保法制を巡っても現実路線に動いてしまった」

     

    中国の高市非難が、ついに中道までを「高市擁護」へ追いやってしまった。日本社会の実態を全く理解していない証拠であろう。辱めを受けないという日本古来の「武士道精神」が、中道にまで及んだと言うべきであろう。

     

    (6)「今回、高市が急きょ決断した衆院解散は、強硬・中国が触発した側面があった。あまりに偏った対日強硬策をとる習政権が、図らずも高市内閣の超高支持率を演出したからである。これが「対中国」が絡む日本政局の第1の大波だ。これは思わぬ急展開につながる。高市・自民党と、これを支える日本維新の会による与党が急速に保守化しているととらえ、対抗軸として「中道」に活路を見いだそうとするのが、立憲民主党と公明党による新党の立ち上げだった。流転する日本政局の第2の大波だ」

     

    中国の対日外交は、完全に失敗した。脅せば屈すると見た日本が、敢然と「ノー」を突きつけた。「文明力」で中国をはるかに上回る日本が、習氏の威圧をはねのけた形だ。

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    中国の習近平国家主席は20日、中国経済に占める製造業の割合を適切に維持し、消費と投資、需要と供給の適切なバランスをとるべきだと述べた。次期5カ年計画に関するセミナーでの発言を国営新華社通信が報じた。

     

    2025年の中国GDPは、5%成長を達成した。ただ、輸出と製造業が再び原動力となった。小売売上高の低迷、高債務といった国内の不均衡は続いている。デフレ状態の継続である。習氏は、こういう状態を改善すべく、需要と供給の適切なバランスを取るとしているが、具体策を明らかにしなかった。

     

    『ロイター』(1月20日付)は、「内需を成長原動力にと習主席、先進的製造業の発展促進と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席は20日、中国経済に占める製造業の割合を適切に維持し、消費と投資、需要と供給の適切なバランスをとるべきだと述べた。次期5カ年計画に関するセミナーでの発言を国営新華社通信が報じた。

     

    (1)「習主席は、「先進的な製造業を力強く発展させる」よう呼びかけ、「内需を経済成長の主な原動力にする」と表明。全ての地域と部門がそれぞれの役割を明確にし、川上産業と川下産業がより緊密に連携するような状況を育成すべきだと述べた。習指導部は今後5年間で経済に占める家計消費の割合を「大幅に」引き上げる方針を示しているが、具体的な目標は示していない」

     

    今後5年間で、経済に占める家計消費の割合を「大幅に」引き上げる方針という。それには、経済政策を抜本的に変えなければならない。すでに、25年の投資関連(設備投資とインフラ投資)はマイナスになっているが、製造業が過剰生産へ落込んで乱売戦を繰り広げている。製造業への補助金を打ち切って、社会福祉へ回さなければ経済の底上げは不可のだ。先進的な製造業を力強く発展させる、としている。相変わらずの補助金漬けにするのだろう。

     

    (2)「中国国家発展改革委員会(発改委)は20日、国内消費を促進し、「顕著な」需給不均衡に対処するため、中国は2026年から30年にかけて新たな政策を打ち出す計画で、サービス部門が主な焦点になると明らかにした。中国財政省の廖岷次官は、消費拡大と人々の生活向上に向け、今年より多くの資金を投入すると述べたが、具体的な規模には言及しなかった。同省は20日、低迷する内需を押し上げるため、消費者、サービス企業、設備更新が必要な企業に対する利子補給を2026年末まで延長すると発表した」

     

    補助金政策が、中国の経済を狂わせている。それが、乱売戦を引き起こして、生産者物価指数を引下げて、デフレ状態をもたらしているのだ。この悪循環を断たない限り、経済は正常化しない。この分りきったことが実現できないところに、権威主義国家の矛盾がある。

     

    『ロイター』(1月19日付)は、「中国GDP、不均衡解消先送りの『5%』達成 内需拡大待ったなし」と題する記事を掲載した。

     

    2025年の中国GDP(国内総生産)の5%成長達成に輸出と製造業が再び原動力となった。製造業のエンジンがフル回転し続ける限り、当局は経済成長を演出できるかもしれない。しかし、中国の膨大な貿易黒字は関税を巡る緊張に翻弄されている。その一方で、デフレ、小売売上高の低迷、高債務といった国内の不均衡は続いている。

     

    (3)「中国経済は当初の暗い予想を覆して「5%前後」という公式成長目標を達成した。とはいえ、「魔法」をかけたのはやはり工業生産と海外販売だった。輸出は2024年を6.1%上回り、1兆2000億ドルという記録的な貿易黒字につながった。半面、小売売上高は政治的な掛け声にもかかわらず3.7%増にとどまり、12月の伸び率は0.9%にとどまった。新築住宅の販売額は1年間でさらに12.6%減少。工場出荷価格もさらに2.6%下落した。また、国際通貨基金(IMF)によると、地方政府債務の対GDP比は19年の62%から24年には約84%に上昇。25年の固定資産投資は前年比3.8%減少した」

     

    中国経済は、「工業生産と海外販売」という2本立て興業で内外の目を引きつけている。だが、結果的に、中国滅亡への引き金を引いていることに気付かない「能天気」な振舞と言うほかない。

     

    (4)「経済の再構築は、ささいな仕事ではなく時間がかかる。中国の場合、製造業の強さが国の経済的活力と国家安全保障に重要な役割を果たしているため仕方がない。中国指導部は昨年12月、積極的な財政政策によって消費を刺激し、「突出した」不均衡に対処することを約束。共産党機関誌は習近平国家主席の10年間の論評をまとめ、内需拡大が当局にとって戦略的になっているという点を強調した。さらに10年も無為に過ごせば、バランスが悪すぎて管理できない経済を生み出す危険性がある」

     

    いまさら、弁解がましいことを言わずに、黙って政策転換すればいいのだ。世界中へ過剰生産物を押しつけて「涼しい顔」をしているが、自国経済を疲弊させていることに気付かないのだろう。

     

     

     

     

     

     

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