中国は、貿易戦争の緒戦から大きな影響が出ている。最大の輸出先が米国である以上、米中が紛争を起こせば「タダでは済まない」と思うのは常識だ。中国政府は、こういう常識が欠如しており、「徹底抗戦」などという太平楽な枕詞を並べてきた。
中国の企業レベルでは、この米中貿易戦争は深刻である。中国政府が、最大の「顧客」である米国とことを構えるというのだから一斉に設備投資を控えている。特に、工作機械の設備投資にその影が現れている。これには、後述の慎重な貸出政策も影響を与えたようだ。
『日本経済新聞』(8月21日付 電子版)は、「中国の工作機械『爆買い』にブレーキ、5カ月連続マイナス」と題する記事を掲載した。
(1)「中国による工作機械の『爆買い』に急ブレーキがかかっている。日本工作機械工業会が発表した7月の受注額(確報値)は、中国向けが5カ月連続で前年割れ。全体が13%増と好調が続くだけに、外需の4分の1を占める中国の変調は際立つ。米中の貿易摩擦への懸念から中国投資に二の足を踏む動きも広がっているようだ」
中国からの受注だけが落込んでいるのは、米中貿易戦争の影響と見て間違いあるまい。
(2)「国・地域別の受注額で中国は、205億円と前年同月比8.5%のマイナスと、5カ月連続で減少が続いた。金額ベースでも17年1月以来18カ月ぶりの低水準だ。不調の原因とされてきたのが電子機器の受託製造サービス(EMS)向けだ。スマホの新機種投入時などに大量発注があるため、もともと波が大きい。『ただ今回は一般機械向けも落ち込み、米中摩擦の影響で中国全体が弱含んできている可能性がある』という」
興味深いのは、3月から連続5ヶ月前年比マイナスであることだ。実は、今年の3月からマネーサプライ(M2)の増加率が1~2月の8.6~8.8%が、3月以降7月まで8.0~8.5%へ鈍化している。これは、銀行の貸出(信用創造)が落込んでいる結果である。銀行が、米中貿易戦争を警戒し新規貸出に慎重になる、「信用収縮」現象が起こった結果と見られる。中国の工作機メーカーは、正規の金融機関から融資を受けているはずだ。それ故、中国全体を覆う金融逼迫の影響が現れている。こういう状況では、日本の工作機受注の回復も難しいと見られる。





