勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    韓国は6日、国会で開かれた科学技術情報放送通信委員会の国政監査で、中国製人型ロボットによる「ショー」が行われた。与党・共に民主党の李政憲(イ・ジョンホン)議員が質疑を行っていた際、会場に2台の人型ロボットが入って来たものだ。この突然の「闖入に」議員の間からは反対論も。

     

    2台は会場での実演のため中国から運び込まれた宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)と智元機器人(AGIBOT)のロボットで、歩行に加えて武術やダンスを披露。国会では、「中国製ロボットを披露することは韓国の尊厳を損なうものだとして反発が起きた」という。

     

    『レコードチャイナ』(10月9日付)は、「韓国国会で中国製ロボットがパフォーマンス披露し物議―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディアの新浪財経によると、韓国国会で6日に開かれた科学技術情報放送通信委員会の国政監査で、中国製人型ロボットによる「ショー」が行われた。

     

    (1)「6日、与党・共に民主党の李政憲(イ・ジョンホン)議員が質疑を行っていた際、会場に2台の人型ロボットが入って来た。2台は会場での実演のため中国から運び込まれた宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)と智元機器人(AGIBOT)のロボットで、歩行に加えて武術やダンスを披露。与野党の議員からは身を乗り出してこの様子を観察したり、スマートフォンで撮影したりと強い関心が示された」

     

    国会議場へ人型ロボットを登場させるのは問題があるだろう。別の会場で行うべきことだ。国会議場は、最も神聖であるべき場所であるからだ。

     

    (2)「李氏はまた、中国北京のロボット量産工場と大規模データセンターを訪れた際に撮影した動画も紹介し、「大規模な生産現場を目にして非常に衝撃を受けた」と表明。調査会社オムディアのデータを引用して、「2025年に世界で生産された人型ロボットは約1万3000台。うち、生産台数上位6社はいずれも中国企業だった」とも説明した。一方、この出来事を巡り、中国SNSの微博(ウェイボー)には「韓国議員の中国製ロボット披露が物議」との話題が登場している。関連の投稿によると、「ロボットのダンスや武術は中国のAIロボットの先進性を示して韓国政府に重視するよう促すことが目的だったが、国会で中国製ロボットを披露することは韓国の尊厳を損なうものだとして反発が起きた」という」

     

    韓国議員が、反応した本当の理由は何か。仮に米国製ロボットなら、「先進技術の視察」で終わった可能性があろう。ところが相手が中国だった。反発の原因は、ロボットでなく、

    中国が先端技術で優位に立ち始めた現実にある。韓国は長年、半導体、家電、IT、ディスプレーで中国を追いかける側でなく、追われる側であった。近年は、EV、電池、AI、人型ロボットで状況が変わっている。その心理的衝撃が、今回の反応の原因であろう。

     

    だが、中国人型ロボットの主要部品は日本製である。中国は、それを組立てているにすぎない。当の日本は、主要部品がありながらなぜ、人型ロボットをつくらないのか。製造現場や看護現場で役立つロボットという「実用性」が主目的である。中国人型ロボットは、「余興のネタ」程度である。人間そっくりの人型ロボット製造は、半導体性能に限度があって開発は困難という見立てだ。米国ですら2035年程度と見込まれている。その間に進む労働力不足をカバーするには、実用性が第一目的となる。日本では、トヨタ型ロボットが2028年、川崎重工が二足歩行と四足歩行ロボで、2030年に発売目標に掲げた。

     

    中国ロボットは、いつまで「踊って走って」の段階に止まるのか。精密工業に劣る中国が、自前でロボットの高級な主要部品を作れるのはいつか。先端半導体も7ナノが限度の国である。EV(電気自動車)と人型ロボットでは、技術水準が「天地」ほどの違いである。中国の産業用ロボット企業が、人型ロボットへ進出しない理由は、技術で高い壁を認識しているからだ。

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    中国は、AI(人工知能)から宇宙開発に至るまで、あらゆる技術へ手を出している。一方で、肝心の経済は多くの分野で低迷している。崩壊した不動産市場は、低迷したままだ。多くの大卒者が就職先を見つけられず、企業は利益を上げるのに苦労している。政府は、こうした深刻な問題に対処するために、大胆な対策を講じることもなく、中途半端な措置を取るにとどまっている。ひたすら耐えることで、最後に「栄冠」を握るという根性論だ。ソ連経済末期と同じ道を辿っている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月9日付け)は、「中途半端な中国経済対策、深刻化する問題」と題する記事を掲載した。

     

    政府はこの1カ月間、住宅ローン補助金や国有銀行への新たな資本注入、新たなインフラ投資といった小出しの対策を次々と打ち出してきた。

     

    (1)「こうした断片的な取り組みについてエコノミストらは、今年の控えめな経済成長目標を達成する助けにはなるかもしれないが、十分とは到底言えないとの見方を示す。「これは大型バズーカ砲ではない」とHSBCのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏は語る。政府の「限定的な」対策がもたらす効果はわずかなものにとどまる見込みだという」

     

    小出しの対策では、中国経済の浮揚テコにならぬと悲観的である。

     

    (2)「習氏は、国内経済が低迷する中にあっても、最先端技術における世界的優位の確立を目指している。これは、中国を西側諸国の圧力に左右されない国にするという自身の優先課題を反映している。そこには、より大きな国家目標を達成するためには経済的苦難に耐えることも時には必要だという、国民向けメッセージも込められている。問題は一段と切迫している。中国の2026年第2四半期(4-6月期)の国内総生産(GDP)は前年同期比4.3%増と、ここ3年余りで最も低い伸びにとどまった。これは政府が掲げる今年の成長率目標4.5〜5%をわずかながら下回る水準だ」

     

    習氏は、EV(電気自動車)や電池で世界的優位を確立できる体制を目指している。これによって、中国経済が世界経済で優位に立てるという自信を漲らせている。足下のGDPは、4.3%と低位に沈んでいる。

     

    (3)「経済成長の大半は、国内需要ではなく輸出によるもので、特に世界的なAIブームを支えている半導体やハイテク機器の輸出が大きな役割を果たしている。キャピタル・エコノミクスによれば、第2四半期の前期比成長率の半分以上は、AI分野向けの電子機器製造業がもたらしたものだった。つまり、中国の成長は継続するハイテク特需に大きく依存する形となっている。政府は対策を試みている。空前の不動産不況が6年目に突入する中、住宅所有のコストを削減するため、初めて住宅を購入する人を対象に住宅ローンの利払いの補助を始めた。そのための資金は中央政府が直接出す。専門家はこの決断について、政府が不動産市場の下支えについて危機感を持っていることの表れだと指摘する」

     

    中国の成長は、継続するハイテク特需に大きく依存する形となっている。内需は低迷状態にあり今、最もテコ入れが必要な時期である。習氏には関心外である。

     

    (4)「中国当局は先週、インフラ投資を増やす施策に乗り出した。これは同国の高度成長期を支えた財政支出と似ている。中央銀行は、政府支援プロジェクトを後押しするための「担保付き補完貸し出し」と呼ばれる融資の金利を引き下げた。また、電力網・通信・物流といった分野に資金を供給する措置が拡大された。バークレイズのアナリスト陣はこうした対策について先週、全体的に見て「小さな動きであり、ゲームチェンジャーではない」と分析。2024年9月の景気刺激策よりはるかに小さいと指摘した」

     

    相変わらず、インフラ投資には熱心である。不動産バブル崩壊という「極限状況」でも、対策は従来通りである。

     

    (5)「政府は、これらの施策に先立ち、9月上旬に国有銀行などへの支援策を打ち出した。大手銀行・保険会社の計8社に対する540億ドル相当の資本注入だ。昨年は700億ドル超の資本注入が実施された。中国の金融機関が直面する状況はますます厳しくなっている。政府は各銀行に対し、不動産業界や地方政府の資金調達事業体といった苦境にある分野への融資を指示している。地方政府の収入は不動産市場の崩壊によって激減している。政府は2024年、低迷する不動産市場の回復を目的に、承認済み不動産プロジェクトの「ホワイトリスト」を発表した。銀行からの融資を誘導する施策だ」

     

    政府は各銀行に対し、不動産業界や地方政府の資金調達事業体への融資を奨励している。不良債権発生には、銀行や保険会社への資本注入で対応する構えである。

     

    (6)「銀行の経営を圧迫する政策の影響は、純利ざや(融資による金利収入と預金金利による負担の差)の縮小という形で既に顕在化している。シーフェアラー・キャピタル・パートナーズの中国調査担当ディレクター、ニコラス・ボースト氏は、9月の資本注入の規模は問題を解決するには小さ過ぎると指摘。政府は多くの不良債権を一挙に認定して財務面の影響に対処するのではなく、「先送りして取り繕う」道を選んだと話す」

     

    資本注入規模は、540億ドル相当であるが不足しているとされる。もっと注入額を多くして不良債権を早期に整理しなければ時間のロスになる。

     

    (7)「こうした困難にもかかわらず、当局は自信を示している。習氏は中国の建国記念日「国慶節」を祝う先週の演説で、同国経済は「圧力の高まりにもかかわらず、前進を続けている」と述べ、「国民の生活を改善し、今年の目標と課題を達成する」と明言した。中国の最高政策決定機関である共産党中央政治局は7月の会議で、「自信を維持し、困難に正面から立ち向かう」と表明し、「より積極的な」政策で国内需要を押し上げることを約束した。しかし政府は、多くのエコノミストが支出を喚起するために必要だと指摘する、家計への大規模な現金給付や直接的な財政支援といった措置をまだ講じていない」

     

    長征(1934~36年)に見倣って、我慢すれば成功すると鼓舞している。経済活動の本質を見誤った話だ。経済は生き物である。消費を窒息させては発展がない。戦前日本でいえば軍部、ソ連でいえば共産党官僚制、現在の中国でいえば、党国家の統治原理そのものが、問題解決よりも自己保存を優先し始めている兆候と読める。

     

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    米中では、台湾問題を「ディール」とする見方がある。この説によれば、台湾問題は米中の「取引対象」になる。これは、一種の外交ゲーム論である。台湾問題には当てはまらないほど死活的問題である。米国にとっては、民主主義擁護者としての役割があり、世界覇権維持の防波堤だ。米国が、台湾を放棄することは同盟国を失い、世界覇権の座からの転落リスクを高める。よって、台湾は米中のディール対象ではないのだ。

     

    中国共産党は建国以来、「国家統一の完成」を重要な歴史的使命として掲げてきた。台湾放棄は、単なる外交上の譲歩ではなく、自己否定に近い意味を持つ。米中双方とも本質的には譲れない問題である。よって、台湾問題を「ディール」とする見方は間違いであろう。中国は、国内経済悪化で台湾侵攻の余力がない。米国との関係を悪化させないよう、細心の注意を払っている。習近平体制にとっては、米中で紛争を起こさないことに全力を上げている。「安定の時間を買っている」構図だ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月9日付)は、「米中、見果てぬビッグディール 追加会談でも埋まらぬ『台湾』の溝」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は9月下旬、中国の習近平国家主席を国賓としてワシントンに迎え、礼砲や供宴で華々しくもてなした。だが、大演出とは裏腹に会談の成果は驚くほど乏しい。

    貿易戦争の休戦は、来年1月まで2カ月間延びただけだ。焦点だった人工知能(AI)の危機管理でも、踏み込んだ議論は交わされなかった。

     

    (1)「注目すべきはそれにもかかわらず、両首脳が年内にさらに2回会談することで合意した点だ。これにより米中首脳は同じ年に2回、互いの国を訪れることになる。極めて異例だ。なぜ早々と2回の追加会談を確定したのか。通商や安全保障をめぐり、米中がビッグディール(大取引)に向かう前触れとみる向きもある。だが、現実はむしろ逆だろう。両首脳はあと2回会談しても、劇的な突破口は開けないと分かっているはずだ。それでも関係の決裂を避けるため、会談を続けることにしたとみられる」

     

    米国は、会談成果がなくてもなぜ、米中首脳会談を行うか。一つは、習氏の健康状態と中国経済悪化をチェックする目的である。5月の会談時よりも9月の方がいずれも悪化している。中国の経済状況悪化を合せて、「中国衰退」を管理し始めているのだ。習氏を国賓で招いた裏には、米国の周到な「中国包囲網」が敷かれている。

     

    (2)「対立の過熱を望まない点で、米中の思惑は重なる。米国はレアアース(希土類)の輸入を中国に大きく頼る。トランプ氏は調達先を分散できるまで、中国との関係決裂は避けたいとの思いを抱く。一方、習氏は2027年秋に、5年に1度の共産党大会を控える。国内で威信を保つには、対米関係をきちんと管理している姿を示さなければならない。もっとも、関係安定の思惑が一致しているだけでは、米中が重要問題で合意するのは難しい。今回の会談で鮮明になったのは、むしろ台湾をめぐる溝の深さだ。習氏は会談で、台湾独立への反対や台湾への武器売却停止を求めた。だが、トランプ氏はいずれの要求にも、明確な言質を与えなかった形跡が濃い」

     

    今回の首脳会談は、レアアース問題も出ていない。8月からの「重要鉱物特恵市場」が稼働しているからだ。米国にとって、差し迫って中国と会談する必要性はないが、会う目的は中国の実情を知るまたとない機会であるからだ。米国は、人民解放軍が暴走しないように気を配っている。米中関係は、「濃密」であると信じ込ませる狙いだ。

     

    (3)「これに対し、習氏は冷淡な態度に出た。国賓級の歓迎を受けながら、中国が新たに約束した主な対米輸入案件は、27〜28年に年1000万トンの石炭購入だけだった。彼のメッセージは明快だ。台湾問題で米側が譲らない限り、トランプ氏が求める米産品の大幅な輸入増にも応じない姿勢である。では、トランプ氏はどうか。昨年10月以来、3回首脳会談で明らかになったのは、ディール重視の彼といえども、台湾問題を取引材料にすることは政治的に簡単ではないという現実だ」

     

    中国は、実質外貨準備高の対GDP比が5%割れで危機状態である。輸入代金は、即金で払わなければならないだけに輸入を絞っている。中東からの原油輸入量も激減するほど、外貨事情が逼迫している。サウジアラビアは、業を煮やして日本へ売込み強化を図る時代なのだ。中国の外貨繰りは、資金の不法流出で極度に悪化している。

     

    (4)「米同盟国などの間では当初、通商分野で中国と大取引を交わすため、トランプ氏が台湾を「いけにえ」にしかねないとの不安があった。台湾独立反対を表明したり、台湾への武器売却停止を約束したりする展開である。ところが年内に予定される2回の首脳会談でも、そうした事態は考えにくい。彼が台湾に特別な好意を抱いているからではない。米政権に近い米外交専門家らによれば、トランプ氏は台湾問題について次のように考えている。台湾問題で中国の言いなりになれば、自分は「対中外交のルーザー(敗者)」とみなされかねない。米議会や米有権者の保守層から批判を招き、「偉大な大統領」として歴史に名を残すことが難しくなる――」

     

    米国覇権の基盤は、太平洋防衛にある。台湾は、その核である。だから、日本・豪州・フィリピンと第一列島線防衛に全力を上げている。こういう基盤を忘れて、米中が台湾問題で「談合する」ことなどあり得ない。米国にとって自殺行為である。海洋国家米国が、台湾を失うことの意味を知らないはずがない。全くの俗説である。

     

     

     

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    中国自動車大手の比亜迪(BYD)が、マレーシアで計画していた自社工場の建設を見送ったことが分かった。同国での生産体制づくりに向け、代わりに現地企業との提携協議が詰めの段階に入っていると説明した。真相は、資金繰りであろう。25年のキャッシュフローは、977億元(約2兆3000億円)の赤字である。24年が361億元(約8500億円)の黒字であったことから大幅悪化である。この状況では、設備投資抑制は、当然であろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月8日付)は、「中国BYD マレーシア自社工場を断念 現地企業と生産へ」と題する記事を掲載した。

     

    中国自動車大手の比亜迪(BYD)が、マレーシアで計画していた自社工場の建設を見送ったことが分かった。同国での生産体制づくりに向け、代わりに現地企業との提携協議が詰めの段階に入っていると説明した。

     

    (1)「BYDマレーシアのマネージングディレクター、ジェイコブ・マー氏が11日に開いた記者説明会で明らかにした。北西部のペラ州タンジュンマリム地区での組み立て工場の建設計画は2025年8月に公表していた。マー氏は「タンジュンマリムの工場計画は続行しない」と言明した。マレーシアでは現在、現地の有力企業との提携に向け協議を進めているという。「BYDの基準を満たす生産能力と技術力を持ち、現地での組み立て事業を全面的に担える企業だ」(マー氏)と強調した。マー氏は「協議はすでに非常に進んだ段階に入っており、必要な書類作成を終えつつある」と述べた。「準備が全て整い次第、正式に発表する」と語った」

     

    BYDは、2025年のキャッシュフローが大赤字になったのは、海外工場、電池工場、生産能力増強と同時投資したこと、販売競争激化による値下がりが大きな背景である。BYDは、タイ工場、ハンガリー工場、ブラジル工場と強気経営である。5年以内にトヨタを抜いて世界一になると豪語するほどだ。だが、キャッシュフローの大赤字で、マレーシア工場は諦めるほかなかったに違いない。

     

    (2)「地元紙ザ・エッジは3月に、BYDがマレーシア投資貿易産業省からの条件面で折り合えず、タンジュンマリムの工場計画が不透明になっていると報じていた。現地組み立て車の最大80%を輸出するよう求める条件が一因とみられる。マー氏は工場計画を見送った直接の理由について回答を避けた。BYDの企業文化は「長期的な視点で模索することだ」と述べるにとどめた」

     

    輸出80%の条件を付けられたことが建設中止理由としている。だが、さすがの輸出も陰りが出ているのであろう。BYDの企業文化が、「長期的な視点で模索すること」であれば、輸出80%が重荷であったことを示している。

     

    (3)「マレーシア政府は7月、電気自動車(EV)の完成車輸入に対する規制を強化した。輸入時の申告価格を運賃・保険料込み(CIF)で20万リンギ(約750万円)以上、モーター出力を180キロワット以上と定めた。輸入EVの税制優遇措置が25年末に終了したことに続く措置だ。BYDが、マレーシアで販売する主力EVの一部は20万リンギを下回る価格設定だ。同社にとって現地での生産体制づくりがより重要になっている」

     

    マレーシア政府は、輸入EVの最低価格を20万リンギ(約750万円)以上としている。BYDが、マレーシアで販売する主力EVの一部は、20万リンギを下回る価格設定である。BYDは、マレーシア国内での生産を軌道に乗せなければならなくなっている。

     

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    中国では現在、若者が毛沢東の著作を読み始めている。これは、毛沢東時代へ帰れということではない。毛沢東が強調した「権力の矛盾」を読み解こうとしているものだ。今の中国は、矛盾に満ちている。大学を出てもそれに相応しい職業が少ない。多くが、失業を余儀なくされている。長引く住宅不況で家計資産は目減りしている。こういう中国社会の矛盾を毛沢東著作で理解しようとしているのだ。習近平政権には、甚だ都合の悪い事態だが、「読むな」とは言えない。「革命の神様」の書籍(お告げ)であるからだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月8日付)は、「中国の燃え尽きた若者たち、毛沢東の思想に共感」と題する記事を掲載した。

     

    中国で奇妙な現象が起きている。大卒で燃え尽きた若者たちが、毛沢東の初期の著作を手に取っている。彼らは中華人民共和国の建国の父をノスタルジーから読んでいるのではなく、制度がいかにして人々をすり減らすかを言葉にしてくれた存在として読んでいるのだ。

     

    (1)「何十年にもわたり、中国政府と国民との間には取り決めがあった。懸命に働き、マンションを買い、経済的な階段を上り、政治には関わらないというものだ。しかし今、何千万人もの中国の若者にとって、その取り決めは崩れている。マンションの価値は親世代が支払った額を下回る。階段を上った先にあるのは過酷な労働時間と、家賃すら賄えない仕事だ。これが、現在の中国の若者が毛の「権力者はいかに労働者階級を搾取するか」という思想に手を伸ばし、2026年の自分たちの人生を理解するための手がかりにしている背景だ」

     

    若者は、毛沢東時代を経験していないので、毛沢東への共感はない。つまり、歴史への郷愁でなく、「努力しても上に行けない」矛盾を説明する理論として読んでいるのだ。これは、毛沢東の『矛盾論』である。『矛盾論』は革命書ではない。思考訓練書である。毛沢東自身が若者に教えているのは、「現実を疑え、内部矛盾を探せ、権威を絶対視するな」である。これを、習近平体制へ当てはめると、極めて不都合なことになる。矛盾の根源が、習近平体制にあるという結論になるからだ。

     

    (2)「この現象は、同国の数十年にわたる経済的な取り決めがどれほど崩れているかを物語っている。しかし、実際に何が壊れたのか。それが、国際通貨基金(IMF)の新刊「中国の新たな経済成長モデルに向けて」の中心的な問いだ。同書はIMFのアジア太平洋局長であるクリシュナ・スリニバーサン氏の共著である。先月の同書発刊に先立ち同氏に取材したが、その結論は率直だ。中国の成長モデルは「ほぼ寿命を迎えた」というものだ。その兆候は、いたるところに見られる。巨大な住宅市場の崩壊から、消費者マインドの急落まで。これらは単独では毛の思想の復活を説明するものではない。しかし、毛の評論が新たに共感を呼ぶようになった経済的な幻滅感を理解する助けにはなる」

     

    IMFのスリニバーサン氏は、中国の成長モデルが「ほぼ寿命を迎えた」という。これは、中国の若者に矛盾の原因を教えているようなものだ。彼らは、政権への「不信感」を強めるだけとなろう。

    (3)「IMFの処方箋は単純だ。中国は国民にもっと消費させ、貯蓄を減らす必要がある。しかし同国で暮らしたことのある人なら誰でも知っているように、家計は何らかの文化的な癖から現金をため込んでいるわけではない。病院の請求書1枚ですべてを失いかねないから、農村部の年金はわずかだから、そして都市部に出稼ぎに来た労働者は依然として都市の社会保障制度を利用できないから、貯蓄しているのだ。「人々にもっと消費してほしいと願うだけでは済まない」とスリニバーサン氏は述べた。国家は、貯蓄を減らしても安心できるような医療、年金、失業保険の制度を構築しなければならない。信頼は「中心的な要素」だが、現在はその信頼を担う機関が機能していない、と同氏は述べた。 

     

    中国は、国民による政権への信頼感が極端に低下している。医療、年金、失業保険の制度が不完全であるからだ。習氏は、社会福祉拡充が人間を怠惰にすると信じ込んでいる。これは、人間を使役する思想に連なるもので、およそ「共産主義者」らしからぬ発言である。

     

    (4)「これには対外的な側面もある。中国の国内需要の弱さは、自国経済を傷つけるだけではない。同国は巨大な生産能力を築いてきたが、それを吸収するだけの消費が国内で起きていない。そのため工場は海外に目を向ける。輸出急増は「未解決の国内不均衡の対外的な現れ」だ、とスリニバーサン氏は述べた。スリニバーサン氏によると、2019年から2025年の間に世界における貿易制限措置は3倍に増えた。そしてここに興味深い論点がある。世界の他地域が中国の生産品を買わないのであれば、投資を増やし、生産を増やし、余剰分を輸出するという中国の旧来モデルはもはや機能しなくなる」

     

    内需不足が、輸出圧力になる。これは、「経済のイロハ」である。習氏は、こういう理窟を無視して社会福祉充実に背を向けている。これこそ、どうにもならない矛盾だ。毛沢東流に言えば、内部矛盾を正しく捉えていないのだ。若者は、こういう習政権をどう見ているのか。

     

    (5)「では、中国が行動を起こさなければどうなるのか。スリニバーサン氏に、同氏が最も懸念するシナリオを描いてもらった。「国内需要の弱さとデフレを伴う長期的な減速だ」と同氏は述べた。「待てば待つほど、問題は大きくなる」。同氏は、自身が望む結末を「神の偶然の一致」と呼ぶ。中国国内の消費者を停滞から救う改革は、世界の他地域を悩ませている貿易摩擦を和らげる改革と同じものだ、というのだ。これは希望的な見方だ。中国政府がその方向に動けるかどうかは、また別問題だ。その間も、毛の読書会はおそらく増え続けるだろう」

     

    習氏は、間違った自己流の「経済学」を強行すれば、「待てば待つほど、問題(矛盾)は大きくなる」。手がつけられなくなるほど悪化すれば、毛沢東の『矛盾論』読者は増えるばかりで「権力打倒」という空気を生むであろう。

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